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治癒術師 クレア・キャンベル

治癒術師 クレア・キャンベル(2)

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 アジムは指輪の話が一段落するのを待っていたソフィアから自分を雇いたいというパーティとの連絡先や待ち合わせの場所、時間の情報をもらって、紅茶をすすりながらアジムを待ってくれていたクラウスに向き直った。

「ごめん、おまたせ」

 アジムの言葉にクラウスは笑みを浮かべて手を振った。

「いやいや。僕の方はお礼とお願いだからね。
 むしろ来てもらったのが申し訳ないくらいだよ」
「お礼とお願い?」
「そうそう」

 アジムが聞き返す言葉に頷いたクラウスは、視線をリリィに転じる。

「リリィさん、アジムを借りていっていいかな。
 リリィさんも一緒に来てもらっても全然構わないけど」
「別に私に許可を取らなくてもいいんだけど。
 んー……」

 お付き合いを始めたばかりのカップルに気を使ったクラウスに、リリィはほんのり嬉しさを滲ませて返して考えを巡らせる。

「<拒絶の指輪>は早めに作っておいたほうがいいんじゃないかしら。
 アジムさんが脳破壊されると可哀想でしょう」

 メルフィナの言葉にリリィは頷くが、

「うん、私もそう思うんだけど……。
 指輪を作ってくれる細工師さんに知り合いがいないからどうしようかなって」
「いや、それならご挨拶がてらお願いできる人がいるじゃない」

 メルフィナにあきれたように言われてリリィはアジムの唯一の肉親に思い至った。

「あ、リュドミラさん」
「あの人なら鍛冶も細工もできて、
 デザイン面もすごくいいもの作ってくれるでしょう」
「そうだね」

 現実リアルで建築デザインをやっていて、こちらオンラインでは服やアクセサリを作っているリュドミラのセンスは飛びぬけている。チューリッヒのようなプレイヤータウンで店を出すつもりはないようだが『ボッタクル商店』のようなゲーム内でも大手の百貨店に入っているブティックと比較しても、片田舎の店の棚に並べたリュドミラの服やアクセサリはデザインでも品質でも上をいく。

 アジムに嵌めてもらう<拒絶の指輪>を作ってほしいと依頼すれば、きっと喜んで作ってくれるだろう。

 メルフィナと頷きあったリリィはそのまま視線をアジムに向けると、

「じゃあ、私はお義姉ねえさんにご挨拶して、
 指輪をお願いに行ってくるよ」
「わかりました」

 アジムは頷いて、少し躊躇ってから、自分よりも姉と仲良くなっていそうなリリィにお願いした。

「姉にリリィさんと会うことができたゲームに誘ってくれてありがとうと伝えてください。
 近いうちにお礼に行くとも」

 リリィはその言葉を笑みを浮かべて受け取った。

「うん!
 私もアジムくんをゲームに誘ってくれたことにお礼を言うよ!
 今度は一緒に行こうね」

 いつの間にやら<集中>に入っていたメルフィナが、リュドミラの衣料品店への<帰還の門リコール・ゲート>を開く。アジムと言葉を交わしあったリリィは明るい笑みを残し、手を振ってその中へと姿を消した。その後ろに当たり前のような顔をしてメルフィナも続き、二人の姿が消えるとしばらくして<帰還の門リコール・ゲート>の光の扉も姿を消した。

「……メルフィナさんも行っちゃいましたけど、
 この家の鍵とかはどうするんでしょう」
「鍵はかけて行ったんじゃないの?
 僕らもどうせ<帰還リコール>で移動するし、
 問題はないと思うよ」

 クラウスはそう言って<集中>に入った。自由に<帰還リコール>を使えないアジムを送迎してくれるようだ。

「ソフィアさんはどうします?」
「私は契約成立を伝えに行かないと」

 アジムがソフィアと言葉を交わしている間に、クラウスの<集中>が終わって<帰還の門リコール・ゲート>の青白い光の門が現れる。

「んじゃ、行こうか。
 向こうでうちの嫁ラシードがごちそうを用意してくれてるから」
「はぁ」
「あ、もしかしてご飯を食べれそうにない?
 先に少しお腹が空くようなことをしたほうがいいかな」
「いや、食べられないことはないけど」

 そんなに歓待される理由が思い当たらないアジムは「いってらっしゃい」と手を振るソフィアに手を振替し、首をかしげながら<帰還の門リコール・ゲート>に足を踏み入れた。
 いつものように視界を遮る光に目を細め、一瞬の浮遊感に身をまかせていると、ほどなく視界が取り戻されて気がつくとそこは異国の屋敷の前だった。以前も来たことのある、アレクサンドリアのラシードの屋敷だ。石造りで鮮やかな幾何学模様アラベスクに彩られ、宮殿のような煌びやかさをまとっている。ただ煌びやかなだけでなく、随所にあえて彩色されていない茶色い石の面が見えている場所を残しており、それが逆に全体としてのまとまりを作っていた。

 アーチ形の門をくぐり、クラウスに促されるまま屋敷を進む。恐ろしく広いラシードの屋敷は2度目の訪問のアジムにはどこをどう歩いているのかまったくわからない。途中で目にした中庭の噴水も以前来たときとは形が違っていて、違う場所を通っていることくらいしかわからなかった。

 クラウスの後をついて歩く廊下も分厚い絨毯が敷き詰められていて、ずしりと重いアジムの足を柔らかく受け止めてくれている。当然のように天井も高く、アジムがアジムを肩車してようやく手が届くだろうか。部屋のドアでさえアジムが屈まずに出入りできる大きさだ。

 自分の大きさが苦にならない屋敷の広さと大きさを嬉しく思いながら、クラウスの案内で居間らしき部屋に入る。

 明らかに廊下に敷かれていたものとは別格の絨毯が敷かれており、クッションが背もたれになるよういくつも置かれていた。その中央にでっぷりと太い汗ばんだ身体を真っ白なゆったりとしたはずの衣類をぴちぴちにして収め、出っ張った腹を邪魔そうにしながら胡坐をかいてラシードが座っていた。

「アジムさん!」

 浅黒く贅肉の多いスケベづらだが、アジムが入ってきたことに気づくいて表情を明るいものにかえると、意外なほど愛嬌のあるものに変わる。

「お礼をするのにお呼び立てしてすみません」
「いえ。
 というより、俺は何のお礼をされるんでしょう?」

 アジムはクラウスに促されてクッションの一つに腰を落ち着けながら、ラシードとその横に腰を下ろしたクラウスに聞いた。当然居るものだと思っていたミランダオンライン嫁がいないのも気になる。

 ラシードはそれを応える前に、大きく音が出るように手を叩いた。それと同時に部屋の外から何かが動き出す気配がして、料理を満載した皿を手に給仕の女性たちが流れ込んできた。続々と絨毯の上に並べられていく料理を横目に、

「先日、うちの旦那が現実リアル
 アジムさんにお世話になったじゃないですか」
「ああ」

 リリィやメルフィナが現実リアルのアジムの家に泊まりに来たいと言い出したときのことだろう。クラウスが泊まりに来てくれたおかげで、リリィと現実リアルでの付き合いが始まったのだ。礼を言いたいのはアジムのほうだ。

「あの時はどうも。
 クラウスが来てくれたおかげで、
 ほかの人たちが来てくれて、
 とても楽しく過ごせました」
「今度は私も誘ってくださいね!
 いえ、そうではなく」

 ラシードは咄嗟に返してしまってから胡坐をかいていた足を正座にして居住まいを正し、

「あの時、うちの旦那にお土産を持たせてくれたじゃないですか」
「……何を渡しましたっけ」
「ほら、あの茄子と葉っぱ」
「ああ、水なすとアイスプラント」
「そうそう。それと水なすにつけたら美味しいって言ってくれた
 柚子の香りのするお味噌も」

 アジムはクラウスに言われて手渡した土産を思い出した。

「え、まさか食べてお腹を壊したとか!?」
「それならお礼じゃなくてお礼参りになるよ。
 そうじゃなくて、どれもすごく美味しかったんだよ」
「それならよかった」

 焦って腰を浮かせかけたアジムだったが、クラウスに言われて尻をクッションの上に戻す。

「でね? あのお土産をもらって帰った日に、
 さっそく家で美味しくいただいてたんだけどさ」
「野菜嫌いのウチの子たちが、
 私と旦那が美味しい美味しい言ってるのに興味を持って、
 お茄子とアイスプラントを食べてみたいと言い出したんです」
「そうしたらもう止まらなくってさ。
 美味しい美味しいって。
 上の子は小学校だから嫌いなものでも
 我慢して食べるようになったんだけど、
 下の子はまだ幼稚園だから野菜が嫌で泣いちゃったりするんだよね」
「上の子も本当に我慢っ!っていう感じで食べていたんですけど、
 いただいたお茄子とアイスプラントは本当に美味しかったらしくて。
 あんなに喜んで野菜を食べてくれて……」

 ラシードがじんわりと涙ぐむ。
 野菜を食べさせるのに本当に苦労していたのだろう。

「ええと、水なすはアクが少ないからわかるんですが、
 アイスプラントも……?」
「うん。僕は一口しか食べさせてもらえないくらい
 もりもり食べてた」
「あれはかなり癖のあるお野菜だと思うんですけどねぇ……?」

 アジムは首をかしげるが、実際に子供たちが食べてくれたのは本当なのだろう。
 それなら野菜を作ったアジムも嬉しい。

「お土産に野菜を持たせてくれて、本当にありがとう!
 で、ここからがお願いなんだけど」
「アジムさんの作るお野菜なら、
 ウチの子たちも食べてくれるかもしれないと思うんです。
 だから、お野菜を送っていただけないでしょうか」
「ああ、大丈夫ですよ。送ります」
「本当ですか!?
 ありがとうございます!」
「ただ、水なすもアイスプラントもウチじゃあ通年で採れる野菜じゃないので、
 季節に合わせたものになりますけど」

 喜びながら頷くラシード。クラウスはそれを見て微笑みながら、

「じゃあ、代金引換で5000円分くらいを送ってくれるかな。
 あ、こっちが無理を言うんだから、道の駅に卸しているものよりも、
 利益を乗せて計算してよ?」
「あー……気遣いは感謝するけど、
 利益を乗せてもうちの野菜で5000円って
 大きめの段ボール二箱とかになるけど、多すぎないかな。
 俺が作っているわけじゃないけど、果物とか単価の高いもの混ぜていいか?」
「わあ、それはむしろ嬉しいな。
 アジムの目利きで選んでもらえる果物なら美味しそうだし」

 話がまとまって頷きあったときには、絨毯の上に料理が所狭しと並べられていた。どれも馴染みはないが、食欲を刺激する匂いを立ち昇らせている。
 
現実リアルのお礼を仮想VRでするもの失礼だとは思うんだけどね。
 まずはお礼したいってことをわかってほしいと思って
 できるだけのものを用意してみたよ」

 スパイスの香りが強いのはお国柄だろうが、アジムには意外だったが緑の野菜も多く並んでいる。パセリやトマト、玉ねぎを細かく刻んでオリーブオイルやレモン汁であえたタブーレ前菜サラダはもちろんだが、薄焼きパンにも肉と一緒にレタスやオリーブ、トマトやキュウリらしきもののピクルスなどが挟まっていた。見た目からはわからなったが食べてみれば茄子の風味が優しく感じられるムタッバル焼きナスのペーストも野菜の甘みが旨い。
 肉は羊肉がスパイスをたっぷりまぶして炙ったものが饗されている。スパイスの加減で同じ肉でも違った旨さを見せる。アジムは羊肉には馴染みはなかったが、癖のある臭いをやみつきになる味へと昇華させたそれがとても気に入った。
 ほかにもクスクス小粒パスタと一緒にチキンサルーナ鶏のスパイス煮込み添えられた皿があったり、サクッとうまいファラフェルひよこ豆のコロッケクッペ羊肉メンチカツなど腹の膨れるものもたっぷりと用意されていて、大容量なアジムの腹を満たしていってくれる。
 酒は度の強い蒸留酒を勧められたが、イスラム圏でうっかり酔ったまま外に出るのは怖い。それよりも珍しい食べ物をたくさん食べたかったので、布で顔や髪を隠して柔らかく緩む目元しかみえなくとも美しいことがわかる肉感的な侍女が酒壺を差し出してくれたが、礼を言って一杯だけもらっておいて、あとはひたすら用意してもらった料理をいただくことにした。

 ほとんどの皿を空にしたアジムは侍女が酒ではなくチャイスパイスミルクティを用意してくれたので礼を言って受け取り、満足のため息をついた。

「いやぁ、相変わらずいい食いっぷりだ」

 クラウスのあきれ半分、称賛半分の声を聞きつつ、大量に用意したのに料理を追加することになるのではと様子を見に来たシェフや侍女、ラシードに向かって頭を下げた。

「ご馳走様でした」

 シェフや侍女たちが笑顔で応じてくれる。

「ご満足いただけましたか?」
「はい、とても美味しかったです。
 スパイスを使う料理ってカレーくらいしか知らなかったですけど、
 色々あるんですねぇ」

 お茶を飲みつつ食休みをしていると、視界の端にメッセージ着信のアイコンが表示された。
 クラウスとラシードに断って目を閉じ、瞼にメッセージを表示させる。

「ソフィアさんからかい?」
「はい。
 今度参加するパーティと一緒に戦う相手についてですね」
「おっ。何と戦うんだい?」
首なしの騎士デュラハンだそうです」
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