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プロローグ
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「……あっあっ……ああぁぁーーー!」
男が女に腰を打ちつけていた。ただその行為を事務的にこなすために……。
「……くっ……。出します……」
男は静かに中に精を放つ。
女の嬌声とは裏腹に、男の気持ちのこもらない無機質な声がなんとも二人の関係を現していた。
「……!愛してるの!大好きなのっ…!もっと、もっとあなたを頂戴…!」
女が一度精を放ち身支度を始めた男を後ろから抱き締める。しかし、女の声を無視するように部屋を去ろうとしていた。
「……フンッ。あんな女、どうせ愛してもいないくせに……。ねぇ?アンドレア?初夜すらあの女ではなく、私とこうして抱きあったじゃないの!それに、早く子供が出来れば……問題ないでしょう?」
だから、もう一度抱いて欲しいーーと女は告げる。
「……何度も申上げておりますが、王太子妃様。私は王命であなたに子種を授けなくてはならないのであって、あなたを愛しているから抱いているわけではありません。それと、あんな女ではありません、私の正式な妻です」
「……何よ!王命、王命って!毎日毎日抱いてるじゃない!」
女は手元の枕を投げつけた。
「……仕事ですから。お互いに割り切りましょう」
「……割り切れるわけないじゃないのっ!」
身体は無情にもつなげるが、心だけはどうしようもなかった。
女は部屋を後にした男を思いながら、静かに涙を流した。
男が女に腰を打ちつけていた。ただその行為を事務的にこなすために……。
「……くっ……。出します……」
男は静かに中に精を放つ。
女の嬌声とは裏腹に、男の気持ちのこもらない無機質な声がなんとも二人の関係を現していた。
「……!愛してるの!大好きなのっ…!もっと、もっとあなたを頂戴…!」
女が一度精を放ち身支度を始めた男を後ろから抱き締める。しかし、女の声を無視するように部屋を去ろうとしていた。
「……フンッ。あんな女、どうせ愛してもいないくせに……。ねぇ?アンドレア?初夜すらあの女ではなく、私とこうして抱きあったじゃないの!それに、早く子供が出来れば……問題ないでしょう?」
だから、もう一度抱いて欲しいーーと女は告げる。
「……何度も申上げておりますが、王太子妃様。私は王命であなたに子種を授けなくてはならないのであって、あなたを愛しているから抱いているわけではありません。それと、あんな女ではありません、私の正式な妻です」
「……何よ!王命、王命って!毎日毎日抱いてるじゃない!」
女は手元の枕を投げつけた。
「……仕事ですから。お互いに割り切りましょう」
「……割り切れるわけないじゃないのっ!」
身体は無情にもつなげるが、心だけはどうしようもなかった。
女は部屋を後にした男を思いながら、静かに涙を流した。
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