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タイガ過去編
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僕は学校が大好きだった。友達と会うのが、遊ぶのが、勉強だって数学以外は結構好きだった。高校生になってもこの思いはずっと続くと思っていた。でも、そんな思いは子どもの積み木遊びのようにあっけなく崩れ去っていった。
僕は、高校に上がりすぐに、イジメにあった。
中学の時に部活でやっていたバスケットボール部で先輩たちに標的にされてしまったのだ。
僕自身そんなに、上手いわけでもなかったし、高校の部活も強豪校というわけでもなかった。だけど、バスケットボールは好きだったので、高校でも続けようと思って入部したのだ。
今なら、運が悪かったんだろうなと思う。だが、僕の二個上の先輩が頭のおかしい人で、たまたまその人に標的にされた。特に僕が何かをしたというわけではないのだが、その先輩は誰かをイジメていないと気が済まないタイプの人だったらしく、僕の前にも餌食になった人がいたらしい。
そうなると、皆自分が標的にならないように、見て見ぬふりをしていた。今思えば、それも仕方がないことだたと理解はできる。だけど、当時の僕にとってそれは、皆加害者と同様だったのだ。
みんな僕のことを腫れ物に触るような扱いをした。それが、部活中だけなら何とかなったかもしれないが、教室でもそれは変わらなかった。
不登校になった僕は、自分から死を選ばなかっただけ褒めて欲しいほど精神が不安定だった。それほど、僕の日常を壊されたことは僕のダメージになっていたのだ。
自分でもなんで死ななかったのか分からないほどだったが、死ぬという行動すらとれないほど疲弊していたのだと思う。少し、そんな気分が晴れてきたら、今度は苦しい自問自答の日々だった。
そこまで思考が回ってくると、死んではいけない思いが出てきたのだ。
そんな時だった。気を紛らわせるために、ずっと垂れ流しにしていた動画に彼が出てきたのだ。ヴィクターさんのあの大会の切り抜きが。
彼のことは何一つ知らない、このゲームのことも何一つ知らない。ただ画面越しに彼一人が、飛常識外れなことをしていることだけは、実況で分かったし、伝わるはずのない彼の鬼気迫る狂気も同時に感じた。
その時感じた恐怖は、今までの恐怖を上塗りするほどの物だった。しかし切り抜きの動画を見終わった後は恐怖が興奮に変わっていた。
全身がぞわぞわして、体の中からエネルギーがあふれ出ている。そんな感覚だった。
彼は、たった一人で戦い続けていた。何十人もの敵を相手にして。
一方僕は、たった一人相手に勝てなくて逃げ出してしまったのだ。
ゲームと現実は違う。勿論そんなことは分かっている。だけど、そんな当たり前のことを、置き去りにするくらい、僕は衝撃を受けたのだ。
それからは、僕もゲームを始めた。
ただの遊びだと思っていたゲームをこんなにも、本気でやっている人がいて、こんなにも、心熱くなれるとは知らなかった。
彼の活動動画も全部見た。彼のことも全部調べた。彼がやったことがどれほど凄いことかも分かった。
そんな時に、彼があの大会以降一切の消息を絶ったことも知った。
彼のようになりたい。そんな思いだけで生きてきた。ずっと閉じこもっているよりはましだと、思った両親は僕のやることに一切口を出さないでくれた。夢中になれることが、見つかって安心したようで、学校に行けとは一度も言われなかった。
心配をかけたにも関わらず、僕がやりたいことを見守ってくれた両親には感謝しかない。
だからこそ会話もするようになったし、勉強もした、家事も手伝うことにした。それ以外の時間全部をゲームに費やした。いつか彼が帰ってくることを信じて。それがついに来たのだ。2年待ち望んだ末に。
本当に人生のどん底に落ちた人間がそれほどの物か見せてやる。何もなかった、今も先にも何も存在しない。あるのは過去の辛い記憶だけ。いつまでたってもその記憶は消えず、日に日にその痛みは大きくなっていく。一生消えない傷を持ち続け、死んでないだけの、生きていない人間がやっと見つけた未来だ。
ここから先の道は、自分で照らす。
後は僕自身の行動次第。何も持たぬものがやっとの思いで手を伸ばして掴んだものなんだ。僕をそんな世界から引っ張り出してくれる人と一緒に戦えるんだ。これ以上に勝ちたい理由があるわけないだろ。
僕は、高校に上がりすぐに、イジメにあった。
中学の時に部活でやっていたバスケットボール部で先輩たちに標的にされてしまったのだ。
僕自身そんなに、上手いわけでもなかったし、高校の部活も強豪校というわけでもなかった。だけど、バスケットボールは好きだったので、高校でも続けようと思って入部したのだ。
今なら、運が悪かったんだろうなと思う。だが、僕の二個上の先輩が頭のおかしい人で、たまたまその人に標的にされた。特に僕が何かをしたというわけではないのだが、その先輩は誰かをイジメていないと気が済まないタイプの人だったらしく、僕の前にも餌食になった人がいたらしい。
そうなると、皆自分が標的にならないように、見て見ぬふりをしていた。今思えば、それも仕方がないことだたと理解はできる。だけど、当時の僕にとってそれは、皆加害者と同様だったのだ。
みんな僕のことを腫れ物に触るような扱いをした。それが、部活中だけなら何とかなったかもしれないが、教室でもそれは変わらなかった。
不登校になった僕は、自分から死を選ばなかっただけ褒めて欲しいほど精神が不安定だった。それほど、僕の日常を壊されたことは僕のダメージになっていたのだ。
自分でもなんで死ななかったのか分からないほどだったが、死ぬという行動すらとれないほど疲弊していたのだと思う。少し、そんな気分が晴れてきたら、今度は苦しい自問自答の日々だった。
そこまで思考が回ってくると、死んではいけない思いが出てきたのだ。
そんな時だった。気を紛らわせるために、ずっと垂れ流しにしていた動画に彼が出てきたのだ。ヴィクターさんのあの大会の切り抜きが。
彼のことは何一つ知らない、このゲームのことも何一つ知らない。ただ画面越しに彼一人が、飛常識外れなことをしていることだけは、実況で分かったし、伝わるはずのない彼の鬼気迫る狂気も同時に感じた。
その時感じた恐怖は、今までの恐怖を上塗りするほどの物だった。しかし切り抜きの動画を見終わった後は恐怖が興奮に変わっていた。
全身がぞわぞわして、体の中からエネルギーがあふれ出ている。そんな感覚だった。
彼は、たった一人で戦い続けていた。何十人もの敵を相手にして。
一方僕は、たった一人相手に勝てなくて逃げ出してしまったのだ。
ゲームと現実は違う。勿論そんなことは分かっている。だけど、そんな当たり前のことを、置き去りにするくらい、僕は衝撃を受けたのだ。
それからは、僕もゲームを始めた。
ただの遊びだと思っていたゲームをこんなにも、本気でやっている人がいて、こんなにも、心熱くなれるとは知らなかった。
彼の活動動画も全部見た。彼のことも全部調べた。彼がやったことがどれほど凄いことかも分かった。
そんな時に、彼があの大会以降一切の消息を絶ったことも知った。
彼のようになりたい。そんな思いだけで生きてきた。ずっと閉じこもっているよりはましだと、思った両親は僕のやることに一切口を出さないでくれた。夢中になれることが、見つかって安心したようで、学校に行けとは一度も言われなかった。
心配をかけたにも関わらず、僕がやりたいことを見守ってくれた両親には感謝しかない。
だからこそ会話もするようになったし、勉強もした、家事も手伝うことにした。それ以外の時間全部をゲームに費やした。いつか彼が帰ってくることを信じて。それがついに来たのだ。2年待ち望んだ末に。
本当に人生のどん底に落ちた人間がそれほどの物か見せてやる。何もなかった、今も先にも何も存在しない。あるのは過去の辛い記憶だけ。いつまでたってもその記憶は消えず、日に日にその痛みは大きくなっていく。一生消えない傷を持ち続け、死んでないだけの、生きていない人間がやっと見つけた未来だ。
ここから先の道は、自分で照らす。
後は僕自身の行動次第。何も持たぬものがやっとの思いで手を伸ばして掴んだものなんだ。僕をそんな世界から引っ張り出してくれる人と一緒に戦えるんだ。これ以上に勝ちたい理由があるわけないだろ。
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