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第二十七話 決着
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「やるぞお前ら! 次こそしとめきる!」
男の声は焦りと混乱が支配する戦場においてもよく響き、そして耳に入る。特別特徴のある声でも、極端に大きな声でもない。しかし、そのがなり声は複数人の手下に支持を出すには最適なものであった。
それでも、その声と嫌な記憶が結びつく人も少なからずいるであろう。
「おおー!」
大きくそろった返事をすると、先ほどまでのアンバランスな物とは違う、きちんとした隊列を組みなおす。そこには、個人の勝利を目指す者はなく全員が全員の勝利のために自分にできることをやろうとしていた。
「ふんっ」
それを見て、鼻を吹かすブレンはちょっとばかり厄介だという表情をする。カエデには、その規則正しい組織としての動きが以前自分が見たことのあるものと似ており、そのことを思い出していた。
今度は長物を持っているものと剣を携えるものが一体となって襲ってくるようで、その後方では魔法士達が隙をつくためか、作るためかの魔法の準備を始める。それは、まさに人数有利を最大限に活かした戦い方であった。
「いけっ!」
その合図とともに横3列になった集団がブレンとの距離を詰めよってくる。剣と槍のような物を持ったその集団は何があってもお互いのカバーができ、且つ一回で大きなダメージ相手に与えられる長所を持ち得ている。
それは、彼らが自身の体よりも大きおな異物との戦いにおいて一番被害を少なく倒す方法と同じであった。
機動力の高火力で叩き潰す、カエデ達とは間反対の戦法であった。
「こざかしいな!」
今回が人との戦闘は初めてのカエデとは違ってブレンは慣れているようで、囲い込まれないように、その手に持つ大剣を振り距離を詰められないようにする。普段の異物との戦いで見せるひたすら前に出る突進戦法とは異なった戦い方だ。
もしかしたら、たった一人でもこの人数を相手どれるのかもしれないが、それはリスクが高い。わざわざ無理をしなくとも、今は優秀な相棒が付いている。
「わぁ!」
カエデの魔法を使わせないように、空中に幾多もの火球が飛んでくる。それは、野球ボールくらいからドッジボールのボールくらいの大きさのものもあり、術者の力量なので質も変わってくるようだ。
この世界で初めてきちんと魔法を見たカエデは、驚きと歓喜両方を含んだ声を上げる。しかし、それが少女に当たるようなことはなく、なんなくと避け後方へと過ぎ去っていく。
「私も勉強とかしたら、ああいうの使えるようになるのかなぁ?」
この世界で魔法を使うには、魔法の知識と元素の理解度が必要だとブレンが前に話していた。それは、誰でも使えるわけものでなくある程度の素質は必要のようだ。そのため、魔法の力を有する者は貴重らしい。
それでも、城の中には数多くの魔法士が存在するようだが。
「えい!」
戦闘を空中から眺めているだけでは、負けてしまうためカエデも応酬する。
そのどの元素にもそぐわない、無色とも白色ともとれる発光弾は着弾したとしても、先ほどの火球とは違い燃え出すわけでもない。しかし、殴られた以上の衝撃を与えるシンプルで厄介なものである。
「来たぞ! 盾を張れ!」
その少女の攻撃を防ぐ手段で相手は持っていた盾を自身の頭上へと構える。上から降り注ぐ鉄球に等しい衝撃を持つ魔法を防ぐ手段をそれ以外思いつかなかったのだろう。
「うぁっ!」
しかし、直撃事態は免れたものの、その衝撃は盾を構えていた人に直接わたるものであった。その耐え難い痛みで盾を持っていられなくなった者がうずくまりながら盾を離す。
「あれを、そんな木くずの盾なんかで防げるわけないだろ」
ブレンは陣形が崩れたその隙をついて、剣先を相手に向けた状態で突進して前衛の何人かに戦闘不能の致命傷を負わせた。
過去に、カエデが放つそれに興味を持ち自身の体で体験したことがあった。それは、カエデが緻密な威力調整をしてもなお、悶絶するほどの痛みであった。異物相手には遠慮なく打ち込んでいるところを見ると毎回同情したくなるほどの威力のようだ。
「そこのスパイはともかく、ブレン! なんでお前までそんなに強いんだ! 俺の予想ならこの人数いればすぐに取り押さえることができるはずだったのに!」
前衛がボロボロの状態を目の当たりにして、怒りとともに現実を認められない感情があふれ出すほどの怒号が飛んでくる。負けることなんて想定外だった男だが、心の芯までは折れていないようで、まだ威勢のいい声で圧を出そうとする。
怒鳴り声を出す大人には、嫌な記憶が結びつく少女にとってはその光景は、少しばかり不快感が顔に表れる。それでも、いつ何があってもいいように魔法を使えるよう準備はできているようなので、この世界での生き方がだいぶしみ込んでいるようであった。
「お前が自分じゃ戦わずに、ぎゃーぎゃー騒いでいる間俺はずっと戦い続けてきたんだよ。それが見える差となって出ただけじゃねーか。そんなことも分からないのか? 馬鹿が」
剣を地面に突き刺すように下ろすブレンは、この現状を見て勝負あったと思っているようだ。
それもそのはずで、前衛は崩壊。後衛にいる魔法士の魔法は一切カエデには当たらず。これ以上戦ったとしてもカエデとブレンが圧勝するだけ。二人も異物には容赦がないが、人間を自ら殺したいなんて思ってはいない。そのため、ここで降参してくれること望んでの行動だ。
それを察したカエデも地面に降りてくる。
「クッソ! なんでこういう時に限ってあいつはいないんだよ。やっぱりあの時にやっとくべきだったか」
そんな丸聞こえでの独り言を口にする。
それが誰を指すかは分からないが、プライドの高い彼がそこまで信頼を置いている人物がいることをブレンも知らなかったであろう。
もし、その人物の実力が二人を上回るものであったのならば、それはこの上ないほど運がよかったことになる。だが、今のこの圧倒さを見ればたった1人ここに追加されたからといって大きく変わるとは思えない。
「おい! お前ら立て!」
2人の攻撃により自身のそばで倒れれていた者の腕を引っ張り無理やり起こす。それを見て、続くようによろけながらも自身の武器を支えに立ち上がる者もいた。
「なんだその体たらくは! そんなんで城に入れると思っているのか!」
終始変わらない横暴な態度は、それしか信じることのできない人達にとっては効くようで再び戦闘の意志を表す。
その痛々しい姿を目にするだけで、悲しくなってきたカエデはどうすればいいか分からず、ブレンの方を見る。
2人を捕らえることが目的であったはずだが、その当初の目的よりも、1人の男の指示だけが体を動かす原動力になっているようであった。
カエデ達の圧勝で終わる戦闘が再び始まろうとしていた、その時であった。
「お止めなさい」
男の声は焦りと混乱が支配する戦場においてもよく響き、そして耳に入る。特別特徴のある声でも、極端に大きな声でもない。しかし、そのがなり声は複数人の手下に支持を出すには最適なものであった。
それでも、その声と嫌な記憶が結びつく人も少なからずいるであろう。
「おおー!」
大きくそろった返事をすると、先ほどまでのアンバランスな物とは違う、きちんとした隊列を組みなおす。そこには、個人の勝利を目指す者はなく全員が全員の勝利のために自分にできることをやろうとしていた。
「ふんっ」
それを見て、鼻を吹かすブレンはちょっとばかり厄介だという表情をする。カエデには、その規則正しい組織としての動きが以前自分が見たことのあるものと似ており、そのことを思い出していた。
今度は長物を持っているものと剣を携えるものが一体となって襲ってくるようで、その後方では魔法士達が隙をつくためか、作るためかの魔法の準備を始める。それは、まさに人数有利を最大限に活かした戦い方であった。
「いけっ!」
その合図とともに横3列になった集団がブレンとの距離を詰めよってくる。剣と槍のような物を持ったその集団は何があってもお互いのカバーができ、且つ一回で大きなダメージ相手に与えられる長所を持ち得ている。
それは、彼らが自身の体よりも大きおな異物との戦いにおいて一番被害を少なく倒す方法と同じであった。
機動力の高火力で叩き潰す、カエデ達とは間反対の戦法であった。
「こざかしいな!」
今回が人との戦闘は初めてのカエデとは違ってブレンは慣れているようで、囲い込まれないように、その手に持つ大剣を振り距離を詰められないようにする。普段の異物との戦いで見せるひたすら前に出る突進戦法とは異なった戦い方だ。
もしかしたら、たった一人でもこの人数を相手どれるのかもしれないが、それはリスクが高い。わざわざ無理をしなくとも、今は優秀な相棒が付いている。
「わぁ!」
カエデの魔法を使わせないように、空中に幾多もの火球が飛んでくる。それは、野球ボールくらいからドッジボールのボールくらいの大きさのものもあり、術者の力量なので質も変わってくるようだ。
この世界で初めてきちんと魔法を見たカエデは、驚きと歓喜両方を含んだ声を上げる。しかし、それが少女に当たるようなことはなく、なんなくと避け後方へと過ぎ去っていく。
「私も勉強とかしたら、ああいうの使えるようになるのかなぁ?」
この世界で魔法を使うには、魔法の知識と元素の理解度が必要だとブレンが前に話していた。それは、誰でも使えるわけものでなくある程度の素質は必要のようだ。そのため、魔法の力を有する者は貴重らしい。
それでも、城の中には数多くの魔法士が存在するようだが。
「えい!」
戦闘を空中から眺めているだけでは、負けてしまうためカエデも応酬する。
そのどの元素にもそぐわない、無色とも白色ともとれる発光弾は着弾したとしても、先ほどの火球とは違い燃え出すわけでもない。しかし、殴られた以上の衝撃を与えるシンプルで厄介なものである。
「来たぞ! 盾を張れ!」
その少女の攻撃を防ぐ手段で相手は持っていた盾を自身の頭上へと構える。上から降り注ぐ鉄球に等しい衝撃を持つ魔法を防ぐ手段をそれ以外思いつかなかったのだろう。
「うぁっ!」
しかし、直撃事態は免れたものの、その衝撃は盾を構えていた人に直接わたるものであった。その耐え難い痛みで盾を持っていられなくなった者がうずくまりながら盾を離す。
「あれを、そんな木くずの盾なんかで防げるわけないだろ」
ブレンは陣形が崩れたその隙をついて、剣先を相手に向けた状態で突進して前衛の何人かに戦闘不能の致命傷を負わせた。
過去に、カエデが放つそれに興味を持ち自身の体で体験したことがあった。それは、カエデが緻密な威力調整をしてもなお、悶絶するほどの痛みであった。異物相手には遠慮なく打ち込んでいるところを見ると毎回同情したくなるほどの威力のようだ。
「そこのスパイはともかく、ブレン! なんでお前までそんなに強いんだ! 俺の予想ならこの人数いればすぐに取り押さえることができるはずだったのに!」
前衛がボロボロの状態を目の当たりにして、怒りとともに現実を認められない感情があふれ出すほどの怒号が飛んでくる。負けることなんて想定外だった男だが、心の芯までは折れていないようで、まだ威勢のいい声で圧を出そうとする。
怒鳴り声を出す大人には、嫌な記憶が結びつく少女にとってはその光景は、少しばかり不快感が顔に表れる。それでも、いつ何があってもいいように魔法を使えるよう準備はできているようなので、この世界での生き方がだいぶしみ込んでいるようであった。
「お前が自分じゃ戦わずに、ぎゃーぎゃー騒いでいる間俺はずっと戦い続けてきたんだよ。それが見える差となって出ただけじゃねーか。そんなことも分からないのか? 馬鹿が」
剣を地面に突き刺すように下ろすブレンは、この現状を見て勝負あったと思っているようだ。
それもそのはずで、前衛は崩壊。後衛にいる魔法士の魔法は一切カエデには当たらず。これ以上戦ったとしてもカエデとブレンが圧勝するだけ。二人も異物には容赦がないが、人間を自ら殺したいなんて思ってはいない。そのため、ここで降参してくれること望んでの行動だ。
それを察したカエデも地面に降りてくる。
「クッソ! なんでこういう時に限ってあいつはいないんだよ。やっぱりあの時にやっとくべきだったか」
そんな丸聞こえでの独り言を口にする。
それが誰を指すかは分からないが、プライドの高い彼がそこまで信頼を置いている人物がいることをブレンも知らなかったであろう。
もし、その人物の実力が二人を上回るものであったのならば、それはこの上ないほど運がよかったことになる。だが、今のこの圧倒さを見ればたった1人ここに追加されたからといって大きく変わるとは思えない。
「おい! お前ら立て!」
2人の攻撃により自身のそばで倒れれていた者の腕を引っ張り無理やり起こす。それを見て、続くようによろけながらも自身の武器を支えに立ち上がる者もいた。
「なんだその体たらくは! そんなんで城に入れると思っているのか!」
終始変わらない横暴な態度は、それしか信じることのできない人達にとっては効くようで再び戦闘の意志を表す。
その痛々しい姿を目にするだけで、悲しくなってきたカエデはどうすればいいか分からず、ブレンの方を見る。
2人を捕らえることが目的であったはずだが、その当初の目的よりも、1人の男の指示だけが体を動かす原動力になっているようであった。
カエデ達の圧勝で終わる戦闘が再び始まろうとしていた、その時であった。
「お止めなさい」
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