【完結】侯爵夫人は今夜も夫を拒めないので、快感レッスンに通って離婚を目指します!

紅位碧子 kurenaiaoko

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対決

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 あれからナターシャとどうオズワルド様に切り出すか?どう突き詰めたら相手が納得するか連日作戦会議と模擬練習が続いていた。

 また並行してお兄様にもまずは自分から話す旨の了解を取った。

(……白い結婚でもないし……。この際、慰謝料も要らないから離婚して欲しいだけ……)

 たかが紙切れだけの契約だが、たかが紙切れに署名を貰うのは一苦労なのだ。

(……結婚するより、離婚が大変とは良くいった話よね……)

 離婚の話をしたら侯爵家には居辛くなるだろう。
 だから、離婚の話が進むまでは実家に身を寄せようかとも考えていた。

「ナターシャ、今晩いよいよ話を切り出そうかと……」

 もうこれ以上、練習のしようもなくいろいろ考えた末に今晩に決めた。

「……いよいよですね」

「……考えるだけでドキドキするわ。でも、ここが踏ん張り処だから……」

「……承知しております。ナターシャはいつでも、ミザリア様の味方です!」

 もう心は離婚後の世界でいっぱいだった。

◇◇◇
 正直オズワルド様の反応は予想できないが、晩餐の後に話をすることにした。

(……大丈夫よ!ミザリア……。あんなに練習したのだから)

 オズワルド様はいつも通りに冷淡で、何を考えているか分からない。

(貴族なんてそんなものだけど……)
 かつては、良い人かも知れないと思ってしまった自分は、あまり人を見る目がないのかも知れない。

 これまたほぼ無言で晩餐を終え、自室に戻ると湯浴みの準備をしながら最後の確認作業をしてみた。

「頑張ってくるわね!私たちの未来のために……」

 ナターシャが私の手を握り締めながら大きく頷いていた。

 ◇◇◇
 夫婦の寝室で夜着のままオズワルド様を待つ。
(……しかし、落ち着かないわ……)

 ソファに腰をかけてみるも、やはり落ち着かない。

 仕方ないので、ちょっと歩きながら気を紛らわしてみるもあまり変わらないため、テーブルの上に置いた本を手に取った。

 心臓の鼓動は相変わらず早くて、その音が聞こえそうなくらいだった。

 その時だった。扉がノックされ、夜着に着替えたオズワルド様が入ってきた。

「……待たせてすまなない」

「……いいえ。ただ、オズワルド様。すみませんが寝る前に大事なお話がございます」

 大事な話と切り出したからだろうか?
 オズワルド様の瞳からは明らかかな困惑と少しの怒りを感じた。

「……話とは?」

 ソファに腰を降ろしたのを見て話を切り出した。

「……オズワルド様……」

 私は息を吐き出し、会話を続けた。
「率直に申し上げます。私と離婚して下さい」

 オズワルド様の氷のような瞳を見つめながら、揺るぎない口調で告げた。

「……り、離婚?」
 オズワルド様が予想外の発言だったからか?口を開くまでの少しの間が永遠のように感じた。

「……そうです。離婚です。既に兄にも了解を得ておりますし、この結婚が解消されても両家の事業には何ら影響は出ません。ですから、私を解放して下さい」

(良かった!はっきり言えた!)

「……跡継ぎがまだだが……」
 え?そこ?

「……それに関しては、養子を検討されてはいかがでしょうか?」

「……養子、か」
 オズワルド様はうつむきながら何やら呟いているものの私には良く聞きとれなかた。

「では、離婚に向けて契約を結ばせて頂くことで宜しいでしょうか」

「……あ、いや……。何か侯爵家で不満や不安があるのか?」
 いや、そんなことでもないし……。

「侯爵家の方にはとても良くして頂いておりますわ」

「……なら、離婚しなくても問題ないだろ。それとも、なかなか妊娠しないのが負担になっているのか?」

 え?まだゴネル?
 妊娠しないって……避妊薬飲んでるから当然でしょう。
 (言ってないけど!)
 
「……そうではございません。跡継ぎに関しては、私が産みたくないのです。すみません……」

「……産みたくないとは?」

「……そのままの意味ですわ。私は……。もう正直、オズワルド様と閨を共にするのも苦痛で、屈辱的なのです。どうか私を解放して下さい」
 オズワルド様は驚きの表情で怖いもののように私を見ていた。

「……解放と言われても……。なぜ突然……」

 オズワルド様からしたら晴天の霹靂なのかしら。
 でも……私からしたら……。

「……突然ではございません。私も嫁いで参りました時は、侯爵家を思い、こちらに骨を埋めるつもりでした。けれど、オズワルド様。あんまりですわ!このような結婚に私を巻き込まないで頂けませんか」

 いつにない強い口調の私に、オズワルド様は怪訝そうに見つめる。

(……そろそろかしらね?)
 私は最後の爆弾を投下した。

「……オズワルド様の思い人は、ロナウド様でしょう?私、全て知ってしまいました……。だからもう、全て……無理なのです」

「……!!」

 オズワルド様は頭を抱え混むと、しばらくしてからのろのろとソファを立ち上がり、部屋から退出していった。

 何だか養分を吸いとられた亡霊のようだった。
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