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断罪1
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予想通り義妹エリアルは婚約者であるロビン・クアイリーにエスコートされ、会場に現れた。
(今どきあんなコテコテのど派手なドレスって……)
清楚さのかけらもない、リボンやフリルを多数あしらったピンクのドレスは、義妹の品位は落とせど、評判を上げることはないだろう。
傍らには優しく微笑むロビンと、妖艶さが際立つ義母のイザベラがいた。
(あんなのが次期侯爵だなんて思われてたら、不愉快極まりない!)
満足気なイザベラが会場全体に視線を投げかける。
隠れていた訳ではないが、私たちの存在に気がついたのだろう。エリアルに何やら耳打ちしながらこちらを見ていた。
「……では、戦闘開始といきましょうか?」
レイが手を差し出した。
私とレイは、自らその渦中の人物まで歩み寄る。
「ご無沙汰しておりますわ、エリアル。一応、誕生日おめでとう」
エリアルは私に睨みを効かせながらも、レイへと視線を移す。
「使用人がドレス着てまで挨拶しに来るなんて。非常識じゃない?早く追い出しましょうよ」
エリアルは、ロビンに護衛を連れてくるように伝えた。
「単なる平民のパーティに、次期侯爵の名で招待状を送るなんて恥知らずな女ですこと。ねぇ?レイ」
「……全くだな。サザーランド公爵家が支持しているのは、正式な次期侯爵であるリリアーヌ嬢だけだ。それと、次期侯爵であるリリアーヌ嬢と、サザーランド公爵家次男である私、アルフォンスとは正式に婚約が結ばれている。この誕生日パーティは何の茶番劇なんだ?」
エリアルは、怒りからか顔を真っ赤にしてイザベラに訴えていた。
「な、な、何を言ってるの?この人は?それにアンタ誰よ!!あの使用人と結託して私を嵌めようとしてるのね?!」
「……嵌める?」
「そうよ!この使用人は、昔ね。この侯爵邸に居座って地位も名誉も独占しようとした悪女なのよっ!」
突然始まった茶番劇に、招待客がザワザワし始めた。
「悪女?悪女はどちらかしら?私は亡くなった侯爵の一人娘。あなたは、単なる平民。貴族籍ですらない平民。更に言うなら、現侯爵代行とは血縁関係にすらない、単なる平民なエリアルさん?」
その話になった途端、義母の表情が一変した。
「お、お母様!何なのです、この人達!デタラメばかり言って!早く追い出して!」
少し興奮気味に義母に詰め寄るエリアルを、イザベラが嗜める。
「何を根拠にそのような話を?使用人風情がっ!お黙りなさい!」
「……あら、イザベラさん。何でエリアルが、お父様の子供でないと分かったかですって?」
……そう。隣国では最近親子鑑定が出来る技術があるのだ。
「公爵家側で王家の了承の元、隣国で親子鑑定をさせてもらった。君と現侯爵代行は、赤の他人だ。そうだな、イザベラさん?」
「な、何ですの?本人の了解もないし……!」
「君たちは犯罪者だ。犯罪者にいちいち聞く必要があるのか?」
「は、犯罪者って?」
イザベラが甲高い声をあげる。
(この二人は何も分かっていない……)
レイと私は、徹底的にこの二人を追い詰める、と決意した、
(今どきあんなコテコテのど派手なドレスって……)
清楚さのかけらもない、リボンやフリルを多数あしらったピンクのドレスは、義妹の品位は落とせど、評判を上げることはないだろう。
傍らには優しく微笑むロビンと、妖艶さが際立つ義母のイザベラがいた。
(あんなのが次期侯爵だなんて思われてたら、不愉快極まりない!)
満足気なイザベラが会場全体に視線を投げかける。
隠れていた訳ではないが、私たちの存在に気がついたのだろう。エリアルに何やら耳打ちしながらこちらを見ていた。
「……では、戦闘開始といきましょうか?」
レイが手を差し出した。
私とレイは、自らその渦中の人物まで歩み寄る。
「ご無沙汰しておりますわ、エリアル。一応、誕生日おめでとう」
エリアルは私に睨みを効かせながらも、レイへと視線を移す。
「使用人がドレス着てまで挨拶しに来るなんて。非常識じゃない?早く追い出しましょうよ」
エリアルは、ロビンに護衛を連れてくるように伝えた。
「単なる平民のパーティに、次期侯爵の名で招待状を送るなんて恥知らずな女ですこと。ねぇ?レイ」
「……全くだな。サザーランド公爵家が支持しているのは、正式な次期侯爵であるリリアーヌ嬢だけだ。それと、次期侯爵であるリリアーヌ嬢と、サザーランド公爵家次男である私、アルフォンスとは正式に婚約が結ばれている。この誕生日パーティは何の茶番劇なんだ?」
エリアルは、怒りからか顔を真っ赤にしてイザベラに訴えていた。
「な、な、何を言ってるの?この人は?それにアンタ誰よ!!あの使用人と結託して私を嵌めようとしてるのね?!」
「……嵌める?」
「そうよ!この使用人は、昔ね。この侯爵邸に居座って地位も名誉も独占しようとした悪女なのよっ!」
突然始まった茶番劇に、招待客がザワザワし始めた。
「悪女?悪女はどちらかしら?私は亡くなった侯爵の一人娘。あなたは、単なる平民。貴族籍ですらない平民。更に言うなら、現侯爵代行とは血縁関係にすらない、単なる平民なエリアルさん?」
その話になった途端、義母の表情が一変した。
「お、お母様!何なのです、この人達!デタラメばかり言って!早く追い出して!」
少し興奮気味に義母に詰め寄るエリアルを、イザベラが嗜める。
「何を根拠にそのような話を?使用人風情がっ!お黙りなさい!」
「……あら、イザベラさん。何でエリアルが、お父様の子供でないと分かったかですって?」
……そう。隣国では最近親子鑑定が出来る技術があるのだ。
「公爵家側で王家の了承の元、隣国で親子鑑定をさせてもらった。君と現侯爵代行は、赤の他人だ。そうだな、イザベラさん?」
「な、何ですの?本人の了解もないし……!」
「君たちは犯罪者だ。犯罪者にいちいち聞く必要があるのか?」
「は、犯罪者って?」
イザベラが甲高い声をあげる。
(この二人は何も分かっていない……)
レイと私は、徹底的にこの二人を追い詰める、と決意した、
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