58 / 73
誕生日パーティー
しおりを挟む
(久しぶりだなぁ……)
使用人棟からいつも見上げている本宅。
決して豪華ではないけれど、歴史を感じさせる洗練した造りが、自分の使命の重さを感じさせる。
元々は自分の家であった本宅。
いつしか、そんな思いさえ置き去りにされてしまった。
負けを認めたくなかった。
でも、向き合いたくなかった。
一人ぼっちで、味方がいないと思っていた。
でも、違った。
ーー今は、仲間がいる……!
向かうのは私とレイだけど、皆が背中を押してくれていた。
「……レイ」
私は少しだけレイの手を力強く握った。
レイは大丈夫だよ、と握り返してくれる。
「さて、行こうか?お姫様」
レイのエスコートで、誕生日パーティが開かれている本宅に乗り込んだ。
当然、招待状はない。
が、次期侯爵にそのようなものは必要ない。
「招待状のない方はお通し出来ません」
案の定な受付の対応にレイが睨みを効かせる。
「私は、サザーランド公爵家の者だ。何より、次期侯爵に招待状は不要なはずだが?」
受付担当は、いきなりのサザーランドの名前に動揺しながらも、通せないの一点張りだった。
「レイ、いじめちゃダメよ?私が次期侯爵として力がないから仕方ないのよ……」
私はわざとレイを諭す。
そんなやりとりを受付でしていると、先日会ったばかりのあの人が現れた。
「この女性は次期侯爵だ。覚えておくように」
「……お父様?」
義妹か、義母に呼ばれたのだろうか。
私はいきなりの助け舟に驚いた。
受付は、流石に現侯爵代行は知っていたのか?
会場への入室を許可された。
「……さあ、入るといい。もう間もなくパーティが始まる」
それだけ言うと、人並に消えていった。
「今の何?」
私がボソッと呟くと、レイが耳元で囁いた。
「罪滅ぼしかもな?」
まあ、もうどうでも良いのだが。
パーティ会場には、200人位は集まっていた。
私とレイはあまり目立たないように、隅のほうで待機することにした。
しばらくすると、会場アナウンスが入る。
いよいよあの義妹が現れた。
この世の物とは思えないほど、綺羅びやかなドレスをまとって。
使用人棟からいつも見上げている本宅。
決して豪華ではないけれど、歴史を感じさせる洗練した造りが、自分の使命の重さを感じさせる。
元々は自分の家であった本宅。
いつしか、そんな思いさえ置き去りにされてしまった。
負けを認めたくなかった。
でも、向き合いたくなかった。
一人ぼっちで、味方がいないと思っていた。
でも、違った。
ーー今は、仲間がいる……!
向かうのは私とレイだけど、皆が背中を押してくれていた。
「……レイ」
私は少しだけレイの手を力強く握った。
レイは大丈夫だよ、と握り返してくれる。
「さて、行こうか?お姫様」
レイのエスコートで、誕生日パーティが開かれている本宅に乗り込んだ。
当然、招待状はない。
が、次期侯爵にそのようなものは必要ない。
「招待状のない方はお通し出来ません」
案の定な受付の対応にレイが睨みを効かせる。
「私は、サザーランド公爵家の者だ。何より、次期侯爵に招待状は不要なはずだが?」
受付担当は、いきなりのサザーランドの名前に動揺しながらも、通せないの一点張りだった。
「レイ、いじめちゃダメよ?私が次期侯爵として力がないから仕方ないのよ……」
私はわざとレイを諭す。
そんなやりとりを受付でしていると、先日会ったばかりのあの人が現れた。
「この女性は次期侯爵だ。覚えておくように」
「……お父様?」
義妹か、義母に呼ばれたのだろうか。
私はいきなりの助け舟に驚いた。
受付は、流石に現侯爵代行は知っていたのか?
会場への入室を許可された。
「……さあ、入るといい。もう間もなくパーティが始まる」
それだけ言うと、人並に消えていった。
「今の何?」
私がボソッと呟くと、レイが耳元で囁いた。
「罪滅ぼしかもな?」
まあ、もうどうでも良いのだが。
パーティ会場には、200人位は集まっていた。
私とレイはあまり目立たないように、隅のほうで待機することにした。
しばらくすると、会場アナウンスが入る。
いよいよあの義妹が現れた。
この世の物とは思えないほど、綺羅びやかなドレスをまとって。
0
お気に入りに追加
418
あなたにおすすめの小説
公爵閣下に嫁いだら、「お前を愛することはない。その代わり好きにしろ」と言われたので好き勝手にさせていただきます
柴野
恋愛
伯爵令嬢エメリィ・フォンストは、親に売られるようにして公爵閣下に嫁いだ。
社交界では悪女と名高かったものの、それは全て妹の仕業で実はいわゆるドアマットヒロインなエメリィ。これでようやく幸せになると思っていたのに、彼女は夫となる人に「お前を愛することはない。代わりに好きにしろ」と言われたので、言われた通り好き勝手にすることにした――。
※本編&後日談ともに完結済み。ハッピーエンドです。
※主人公がめちゃくちゃ腹黒になりますので要注意!
※小説家になろう、カクヨムにも重複投稿しています。
愛すべきマリア
志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。
学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。
家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。
早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。
頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。
その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。
体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。
しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。
他サイトでも掲載しています。
表紙は写真ACより転載しました。
妹に一度殺された。明日結婚するはずの死に戻り公爵令嬢は、もう二度と死にたくない。
たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
恋愛
婚約者アルフレッドとの結婚を明日に控えた、公爵令嬢のバレッタ。
しかしその夜、無惨にも殺害されてしまう。
それを指示したのは、妹であるエライザであった。
姉が幸せになることを憎んだのだ。
容姿が整っていることから皆や父に気に入られてきた妹と、
顔が醜いことから蔑まされてきた自分。
やっとそのしがらみから逃れられる、そう思った矢先の突然の死だった。
しかし、バレッタは甦る。死に戻りにより、殺される数時間前へと時間を遡ったのだ。
幸せな結婚式を迎えるため、己のこれまでを精算するため、バレッタは妹、協力者である父を捕まえ処罰するべく動き出す。
もう二度と死なない。
そう、心に決めて。
悪役令嬢はお断りです
あみにあ
恋愛
あの日、初めて王子を見た瞬間、私は全てを思い出した。
この世界が前世で大好きだった小説と類似している事実を————。
その小説は王子と侍女との切ない恋物語。
そして私はというと……小説に登場する悪役令嬢だった。
侍女に執拗な虐めを繰り返し、最後は断罪されてしまう哀れな令嬢。
このまま進めば断罪コースは確定。
寒い牢屋で孤独に過ごすなんて、そんなの嫌だ。
何とかしないと。
でもせっかく大好きだった小説のストーリー……王子から離れ見られないのは悲しい。
そう思い飛び出した言葉が、王子の護衛騎士へ志願することだった。
剣も持ったことのない温室育ちの令嬢が
女の騎士がいないこの世界で、初の女騎士になるべく奮闘していきます。
そんな小説の世界に転生した令嬢の恋物語。
●表紙イラスト:San+様(Twitterアカウント@San_plus_)
●毎日21時更新(サクサク進みます)
●全四部構成:133話完結+おまけ(2021年4月2日 21時完結)
(第一章16話完結/第二章44話完結/第三章78話完結/第四章133話で完結)。
辺境伯へ嫁ぎます。
アズやっこ
恋愛
私の父、国王陛下から、辺境伯へ嫁げと言われました。
隣国の王子の次は辺境伯ですか… 分かりました。
私は第二王女。所詮国の為の駒でしかないのです。 例え父であっても国王陛下には逆らえません。
辺境伯様… 若くして家督を継がれ、辺境の地を護っています。
本来ならば第一王女のお姉様が嫁ぐはずでした。
辺境伯様も10歳も年下の私を妻として娶らなければいけないなんて可哀想です。
辺境伯様、大丈夫です。私はご迷惑はおかけしません。
それでも、もし、私でも良いのなら…こんな小娘でも良いのなら…貴方を愛しても良いですか?貴方も私を愛してくれますか?
そんな望みを抱いてしまいます。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 設定はゆるいです。
(言葉使いなど、優しい目で読んで頂けると幸いです)
❈ 誤字脱字等教えて頂けると幸いです。
(出来れば望ましいと思う字、文章を教えて頂けると嬉しいです)
取り巻き令嬢Aは覚醒いたしましたので
モンドール
恋愛
揶揄うような微笑みで少女を見つめる貴公子。それに向き合うのは、可憐さの中に少々気の強さを秘めた美少女。
貴公子の周りに集う取り巻きの令嬢たち。
──まるでロマンス小説のワンシーンのようだわ。
……え、もしかして、わたくしはかませ犬にもなれない取り巻き!?
公爵令嬢アリシアは、初恋の人の取り巻きA卒業を決意した。
(『小説家になろう』にも同一名義で投稿しています。)
欠陥姫の嫁入り~花嫁候補と言う名の人質だけど結構楽しく暮らしています~
バナナマヨネーズ
恋愛
メローズ王国の姫として生まれたミリアリアだったが、国王がメイドに手を出した末に誕生したこともあり、冷遇されて育った。そんなある時、テンペランス帝国から花嫁候補として王家の娘を差し出すように要求されたのだ。弱小国家であるメローズ王国が、大陸一の国力を持つテンペランス帝国に逆らえる訳もなく、国王は娘を差し出すことを決めた。
しかし、テンペランス帝国の皇帝は、銀狼と恐れられる存在だった。そんな恐ろしい男の元に可愛い娘を差し出すことに抵抗があったメローズ王国は、何かあったときの予備として手元に置いていたミリアリアを差し出すことにしたのだ。
ミリアリアは、テンペランス帝国で花嫁候補の一人として暮らすことに中、一人の騎士と出会うのだった。
これは、残酷な運命に翻弄されるミリアリアが幸せを掴むまでの物語。
本編74話
番外編15話 ※番外編は、『ジークフリートとシューニャ』以外ノリと思い付きで書いているところがあるので時系列がバラバラになっています。
【完結】どうやら時戻りをしました。
まるねこ
恋愛
ウルダード伯爵家は借金地獄に陥り、借金返済のため泣く泣く嫁いだ先は王家の闇を担う家。
辛い日々に耐えきれずモアは自らの命を断つ。
時戻りをした彼女は同じ轍を踏まないと心に誓う。
※前半激重です。ご注意下さい
Copyright©︎2023-まるねこ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる