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セシリア様との1回目のレッスンが終了して早2週間。
(本当に……凄かった!楽しかった!気持ちよかった……!)
思い出しただけで、下半身がキュンと疼くほどの体験をしてしまった。
(これが脳が記憶している……ということなのね)
隣でナターシャがクスクス笑っていた。
「ミザリア様、またお顔が……」
あの事を思い出して顔が緩んでしまっていることを指摘される。
「だって、本当に……すごい経験だっだんだもの。思い出すくらいいいじゃない?」
あの後、セシリア様からのアドバイスで、なるべく閨に入る前には自分である程度感じてからベッドに行くようにするようにしていた。それで少しは苦痛が和らいだ気がしていた。
が、やはりあのセシリア様とのレッスンと夫との行為を比較してしまうと、あまりの違いに落胆してしまう。
知ってしまった悦び。
でも、得られない悦び――。
「はぁ……。悩みは深いわね……」
今日は、セシリア様から夫の調査報告を聞くことになっていた。
もうしばらくしたらセシリア様が屋敷まで来て下さることになっている。
「ミザリア様。ほら、次回のレッスンも予約されたのですから、ね?あまり気を落とさずに……」
次のレッスンまで指折り数えてもまだ相当遠い、のだった。
「どうやらセシリア様がいらしたようですよ」
私は待ってましたとばかりにホールまで出迎えに向かった。
「セシリア様、お待ちしておりましたわ。どうぞ、私のお部屋へ」
今日も優雅で美しいセシリア様を眺めているだけで気持ちが癒される。
「ありがとうございます。うふふ。私もミザリア様とお会いできるのをとても楽しみにしておりましたの」
そういうと手土産をナターシャに渡した。
「これは、今王都で大人気のチーズケーキではないですか!」
セシリア様の気遣いが嬉しい。
「私も食べてみたくて。並んでまいりましたの。ご一緒して下さいますか?」
喜んで、と自分の部屋までセシリア様をエスコートした。
ほどなくすると、ミーシャがチーズケーキに合う紅茶を選んでくれ、ティータイムがスタートした。
「前回のレッスン、いかがでございましたか?」
セシリア様の心配そうな表情に、私はすぐさま笑顔で答えた。
「あまりに素晴らしい経験で……その何といいますか……次回のレッスンがとても待ち遠しくて」
きっと頬なんて赤く染まっていただろう。
「それは良かったですわ。初めてでしたので心配しておりました。でも、当日はとても気持ちよくなられていたご様子でしたので……。次回はもっと良くなりますわよ?今度は私ではなくて……うふふ。お楽しみにされてくださいね」
それを聞いただけで私のあそこはまた疼いてしまう。
(何て身体は正直なんでしょう……)
ナターシャがまたクスクス笑ってこちらを見ている。
「今日は、オズワルト様の調査報告をお持ち致しました。それで……。ちょっとミザリア様には刺激の強い内容も含まれておりまして。もしかしたらナターシャさんも同席してもらったほうがいいかも知れません」
刺激の強い内容……?
あの夫が?
現時点で思い浮かぶとしたら、愛人がいるということくらいだろうか?
(まあ、政略結婚なんてそんなものなんでしょうしね……)
「では、お言葉に甘えてナターシャも同席させますわ」
ナターシャが頷くと、私の前に調査報告書が差し出された。
「こちらはお手元にあると問題がございますので、読まれましたら私が持ち帰らせて頂き、厳重に保管させて頂きますのでご安心下さい」
……なるほど。これがローズティアラ様が夜の女帝と言われるところなのね!
ローズティアラ様は王族の血を引かれる尊いお方。
前国王の側室の子でいらっしゃるローズティアラ様。
ローズティアラ様のお母様は側室から高級娼館を経営されることになったのだとか。
(……夜の諜報機関といったところなのかも知れないわね)
刺激が強いと言われた調査報告書を私とナターシャは恐る恐る開く。
「よ、読むわよ……」
「はい……」
刺激的……と聞いてしまい、妙な緊張感に囚われる。
深呼吸をしながらページをめくる。
しばらく二人で夢中で読んだ。
読んで読んで……。
最後は二人で――無になった。
そう。
それはもう今までの悩みが何だったのかというすべてをひっくり返すくらいのレベルで――。
「み、ミザリア様~ぁ!」
はいはい、ナターシャ、よく分かります、その気持ち。
ふぅ……と特大のため息しか出なかった。
刺激的な調査報告書に書かれてた夫であるオズワルド様の秘密――。
それは――。
それは――。
愛人がいるらしい。
(それは想定内!)
王宮内の騎士団に務める方だそうだ。
それはそれは美しい方のようにお見受けする(読んだだけだから分からないが……)
結婚前には逢瀬が頻繁に繰り返されていたようだったが、結婚後はピタリと止んだ。
おそらく後継ぎが生まれるまでは自重しているのだろう。
そこまではまだ良かった。
それならまだ許容できる範囲だったかも知れない――。
「何だか全てが馬鹿らしいわねぇ、ナターシャ」
「……はい、左様でございますね……」
その愛人の名前は、
名前は――。
ロナウド・オーランド伯爵。
――そう、男だった。
(本当に……凄かった!楽しかった!気持ちよかった……!)
思い出しただけで、下半身がキュンと疼くほどの体験をしてしまった。
(これが脳が記憶している……ということなのね)
隣でナターシャがクスクス笑っていた。
「ミザリア様、またお顔が……」
あの事を思い出して顔が緩んでしまっていることを指摘される。
「だって、本当に……すごい経験だっだんだもの。思い出すくらいいいじゃない?」
あの後、セシリア様からのアドバイスで、なるべく閨に入る前には自分である程度感じてからベッドに行くようにするようにしていた。それで少しは苦痛が和らいだ気がしていた。
が、やはりあのセシリア様とのレッスンと夫との行為を比較してしまうと、あまりの違いに落胆してしまう。
知ってしまった悦び。
でも、得られない悦び――。
「はぁ……。悩みは深いわね……」
今日は、セシリア様から夫の調査報告を聞くことになっていた。
もうしばらくしたらセシリア様が屋敷まで来て下さることになっている。
「ミザリア様。ほら、次回のレッスンも予約されたのですから、ね?あまり気を落とさずに……」
次のレッスンまで指折り数えてもまだ相当遠い、のだった。
「どうやらセシリア様がいらしたようですよ」
私は待ってましたとばかりにホールまで出迎えに向かった。
「セシリア様、お待ちしておりましたわ。どうぞ、私のお部屋へ」
今日も優雅で美しいセシリア様を眺めているだけで気持ちが癒される。
「ありがとうございます。うふふ。私もミザリア様とお会いできるのをとても楽しみにしておりましたの」
そういうと手土産をナターシャに渡した。
「これは、今王都で大人気のチーズケーキではないですか!」
セシリア様の気遣いが嬉しい。
「私も食べてみたくて。並んでまいりましたの。ご一緒して下さいますか?」
喜んで、と自分の部屋までセシリア様をエスコートした。
ほどなくすると、ミーシャがチーズケーキに合う紅茶を選んでくれ、ティータイムがスタートした。
「前回のレッスン、いかがでございましたか?」
セシリア様の心配そうな表情に、私はすぐさま笑顔で答えた。
「あまりに素晴らしい経験で……その何といいますか……次回のレッスンがとても待ち遠しくて」
きっと頬なんて赤く染まっていただろう。
「それは良かったですわ。初めてでしたので心配しておりました。でも、当日はとても気持ちよくなられていたご様子でしたので……。次回はもっと良くなりますわよ?今度は私ではなくて……うふふ。お楽しみにされてくださいね」
それを聞いただけで私のあそこはまた疼いてしまう。
(何て身体は正直なんでしょう……)
ナターシャがまたクスクス笑ってこちらを見ている。
「今日は、オズワルト様の調査報告をお持ち致しました。それで……。ちょっとミザリア様には刺激の強い内容も含まれておりまして。もしかしたらナターシャさんも同席してもらったほうがいいかも知れません」
刺激の強い内容……?
あの夫が?
現時点で思い浮かぶとしたら、愛人がいるということくらいだろうか?
(まあ、政略結婚なんてそんなものなんでしょうしね……)
「では、お言葉に甘えてナターシャも同席させますわ」
ナターシャが頷くと、私の前に調査報告書が差し出された。
「こちらはお手元にあると問題がございますので、読まれましたら私が持ち帰らせて頂き、厳重に保管させて頂きますのでご安心下さい」
……なるほど。これがローズティアラ様が夜の女帝と言われるところなのね!
ローズティアラ様は王族の血を引かれる尊いお方。
前国王の側室の子でいらっしゃるローズティアラ様。
ローズティアラ様のお母様は側室から高級娼館を経営されることになったのだとか。
(……夜の諜報機関といったところなのかも知れないわね)
刺激が強いと言われた調査報告書を私とナターシャは恐る恐る開く。
「よ、読むわよ……」
「はい……」
刺激的……と聞いてしまい、妙な緊張感に囚われる。
深呼吸をしながらページをめくる。
しばらく二人で夢中で読んだ。
読んで読んで……。
最後は二人で――無になった。
そう。
それはもう今までの悩みが何だったのかというすべてをひっくり返すくらいのレベルで――。
「み、ミザリア様~ぁ!」
はいはい、ナターシャ、よく分かります、その気持ち。
ふぅ……と特大のため息しか出なかった。
刺激的な調査報告書に書かれてた夫であるオズワルド様の秘密――。
それは――。
それは――。
愛人がいるらしい。
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それはそれは美しい方のようにお見受けする(読んだだけだから分からないが……)
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おそらく後継ぎが生まれるまでは自重しているのだろう。
そこまではまだ良かった。
それならまだ許容できる範囲だったかも知れない――。
「何だか全てが馬鹿らしいわねぇ、ナターシャ」
「……はい、左様でございますね……」
その愛人の名前は、
名前は――。
ロナウド・オーランド伯爵。
――そう、男だった。
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