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誕生日パーティー
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(久しぶりだなぁ……)
使用人棟からいつも見上げている本宅。
決して豪華ではないけれど、歴史を感じさせる洗練した造りが、自分の使命の重さを感じさせる。
元々は自分の家であった本宅。
いつしか、そんな思いさえ置き去りにされてしまった。
負けを認めたくなかった。
でも、向き合いたくなかった。
一人ぼっちで、味方がいないと思っていた。
でも、違った。
ーー今は、仲間がいる……!
向かうのは私とレイだけど、皆が背中を押してくれていた。
「……レイ」
私は少しだけレイの手を力強く握った。
レイは大丈夫だよ、と握り返してくれる。
「さて、行こうか?お姫様」
レイのエスコートで、誕生日パーティが開かれている本宅に乗り込んだ。
当然、招待状はない。
が、次期侯爵にそのようなものは必要ない。
「招待状のない方はお通し出来ません」
案の定な受付の対応にレイが睨みを効かせる。
「私は、サザーランド公爵家の者だ。何より、次期侯爵に招待状は不要なはずだが?」
受付担当は、いきなりのサザーランドの名前に動揺しながらも、通せないの一点張りだった。
「レイ、いじめちゃダメよ?私が次期侯爵として力がないから仕方ないのよ……」
私はわざとレイを諭す。
そんなやりとりを受付でしていると、先日会ったばかりのあの人が現れた。
「この女性は次期侯爵だ。覚えておくように」
「……お父様?」
義妹か、義母に呼ばれたのだろうか。
私はいきなりの助け舟に驚いた。
受付は、流石に現侯爵代行は知っていたのか?
会場への入室を許可された。
「……さあ、入るといい。もう間もなくパーティが始まる」
それだけ言うと、人並に消えていった。
「今の何?」
私がボソッと呟くと、レイが耳元で囁いた。
「罪滅ぼしかもな?」
まあ、もうどうでも良いのだが。
パーティ会場には、200人位は集まっていた。
私とレイはあまり目立たないように、隅のほうで待機することにした。
しばらくすると、会場アナウンスが入る。
いよいよあの義妹が現れた。
この世の物とは思えないほど、綺羅びやかなドレスをまとって。
使用人棟からいつも見上げている本宅。
決して豪華ではないけれど、歴史を感じさせる洗練した造りが、自分の使命の重さを感じさせる。
元々は自分の家であった本宅。
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でも、向き合いたくなかった。
一人ぼっちで、味方がいないと思っていた。
でも、違った。
ーー今は、仲間がいる……!
向かうのは私とレイだけど、皆が背中を押してくれていた。
「……レイ」
私は少しだけレイの手を力強く握った。
レイは大丈夫だよ、と握り返してくれる。
「さて、行こうか?お姫様」
レイのエスコートで、誕生日パーティが開かれている本宅に乗り込んだ。
当然、招待状はない。
が、次期侯爵にそのようなものは必要ない。
「招待状のない方はお通し出来ません」
案の定な受付の対応にレイが睨みを効かせる。
「私は、サザーランド公爵家の者だ。何より、次期侯爵に招待状は不要なはずだが?」
受付担当は、いきなりのサザーランドの名前に動揺しながらも、通せないの一点張りだった。
「レイ、いじめちゃダメよ?私が次期侯爵として力がないから仕方ないのよ……」
私はわざとレイを諭す。
そんなやりとりを受付でしていると、先日会ったばかりのあの人が現れた。
「この女性は次期侯爵だ。覚えておくように」
「……お父様?」
義妹か、義母に呼ばれたのだろうか。
私はいきなりの助け舟に驚いた。
受付は、流石に現侯爵代行は知っていたのか?
会場への入室を許可された。
「……さあ、入るといい。もう間もなくパーティが始まる」
それだけ言うと、人並に消えていった。
「今の何?」
私がボソッと呟くと、レイが耳元で囁いた。
「罪滅ぼしかもな?」
まあ、もうどうでも良いのだが。
パーティ会場には、200人位は集まっていた。
私とレイはあまり目立たないように、隅のほうで待機することにした。
しばらくすると、会場アナウンスが入る。
いよいよあの義妹が現れた。
この世の物とは思えないほど、綺羅びやかなドレスをまとって。
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