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18.不思議なイキモノ(ザック視点)

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(何だ?このイキモノは……?)

俺は、公爵家の次期公爵に雇われた護衛ザック。
孤児院出で、ケンカっ早い俺に護衛の才能があると見抜いたらしいミルトンの兄貴に拾われた。

面倒見と見た目が良いミルトンの兄貴は貴族の三男。
確か子爵家だったっけな?

昨日突然、ミルトンの兄貴から公爵家のお嬢様の護衛を頼まれた。兄貴と一緒にとある森までそのお嬢様を送り届ける仕事だ。

公爵家の次期公爵は隙が全くないカミソリのような男。
その男が溺愛している妹……。

俺は甘やかされて育てられたわがまま令嬢をイメージしてたんだけど、今朝会ったらびっくりした。

町娘スタイルは置いとくとして、平民並みの会話をし、馬に早速と跨がると出発したんだ。

俺が驚いてると兄貴がほら、言っただろう?スカーレット様は冒険者見習いだから、と馬を走らせた。

俺との会話も対等だし、何でも一人でこなすお嬢様。

今はアイリスと名前を変えたそうだ。

更に驚くのはあのS級冒険者である謎の青年エルフィに会いに行くと言う。

(俺も会いたいぜ……!)

ギルドやダンジョンでは知らない者はいないほど有名なエルフィだが、その実、会った者はごく僅か。
本当は実在しないのではないかとも言われている人物だ。

そのエルフィに会いに行くお嬢様……。
謎が深まるばかりだ。

先程からお嬢様と兄貴は和やかに会話している。

俺はその後ろに馬をつけ、護衛していた。

その会話から推察するに、アイリスとエルフィの仲は、ただならね仲なようだ。

(……あのエルフィとバディを組んでいた?……エルフィを助けたことがある?)

しかし、そんな凄い話題にも関わらず表情和やかに会話している兄貴もすごい。

「おい、ザック、森に着いたら一緒にエルフィに会いに行くかい?」

森を目前にした兄貴が始めて後ろを振り返る。

咄嗟に俺はもちろん!と答えを投げた。

「じゃあ、ザック!森まで競争しよっ!」

……お嬢様は、最後まで良い意味で期待を裏切らないそんな存在だった。

「……お、おぅ」

俺は馬の腹を足で軽く叩くと速度をあげた。
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