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感謝(オスカー目線)

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 俺はオスカー・ウィングビルド。
 
 かなり名の通った公爵家の妾の子供、庶子だった。

 母親はお決まりなのか?正妻に虐げられ病死。
 すでに正妻には嫡男と次男がおり、俺は孤児院に預けられた。

 その意味ではヒュースとだいたい同じような運命を辿っていて、ウマがあったのかも知れない。
 
 孤児院では、生きるために金を稼ぐ。

 小さい頃から商いを覚え、隣国からの物資や食料品などをちまちまと売りさばいたりしてきた。その隣国つながりでヒュースとも出会った。

 この間リリアーヌ嬢が突然孤児院を訪れ、俺に会いに来たと聞いてかなり驚いた。次期侯爵さんが何の用かな、と。

 そして、話を聞いて更に驚いた。

 俺同様、継母たちからイビられ、使用人扱いされていること。18才には正式に侯爵になるため、商会を作り自分の後ろ楯を自分で作るために協力して欲しいこと。町娘みたいな格好をしていたが、金髪碧眼の貴族のお嬢様オーラは半端なかった。

 リリアーヌ嬢が正式に侯爵になった後は、それこそ俺に商会を任せると言ってくれた。

 人生でこんなチャンスが舞い込むなんて捨てたもんじゃない。二つ返事で承諾した。

 それから、孤児院で大衆劇をやりたいとか、孤児院でマルシェをやりたいなど貴族のお嬢様らしからね奇抜なアイデアにかなり感心してしまった。

 何だか楽しそうだし、信用できる奴をスカウトしてもいいらしいから、皆で稼いでリリアーヌ嬢を支えたい。初対面だけどそう思わせる強さがあった。

 (一緒についてきた訳あり男の話をこっそり聞いて、更に商会が上手くいきそうだ、と確信したことは言うまでもなかったな)

 謎の男、レイ。
 あの貴族の次男で、あの商会の次期トップ。
 リリアーヌ嬢に懸想しているのが見ていて痛々しいくらいだった。

 あの男が近くにいるなら安心だ。

 しかし、商会名がミスボスって。
 リリアーヌ嬢らしくて心底惚れたぜ!

 新しい人材候補もリリアーヌ嬢には合格点をもらえたようで安心した。

 あの二人には俺に忠誠を誓うと共に、リリアーヌ嬢にも忠誠を誓わせる。

 毎日やることがたくさんありすぎて大変だが、こんなにワクワク楽しいのは人生初めてだ。

 ありがとうな、ミスボス!
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