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事件
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アレクから婚約打診がくるきっかけとなった事件は、今から10年前に起こった。
あれは姉かアレクのどちらかが言い出した。
今となっては思い出せないが、
『冒険に行こう!』
と盛り上がり、アレクの公爵領の森の探検にいくことになった。
探検はそれまでにも何度かしていたし、護衛ももちろんいたから問題ないと判断し、その時も護衛と共に森に冒険に出かけた時だった。
森を堪能した帰り道。
黒ずくめの集団に取り囲まれた。
あっと言う間の出来事だった。
敵は10人。
護衛は5人。
剣の刃を向けられ、もうダメなんじゃないかと思った。
私はあまりの恐怖に動けないでいた。
隣のアレクも姉もどうしたらいいのか分からない、と言う表情で護衛に視線を投げかた。
そうこうしていると、黒づくめの集団の一人がアレクに飛びかかった。
ーー目的はアレクっ!
『坊っちゃま、下がって下さい!』
と言う護衛の声と共に、アレクが下がるが、後ろから別の刃がアレクの左腕を捉えた。
次の瞬間、黒づくめの集団が一斉にアレクに向かって刃を向けて近づいて来た。
『ーー坊っちゃま、ミリアーヌ様、リリアナ様!走って!』
護衛の叫びと共に私たちは無我夢中で一瞬の隙にできたら空間から走り出した。
しかし、まだ子供の足。
そんな速く走れないため、すぐに追っ手が迫ってくる。
「……!あっ!」
アレクが石に躓き転んでしまった。
『危ない!!』
転んだアレクの背後から、追っ手の刃が迫る。
そして、私はその光景を前に自然と身体が動いていた。
「……アレク、逃げて…」
私はアレクに重なるように刃の前に自らの身体を差し出した。
あれは姉かアレクのどちらかが言い出した。
今となっては思い出せないが、
『冒険に行こう!』
と盛り上がり、アレクの公爵領の森の探検にいくことになった。
探検はそれまでにも何度かしていたし、護衛ももちろんいたから問題ないと判断し、その時も護衛と共に森に冒険に出かけた時だった。
森を堪能した帰り道。
黒ずくめの集団に取り囲まれた。
あっと言う間の出来事だった。
敵は10人。
護衛は5人。
剣の刃を向けられ、もうダメなんじゃないかと思った。
私はあまりの恐怖に動けないでいた。
隣のアレクも姉もどうしたらいいのか分からない、と言う表情で護衛に視線を投げかた。
そうこうしていると、黒づくめの集団の一人がアレクに飛びかかった。
ーー目的はアレクっ!
『坊っちゃま、下がって下さい!』
と言う護衛の声と共に、アレクが下がるが、後ろから別の刃がアレクの左腕を捉えた。
次の瞬間、黒づくめの集団が一斉にアレクに向かって刃を向けて近づいて来た。
『ーー坊っちゃま、ミリアーヌ様、リリアナ様!走って!』
護衛の叫びと共に私たちは無我夢中で一瞬の隙にできたら空間から走り出した。
しかし、まだ子供の足。
そんな速く走れないため、すぐに追っ手が迫ってくる。
「……!あっ!」
アレクが石に躓き転んでしまった。
『危ない!!』
転んだアレクの背後から、追っ手の刃が迫る。
そして、私はその光景を前に自然と身体が動いていた。
「……アレク、逃げて…」
私はアレクに重なるように刃の前に自らの身体を差し出した。
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