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2.監禁
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私が側妃を拒否したことが不敬罪に当たる……とかなんとかで、相変わらず無茶苦茶するなぁ、あのボンクラ王太子はっ!
何で婚約破棄された上に監禁されなきゃいけないのよっ……!
あんまりじゃない?
近衛兵に連れて行かれたのはとても質素な客間だった。
扉の外には見張りの兵が2人。
部屋には一応窓はあるものの、残念ながら人が通れる大きさではなかった。
(……元冒険者見習い舐めんなよっ!)
私はここにいては危険なことはすぐに察した。
が、あまりにも突然の出来事で外部に連絡するすべがなかった。
連行途中に偶然ぶつかったフリをして危険を知らせる合図をとある人物に託したが果たしてきちんと公爵家に届くかは賭けだった。
「しっかし、何もない部屋ね……」
嫌味のように外に聞こえるように話した。
デスクをチラッと見たら、側妃に関する契約書が置かれていた。
仕方ないから少し目を通すもあまりに理不尽な内容に破り捨ててやった。
床に散らばった契約書をこれでもかと踏みつけた。
(とりあえずは、いつチャンスが来るか分からないから、この破った紙にでも書いておきますか……)
私はエセンハルトお兄様しか分からない暗号を記した手紙をしたためる。
(何かのチャンスの時にすぐに渡さないと……!)
こんな時のために王宮内にも公爵家の息のかかった人間を潜り込ませている。
もちろん誰かは把握済みだ。
この部屋からは、側妃の契約書に同意するまで監禁されるのだろう。
(上手いこと公爵家の人間が来てくれれば……)
さすがに、窓からの脱出は不可能なことから別の手を考えなくてはならない。
「……スカーレット、入るよ」
そんな時だった……。
聞き慣れた人物が扉をノックした。
有無を言わさす扉が開かれる。
「……マリオット殿下にご挨拶申し上げます」
仕方なしに立ち上がり淑女の礼をする。
殿下が床に散乱した紙に視線を投げた。
「……随分と荒れたようだな」
「……何分、受け入れ難き内容でしたので……」
もう婚約者でも何でもないのだ。
本音で話すのみだ。
「……側妃として何としても契約してもらう」
クソポンコツが何を言う……!
お前が優秀じゃないからこうなるんだっ!
不敬を承知で睨みを効かせる。
「……なぜそこまで私にこだわるのですか」
婚約者時代も、贈り物一つされたことも、愛情を向けられたことすら記憶にない。
単なる政略結婚相手ならば、他を当たってもらいたい。
「……聖女は国の象徴にはなれるが、公務は出来ないからだ」
「ならば、優秀な殿下がなされれば良いではないですか」
「既に王太子妃教育も終了し、君は優秀なだけが取り柄だと聞いているからな」
「お褒め頂き恐縮ですが……。王家の主張は横暴すぎます。お断りします」
「それに……世継ぎも平民出身の聖女とは設けるつもりはない」
これまた聖女様に対しても何て失礼なのだろう。
「その……殿下?陛下は全てご存知でいらっしゃるのでしょうか」
「もちろんだ。国の意向だ」
自国の王妃も幸せに出来ないなら、こんな国なんて滅んでしまえ……!
「……聖女の血は残さず、公爵家の血を残したいと……あまりにも身勝手ではありませんかっ!」
「……国のためには多少の犠牲はつきものだろう?」
……多少の犠牲?
何を言ってるんだ、このクソポンコツがっ!
強烈なストレートパンチをお見舞いしたいところをぐっと抑えて何とか怒りを鎮めた。
「とにかく、契約するまでは公爵家には戻れない。猶予は2日間だ」
「……それがすぎるとどうなるのでしょう?公爵家を潰しますか?」
「……ははは。そうするとしようか?ただ、未来の側妃の実家が潰れては困るからな」
まあ、確かに…。
「それはその時が来たらすぐに分かるから安心して。じゃあ」
殿下はそれだけ言うと私と視線も合わせることなく部屋を去って行った。
何で婚約破棄された上に監禁されなきゃいけないのよっ……!
あんまりじゃない?
近衛兵に連れて行かれたのはとても質素な客間だった。
扉の外には見張りの兵が2人。
部屋には一応窓はあるものの、残念ながら人が通れる大きさではなかった。
(……元冒険者見習い舐めんなよっ!)
私はここにいては危険なことはすぐに察した。
が、あまりにも突然の出来事で外部に連絡するすべがなかった。
連行途中に偶然ぶつかったフリをして危険を知らせる合図をとある人物に託したが果たしてきちんと公爵家に届くかは賭けだった。
「しっかし、何もない部屋ね……」
嫌味のように外に聞こえるように話した。
デスクをチラッと見たら、側妃に関する契約書が置かれていた。
仕方ないから少し目を通すもあまりに理不尽な内容に破り捨ててやった。
床に散らばった契約書をこれでもかと踏みつけた。
(とりあえずは、いつチャンスが来るか分からないから、この破った紙にでも書いておきますか……)
私はエセンハルトお兄様しか分からない暗号を記した手紙をしたためる。
(何かのチャンスの時にすぐに渡さないと……!)
こんな時のために王宮内にも公爵家の息のかかった人間を潜り込ませている。
もちろん誰かは把握済みだ。
この部屋からは、側妃の契約書に同意するまで監禁されるのだろう。
(上手いこと公爵家の人間が来てくれれば……)
さすがに、窓からの脱出は不可能なことから別の手を考えなくてはならない。
「……スカーレット、入るよ」
そんな時だった……。
聞き慣れた人物が扉をノックした。
有無を言わさす扉が開かれる。
「……マリオット殿下にご挨拶申し上げます」
仕方なしに立ち上がり淑女の礼をする。
殿下が床に散乱した紙に視線を投げた。
「……随分と荒れたようだな」
「……何分、受け入れ難き内容でしたので……」
もう婚約者でも何でもないのだ。
本音で話すのみだ。
「……側妃として何としても契約してもらう」
クソポンコツが何を言う……!
お前が優秀じゃないからこうなるんだっ!
不敬を承知で睨みを効かせる。
「……なぜそこまで私にこだわるのですか」
婚約者時代も、贈り物一つされたことも、愛情を向けられたことすら記憶にない。
単なる政略結婚相手ならば、他を当たってもらいたい。
「……聖女は国の象徴にはなれるが、公務は出来ないからだ」
「ならば、優秀な殿下がなされれば良いではないですか」
「既に王太子妃教育も終了し、君は優秀なだけが取り柄だと聞いているからな」
「お褒め頂き恐縮ですが……。王家の主張は横暴すぎます。お断りします」
「それに……世継ぎも平民出身の聖女とは設けるつもりはない」
これまた聖女様に対しても何て失礼なのだろう。
「その……殿下?陛下は全てご存知でいらっしゃるのでしょうか」
「もちろんだ。国の意向だ」
自国の王妃も幸せに出来ないなら、こんな国なんて滅んでしまえ……!
「……聖女の血は残さず、公爵家の血を残したいと……あまりにも身勝手ではありませんかっ!」
「……国のためには多少の犠牲はつきものだろう?」
……多少の犠牲?
何を言ってるんだ、このクソポンコツがっ!
強烈なストレートパンチをお見舞いしたいところをぐっと抑えて何とか怒りを鎮めた。
「とにかく、契約するまでは公爵家には戻れない。猶予は2日間だ」
「……それがすぎるとどうなるのでしょう?公爵家を潰しますか?」
「……ははは。そうするとしようか?ただ、未来の側妃の実家が潰れては困るからな」
まあ、確かに…。
「それはその時が来たらすぐに分かるから安心して。じゃあ」
殿下はそれだけ言うと私と視線も合わせることなく部屋を去って行った。
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