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諦観の騎士 リリィ・フランネル
諦観の騎士 リリィ・フランネル(16)
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風呂場から脱衣所に出たアジムは湯のぬくもりと発情で肌を薄桃色に染めたリリィをざっと拭き、自分も雑に湯を拭うと、どこにも力が入らないまま発情して緩みきった笑みで自分を見上げてくるリリィを抱いて寝室に移動した。
いつも必死に抵抗するリリィを押さえつけて媚薬と回復薬を飲ませながら気絶することを許さず陵辱するベッドに、今日は体温が離れてしまうのを拒否するように首に腕を絡めてくるリリィをできるだけ優しく下ろし、勝手に薬品棚にしているクローゼットから常備してある回復薬を本数も数えず手に取ると、リリィを寝かせたベッドにいそいそと戻る。
風呂場でも5回も出したが、相変わらず股間のものは腹につくほど固くそり返ったままだ。
それもベッドからしどけなく身を起こし、ベッド横に立つアジムの勃起したものを嬉しそうに見つめてくるリリィが可愛くてエロいから悪いと、責任転嫁をしておいて、アジムはリリィの目の前で回復薬をあおって口に含む。
アジムの意図を理解したリリィが笑みを浮かべて両手を広げ、アジムが身をかがめて顔を近づけると、嬉しそうに首元に抱きついて唇を重ね、口の中にあるものをねだってくる。アジムはそれに応じて口に含んでいた回復薬を唾液とともにリリィの口内に流し込む。
だが、お互いの口を開いて舌が触れ合うと、薬などそっちのけで舌を絡めあって熱い吐息を吹きかけ合い、収まらない発情に焦がされて抱きしめ合う。だらだらと薬と唾液が混じったもので口元を汚しながら唇を貪り合い、それだけでは足りなくなってお互いに相手を押し倒そうとして、体格差でアジムがリリィをベッドに押し倒した。
押し倒されたリリィはアジムの首に絡めていた腕をそのままに、貪り合っていた唇を離してアジムの耳元に寄せると、
「入れて……?」
発情して上ずった、それでも少しだけ恥じらいの混じった声で囁いた。
アジムはそれに頷くと、リリィの囁きで更に硬さを増した肉棒を掴み、腕の力を跳ね飛ばしそうなほど硬くなっているものを、アジムを招くように広げられたリリィの股ぐらにあてがった。
ふと見れば、期待に目を潤ませたリリィが自分を見上げている。胸が締め付けられるような愛しさに、アジムはリリィのおとがいや首筋にキスを降らせ、すでに準備が必要以上にできている小さな割れ目に、肉棒を埋めていく。
「はっ、あぁんっ……ああ、あぁあぁ……」
甘い声を上げてリリィがアジムの身体にしがみつく。腕だけでなく足もアジムの身体に巻き付けるようにして、この雄が欲しいと全身で叫んでいる。アジムもリリィの脇の下から腕を入れて上半身をまるごと抱き寄せ、小さな赤い唇に吸い付きながら、この雌を誰にもやるものかと腕の中に閉じ込めて激しい愛を叩きつける。
「う、うぅうんっ! ……ふ、んむ……んんっ! んんんっ!!」
求める雄に愛されて、リリィが絶頂する。
「うっふぅ……! う、お……ああっ!」
愛しい雌に求められて、アジムが吐精する。
「アジムくんっ……好き、好きぃっ……!」
「俺も好きです、リリィさんっ。
好きですっ!」
絶頂しても、射精しても、まだ足りない。
愛を伝え合いながら、求め合う身体は止まらない。
「あ、あぁぁぁっ! はぁぁああんっ!」
「お、おおぉぉっ!」
注がれた精液に溺れ絶頂に戦慄く膣に、さらに激しく精を吐き出し続ける肉棒を突き立てる。
愛と欲でぐちゃぐちゃになって、いつの間にか身体を絡めあったまま眠っていた。
◯
精を出せるだけ出して気絶するように眠りについたアジムは、カーテンの隙間からこぼれる朝日の気配で目を覚ました。寝起きのぼんやりした感覚に微睡みながらも、なんだか全身が温かく心地よい。
何度かまばたきをして、頭から眠気を早々に追い出すと、自分を包むぬくもりに目を向ける。
アジムの身体の上でリリィが眠っていた。その軽い身体が、アジムにぬくもりを与えてくれている。
自分の身体に抱きつくようにして眠っているリリィに、身体だけでなく胸のうちからあたたかいものが溢れてくる。そして、昨夜はどれだけ出したのか記憶もないほど出しまくったというのに、元気に朝勃ちしているものがリリィの身体の向こうに見えて、ちょっとげんなりする。
意識がリリィから自分の身体に向くと、身体の不快感に顔をしかめてしまう。
まず、口の周りがカピカピだ。リリィと舌を絡ませあって、口の端からあふれる唾液はそのままにしていたので口の周りから首筋にかけて乾いた唾液が張り付いている。首筋から胸元のほうに目を落とせば、分厚い胸板から腹筋かけて、リリィにつけられたキスマークがいくつもついていた。自分では見えないが首筋も似たようなものだろう。身体全体もベタついて気持ち悪い。激しい性交でかいた汗をそのままにして寝てしまったので、全身がねばつくようだ。
身体の不快感で少し萎えてきた朝勃ちしているものは、生乾きの精液と愛液とで見るからに臭そうだ。男根だけでなく下半身全体がそんな有り様なので、下半身全体から臭気を発している。
リリィの方はさらにひどい。
愛らしい穏やかな寝顔だが、アジムと同じように口元が唾液で汚れているのに加え、絶頂にこぼした涙の跡や風呂場で口にした精液の匂いもこびり付いている。髪は風呂上がりのまま手入れもされないままベッドに押さえつけられて抱かれていたために汗まみれになった身体や額にベタベタと張り付き、張り付いていない髪も寝癖がついてあちこち跳ねてしまっていた。
首筋や胸元のキスマークは数こそアジムと同じようなものだったが、身体の小さな白い肌のリリィが大きく褐色肌のアジムと同じだけキスマークをつけられていると、ものすごくたくさんつけられているように見える。
腹は精液を注がれ続け、なだらかだった元の形から大きく膨れ上がってしまっていた。はっきり形の違いがわかるほどだ。一晩でどれほど注ぎ込んだのか。そこから視線を下半身に転じると、アジムのものを受け入れ続けて閉じきれなくなっている割れ目があった。内側の肉襞は精液で白く汚れて色が見えない。アジムのものが抜けてから時間は経っているというのに、未だにゆっくりと内側から精液があふれ続けている。内ももには精液と愛液の筋が何本もついていて、今もあふれる精液が伝っていた。
ベッドもぐっしょりと湿っている。汗と精液と愛液。それだけでなくリリィが迸らせた潮や失禁も吸い込んでしまっていて、これ以上リリィをこのままのベッドに寝かせていたくはない。
リリィを抱いたままそろりそろりと身体を起こし、脱衣場からバスタオルを取ってきてリリィの身体をくるみ、ソファに座らせる。
いつものように音の出ないハンドベルを鳴らして人を呼ぶと、大浴場の使用許可をもらって寝室の清掃を頼む。顔色一つ変えることなく頷いてくれるのに申し訳無さを感じつつ、まったく目を覚ます気配のないリリィと一緒に風呂に入って戻ると、すでに寝室はベッドの湿り気どころか部屋の空気すら爽やかさを取り戻していて、アジムは思わず驚嘆の声を上げてしまった。
慌てて口を閉じるが、風呂に入れても叫び声が近くでしてもリリィは穏やかな寝息をし続けていて、まったく目を覚ます様子はない。
ベッドサイドにまとめられていた回復薬の空き瓶を見れば、それも仕方ないかもしれない。捨てずにまとめられていた空き瓶は10本で、陵辱プレイをするときよりも更に多い新記録だ。リリィが好きと言ってくれて、アジムの性欲をずっと受け入れてくれていたからと言って、ちょっと暴走し過ぎだろう。アジムは深く反省しつつ、綺麗にしてもらったベッドにリリィをそっと下ろす。
カーテンから漏れる朝日はまだ弱い。街やギルドメンバーが動き出すまでまだしばらくあるだろう。
アジムもリリィの横に身体を横たえた。
そうしてリリィが目を覚ますまでのつもりだったが、がっつり寝入ってしまう。
そんなアジムの隣で、アジムが深く寝入り込んでしまった昼過ぎに、リリィは目を覚ました。
寝ぼけたまま、もぞもぞと身体を起こしてから、自分の横に寝息を立てるアジムがいたことに気がついて動作をそろそろとしたものに変える。
とても心地よい目覚めだったことに違和感を感じて自分の身体を振り返ってみると、足腰の疲労やキスマークは派手に残されているが、陵辱されるときよりも激しく求めあった汚れは綺麗に洗い流されていた。自分が気絶してからか、それとも早く目覚めてからお風呂に入れてくれたのだろうと、感謝を込めて眠るアジムの髪に柔らかく手ぐしを入れる。
昨夜の行為は、とてもよかった。
想いを伝えあって、それでも足りなくて求め合う行為は、深く激しく満たされるものがあって、とても嬉しいものだった。それだけに、その行為が仮想のものであることに、悲しさも感じる。
現実の自分を、アジムはどう思っているだろう。
リリィは仮想と現実の区別なく、アジムを好ましく思っている。
仮想でも現実でも変わらない無骨で寡黙なアジムの静かな気遣いが、触れ合う時間が長くなれば長くなるほどリリィの中に積み重なる。仮想でありながら現実なアジムの心が、リリィの心を惹きつけてやまない。
そして昨夜のリリィを激しく求めてくれる行為で自覚した。
心も、身体も、もうこの男性でしか満足できない。
VRの自分は自分のなりたかった姿だ。明るい金髪にはっきりした大きな緑色の瞳。細く長い手足にすっきりした体つき。現実ではじっとりと重い黒髪の、牛乳瓶の底のような眼鏡できつい目つきを隠した、猫背気味でぼってりとした身体の垢ぬけない女が、夢を見た姿だ。
VRの自分を抱きなれたアジムには現実の自分は不満だらけかもしれないが、できる限りのことをして、好きになってもらいたい。
「がんばる……!」
小さな拳を握りしめていると、リリィの決意の声で目を覚ましたらしいアジムが声をかけてきた。
「なにをですか……?」
寝起きのぽやぽやとした声に、決意のリリィは微笑みかける。
「秘密っ!」
寝起きのアジムは「はぁ」と気の抜けた返事をして、あくびをしながらぐっと伸びをして頭から眠気を追い出すと、盛大に腹を鳴らして顔を赤らめながらこの後の予定を主張した。
いつも必死に抵抗するリリィを押さえつけて媚薬と回復薬を飲ませながら気絶することを許さず陵辱するベッドに、今日は体温が離れてしまうのを拒否するように首に腕を絡めてくるリリィをできるだけ優しく下ろし、勝手に薬品棚にしているクローゼットから常備してある回復薬を本数も数えず手に取ると、リリィを寝かせたベッドにいそいそと戻る。
風呂場でも5回も出したが、相変わらず股間のものは腹につくほど固くそり返ったままだ。
それもベッドからしどけなく身を起こし、ベッド横に立つアジムの勃起したものを嬉しそうに見つめてくるリリィが可愛くてエロいから悪いと、責任転嫁をしておいて、アジムはリリィの目の前で回復薬をあおって口に含む。
アジムの意図を理解したリリィが笑みを浮かべて両手を広げ、アジムが身をかがめて顔を近づけると、嬉しそうに首元に抱きついて唇を重ね、口の中にあるものをねだってくる。アジムはそれに応じて口に含んでいた回復薬を唾液とともにリリィの口内に流し込む。
だが、お互いの口を開いて舌が触れ合うと、薬などそっちのけで舌を絡めあって熱い吐息を吹きかけ合い、収まらない発情に焦がされて抱きしめ合う。だらだらと薬と唾液が混じったもので口元を汚しながら唇を貪り合い、それだけでは足りなくなってお互いに相手を押し倒そうとして、体格差でアジムがリリィをベッドに押し倒した。
押し倒されたリリィはアジムの首に絡めていた腕をそのままに、貪り合っていた唇を離してアジムの耳元に寄せると、
「入れて……?」
発情して上ずった、それでも少しだけ恥じらいの混じった声で囁いた。
アジムはそれに頷くと、リリィの囁きで更に硬さを増した肉棒を掴み、腕の力を跳ね飛ばしそうなほど硬くなっているものを、アジムを招くように広げられたリリィの股ぐらにあてがった。
ふと見れば、期待に目を潤ませたリリィが自分を見上げている。胸が締め付けられるような愛しさに、アジムはリリィのおとがいや首筋にキスを降らせ、すでに準備が必要以上にできている小さな割れ目に、肉棒を埋めていく。
「はっ、あぁんっ……ああ、あぁあぁ……」
甘い声を上げてリリィがアジムの身体にしがみつく。腕だけでなく足もアジムの身体に巻き付けるようにして、この雄が欲しいと全身で叫んでいる。アジムもリリィの脇の下から腕を入れて上半身をまるごと抱き寄せ、小さな赤い唇に吸い付きながら、この雌を誰にもやるものかと腕の中に閉じ込めて激しい愛を叩きつける。
「う、うぅうんっ! ……ふ、んむ……んんっ! んんんっ!!」
求める雄に愛されて、リリィが絶頂する。
「うっふぅ……! う、お……ああっ!」
愛しい雌に求められて、アジムが吐精する。
「アジムくんっ……好き、好きぃっ……!」
「俺も好きです、リリィさんっ。
好きですっ!」
絶頂しても、射精しても、まだ足りない。
愛を伝え合いながら、求め合う身体は止まらない。
「あ、あぁぁぁっ! はぁぁああんっ!」
「お、おおぉぉっ!」
注がれた精液に溺れ絶頂に戦慄く膣に、さらに激しく精を吐き出し続ける肉棒を突き立てる。
愛と欲でぐちゃぐちゃになって、いつの間にか身体を絡めあったまま眠っていた。
◯
精を出せるだけ出して気絶するように眠りについたアジムは、カーテンの隙間からこぼれる朝日の気配で目を覚ました。寝起きのぼんやりした感覚に微睡みながらも、なんだか全身が温かく心地よい。
何度かまばたきをして、頭から眠気を早々に追い出すと、自分を包むぬくもりに目を向ける。
アジムの身体の上でリリィが眠っていた。その軽い身体が、アジムにぬくもりを与えてくれている。
自分の身体に抱きつくようにして眠っているリリィに、身体だけでなく胸のうちからあたたかいものが溢れてくる。そして、昨夜はどれだけ出したのか記憶もないほど出しまくったというのに、元気に朝勃ちしているものがリリィの身体の向こうに見えて、ちょっとげんなりする。
意識がリリィから自分の身体に向くと、身体の不快感に顔をしかめてしまう。
まず、口の周りがカピカピだ。リリィと舌を絡ませあって、口の端からあふれる唾液はそのままにしていたので口の周りから首筋にかけて乾いた唾液が張り付いている。首筋から胸元のほうに目を落とせば、分厚い胸板から腹筋かけて、リリィにつけられたキスマークがいくつもついていた。自分では見えないが首筋も似たようなものだろう。身体全体もベタついて気持ち悪い。激しい性交でかいた汗をそのままにして寝てしまったので、全身がねばつくようだ。
身体の不快感で少し萎えてきた朝勃ちしているものは、生乾きの精液と愛液とで見るからに臭そうだ。男根だけでなく下半身全体がそんな有り様なので、下半身全体から臭気を発している。
リリィの方はさらにひどい。
愛らしい穏やかな寝顔だが、アジムと同じように口元が唾液で汚れているのに加え、絶頂にこぼした涙の跡や風呂場で口にした精液の匂いもこびり付いている。髪は風呂上がりのまま手入れもされないままベッドに押さえつけられて抱かれていたために汗まみれになった身体や額にベタベタと張り付き、張り付いていない髪も寝癖がついてあちこち跳ねてしまっていた。
首筋や胸元のキスマークは数こそアジムと同じようなものだったが、身体の小さな白い肌のリリィが大きく褐色肌のアジムと同じだけキスマークをつけられていると、ものすごくたくさんつけられているように見える。
腹は精液を注がれ続け、なだらかだった元の形から大きく膨れ上がってしまっていた。はっきり形の違いがわかるほどだ。一晩でどれほど注ぎ込んだのか。そこから視線を下半身に転じると、アジムのものを受け入れ続けて閉じきれなくなっている割れ目があった。内側の肉襞は精液で白く汚れて色が見えない。アジムのものが抜けてから時間は経っているというのに、未だにゆっくりと内側から精液があふれ続けている。内ももには精液と愛液の筋が何本もついていて、今もあふれる精液が伝っていた。
ベッドもぐっしょりと湿っている。汗と精液と愛液。それだけでなくリリィが迸らせた潮や失禁も吸い込んでしまっていて、これ以上リリィをこのままのベッドに寝かせていたくはない。
リリィを抱いたままそろりそろりと身体を起こし、脱衣場からバスタオルを取ってきてリリィの身体をくるみ、ソファに座らせる。
いつものように音の出ないハンドベルを鳴らして人を呼ぶと、大浴場の使用許可をもらって寝室の清掃を頼む。顔色一つ変えることなく頷いてくれるのに申し訳無さを感じつつ、まったく目を覚ます気配のないリリィと一緒に風呂に入って戻ると、すでに寝室はベッドの湿り気どころか部屋の空気すら爽やかさを取り戻していて、アジムは思わず驚嘆の声を上げてしまった。
慌てて口を閉じるが、風呂に入れても叫び声が近くでしてもリリィは穏やかな寝息をし続けていて、まったく目を覚ます様子はない。
ベッドサイドにまとめられていた回復薬の空き瓶を見れば、それも仕方ないかもしれない。捨てずにまとめられていた空き瓶は10本で、陵辱プレイをするときよりも更に多い新記録だ。リリィが好きと言ってくれて、アジムの性欲をずっと受け入れてくれていたからと言って、ちょっと暴走し過ぎだろう。アジムは深く反省しつつ、綺麗にしてもらったベッドにリリィをそっと下ろす。
カーテンから漏れる朝日はまだ弱い。街やギルドメンバーが動き出すまでまだしばらくあるだろう。
アジムもリリィの横に身体を横たえた。
そうしてリリィが目を覚ますまでのつもりだったが、がっつり寝入ってしまう。
そんなアジムの隣で、アジムが深く寝入り込んでしまった昼過ぎに、リリィは目を覚ました。
寝ぼけたまま、もぞもぞと身体を起こしてから、自分の横に寝息を立てるアジムがいたことに気がついて動作をそろそろとしたものに変える。
とても心地よい目覚めだったことに違和感を感じて自分の身体を振り返ってみると、足腰の疲労やキスマークは派手に残されているが、陵辱されるときよりも激しく求めあった汚れは綺麗に洗い流されていた。自分が気絶してからか、それとも早く目覚めてからお風呂に入れてくれたのだろうと、感謝を込めて眠るアジムの髪に柔らかく手ぐしを入れる。
昨夜の行為は、とてもよかった。
想いを伝えあって、それでも足りなくて求め合う行為は、深く激しく満たされるものがあって、とても嬉しいものだった。それだけに、その行為が仮想のものであることに、悲しさも感じる。
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仮想でも現実でも変わらない無骨で寡黙なアジムの静かな気遣いが、触れ合う時間が長くなれば長くなるほどリリィの中に積み重なる。仮想でありながら現実なアジムの心が、リリィの心を惹きつけてやまない。
そして昨夜のリリィを激しく求めてくれる行為で自覚した。
心も、身体も、もうこの男性でしか満足できない。
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VRの自分を抱きなれたアジムには現実の自分は不満だらけかもしれないが、できる限りのことをして、好きになってもらいたい。
「がんばる……!」
小さな拳を握りしめていると、リリィの決意の声で目を覚ましたらしいアジムが声をかけてきた。
「なにをですか……?」
寝起きのぽやぽやとした声に、決意のリリィは微笑みかける。
「秘密っ!」
寝起きのアジムは「はぁ」と気の抜けた返事をして、あくびをしながらぐっと伸びをして頭から眠気を追い出すと、盛大に腹を鳴らして顔を赤らめながらこの後の予定を主張した。
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