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5話

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 勤務時間中に割り振られた仕事を終わらせ、就業時間になれば即時退社。そして、家に帰って寝落ち直前までゲームをする。毎日を全く同じサイクルで回すようになった。日々の生活にゲームが入ってきただけで、俺の人生はとんでもなく、向上した。

 そんな中で、気づいたことがある。俺はSEの仕事をしているのだが、仕事は完全な結果主義のようで、自分に振られた案件さえ終わらせれば、定時で帰っても何も言われないようだ。今までは、みんな残っているからてっきり強制かと思っていたのだ。

 だから、日中最大限集中して、期日を確認して調整するという、行為のおかげで、物凄く効率よく働けている。このおかげで勤務中もゲームのことを考える余裕が出来ている。あまり、頑張りすぎて早く終わらせると、違う仕事を振られてしまうから、きちんとギリギリで仕上げることが何よりも重要だ。

 そして、その効率の良さは俺の食生活にも影響し始めた。ゲームを始めたあの日以来、会社からの帰り道のカレー屋によっている。買ったそれを家に着くまでに、歩きながら食べて、すぐにゲームが出来るようにしている。
 ここまでやっていると、自分のことをゲーム中毒者のように思えるが、まさその通りだ。
 今の状態を必死というかは、分からないが、全く持ってあの時と一緒だ。

 しかし、それがなによりも楽しく、なによりも嬉しい。

 ゲームをするだけではなく、ゲームのことを考えている時間すらも、楽しくて仕方がない俺は、あることをやり始めた。
 
 それは、動画投稿だ。

 もともと、知識はあったし、面白いことは言えないが、元プロだからプレイには自信があったからだ。
 初めはそこまで、力を入れるつもりは無かったのだが、キル集を上げてみたら、思いのほか再生されてしまって、本腰を入れてやることにした。

 昔から熱中したら一直線の性格の為、ゲームを再開して、1週間でデスクトップパソコンを買い、周辺機材を全て整えてしまった。
 幸いなことに、普段から浪費家ではなかったため、給料の多くは使わず、口座に残っていたのだ。自分的にはそれを将来のために、貯金しているという感覚は無かったから、一気に使ってしまった。

 前は、動画投稿や、配信はほとんどしていなかったから、配信用の機材は、持っていたかった。それにも関わらず、今回は机まで買い替えたため、かなりの額を使ってしまった。
 大学卒業してから、きちんと働いていてよかったなと、ここまで思えたのは初めてだった。
 しかし、その出費はそこそこ痛いため、少しでも元を取れればいいなというのが本音だ。

 配信のノウハウは、よく分からない。だから取り敢えず、とにかく配信しまくることにした。そうすれば、ゲームの理解度も増すし、配信中のクリップで、またキル集も作れる。
 最高に効率がいい上、なんの無駄もないし、めんどくさいこと一切しなくていい。
 初めは人が来なくて、当たり前だと思っていたのだが、キル集のおかげか、数人程度は見に来てくれている。

 ここで、ゲームをしながら喋ると言うことがいかに難しいかを知った。見ているだけの立場なら絶対に分からないことだったと思う。接戦とかだとリスポーン待ちの状況ですら、一言も喋れない。こういうところで、面白い事が言えるのが、有名配信者なのだろうな。

 だけど配信することはただでさへ、楽しいゲームより楽しくしてくれる。
 見ている人が数人しかいないと言えど、多くのコメントをくれるので、励みにもなる。
 それに、どんなことを考えながら、プレイしているかを、話しながらやることは、視聴者にとっても、見やすいらしく、また俺も状況把握につながるから、双方にとっていい結果になっている。




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