【完結】侯爵夫人は今夜も夫を拒めないので、快感レッスンに通って離婚を目指します!

紅位碧子 kurenaiaoko

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心の声

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(ああ、今日も夜がやってきてしまう……!)
 
 自室で侍女のナターシャに夜着に着替えさせられながら、今晩起こるであろうことを考える。

 考えても考えても……苦痛以外の何物でもなかった。

(……ああ、これが政略結婚というものなのかしら?)

 ため息はつきすぎてしまい、はぁ……と自然と声が漏れてしまう。

 「ミザリア様、心の声が漏れております……」

 ナターシャがここ数か月毎日同じ会話を繰り返している私に苦言を呈した。

 「仕方ないことだとは思っているの。私さえ我慢すればいいことだし、
  早く子を授かれば解放されるのだけれど……」

 はぁ……。
   子供はいつになったら授かるのだろうか?
 本当に夫と閨を共にするのが……苦痛すぎるのだ。
 
◇◇◇
 私はミザリア・キーライト……伯爵家の次女。

 いいえ。

 3か月前に政略結婚し、侯爵家の嫡男であるオズワルト・ライザール様に嫁いできたので、
 現在はミザリア・ライザール侯爵夫人であり、成人を迎えたばかりの18歳。

 容姿は本当に平凡を絵に描いたようなとりわけ特徴もなく、
 可愛いか美人かと言われたら可愛い感じに入るだろうし、
 背の高さも平均的。胸の大きさも平均的。性格は温厚でまじめで、
 時に好きなことに関してだけ好奇心旺盛ではあった。

(強いて言えば、ピンクブラウンのストレートヘアーと少し大きめのリスのような茶色の瞳が可愛いらしいかしら?まぁ、とりわけ美人でもない私が、侯爵家と伯爵家の事業強化のための道具として嫁いだだけ……なのよねぇ)

 夫であるオズワルト様は、まじめ一直線であり、王宮で文官を務めている。ゆくゆくは侯爵家の領地経営をする予定だが、現在は義父が健在で我が伯爵家とそれなりに順調に事業を進めているようだった。

 嫁いで3か月。心配していた侯爵家での生活も全く苦労がなく、侯爵家の使用人達はとても優秀で、私を立てながら盛り立ててくれている。

(そうなのよ、取り立てて問題もないのよ……)

 オズワルド様はあまり残業などもない部署のため、夕方ご帰宅され、一緒に夕食を摂る。会話も少ないし、弾まないけれども政略結婚ならこんなものなのだろう。

 オズワルド様の性格などで特に問題もなく、お互いに深い愛情などがあるわけでもないけれど、家族として穏やかに生活している、そんな毎日だった。

 一緒に夕食を食べ、その後は二人の部屋で読書をしながらお茶をし、おしゃべりをする。

 その後……閨を共にする。この流れが3か月続いている。

 「ミザリア様、準備が出来ました」
 
    ふぅ……。
 では参りますか。
 
 私は夫婦の寝室の扉をノックした。
 
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