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 (嘘ーっ!何で?本当に?今まで気がつかなかった!)

 私にとっての予想外。

 そうきたか!

 それは、リュウイから自分に向けられているとても明るくキラキラした赤い感情の線。

 (リュウイが、私のことを好き?それも大好き?)

 その線は本当にキラキラしていて、太くて、真っ赤だった。

 これはもう顔をふるふるしたところで突然色が変わるわけもなく、どうしようもないが、やはりいきなりの展開は対応に窮する。

 あの無表情で、冷静沈着で、過保護なリュウイが?

 今までは、本当の兄のように接していたのに?まさかの赤?

 (う、これも動揺しないしかない。通常運転!)

 気付かれないようにふぅーと深呼吸してみる。

 端から見たら、ソファで一人百面相してる女、だ。

 「あ、アーレイ、大丈夫か?」

 ウエイもリュウイもいまだかつてこんなに表情がくるくる変わるアーレイを見たことがなかったのだろう。不思議そうに私を見つめる。

 「えっと。大丈夫だから。ちょっとしばらく私、おかしいかも知れないけど、本来の私に戻ってるだけだから心配しないで?」

 とりあえず挙動不審宣言をしておく。

 「……マーリ様のとこに行ったんだな?」

 ウエイは何となく事情を察してくれたようで、私は安堵する。

 そして、視線を移した先のウエイの感情線。

 間違いなく眩いばかりの金色だった。

 ああ、本当に金色。

 こちらは、正真正銘のキラキラ、だった。

 リュウイのことが衝撃的すぎて、喜ぶべきであろう金色が少し霞んで見えた。

 愛されている、というゆるぎない証拠。

 今まで全く意識していなかったウエイの感情。

 その視線に熱がこもっていることも、その会話に裏の意味があることも、もちろんアーレイは気がついていなかった。

 アーレイが首をかしげながらウエイを見つめていると、ウエイの顔がみるみるうちに赤くなっていく。

 そんなにまじまじと見るな、とウエイに嗜められても、じっくりとウエイを見ていたかった。

 「もう少しだけダメ?」

 自分でも思った以上に甘い声が出て驚いた。

 ウエイが恥ずかしそうに首を縦に振る。

 動揺したウエイは何だかとても少年みたいで可愛い。

 「アーレイ、それ以上見られると顔に穴が開きそうだ……」

 穴なんて開かないし、私はやっと取り戻した感情と向き合いたいのに。

 (異性を意識するってこういうこと?)

 相手の表情や、仕草や、動作や、言葉がどれも気になる。ウエイは冷静なふりして会話を続けようとしてるけど、私はそんなウエイのことも

 「リュウイとも話したが、とりあえず三人で天界樹に向かおう。魔獣については特に魔界にも情報はなかったが、天界で魔獣が生まれた可能性もある。ちょっと様子を見てみたい」

 「天界で魔獣が生まれる?わ、分かった」

 いろんな意味を込めての『分かった』だった。

 何とか平常心を装おう。

 「既に救護班を手配しています。後は現地の状況次第で対応します。」

 するとムーパが話を聞いていたのか、むくっと現れて一緒に連れていけ、とばかりにアーレイに刷りよる。

 私は胸のあたりでムーパを思いっきり抱きしめながら、一緒に行こうねとムーパとに力を込めて応えた。

 そんな様子に二人がとても羨ましそうにムーパを見つめているなんてアーレイには知るよしもなかった。
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