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王都で舞台
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孤児院で2週間開催した舞台とマルシェは大盛況のうち終了となった。
あまりに評判でチケットが取れないとクレームが殺到し、2週間後にまた1か月開催することとなったらしい。すごい!
売り上げも上々でマルシェ出展者も増え、舞台スタッフも気合が入り、孤児院も潤いすべてがうまく回っていた。
そんな中、以前レイが出版社に持ちかけていた王都での舞台があっという間に初日を迎えた。
出版社のご厚意で、レイと私、あと数名招待できるとのことで、恋仲進展中?なプリシラちゃんとオスカーを招待することにした。
今日はみんなで初日舞台を見に行くために、私の別宅に集合していた。
私とプリシラちゃんは今回は王都での舞台ということで、町娘スタイルでなくもう少し上品な服装で行こうと商会でこれから流行させたいらしいワンピースや小物を身に着ていくことになった。
私が伯爵令嬢のアイテムのモチーフになっているアイリスをモチーフにしたワンピースと小物を、プリシラちゃんは、伯爵令嬢のお友達が愛用しているライラックをモチーフにしたワンピースと小物を身に着けていた。
「男性の皆さま、お待たせしました~!」
可愛いいプリシラちゃんは本当に何を着ても可愛いっ!羨ましいなぁ~。横でオスカーがデレデレしているが、気にしないでおこう。
私は元々の顔立ちが貴族特有…いや、母親譲りのクールな印象を与えがちなため、可愛いらしい服はあまり似合わないのだが、今回のアイリスをモチーフにしたワンピースは、大人可愛いデザインで、私でも何とかマイナスイメージにならず着こなせているはず。
「……レイ、どうかな?私がモデルでも大丈夫?」
サザーランド商会支給の大切なワンピースでもあるし、広告塔の私が失敗するわけにはいかない。
「……今回も可愛い」
「…え?」
消え入りそうな程かすかな声で呟かれたため、思わず聞き返してしまった。
「似合ってる?」
レイが頷いた。やっぱり、嬉しい。
私もようやく安心したので、皆で気分良く場所に乗り込んだった。
向かう先は王都の劇場。
そこで出版社の社長と編集長と落ち合う予定だ。
「しかし、リリーは、授賞式も、サイン会も拒否したからな。編集長が頭抱えてたよ……」
だって、今は顔出しする訳にはいかないし、せめて侯爵になるまでは日陰にいないと。
私は項垂れるしかなかった。レイ、すまない!
「本の売れ行きも好調らしいし、今度隣国で翻訳されて販売されるらしいな」
海外版の話は出版社から頂いていて、それらはミスボス商会で契約することになっていた。
「そういえば、オスカー。確かウィングビルド商会から孤児院ビジネスのビジネスモデル契約の話があるそうじゃない?」
レイから聞いていた話をオスカーに投げ掛けた。私としては権利ビジネスとしてフランチャイズにしてどんどん広げてもらいたかった。
「ああ。あのマリーベルからな」
オスカーが心底嫌そうにぶっきらぼうに答える。
「あれは前向きに検討すると伝えたぞ」
「……ああ。構わない。けど、折角俺が代表の商会なのに、ウィングビルドと契約ってのが少し癪だけどな。まあ、ビジネスとしてはありがたいからな」
ちなみに、もちろんレイのサザーランド商会とも契約は完了し、近いうちにサザーランド領内で孤児院ビジネスがスタートするらしい。
「これでまた白薔薇ワンピースも大人気になるね!また商品考えないと」
実は、白薔薇化粧品シリーズも展開予定で、原料と生産工場の視察も来月に予定されている。
「本当にミスボスはすごいですよね!アイデアマンです!」
プリシラちゃんに褒められ、照れてしまう私。
「……ありがとう!可愛い女の子に褒めらると嬉しい!」
私はプリシラちゃんに抱きついた。
「……コホン。リリー。ちなみに、出版社の社長は俺の友人なんだ」
「ん?レイ。もう一度?」
「社長は、俺の友人」
「え?そうなの?そんなの初耳だよ!友だちだったの?」
……レイ、友だち多すぎです!
「……すっかり忘れてた。ごめん。学院の同級生だった奴だ。まあ、昔からの腐れ縁?」
ひょえー。としたら上位のお貴族様かしら?
「まあ、後で紹介するよ」
そしてまた驚きの展開になるのだった。
劇場に到着すると、ドでかい『伯爵令嬢と救国の騎士』のポスターが目に飛び込んできた。素直に嬉しいやら恥ずかしいやらで私は見上げながら固まってしまった。
そんな私を見つけた編集長のキャサリンさんが駆け寄ってきてくれた。
「お久しぶり~!リリアーヌさん。会いたかった!」
「私もです、編集長!いろいろわがままいってご迷惑おかけしました」
「いいのよ~。事情が事情だからね。でも、本の売れ行きが好調だから、劇以外にも企画したいなと思っているわ。サザーランド商会からも商品企画はもらって……。あ、そうそう!リリアーヌさんを見習って、劇場の中にマルシェスポットも作ったの~。このワンピースも販売してるし、後で見学してね」
レイの提案、抜け目なし!よくしゃべる明るい編集長は、更におしゃべりを続ける。
「あ、ごめんなさい。私、まだご挨拶してなかったわ」
私とレイの後ろを歩くオスカーとプリシラに気づき、足を止めた。
「私、ムーン出版のキャサリンと申します。リリアーヌさんの本の編集を担当させて頂いてます。あと、劇や商品企画も。よろしくね」
「ご丁寧にありがとうございます。俺はミスボス商会の代表のオスカーです。こちらは、ミスボス商会が展開する孤児院舞台の主演女優のプリシラです」
プリシラも笑顔で応対していた。
「あの劇、王都でも噂になってたの~。プリシラさん、今日は何か勉強になれば良いのだけど。楽しんでいってね」
「王都でもなんて、嬉しいです!こちらこそ、本日は貴重な企画をありがとうございました!」
「もう劇が始まりそうだから急ぎましょう。後で社長とも会ってもらうから」
私たちは劇場内の関係者席に急ぎ向かった。
◇◇◇
「素晴らしかったねー!」
舞台があけ、私とプリシラちゃんは興奮覚めやらず、きゃっきゃきゃっきゃと話していた。
「あの騎士様、素敵でした……!やっぱり、女性はああいう少し強引だけど、愛情が真っ直ぐな男性に弱いですよねー」
「本当に!自分で書いた原作だけど、本当に楽しかった!あー、私もやっぱりあんな恋がしたい!」
こんな会話の裏で、男性陣はなぜか無言で歩いていた。
「社長室に案内するわね」
キャサリンさんも私たちのトークに参戦し、ますますヒートアップしていく。
やはりきちんとした劇場は、音響から照明など全てが一流で、感情移入もしやすかった。
「私、感動してハンカチがもう涙でびしょびしょです……」
私も~とまた盛り上がる三人。
……男性陣、ドン引きですか?
(私が書いた原作なのに!レイにあとで聞かなくては!)
「社長室はここよ」
キャサリンさんたちとおしゃべりに夢中になっていたら、どの道を通ってきたかもよく分からなかった。レイの友人であるムーン出版の社長と対面である。
「じゃあ、入るわね」
キャサリンさんが全員に目配せした。
ノックをすると、中からどうぞ、と男性の声が聞こえた。
「キャサリンです。お客様をお連れしました」
「開いている。入ってくれ」
扉を開けると、意外にも三人の男性の姿があった。
片手をあげ、レイを手招きをする男性が、すぐに社長だと分かった。
「レイ、ちょうど良かった。紹介したい人たちがいるんだ」
レイは分かった、と一歩前に進んだ。
「こちら、隣国のミリオニアの方々で、クラニエル商会の副会長とその秘書だ」
紹介された男性たちもだいたいレイと同世代の男性で、これまた容姿端麗すぎて眩しいくらいの輝きだった。おまけに、クラニエル商会は、私でも知ってるくらい大きな商会だ。
「カイル・クラニエルだ。よろしく」
(確か……クラニエル家も公爵家だったはず。……レイ同様に、次期代表なのね。ああ、公爵家ってまた、公爵家~)
私は少ない隣国の知識を総動員しながら、また公爵家の知り合いが増えたことに驚いていた。
「こちらこそ。ブレイブの友人でもある。サザーランド商会のアルフォンス・サザーランドだ」
二人は満足げに握手をした。
「で、後ろの美女たちは?」
ブレイブがレイに私たちの紹介を促した。
「ああ。こちらが、ミスボス商会のオーナーで、リリアーヌ・フォンデンベグ嬢。俺の未来の婚約者だ。あと、こちらがミスボス商会主催の舞台の主演女優のプリシラさん。それと、ミスボス商会の代表のオスカーだ」
「お!ようやく会えた!ブレイブ・ミーリングだ。リリアーヌ嬢。噂はレイから聞いていたから、どんな人物か会ってみたかったんだ!へー!なるほど。見た目は貴族で、中身は商人と作家かあ。…………実に興味深い。君の書いた小説も売れ行き好調だし、助かってるよ!」
褒められてるのかからかわれているのか今1つはっきりしないけど、とりあえずは私は社長にとっては役にたっている人間なんだろう。
(ブレイブ・ミーリング……?ミーリングってもしかしたら、もしかするよね……?)
そう、ミーリング家は、誰もが知る名門公爵家だ。
また出た!公爵家。もう私の人生でお腹いっぱいです……。
「お会い出来て光栄です。いつもキャサリン編集長にはご迷惑ばかりおかけしているのに、とても良くして頂いています。ありがとうございます」
私は感謝のお辞儀をした。
「そうそう。そんなに堅苦しくならずに、さ。あと、ここにいるクラニエルの次期代表がね、ミスボス商会と取引したいみたいなんだ。だから後で話しきいてもらえない?」
「かしこまりました。喜んで」
「まだこっちに滞在するみたいだから、連絡とってみて」
そんなこんなで、クラニエル商会と後日契約の話しをすることになったのだけれど、まさかこの契約がとんでもないことになるなんて、この時の私は知るよしもなかった。
あまりに評判でチケットが取れないとクレームが殺到し、2週間後にまた1か月開催することとなったらしい。すごい!
売り上げも上々でマルシェ出展者も増え、舞台スタッフも気合が入り、孤児院も潤いすべてがうまく回っていた。
そんな中、以前レイが出版社に持ちかけていた王都での舞台があっという間に初日を迎えた。
出版社のご厚意で、レイと私、あと数名招待できるとのことで、恋仲進展中?なプリシラちゃんとオスカーを招待することにした。
今日はみんなで初日舞台を見に行くために、私の別宅に集合していた。
私とプリシラちゃんは今回は王都での舞台ということで、町娘スタイルでなくもう少し上品な服装で行こうと商会でこれから流行させたいらしいワンピースや小物を身に着ていくことになった。
私が伯爵令嬢のアイテムのモチーフになっているアイリスをモチーフにしたワンピースと小物を、プリシラちゃんは、伯爵令嬢のお友達が愛用しているライラックをモチーフにしたワンピースと小物を身に着けていた。
「男性の皆さま、お待たせしました~!」
可愛いいプリシラちゃんは本当に何を着ても可愛いっ!羨ましいなぁ~。横でオスカーがデレデレしているが、気にしないでおこう。
私は元々の顔立ちが貴族特有…いや、母親譲りのクールな印象を与えがちなため、可愛いらしい服はあまり似合わないのだが、今回のアイリスをモチーフにしたワンピースは、大人可愛いデザインで、私でも何とかマイナスイメージにならず着こなせているはず。
「……レイ、どうかな?私がモデルでも大丈夫?」
サザーランド商会支給の大切なワンピースでもあるし、広告塔の私が失敗するわけにはいかない。
「……今回も可愛い」
「…え?」
消え入りそうな程かすかな声で呟かれたため、思わず聞き返してしまった。
「似合ってる?」
レイが頷いた。やっぱり、嬉しい。
私もようやく安心したので、皆で気分良く場所に乗り込んだった。
向かう先は王都の劇場。
そこで出版社の社長と編集長と落ち合う予定だ。
「しかし、リリーは、授賞式も、サイン会も拒否したからな。編集長が頭抱えてたよ……」
だって、今は顔出しする訳にはいかないし、せめて侯爵になるまでは日陰にいないと。
私は項垂れるしかなかった。レイ、すまない!
「本の売れ行きも好調らしいし、今度隣国で翻訳されて販売されるらしいな」
海外版の話は出版社から頂いていて、それらはミスボス商会で契約することになっていた。
「そういえば、オスカー。確かウィングビルド商会から孤児院ビジネスのビジネスモデル契約の話があるそうじゃない?」
レイから聞いていた話をオスカーに投げ掛けた。私としては権利ビジネスとしてフランチャイズにしてどんどん広げてもらいたかった。
「ああ。あのマリーベルからな」
オスカーが心底嫌そうにぶっきらぼうに答える。
「あれは前向きに検討すると伝えたぞ」
「……ああ。構わない。けど、折角俺が代表の商会なのに、ウィングビルドと契約ってのが少し癪だけどな。まあ、ビジネスとしてはありがたいからな」
ちなみに、もちろんレイのサザーランド商会とも契約は完了し、近いうちにサザーランド領内で孤児院ビジネスがスタートするらしい。
「これでまた白薔薇ワンピースも大人気になるね!また商品考えないと」
実は、白薔薇化粧品シリーズも展開予定で、原料と生産工場の視察も来月に予定されている。
「本当にミスボスはすごいですよね!アイデアマンです!」
プリシラちゃんに褒められ、照れてしまう私。
「……ありがとう!可愛い女の子に褒めらると嬉しい!」
私はプリシラちゃんに抱きついた。
「……コホン。リリー。ちなみに、出版社の社長は俺の友人なんだ」
「ん?レイ。もう一度?」
「社長は、俺の友人」
「え?そうなの?そんなの初耳だよ!友だちだったの?」
……レイ、友だち多すぎです!
「……すっかり忘れてた。ごめん。学院の同級生だった奴だ。まあ、昔からの腐れ縁?」
ひょえー。としたら上位のお貴族様かしら?
「まあ、後で紹介するよ」
そしてまた驚きの展開になるのだった。
劇場に到着すると、ドでかい『伯爵令嬢と救国の騎士』のポスターが目に飛び込んできた。素直に嬉しいやら恥ずかしいやらで私は見上げながら固まってしまった。
そんな私を見つけた編集長のキャサリンさんが駆け寄ってきてくれた。
「お久しぶり~!リリアーヌさん。会いたかった!」
「私もです、編集長!いろいろわがままいってご迷惑おかけしました」
「いいのよ~。事情が事情だからね。でも、本の売れ行きが好調だから、劇以外にも企画したいなと思っているわ。サザーランド商会からも商品企画はもらって……。あ、そうそう!リリアーヌさんを見習って、劇場の中にマルシェスポットも作ったの~。このワンピースも販売してるし、後で見学してね」
レイの提案、抜け目なし!よくしゃべる明るい編集長は、更におしゃべりを続ける。
「あ、ごめんなさい。私、まだご挨拶してなかったわ」
私とレイの後ろを歩くオスカーとプリシラに気づき、足を止めた。
「私、ムーン出版のキャサリンと申します。リリアーヌさんの本の編集を担当させて頂いてます。あと、劇や商品企画も。よろしくね」
「ご丁寧にありがとうございます。俺はミスボス商会の代表のオスカーです。こちらは、ミスボス商会が展開する孤児院舞台の主演女優のプリシラです」
プリシラも笑顔で応対していた。
「あの劇、王都でも噂になってたの~。プリシラさん、今日は何か勉強になれば良いのだけど。楽しんでいってね」
「王都でもなんて、嬉しいです!こちらこそ、本日は貴重な企画をありがとうございました!」
「もう劇が始まりそうだから急ぎましょう。後で社長とも会ってもらうから」
私たちは劇場内の関係者席に急ぎ向かった。
◇◇◇
「素晴らしかったねー!」
舞台があけ、私とプリシラちゃんは興奮覚めやらず、きゃっきゃきゃっきゃと話していた。
「あの騎士様、素敵でした……!やっぱり、女性はああいう少し強引だけど、愛情が真っ直ぐな男性に弱いですよねー」
「本当に!自分で書いた原作だけど、本当に楽しかった!あー、私もやっぱりあんな恋がしたい!」
こんな会話の裏で、男性陣はなぜか無言で歩いていた。
「社長室に案内するわね」
キャサリンさんも私たちのトークに参戦し、ますますヒートアップしていく。
やはりきちんとした劇場は、音響から照明など全てが一流で、感情移入もしやすかった。
「私、感動してハンカチがもう涙でびしょびしょです……」
私も~とまた盛り上がる三人。
……男性陣、ドン引きですか?
(私が書いた原作なのに!レイにあとで聞かなくては!)
「社長室はここよ」
キャサリンさんたちとおしゃべりに夢中になっていたら、どの道を通ってきたかもよく分からなかった。レイの友人であるムーン出版の社長と対面である。
「じゃあ、入るわね」
キャサリンさんが全員に目配せした。
ノックをすると、中からどうぞ、と男性の声が聞こえた。
「キャサリンです。お客様をお連れしました」
「開いている。入ってくれ」
扉を開けると、意外にも三人の男性の姿があった。
片手をあげ、レイを手招きをする男性が、すぐに社長だと分かった。
「レイ、ちょうど良かった。紹介したい人たちがいるんだ」
レイは分かった、と一歩前に進んだ。
「こちら、隣国のミリオニアの方々で、クラニエル商会の副会長とその秘書だ」
紹介された男性たちもだいたいレイと同世代の男性で、これまた容姿端麗すぎて眩しいくらいの輝きだった。おまけに、クラニエル商会は、私でも知ってるくらい大きな商会だ。
「カイル・クラニエルだ。よろしく」
(確か……クラニエル家も公爵家だったはず。……レイ同様に、次期代表なのね。ああ、公爵家ってまた、公爵家~)
私は少ない隣国の知識を総動員しながら、また公爵家の知り合いが増えたことに驚いていた。
「こちらこそ。ブレイブの友人でもある。サザーランド商会のアルフォンス・サザーランドだ」
二人は満足げに握手をした。
「で、後ろの美女たちは?」
ブレイブがレイに私たちの紹介を促した。
「ああ。こちらが、ミスボス商会のオーナーで、リリアーヌ・フォンデンベグ嬢。俺の未来の婚約者だ。あと、こちらがミスボス商会主催の舞台の主演女優のプリシラさん。それと、ミスボス商会の代表のオスカーだ」
「お!ようやく会えた!ブレイブ・ミーリングだ。リリアーヌ嬢。噂はレイから聞いていたから、どんな人物か会ってみたかったんだ!へー!なるほど。見た目は貴族で、中身は商人と作家かあ。…………実に興味深い。君の書いた小説も売れ行き好調だし、助かってるよ!」
褒められてるのかからかわれているのか今1つはっきりしないけど、とりあえずは私は社長にとっては役にたっている人間なんだろう。
(ブレイブ・ミーリング……?ミーリングってもしかしたら、もしかするよね……?)
そう、ミーリング家は、誰もが知る名門公爵家だ。
また出た!公爵家。もう私の人生でお腹いっぱいです……。
「お会い出来て光栄です。いつもキャサリン編集長にはご迷惑ばかりおかけしているのに、とても良くして頂いています。ありがとうございます」
私は感謝のお辞儀をした。
「そうそう。そんなに堅苦しくならずに、さ。あと、ここにいるクラニエルの次期代表がね、ミスボス商会と取引したいみたいなんだ。だから後で話しきいてもらえない?」
「かしこまりました。喜んで」
「まだこっちに滞在するみたいだから、連絡とってみて」
そんなこんなで、クラニエル商会と後日契約の話しをすることになったのだけれど、まさかこの契約がとんでもないことになるなんて、この時の私は知るよしもなかった。
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