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侍女と護衛

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初夜が行われたなかった翌朝。

シリカが乱れていないベッドを目にし、事情を察してくれた。

「……リリアナ様。お辛いですね」

私はその言葉にうなずくと、シリカの胸を借りてわんわん泣いた。

護衛のユンが驚いて室内に入ってくるくらい大きな声で泣いた。

「……ねぇ、話を聞いてよ?」

私は昨晩の話を二人に始めた。

◇◇◇

「……お嬢。それはひどい話じゃないすか!あの野郎はお嬢に命を救われたのに、あんまりだ!」

「そうだよね?そう思うよね?」

「そうですよ!白い結婚にお飾り妻なんて……。今までも酷い扱いばかり受けてきて……。やっと幸せになれると思ってたんですよーー!」

シリカまでわんわん泣いてくれた。

私は二人に話が出来て心が軽くなった。

二人は私が街でゴロツキに襲われているのを助けたのをきっかけに公爵家で保護することになり、人生で初めて両親に頼んで二人を公爵家に置いてもらった。

私が責任を持ち教育することを条件に。

私は屋敷で味方がいなかったから、自分の味方を作りたかった。信頼できる味方が欲しかった。

話を聞いたら二人は兄妹で、ユンは護衛に、シリカは侍女になる素質があったのでお願いして教育を頑張って受けてもらった。

二人からは私が命の恩人と言われるけど、実は逆でーー。

二人は私の心の家族になってくれた。

それだけで満足だった。

アレクのいう命の恩人ってそういうことじゃないんだと分かった昨夜、心が死んだーーううん。

アレクに対する恋心は砕けちり、灰になってしまった。

もう私がここにいる意味は全くない。

アレクのために頑張る必要がないからーー。

「……まずはアレクの愛人が誰かから調べない?」

目指すは離婚、だった。
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