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3話

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 毎日毎日、仕事しかしない生活。
 それは、想像以上に息苦しものだ。他の社会人の人達も皆同じような感情なのだろうか? それともこんな思いをしているのは俺だけなのか?
 なにか、日々の楽しみが欲しいと思い、色んな趣味になる得る物を試してみたものの、それのどれも、いまいちのめり込むことが出来ずに、すぐに辞めてしまった。

 そんな時だった。俺は、最近どんなゲームが話題になっているかを調べてしまった。本当に魔がさしたとしか言いようがないが、やっぱりゲームがしたいんだなと自身で理解してしまった。理解してしまったからには、その手を止めることはできなかったのだ、
 まあ、もうあれから、何年も経っているんだ。今さら競技に戻るわけでもないのだから、楽しむ程度ならいいだろう。そう、自分を納得させようとしていた。
 これも現実逃避なのだろう。

 検索して真っ先に出てきたのが、Force Stragyというゲームだった。
 つい2か月前にリリースされたばかりらしい。どうやら、フォージって訳されて呼ばれているようだ

「4vs4かぁ」

 俺がやっていたのは、バトルロワイアルゲームだから、同じFPSとはいえ、今までにやったことのないジャンルだ。
 相手が1パーティしかいないということは、かなり戦略が重要になるな。
 物は試しということで、俺は自宅用のノートパソコンに早速インストールしてみた。
 競技をやっていた時に使っていたデスクトップパソコンは、既に捨てたからない。もう二度と、ゲームなんかしないとか思いつつも、仕事用で買ったゲーミングノートパソコンだ。家で仕事をするだけなら、なんら意味のないものだったが、無意識で買ってしまっていたのだ。
 よく考えれば未練たらたらだな。
 そんなことを思っていると早速インストールが完了した。
 開いてみる、タイトル画面に大きく、Force Stragyの文字が出る。

「ああ、懐かしいな」

 前のゲームこんな感じのものだったよな。あの時は毎日ゲームを開いていたはずなのに、ほとんどタイトル画面など見ていなかったような気がする。

「あ、」

 タイトル画面を過ぎると、初めて起動するゲームにお馴染みの規約の同意。
 そして、すっかり忘れていた、プレイヤーネームの設定だ。

「いやー、どうすっかな・・・」

 まさか、当時の名前を使うわけにもいかないし。いや、実際使ってもなんの問題もないとは思うが。
 インターネットの中なんて、なりすましがいて当然だし、何より、そこまで珍しい名前でもなかったから、他に使っている人がいても不思議ではない。
 だけど、だからといっても、さすがにそれは避けたい。

「まあ、なんでもいっか」

 ふと俺は机の上にある、晩酌のお供のさきイカが目に入った。

「よし、これでいいや」

 プレイヤーネーム-イカゲソ丸

 我ながら、なかなかいいネーミングセンスだ。
 誰と話しているわけでもなく乾いた笑いが出る。

 プレイヤーネームを決めると、いよいよゲームのホーム画面になった。リリースしたばかりのゲームの割には、画面上がぐちゃぐちゃしていて、少し見ずらい。
 マッチの所に、フリーとランク戦のバナーがある。リリース2か月なのにもう、ランクマッチがあるなんて、凄いな。ちゃんと機能しているってことは、きちんと練られて作られている証拠だ。
 今はそれが主流なのだろうか?
 それともう一つ、トレーニングルーム。これは、操作に慣れるためや、主にaim練習に使う場所だろう。

 本来ならまず、ここから始めるのだろうが、面倒なのでいきなりゲームをプレイしてみることにする。
 マッチが開始すると、選択画面に移る。

「え、ジョブとかあんの?」

 防御、加速、攻撃。この3つのジョブがあるらしい。

「こうも最初からはっきり役割が分かれているゲームはやったことないな」

 とりあえず、無難であろう攻撃を選ぶ。初心者なんだし、とりあえず銃ぶっぱなしておけばいいだろう。
 その次に、武器の選択画面が出てくる。

「えー、こんなに武器の種類あんの?」

 いや、でも選択できない物があるから、これは順次解放的なやつなのか? 俺はとりあえずSMGを選択したが、全部で20種類くらいはありそうだ。サイトとか、アタッチメントも、変更できるようだ。
 そう言えば、ホームの設定画面の所に、カスタマイズの文字があったような気がするな。

「さあ、2年間のブランクはどれほどかな」
 
 この胸の高揚感は、この2年間一度も味わったことのないものだ。

「あ、やっべ」

 俺は、音が直接パソコンから出てきていることに、ここで気が付いた。
 慌てて、スマホを買った時に、一緒についてきた、安物のイヤホンをパソコンに刺した。とりあえず聞こえれば問題ないだろ。
 すると、俺のキャラクターを表すバナーの所にマイクマークがついたので、慌ててゲーム内設定を開く。そして、ボイスチャットをOFFにした。こういった時に、イヤホン自体に、マイクのON/OFFがついていないと不便だ。

 ジョブと武器の選択時間が終わると試合が始まった。すると、だだっ広い庭のような場所にリスポーンした。俺のキャラのすぐ横に、もう3人いるのが分かる。
 しかし、視界内には他に見えないので、恐らく敵はある程度離れた場所にいるのだろう。味方の3人は多少の、プレイし慣れている人のようで、開始早々に前線を上げていっている。俺もそれに着いて行くように、前に進んでいく。
 所々に、敵射線を切るためのオブジェクトのような物がある。それも大小様々で、地形を覚えているかいないかで、大きく差がでそうな感じだ。

「え!?」

 敵を視認することが出来ない中、俺の画面に赤いマークが出たと思ったら、急にリザルト画面に飛ばされた。

「もしかして、もう死んだ? まじかよ?」

 初見殺しもいいところで、どうやら俺は、遠距離からスナイパーで殺されたらしい。

「いや、これで終わりかよ! つまんねえな!」
 
 いくらなんでも、こんなにあっさりやられしまったら、面白いさを感じることすらできない。ゲームバランスもないトンだクソゲーだった。
 久々に、少しは楽しめるかと思ったのに、残念な気持ちでいっぱいだ。
 マウスから手を離し、スマホを取ろうとすると。

「ん? これもしかして?」

 ふと、俺の画面にの中央上に、数字がカウントダウンしているのが、分かった。
 それが終わると俺はもう一度リスポーンしなおしていた。
 ルールも見ずにスタートしたため、勝利条件が分からない。エリア確保系か? それとも一定以上キルすればいいのか?
 とりあえず、俺はもう一度戦うことを許されたらしい。どうやら、味方のそばにリスポーンしたようで、すぐ横で味方が射撃している。
 PVPの醍醐味はキルを取ることだ。俺はもう一度前に進んでいくが、今度はさっきみたいにならないように、遮蔽物をうまく使っていく。するとちょうど敵が俺の射線が通るところに出てきたので、これはチャンスと銃を撃つ。

「うっわ、マジかよ」 

 想像以上に銃のリコイルが難しく、めちゃくちゃ外してしまった。しかし、それを見ていた味方が、倒してくれたようで、俺にアシストが入った、すると左上にポイントのような物が、反映されたのが分かった。
 すると、俺の持っている武器が一瞬光ったのが分かった。

「なにこれ? ん? ああなるほどね!」

 どうやら、俺の持っている武器がアップグレードされたようだ。相手をキルするとポイントが入りそれで武器がアップグレードするのか。
 少し、要領を掴んだ俺は、そのまま2人を自分の力だけで倒した。
 すると、ゲーム画面に大きくVICTORYの文字が出てきた。なんだか、昔よく聞いたことのある、響きだ。

「これで勝ったのか? 勝利条件が何だったのか全く分からん」

 ゲームのルールを調べるくらいなら、サイトにも載っているだろう。そう思い、スマホで調べてみることに。

・どちらか、一方のプレイヤーが全滅したら、残っているプレイヤーチームの勝利
・キルされる度、試合の経過時間により、リスポーンまでの時間が延長される
・チームには生存時間と、キル数によってポイントが振り分けられる
・ポイントはマッチ中に、装備やスキルなどの強化や習得に使える
・ポイントは個人に振り分けられる、仕組みになっているが、チーム全体としても使える。

「リリースしたばっかりのゲームの割には、結構しっかりしているな。これは見た目以上に、一人の責任が大きそうだな」

 それに、今までにない、ゲーム性のようで、サービス開始2か月ではあるものの、凄い盛り上がりを魅せているようだ。
 凄いいいタイミングで、面白いゲームを見つけてしまった。

「よし! もう1回やるか。今度はもう少しうまく出来るだろう」

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