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治癒術師 クレア・キャンベル
治癒術師 クレア・キャンベル(1)
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「と、いうわけで、リリィさんとお付き合いすることになりました」
「デートだけどアジムくんは神戸が初めてなんだからしっかり観光案内をしないと!」と気を張りつつも恋愛方面には完全にノーガードだったリリィにハーバーランドの岸壁でまっすぐに告白し、突然のことにパニックになったリリィをそのまま押し切って正式に恋人の座についたアジムは、クラウスとソフィアから来てほしいと連絡のあったメルフィナの塔で顔を合わせた面々に宣言した。
「ふーん」
「それで、今回アジムさんを雇いたいというパーティについてなんですが」
「あ、このクッキー美味しい」
それを聞いたクラウス、ソフィア、そして家主のメルフィナにものすごく雑に流され、アジムはリアクションの薄さに驚いて何度か目を瞬かせる。当然のように一緒についてきたリリィも渋面をつくった。
「みんな揃ってその対応はひどくない?」
リリィに言われた3人は顔を見合わせる。
「だって……」
「ねぇ?」
「ようやく感がすごくて、今更おめでとう! って感じでもないし」
3人からそんな風に言われたが、リリィは勝ち誇ったように笑みを浮かべ、
「お付き合いは現実のほうを含めてなんだよ。
それは予想外だったでしょ」
リリィの言葉にクラウスとソフィアは驚きの声を上げた。
「へぇ、それは確かに予想外だったね」
「私たちが知らない間に現実のほうでも
そんなに仲良くなっていたんですね」
メルフィナは何故かリリィではなくアジムに視線を向けてくる。
「告白はアジムさんから?」
「はい、そうです」
「またリリィちゃんをお家に招いたんですか?」
「いえ、俺が神戸にお邪魔しました」
「遠いところまで……日帰りだと大変だったでしょう」
「いえ、メルフィナさんの言う通り家からだととても遠いので、
結局泊りがけになってしまって」
「アジムくんっ!」
そんな会話を続けていると焦ったようにリリィが会話に割り込んできたが、メルフィナがにまぁっと笑ってリリィに視線を向けた。
アジムは獲物を見つけた猫のような笑みでリリィを見るメルフィナに首を傾げるが、
「じゃあ、こちらの本題に入らせていただきましょうか」
ちらちらと視線をリリィとメルフィナに向けつつもこちらに向かって話しかけてくるソフィアに向かって頷いた。
「はい。俺を前衛として雇ってくれるパーティが見つかったというお話でしたね」
「ええ。すごい数の雇用希望があったので、
勝手ですが私の方で選別させていただいています。
雇用価格はあまり重視せず、
アジムさんの知らない場所で冒険して知らない魔物と戦えること、
冒険が終わった後にアジムさんと模擬戦をしてくれて、
アジムさんに指導もしてくれることを条件にして選別しました」
「ありがとうございます!」
アジムとしてはとてもありがたい条件だ。
特に、模擬戦の相手と指導をしてくれるのはありがたい。
戦った後に駄目だった動きや、やられて嫌だったことを、やられた本人の口から説明してもらえれば、より有効な動きに近づけていける。
「地風火水の魔法剣士が一人ずつで四人と、
強化・回復を担当する魔法使いが一人のパーティだそうです。
アジムさん、土と風の魔法剣士は戦闘経験ありませんでしたよね?」
「はい。火はリリィさん、水は<戦乙女の饗宴>のウルさんで経験がありますが、
土と風は経験ないですね。
やっぱり四大属性の魔法剣士は多いんですか?」
「火がわかりやすくて攻撃に使いやすいので多いですね。
風も切り裂く攻撃が使いやすいので多いです。
水と土はちょっとレアな感じですね。
ものすごく珍しいというわけでもないですが」
「なるほど」
アジムは納得して頷いた。
使い手の多い四大属性の魔法剣士は対策しておいて損はないだろう。指導付きで対策をさせてもらえる上に、知らない魔物と戦える冒険はこちらからお金を出してやりたいくらいだ。それをお金をもらってやらせてもらえるのだから、本当にありがたい。
「模擬戦の後は寝取られプレイがお望みだそうなので、
よろしくお願いしますね」
「ちょちょちょちょ」
と、思っていたのだが、最後に付け足された言葉に、アジムは慌てすぎて言葉にならないまま声を挟んだ。
「なにか問題がありましたか?」
「いや、問題しかないと思います!」
アジムの言葉にソフィアは訝しそうに首を傾げた。芝居がかったものではなく、本当に意味がわからないらしい。
「俺はリリィさんとお付き合いを始めたんです」
「はい、おめでとうございます?」
「だから、他の女の人とそういうことをするのは、
ダメだと思うんです」
「どうしてですか?」
「いや、一般的にそうだと思いますけど」
「そうですか?」
あまりにも噛み合わない常識に、アジムは自分のほうが間違っているのかと不安を感じ始めた。
「あの……リリィさん、ちょっといいですか」
「あ! どうしたかなアジムくん!」
神戸の夜の仔細を聞き出そうとするメルフィナを、しどろもどろになりながらどうにか誤魔化していたリリィは、アジムに声をかけられてこれ幸いとこちらに逃げ出してきた。
「あの、俺が雇われるパーティの人に、
寝取りプレイを求められているんですけど……」
「ああ、いいね。
最初は嫌がっててもベッドで恋人との違いを理解らせられて、
堕とされるプレイはそういう性癖の人にはたまらないと思うよ」
「……俺が別な女性を抱くのは平気なんですか?」
ヘコんだ声を出すアジムに、アジムが何を問題にしているのか理解したリリィは慌てて、
「現実のほうだったらもちろん嫌だよ!
浮気だよ!
でも、これは仮想内のことだからね?
私は仮想内でのことは現実とは別物だと思ってるから」
「そうなんですか……」
「まあ、極端な話だけど、
アジムくんを15殺以上してるけど、
シズカさんが大量殺人者だとは思わないでしょ?」
シズカの名前を出されて、そういえばと人妻であるシズカを仮想内で散々に陵辱したことを思い出した。シズカもその現実の伴侶であるイオリも、現実でアジムにあったときも何ら思うところはなかったようだ。それがこのゲーム内では当たり前のことなのだろう。
「そうですね……
俺のほうが珍しいのかな」
「そうだと思うよ。ゲーム内でのそういうことは、
レクリエーションの一つだと思われてるから、
参加しなくても別に悪く思われたりはしないと思うけど、
ん~……社内の飲み会に参加しない人、みたいな扱いになるかな」
会社という組織に所属していないアジムにはリリィの説明はピンとこなかったが、付き合いがあまり良くない人、というのはなんとなく伝わった。
「はぁ……じゃあ、求められたら応じるくらいにします」
「うん! あ、ちなみに私が寝取られプレイしたら」
もうアジム以外で満足できないのはわかっているのでそんなことをするつもりはないのだが。
アジムはリリィに言われた言葉を吟味するようにしばらく宙に視線をさ迷わせた後、眉を八の字にして途方に暮れたように言った。
「……哀しいです」
その声を聞いて、興味本位で問うたリリィはとても後悔した。
想像の間男に向けた攻撃でもリリィに向けた執着でもなく、ただ哀しいと応えたその声がどうしようもない淋しさをうかがわせて、胸が苦しくなった。
他者との縁が薄いアジムが初めて望んで結んでくれた関係性を、弄ぶようなことを言うべきではなかった。
「ごめんね……
絶対そんなことしないから」
リリィの謝罪にアジムは笑みを戻して頷いてくれたが、本当に酷いことを言ってしまった自覚のあるリリィは簡単に切り替えられない。
「間違っても寝取られないように、
<拒絶の指輪>をしておいたほうがいいんじゃないかしら」
そんなリリィにメルフィナが声をかけてくれた。
「ああ、そうだね。
忘れるところだったよ」
「指輪ですか?」
「うん」
システム的に魔物に負けると女性は犯され孕まされ、永遠に新たな魔物の産み続ける母体にされてしまう。だが、アジムのようにパートナーを寝取られるのに拒否反応があるプレイヤーも当然いる。その救済策となるのがメルフィナの提案した<拒絶の指輪>だ。
その指輪を身に着けていれば、男性が魔物に負けた時と同じように犯されることなく殺され、その身体を食われるようになる。
精神的なダメージを考えなければ体力を回復すれば戦線復帰できる陵辱と比べ、殺されてしまえば蘇生魔法のために大量の魔力を消費することとなる。冒険家としてみればペナルティになるその指輪だが、つけるものはそれなりに多い。
プレイヤー同士ではシステムの制限はないので指輪をしているプレイヤーを無理やり犯すこともできるが、それをしたプレイヤーは他者を配慮しないプレイヤーとして、ほかのプレイヤーから悪意を持って一切の配慮をしてもらえなくなる。
冒険をすればPKに狙われるのは当然として、物の売り買いも拒否されるかひどいぼったくり価格でしかしてもらえなくなり、街中を歩いていてもいきなり口を塞がれて暗がりに連れ込まれ、身ぐるみをはがされた上になぶり殺しにされるのが日常茶飯事になる。
それほどまでに<拒絶の指輪>は尊重されるのだ。
「そんな指輪があったんですね。
見たことありませんでした」
アジムが感心したように呟くのに、リリィは苦笑しながら言葉を返す。
「まあ、今までの私も含めて、
ウチやウチと付き合いのあるギルドは、
性癖がアレだからね……」
アジムも思わず苦笑を返す。
「それにしても、
<拒絶の指輪>をしている人を襲ってしまわなくてよかったです」
「<拒絶の指輪>をしている人を襲おうとしたら、
確認メッセージが表示されるから大丈夫だよ。
まあ、アジムくんは襲ってほしいって言ってる人しか襲ってなかったしね」
アジムが納得して頷くと、
「<拒絶の指輪>は自分ではめるとすべての魔物と人を拒否することになるんだけど、
誰かに指に嵌めてもらうと、
その嵌めてくれた人以外を拒否する指輪になるんだ」
リリィはそう説明してアジムに笑いかけた。
「私に嵌めてね、アジムくんっ」
「デートだけどアジムくんは神戸が初めてなんだからしっかり観光案内をしないと!」と気を張りつつも恋愛方面には完全にノーガードだったリリィにハーバーランドの岸壁でまっすぐに告白し、突然のことにパニックになったリリィをそのまま押し切って正式に恋人の座についたアジムは、クラウスとソフィアから来てほしいと連絡のあったメルフィナの塔で顔を合わせた面々に宣言した。
「ふーん」
「それで、今回アジムさんを雇いたいというパーティについてなんですが」
「あ、このクッキー美味しい」
それを聞いたクラウス、ソフィア、そして家主のメルフィナにものすごく雑に流され、アジムはリアクションの薄さに驚いて何度か目を瞬かせる。当然のように一緒についてきたリリィも渋面をつくった。
「みんな揃ってその対応はひどくない?」
リリィに言われた3人は顔を見合わせる。
「だって……」
「ねぇ?」
「ようやく感がすごくて、今更おめでとう! って感じでもないし」
3人からそんな風に言われたが、リリィは勝ち誇ったように笑みを浮かべ、
「お付き合いは現実のほうを含めてなんだよ。
それは予想外だったでしょ」
リリィの言葉にクラウスとソフィアは驚きの声を上げた。
「へぇ、それは確かに予想外だったね」
「私たちが知らない間に現実のほうでも
そんなに仲良くなっていたんですね」
メルフィナは何故かリリィではなくアジムに視線を向けてくる。
「告白はアジムさんから?」
「はい、そうです」
「またリリィちゃんをお家に招いたんですか?」
「いえ、俺が神戸にお邪魔しました」
「遠いところまで……日帰りだと大変だったでしょう」
「いえ、メルフィナさんの言う通り家からだととても遠いので、
結局泊りがけになってしまって」
「アジムくんっ!」
そんな会話を続けていると焦ったようにリリィが会話に割り込んできたが、メルフィナがにまぁっと笑ってリリィに視線を向けた。
アジムは獲物を見つけた猫のような笑みでリリィを見るメルフィナに首を傾げるが、
「じゃあ、こちらの本題に入らせていただきましょうか」
ちらちらと視線をリリィとメルフィナに向けつつもこちらに向かって話しかけてくるソフィアに向かって頷いた。
「はい。俺を前衛として雇ってくれるパーティが見つかったというお話でしたね」
「ええ。すごい数の雇用希望があったので、
勝手ですが私の方で選別させていただいています。
雇用価格はあまり重視せず、
アジムさんの知らない場所で冒険して知らない魔物と戦えること、
冒険が終わった後にアジムさんと模擬戦をしてくれて、
アジムさんに指導もしてくれることを条件にして選別しました」
「ありがとうございます!」
アジムとしてはとてもありがたい条件だ。
特に、模擬戦の相手と指導をしてくれるのはありがたい。
戦った後に駄目だった動きや、やられて嫌だったことを、やられた本人の口から説明してもらえれば、より有効な動きに近づけていける。
「地風火水の魔法剣士が一人ずつで四人と、
強化・回復を担当する魔法使いが一人のパーティだそうです。
アジムさん、土と風の魔法剣士は戦闘経験ありませんでしたよね?」
「はい。火はリリィさん、水は<戦乙女の饗宴>のウルさんで経験がありますが、
土と風は経験ないですね。
やっぱり四大属性の魔法剣士は多いんですか?」
「火がわかりやすくて攻撃に使いやすいので多いですね。
風も切り裂く攻撃が使いやすいので多いです。
水と土はちょっとレアな感じですね。
ものすごく珍しいというわけでもないですが」
「なるほど」
アジムは納得して頷いた。
使い手の多い四大属性の魔法剣士は対策しておいて損はないだろう。指導付きで対策をさせてもらえる上に、知らない魔物と戦える冒険はこちらからお金を出してやりたいくらいだ。それをお金をもらってやらせてもらえるのだから、本当にありがたい。
「模擬戦の後は寝取られプレイがお望みだそうなので、
よろしくお願いしますね」
「ちょちょちょちょ」
と、思っていたのだが、最後に付け足された言葉に、アジムは慌てすぎて言葉にならないまま声を挟んだ。
「なにか問題がありましたか?」
「いや、問題しかないと思います!」
アジムの言葉にソフィアは訝しそうに首を傾げた。芝居がかったものではなく、本当に意味がわからないらしい。
「俺はリリィさんとお付き合いを始めたんです」
「はい、おめでとうございます?」
「だから、他の女の人とそういうことをするのは、
ダメだと思うんです」
「どうしてですか?」
「いや、一般的にそうだと思いますけど」
「そうですか?」
あまりにも噛み合わない常識に、アジムは自分のほうが間違っているのかと不安を感じ始めた。
「あの……リリィさん、ちょっといいですか」
「あ! どうしたかなアジムくん!」
神戸の夜の仔細を聞き出そうとするメルフィナを、しどろもどろになりながらどうにか誤魔化していたリリィは、アジムに声をかけられてこれ幸いとこちらに逃げ出してきた。
「あの、俺が雇われるパーティの人に、
寝取りプレイを求められているんですけど……」
「ああ、いいね。
最初は嫌がっててもベッドで恋人との違いを理解らせられて、
堕とされるプレイはそういう性癖の人にはたまらないと思うよ」
「……俺が別な女性を抱くのは平気なんですか?」
ヘコんだ声を出すアジムに、アジムが何を問題にしているのか理解したリリィは慌てて、
「現実のほうだったらもちろん嫌だよ!
浮気だよ!
でも、これは仮想内のことだからね?
私は仮想内でのことは現実とは別物だと思ってるから」
「そうなんですか……」
「まあ、極端な話だけど、
アジムくんを15殺以上してるけど、
シズカさんが大量殺人者だとは思わないでしょ?」
シズカの名前を出されて、そういえばと人妻であるシズカを仮想内で散々に陵辱したことを思い出した。シズカもその現実の伴侶であるイオリも、現実でアジムにあったときも何ら思うところはなかったようだ。それがこのゲーム内では当たり前のことなのだろう。
「そうですね……
俺のほうが珍しいのかな」
「そうだと思うよ。ゲーム内でのそういうことは、
レクリエーションの一つだと思われてるから、
参加しなくても別に悪く思われたりはしないと思うけど、
ん~……社内の飲み会に参加しない人、みたいな扱いになるかな」
会社という組織に所属していないアジムにはリリィの説明はピンとこなかったが、付き合いがあまり良くない人、というのはなんとなく伝わった。
「はぁ……じゃあ、求められたら応じるくらいにします」
「うん! あ、ちなみに私が寝取られプレイしたら」
もうアジム以外で満足できないのはわかっているのでそんなことをするつもりはないのだが。
アジムはリリィに言われた言葉を吟味するようにしばらく宙に視線をさ迷わせた後、眉を八の字にして途方に暮れたように言った。
「……哀しいです」
その声を聞いて、興味本位で問うたリリィはとても後悔した。
想像の間男に向けた攻撃でもリリィに向けた執着でもなく、ただ哀しいと応えたその声がどうしようもない淋しさをうかがわせて、胸が苦しくなった。
他者との縁が薄いアジムが初めて望んで結んでくれた関係性を、弄ぶようなことを言うべきではなかった。
「ごめんね……
絶対そんなことしないから」
リリィの謝罪にアジムは笑みを戻して頷いてくれたが、本当に酷いことを言ってしまった自覚のあるリリィは簡単に切り替えられない。
「間違っても寝取られないように、
<拒絶の指輪>をしておいたほうがいいんじゃないかしら」
そんなリリィにメルフィナが声をかけてくれた。
「ああ、そうだね。
忘れるところだったよ」
「指輪ですか?」
「うん」
システム的に魔物に負けると女性は犯され孕まされ、永遠に新たな魔物の産み続ける母体にされてしまう。だが、アジムのようにパートナーを寝取られるのに拒否反応があるプレイヤーも当然いる。その救済策となるのがメルフィナの提案した<拒絶の指輪>だ。
その指輪を身に着けていれば、男性が魔物に負けた時と同じように犯されることなく殺され、その身体を食われるようになる。
精神的なダメージを考えなければ体力を回復すれば戦線復帰できる陵辱と比べ、殺されてしまえば蘇生魔法のために大量の魔力を消費することとなる。冒険家としてみればペナルティになるその指輪だが、つけるものはそれなりに多い。
プレイヤー同士ではシステムの制限はないので指輪をしているプレイヤーを無理やり犯すこともできるが、それをしたプレイヤーは他者を配慮しないプレイヤーとして、ほかのプレイヤーから悪意を持って一切の配慮をしてもらえなくなる。
冒険をすればPKに狙われるのは当然として、物の売り買いも拒否されるかひどいぼったくり価格でしかしてもらえなくなり、街中を歩いていてもいきなり口を塞がれて暗がりに連れ込まれ、身ぐるみをはがされた上になぶり殺しにされるのが日常茶飯事になる。
それほどまでに<拒絶の指輪>は尊重されるのだ。
「そんな指輪があったんですね。
見たことありませんでした」
アジムが感心したように呟くのに、リリィは苦笑しながら言葉を返す。
「まあ、今までの私も含めて、
ウチやウチと付き合いのあるギルドは、
性癖がアレだからね……」
アジムも思わず苦笑を返す。
「それにしても、
<拒絶の指輪>をしている人を襲ってしまわなくてよかったです」
「<拒絶の指輪>をしている人を襲おうとしたら、
確認メッセージが表示されるから大丈夫だよ。
まあ、アジムくんは襲ってほしいって言ってる人しか襲ってなかったしね」
アジムが納得して頷くと、
「<拒絶の指輪>は自分ではめるとすべての魔物と人を拒否することになるんだけど、
誰かに指に嵌めてもらうと、
その嵌めてくれた人以外を拒否する指輪になるんだ」
リリィはそう説明してアジムに笑いかけた。
「私に嵌めてね、アジムくんっ」
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