とある虐げられた侯爵令嬢の華麗なる後ろ楯~拾い人したら溺愛された件

紅位碧子 kurenaiaoko

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再会

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数少ない別宅での休みの日。
久しぶりにあの人がふらりと現れた。

マリアが血相変えて飛び込んで来たから何事かと思ったけど、Xデーの前にこちらも決着がつきそうで良かった。

「レイ様が不在ですが、大丈夫ですか」

レイは商会の用事で不在のためマリアは心配そうにしているが、問題はないと思う。

「大丈夫よ。レイに連絡だけ入れておいて。私はアルク様に会ってくるから」

そう告げるとアレク様の待つ部屋に向かった。

部屋に入ると、王族なのに相変わらず一人で佇むアレク様の姿が見えた。

「……アレク様、お待たせしました」

しばらくぶりなだけなのに、何だか心の距離感が見える。

「いや、構わない。こちらこそ、突然で申し訳無い……」

アレク様の表情はどこか曇っていた。

「……先日はその……すまなかった。一言詫びがしたくて押しかけてしまった」

「……気になさらないで下さい。カイル様に良くして頂き、無事にこうしておりますので」

「……リリー。あの日……君に正式にプロポーズしたかった。それなのに……。情けないが、本当に情けない話なのだが……。急に婚約しなくてはならなくなった」

「……それはおめでとうございます?」

「リリーにそう言われると堪えるな……」

それから、アレク様はあの日何があったのか話をして下さった。アレク様はとても誠実な人なんだな、と改めて思う。

あの公爵令嬢に計画的に嵌められ、既成事実を作られてしまい、その後何とか公爵令嬢を修道院送りにしようと画策したが、公爵側と王家と取引が行われ、婚約する運びになったそうだ。 

(……あの令嬢の執念がすごい……!)

もし、あのままアレク様と結ばれていたとしても、あの令嬢のことだ。あらゆる手段を使ってきたことだろう。

(伊達に身分が高いからやっかいだ……)

「リリー、これはお願いなんだが」
アレク様はそう前置きすると、お願いの中身を話し始めた。

「つまり、これからも友達として共に商会を盛りたてていく……そういうことでしょうか?それならば、大歓迎です!」

私は笑顔で右手を差し出した。

「ああ、よろしく」

アレク様の切ない顔が少しだけ明るくなった。



その後、レイが帰宅した後にアレク様と二人っきりで会っていたと知り、こってり叱られたのは秘密の話。
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