【R18】VRMMO 最強を目指す鍛錬記

市村 いっち

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諦観の騎士 リリィ・フランネル

諦観の騎士 リリィ・フランネル(1)

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 一晩かけてアカネを徹底的に絶頂き狂わせてその身体に存分に精液を吐き出して満足したアジムは、アカネが完全に気を失っていることを確認して風呂場に足を向けた。温かな湯で絞ったタオルを手にして戻ると、意識を取り戻す気配などまるでないアカネを見下ろす。アジムが一方的に突きまくって出しまくった秘所だけでなく、出した後のものに奉仕させた口や顔、手や胸にもべっとりと体液がまとわりついている。その汚れ尽くしたアカネの身体をタオルで順にぬぐっていく。
 大量の体液のせいで何度か風呂場を往復してタオルを絞り直してアカネの身体をある程度まで綺麗にしてから、身体を抱き上げてベッドの比較的汚れのすくない場所に移してやった。最後にベッドの下に放り出されていた毛布をかけておいてから、アジムは風呂場にタオルを戻してベッドに戻る。

 どうやら気絶から睡眠に移行したらしいアカネの穏やかな寝顔をみて一つ笑みを浮かべ、アジムもアカネの横に身を横たえた。そのまま精を出し切った満足に身を任せて目を閉じ、ゆるやかに襲ってきた眠気に抗うことなく眠りに入った。

 そうしてゆっくりと眠り、十分な睡眠が取れた充足感とともにアジムは目を覚ました。部屋は相変わらず照明もないのにうっすらと明るい。窓がないのでどのくらい眠ったのかわからないが、すっきりとした目覚めで体調はとてもいい。

 隣で眠っていたはずのアカネはおらず、すでに体温のぬくもりもなくなっていた。風呂場から水音が聞こえている。先に目覚めて身支度を始めていたのだろう。
 素っ裸のまま眠っていたアジムも雑に脱ぎ捨てて放り出したままになっていた衣類を集めて身につけていく。昨夜もアカネを気絶するほど抱いたというのに元気に朝の目覚めを主張する自分のものを、ため息をつきながら強引にズボンの中に収めて立ち上がると、ちょうどアカネが身支度を終えて風呂場から出てくるところだった。

「おはようございます」
「ああ、おはようさん」

 アカネはバスタオルだけを身につけていた。幼い小柄さのある少女だが、胸や腰つきは大人以上に熟れたアンバランスな色気がある。その彼女が湯上がりでしっとりと濡れた髪や汗が流れ落ちる胸の谷間、むっちりとした太腿を晒していると、ただでさえ生理現象で硬くなっていたものがさらに硬くなってしまう。
 風呂上がりのいい匂いが漂ってくるのが、とても良くない。バスタオル一枚でそのはち切れそうな身体を隠しているだけというのも、とても良くない。薄布一枚だけ剥がすだけで現れる身体が極上のものであることをよく知っているだけに、本当に良くない。

 アジムはさり気なくベッドに腰をおろして足を組み、股間のものを自分の太腿で抑え込んで隠しながら、

「あの、服は着ないんですか?」
「全裸に首輪だけで連れてこられたから服がないんよ。
 まあ、部屋出たら戦う前の状態に戻るから、
 今はこのままでエエかな」

 服を着るのを勧めてみるが、そう返されて「そういえばそうだった」と納得する。
 ただ、眼福な地獄が継続するのは確定した。

 女性から望まれて抱くのは言い訳もできるが、リリィに想いを寄せる自分が、自分の欲望で女性を抱くのはやっぱり駄目だろうと思うのだ。

「いや、それにしても、アジムをヤれると思ったら、
 返り討ちにあってここまでがっつり陵辱プレイされるとは思わんかったわ。
 自分でも笑ろてまう笑ってしまうくらい
 お股がぬるぬるになってたんを元性奴隷、みたいな設定で
 上手いこと拾ってくれたんはよかったけど」

 そんなことをつらつら考えていたアジムは、けらけらと明るく笑いながら言ったアカネの言葉に聞き捨てならないものを感じた。

「……陵辱プレイをされたかったわけではなかったんですか?」
「んー? まあ、負けたら好きにさせたる、とは言ったから、
 激しめに抱かれるんだろうな、とは思ってたけどなー。
 まさか闘技場でそのまま公開レイプされて、
 部屋に連れ込まれて奴隷扱いで気絶するまで抱き潰されるとは思ってなかったなぁ」
「すみませんでしたっ!!」

 アジムは、と音がするほど床に額を打ち付けて土下座した。アカネの身体に反応して硬くなっていたものも、早くもしゅんと萎んでしまっている。
 ベッドの前に立ったまま話していたアカネは突然のアジムの土下座に目を丸くした。

「なになになに?
 ウチはなんで謝られてんの?」
「陵辱プレイを望んでいなかった方に無体な振る舞いをしてしまって、
 本当に申し訳ありません!」
「あー」

 アジムの謝罪になんと言っていいかわからず、間延びした唸りをあげたアカネは豊かな胸を持ち上げるようにして「どうしたものか」と腕を組んだ。
 その様子にどんな罵りを受けるのかとアジムがびくっと身を震わせる。

「気にせんでもエエよ。ウチから吹っかけた勝負やし、
 勝ったらアジムを鎖で縛り上げて延々と焦らしプレイで泣かしたろと思ってたし。
 何より、負けたウチが悪い」

 だが、ひらひらと手を振りながらアカネが口にしたのはとても寛大な言葉だった。
 アジムよりもむしろ自分を責めるようなもので、ある種の矜持さえ感じさせる。

「いや、でも……」
「エエよエエよ。まあ、それでも気になるんやったら、
 ウチのギルドの戦争に協力してや。
 アジムみたいな重戦士パワーファイターは戦争の要になるけど、
 ウチのギルドにはおれへんのいないのよ」
 
 アジムはさらに反論しようとして口をつぐんだ。陵辱されたアカネ本人が負けた自分が悪いと言っているのだ。それを勝者である自分が覆そうとするのは、ひどく傲慢な気がしたのだ。

「ちゃんと傭兵報酬も払うで?
 アジムがどこかのギルドに所属してないんやったら、
 ウチのギルドに参加してくれてもいいし、
 所属してるんやったら移籍してきてくれても歓迎やで」
「ああ、いえ、別のギルドに所属しているので、
 ギルド参加はちょっと……」
「そっか。まあ、傭兵に来てくれるだけでもありがたいわ。
 重戦士はどこででも取り合いになるからなぁ」

 床で正座していると、立っているアカネと視線がほぼ同じ高さだ。アカネはまだ気後れしたままのアジムの顔を覗き込んで、真っ白な歯を見せてにっと笑った。

「なんかクソ真面目でカワイイなぁ、自分」

 首を傾げながら「はぁ」と気のない返事を返したアジムにまた笑い、アカネは身を翻した。

「とりあえずここから出よか。
 お腹も空いたし、ご飯を食べながらゆっくり話をしようや、
 

 そう言い残したアカネが性の牢獄のような部屋から出ていくと、その身を隠していたバスタオルだけがはらりと舞って落ちた。床に正座したままちゃん付けで呼びかけられて驚いてたアジムが気を取り直すと、そこにアカネの姿はもうなかった。
 アジムは頭を掻きながら立ち上がると残されたバスタオルを風呂場に戻し、鎧や剣を身に着けていく。ちゃん付けして呼ばれたことに驚きはしたが、不快感はない。ゲーム内では明らかに年下だが、現実リアルのほうでは年上なのではないかと感じる。

 アジムが鎧と県を身につけて廊下に出ると、強い光で視界を奪う転移が行われて気づけば地下闘技場の受付に戻っていた。

「遅かったなぁ、アッちゃん」

 先に部屋を出ていたアカネが、戦う前の武具を身につけた姿で声をかけてきた。

「ええと。おまたせしました。
 装備を身につけてすぐに出てきたんですが」
「別に装備をしなおさんでもエエんやで。
 勝手に元通りに武器も鎧も戻してくれるから」
「ああ」

 そういえば三人組と戦ったときも、一戦ごとに元の状態に戻るようになっていた。あれと同じように戻してくれるのだろう。

「じゃあ、とりあえずご飯にしよか。
 アッちゃんは闘技場コロッセオ、初めてやねんな?
 ローマの食べるとこは知らんよね?」
「はい。どこかオススメがあったら教えてもらえると嬉しいです」
「アッちゃんはよーよく食べそうやからなぁ。
 ボリュームあるとこが良さそうやな」

 言いながらアカネは闘技場の外に足を向けた。アジムもそれを追って薄暗い地下闘技場から地上に出る。明るい場所に出た眩しさに目を細めながらアカネの背を追っていると、イタリアの町並みではあるがどこか違和感のある路地に入り込んだ。
 違和感の正体はすぐにわかる。どの商店も、看板に掲げた商品の価格表示に「円」を使っているからだ。そういう目で路地に所狭しと商品を並べる店先の品々を見回してみると、どれもここに着くまでに歩いてきた商店のものと比べると、明らかに多彩で、細かいところまで気の行き届いた品々だ。

「ここはプレイヤータウンなんですか?」
「そうそう。闘技場で戦う連中が補充し忘れてた薬とか、
 そういうメイン武器以外の道具を買いに来るとこやねん。
 闘技場で戦った後の打ち上げとかに使われる居酒屋とかもあって、
 美味しいお店も多いんやで」

 チューリッヒほどの規模はなくとも、普段遣いできる店などがたくさんある界隈なのだろう。アジムはそう受け取って、店先を除きながらアカネの後を歩く。確かに、剣や槍、鎧のような持っていて当たり前の装備はあまりおいておらず、薬や矢、包帯等といった消耗品が中心だ。それ以外には食べ歩きができるような串焼きの食べ物や果物、飲み物などが多い。

 そんな通りを歩いていると、馴染みのある匂いに鼻をくすぐられた。ゲーム内で馴染みのある匂いではない。現実リアルのほうで馴染みにある匂いだ。アカネはその匂いに向かって真っすぐ歩いていき、躊躇うことなく暖簾をくぐって奥に向かって声をかけた。

「おっちゃーん。豚モダンとビール二つずつー」

 起き抜けに食べる食事としては、重すぎではなかろうか。
 そんな風に思うが、現実リアルのほうでもあまり食べる機会のないが発するソースとマヨネーズの匂いに、アジムは笑みを浮かべながらアカネの後に続いて暖簾をくぐった。
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