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妻からの手紙~アレク視点4

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(……リリアナが、私の命の恩人?)

まさかっ!

ミリアーヌではないのか?

いつも行為の際には、背中の傷を見せたくないから、と上半身の洋服を脱ぎ去ることがなかった。

だから、ミリアーヌの背中に傷があるかは分からない。

……単に傷がある、と思い込んでいたのか?

(……すぐにシリカに確認しよう。彼女は毎日、リリアナの着替えを手伝っているのだ……!)

そもそもあの事件の後に、途中で意識を失った私に両親からはミリアーヌが庇ってくれたお陰で命が助かった、と聞いた。

その後、背中に酷い傷を負ったと聞き、ミリアーヌに求婚したが、ちょうど王太子殿下から婚約の打診があったと言われ、妹のリリアナと婚約してほしい、とお願いされたのだ。

(……あの時、ミリアーヌは傷を負い、王太子殿下の婚約をなぜ受けるのか違和感を感じたが……)

ことだった、のだ。

もともと上昇思考の強いミリアーヌは、公爵夫人よりも王太子妃の地位が魅力的に見えた。

だから、命の恩人の入れ替わりを考えた。

私にお願いするためにーー。

ーーそして、王太子妃の婚約者として窮屈な生活を送るならば、と息抜き程度に私と関係を持つ。

そんなシナリオだろうか?

(……私も舐められたものだな)

それも、リリアナが身投げするまで気づきさえもしなかった。いや気付こうともしなかった。

それほどまでにミリアーヌとの関係に溺れていたのだ。

(……最低だな…)

王太子であるシリウスとも旧知の仲で、私は幼馴染みであり妻であるリリアナと、親友であるシリウスの二人を裏切った。

(……とにかく、リリアナ!生きてくれ……!) 

ちょうどその時、医師から部屋に来るように告げられた。

鉛のように重い足取りでリリアナの部屋に向かった。
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