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プロローグ

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「……会いたかったわ、アレク!」

 その女の声は聞き間違えるはずがなかった。

夫であるアレクとその女は妻である私を置き去りにし、二人で夫の部屋に消えていった。

(まさか私が立ち聞きしてると思わないなんて……。私……信頼されているのか、バカにされているのか…)

ため息しかでない。

「……私も会いたかった!ミリアーヌ」

実の姉の名前を平然と呼ぶ夫にもはや嫌悪感しかない。

会話からして抱きあっているのか?キスでもしているのか?

「……まあこうして会えるのもあの子のお陰ね?何の取り柄も使い道もないと思っていたけど…。さすが私の妹だわ」

「……そうだね。私たちがこうして会えるのもリリアナが隠れ蓑になっているからだしね。命の恩人である君とは一緒になれない運命だけど、こうして会えるだけで私は幸せだよ」

ーー隠れ蓑?
ーー命の恩人?

まさか姉のミリアーヌがそんなことをしていたなんて……。

(……絶対に許せない!)

「あっあっあぁぁーん!アレク、気持ちがいいわ……!」

いつのまにか二人の行為が始まり、不快でしかない声が漏れ聞こえる。

ーやるべきことが分かったわ!

「……ようやく私、目が覚めたみたい。シリカ、ユン部屋に戻るわよ」

私は唇を噛み締めながら二人に気付かれないよう静かに涙を流した。

(私の人生、返してもらうから!)


ーーーー

★タイトルがエピローグになっていて失礼しました。ご指摘ありがとうございます。修正しました。
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