上 下
19 / 20

18

しおりを挟む
あれよあれよと、ラブリーナの販売がスタートし、ありがたいことに生産ラインもフル稼働。ハーブティーはお茶会で大人気に。商会もかなり利益が出たようで良かった!良かった!これで、公爵家と侯爵家に恩返しが出来た。

ルンルン気分のまま、私は遂に出産を迎えることに。

(……たくさんの刺客でも送られるかと思っていたけど、あの薬以来は特になかった……)

逆にそれが怖かった。

いまだに身構えてしまうが、後は産むだけ、だ。

(……ラブリーナにももう思い残すことはないし……。出産なんてドンと来いっ!)

あまりに毎日充実していてすっかり忘れていたが……。

(……アンドレア様、あの妊娠が分かった日以来、お会いしてなかった……)

そう、そんなものである。

私が出産しようが特に帰宅することもないだろう。落ち着いたら、実家にだけ連絡しなくては。

そして、満月だったその日。
私は、これまたアンドレア様にそっくりな男の子を出産した。公爵家が大騒ぎになった。

そして、そして。

出産してからも、やはりアンドレア様は帰宅することすらなく、乳母と公爵家の皆様と共に男の子(ジュニア仮)を育てていた。

困ったことに、アンドレア様不在のため、名前を付けるに付けられず、『ジュニア』と呼ぶことにしていた。

リーゼロッテ様の出産までもう少し。
名付けももうしばらくお預けだ。

そして、そんなことを思っていたその日。

珍しく王宮のアンドレア様から連絡があった。

リーゼロッテ様が、男の子を出産後亡くなられたーーと。

私は一瞬で悟った。
ああ、これは殿下の復讐なんだ、と。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

王太子さま、側室さまがご懐妊です

家紋武範
恋愛
王太子の第二夫人が子どもを宿した。 愛する彼女を妃としたい王太子。 本妻である第一夫人は政略結婚の醜女。 そして国を奪い女王として君臨するとの噂もある。 あやしき第一夫人をどうにかして廃したいのであった。

(完結)戦死したはずの愛しい婚約者が妻子を連れて戻って来ました。

青空一夏
恋愛
私は侯爵家の嫡男と婚約していた。でもこれは私が望んだことではなく、彼の方からの猛アタックだった。それでも私は彼と一緒にいるうちに彼を深く愛するようになった。 彼は戦地に赴きそこで戦死の通知が届き・・・・・・ これは死んだはずの婚約者が妻子を連れて戻って来たというお話。記憶喪失もの。ざまぁ、異世界中世ヨーロッパ風、ところどころ現代的表現ありのゆるふわ設定物語です。 おそらく5話程度のショートショートになる予定です。→すみません、短編に変更。5話で終われなさそうです。

砕けた愛は、戻らない。

豆狸
恋愛
「殿下からお前に伝言がある。もう殿下のことを見るな、とのことだ」 なろう様でも公開中です。

婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。

束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。 だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。 そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。 全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。 気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。 そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。 すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。

真実の愛なら王命の婚約破棄も仕方ないのですね

morimiyaco
恋愛
 私はミラ・カスター公爵令嬢。祖母をこの国の王女に持つ公爵家の長女になります。母は女公爵、入婿である父とは王命での政略結婚であるから愛はなく、私を妊娠してから、父は愛人とその子供達に愛情を注いでいる状態です。  まあ貴族ならよくある家庭環境だったのであまり気にしておりませんでしたのよ。婚約者である第一王子が義妹を横に連れて私に婚約破棄を叫ばなければ。  そしてそれを認めた国王様?真実の愛ならば王命を破棄しても宜しいのですね。

誰にも信じてもらえなかった公爵令嬢は、もう誰も信じません。

salt
恋愛
王都で罪を犯した悪役令嬢との婚姻を結んだ、東の辺境伯地ディオグーン領を治める、フェイドリンド辺境伯子息、アルバスの懺悔と後悔の記録。 6000文字くらいで摂取するお手軽絶望バッドエンドです。 *なろう・pixivにも掲載しています。

私の知らぬ間に

豆狸
恋愛
私は激しい勢いで学園の壁に叩きつけられた。 背中が痛い。 私は死ぬのかしら。死んだら彼に会えるのかしら。

今夜で忘れる。

豆狸
恋愛
「……今夜で忘れます」 そう言って、私はジョアキン殿下を見つめました。 黄金の髪に緑色の瞳、鼻筋の通った端正な顔を持つ、我がソアレス王国の第二王子。大陸最大の図書館がそびえる学術都市として名高いソアレスの王都にある大学を卒業するまでは、侯爵令嬢の私の婚約者だった方です。 今はお互いに別の方と婚約しています。 「忘れると誓います。ですから、幼いころからの想いに決着をつけるため、どうか私にジョアキン殿下との一夜をくださいませ」 なろう様でも公開中です。

処理中です...