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武闘家 ゼルヴァ・ケンプフェルト

武闘家 ゼルヴァ・ケンプフェルト(11)

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 宿の親父は陰鬱な心を抱えたまま、食堂を兼ねる酒場の椅子に座り込んでいた。
 すでに日は高く登っている。いつもなら早い昼を食べに来る客が入り始める時間だ。
 だが、仕込みはできていても昼の営業をする気になれず、入り口のドアに準備中の札をかけたままにしてある。

 陵辱されるとわかった上で村の恩人である獣人の少女を、あの褐色の肌をした大男に差し出した。
 何度ため息をついても吐き出しきれないその苦い事実に、宿の親父はまた陰鬱さを増すだけのため息をつく。

 大男が少女を抱えて階段を登っていってから、いくらもしないうちに少女の悲鳴が聞こえてきた。そしてその悲鳴はすぐに涙混じりの許しを請うものになり、さらにしばらくすると嬌声へと変えられた。嬌声はすぐに絶頂の叫びになって、後はもうひたすらにたがの外れた絶叫が、強くなったり弱くなったりしながら夜明けまで聞こえ続けていた。

 今はもう少女の声は聞こえてこないが、階上の床が軋む音だけはずっと途切れずに続いている。

 宿の親父はさらにまたため息をついたが、今度のため息は少しだけ陰鬱さを吐き出すことに成功した。
 前金で受け取っているのは一晩分だけだ。そろそろ今夜をどうするのか確認しなければならない。その名目で部屋を訪ねて、うまく話をもっていけば一時いっときだけでも獣人の少女を陵辱から解放できるかもしれない。

 そう考えて、宿の親父は階段に足を向けた。

 二階には中央に大きな廊下があり、その左右にいくつもの扉がついている。扉の奥は冒険家や旅人、商人たちが泊まる部屋だ。何台かのベッドをまとめていれてあり、見知らぬもの同士が隣り合って眠る宿泊費の安い大部屋や、冒険家のパーティがまとめて宿泊できる多人数部屋、男女が二人で泊まる部屋、宿泊費は高いが人目を気にしなくてもすむ一人部屋など、人数や懐具合に合わせて泊まることができるようになっている。

 その二階の一番奥。廊下の突き当りに大きな扉があり、アジムという大男に鍵を渡したのはその部屋だった。宿の中で最も宿泊費が高く、その分だけ掃除にもベッドにも気を使っている部屋だ。少女が陵辱される場所を、少しでもマシなものにしてやりたいと考えた宿の親父の、せめてもの気遣いだった。

 その大きな扉の前まで足を進めると、未だに床が軋む音は聞こえ続けている。

 宿の親父は意を決すると、その大きな扉を強くノックした。

 床が軋む音が消えて、探るような沈黙が降りる。
 宿の親父はもう一度ノックして声を上げた。

「宿代は一日分だけもらっていたが、今日はどうするんだ。
 今夜も泊まるなら、先に金を払ってくれ」

 その声に応じるように男が低く笑いながら、

「いいぜ。入りな」
「ぅっあ! ダメ、入らないで!
 っあ! んんっ!」

 男の声に合わせて聞こえてきた少女の掠れた声が必死に宿の親父を阻む。
 男の許可で扉のノブに手をかけていた宿の親父はその声を聞いて動きを止める。

 宿の親父が部屋に入るべきか迷っていると、また床がきしみを上げ始めた。

「入ってこい」

 今度の言葉は命令だった。そして、それを阻もうとする少女の声は聞こえてこない。
 躊躇ためらいはあったが、言葉に従ってノブを掴む手に力を入れて扉を押し開ける。

 扉を開けると、まずはすさまじい性の匂いが鼻を襲った。精液、汗、愛液、それに尿。どれも鼻にひどくまとわりつく。そんな空気が充満した部屋の中に目を向けると、にやにやと嗤う褐色の大男が全裸のまま宿で一番大きなベッドのふちに座っていた。その膝の上に村を救ってくれた獣人の少女が座らされている。当然のように少女も全裸で、股間には男の馬鹿でかいものが突き立てられていた。腹は一晩中注がれ続けた精液で膨れ上がり、幼い見た目に似合わない濃い陰毛には収まりきらずに溢れ出した精液が絡みついている。少女は後ろから腕を回して身体を抱きすくめられ、宿の親父が部屋に入ってくるのを阻もうとした口を男の左手に塞がれて言葉を奪われていた。男の右手は少女の右足を膝裏から抱きかかえるようにして、男根が突き立てられた股ぐらを足を閉じて隠すことをできなくしている。

 男はそのまま腰を使って少女の中を存分に擦り上げる。それだけでなく、腕の力だけで少女を揺すぶってさらに責め立てる。

 人目があるなかで絶頂させられるのを嫌がって、少女は必死に身体をくねらせ、首を横に振って快感を否定する。だが、夜通し責められ続け、絶頂させられ続けた身体はもう彼女の意思など受け付けない。

「んんんんぅぅううぅぅぅ……!」

 ぐっちゅぐっちゅと男根を突き立てられるたびに精液と愛液が混じり合った粘ついた白い体液が割れ目と男根の隙間から溢れ出す。口を塞がれたまま目を閉じて快感を否定して首を振っていても、上気した顔と絶頂の予感に震えだす身体は歳に似合わぬ雌のそれだ。

「ん、んんぅうううぅぅぅ~~~~っ!!」

 そして、男が自分勝手に少女の中に射精すると、その熱さを感じた少女も男の腕の中で身体をのけぞらせて絶頂した。腕の中で足をぴんと伸ばし、男の逞しい胸に身体をすりつけるようにして痙攣する。

 男はさらに何度か腰を打ち付けて自分が精を吐き出し終えると、まだ身体を震わせている少女を突き飛ばすようにして膝の上から床に放り出した。
 音を立てて木の床に落ち、絶頂の余韻に身体を震わせる少女の背中をベッドの縁に座ったまま踏みつけて、

「ったく、本当にバカ犬だな。
 俺が入ってこいって言ったのをおまえが止めようとするなんて、
 何様のつもりなんだ」
「ごめんなさい、
 ごめんなさい!」

 男は少女の悲鳴のような謝罪を、尻を蹴りつけて流し、

「精液を出してもらったらどうするんだ?
 散々に躾けてやったから、何をしないといけないのか分かってるだろ」

 少女は長い陵辱で力が萎えきった身体をどうにか動かし、扉を開けたままの体勢で凍りついたように動けなくなっている宿の親父をちらちらと気にしながら床の上で男に向かって土下座をすると、

「い、卑しい雌犬に、
 精液をお恵みくださってありがとうございました」

 ベッドの縁に座ったまま少女の言葉を聞いていた男はにんまり嗤うと足を広げて、人間離れして大きなそそり立つものを誇示して見せる。

「よしよし。じゃあ、しゃぶらせてやる。
 ご主人さまのちんぽを綺麗にする栄誉を与えてやろう」

 馬鹿でかい男根で押し広げられ、閉じなくなってしまった膣から床に精液を垂らしながら土下座を続けていた少女はそう嘲るように声をかけられて、

「ありがとう、ございます……」

 消え入るような小さな声で礼を言うと、未だに勃起したままの男のものに顔を寄せた。一晩中少女を犯し続けていた男のものは性の匂いがひどくこびりついている。狼の獣人である少女の鼻には、もはや拷問であろう匂いを放っていた。そんなものに顔を寄せた少女は、何度も貪られ、男根をねじ込まれた唇から小さな赤い舌を出すと、太く大きな陰茎を舐めあげるようにして精液と愛液を啜りとる。

 ぴちゃぺちゃと水音が響き始めると、男は自分の股ぐらで肉棒に奉仕を始めた少女の頭を怯えを示すぺたりと頭についたままの耳ごと、くしゃくしゃにするように荒っぽく撫でてから、ようやく心を折り尽くされた少女の姿に凍りついていた宿の親父に目を向けた。

「で、何しに来たんだったか」

 声をかけられてハッとなった宿の親父は、村を救った英雄の無惨な末路から目をそらして男に向き直った。

「今夜をどうするのか確認に来たんだ。
 さすがにもう満足しただろう。
 まだ日も高いし、つんじゃないのか」

 目の前の少女を早く陵辱から解放してやりたい意図が混じった宿の親父の言葉を聞いた男は、少しだけ考える素振りを見せたが、宿の親父の言葉に首を振った。

「いや、昨日はバカ犬のしつけで寝てないしな。
 今夜も泊まらせてもらおう。
 もう一日、じっくり躾をして、それからゆっくり眠りたい」

 びくりとして顔をあげようとした少女の頭を掴み、喉奥まで肉棒をねじ込んで言葉を封じてから、にやにやした笑みを浮かべて言葉を続ける。

「この通り、躾を嫌がるあたり、
 バカ犬はまだ躾が十分じゃないしなぁ。
 ちんぽを嫌がったり、俺に逆らおうなんて考えられないようにしてやらないと」

 男は少女の頭を両手で掴み、思うままに少女の口内と喉を使って自分のものをしごいていく。喉を犯される苦しさと、呼吸を満足にできない苦しさでぽろぽろと涙をこぼす少女は、口の中の男のものに噛みつこうとする心の牙などとうにへし折られ、逆らおうとする意思など感じられない。

「もう十分に屈服させられているだろう。
 勘弁してやってくれないか」

 思わず漏れた宿の親父の言葉に、男は鼻で笑った。

「なら、嫁か娘を差し出すんだな?」

 言葉に詰まる宿の親父に、男はにやにやと笑みを顔に貼り付けて、だがギラギラとした暴力と欲望に満ちた視線をぶつけてくる。

「……銀貨、一枚だ」

 宿の親父が絞り出すようにして出した言葉を男はまた鼻で笑い、少女の喉に勢いよく肉棒を突き入れて精液を迸らせた。そしてそのまま無造作に少女を放り出して立ち上がる。また精を吐き出しても肉棒は屹立したままだ。精液と少女の唾液でぬらぬらと光り、湯気を上げるそれは男が自分の荷物に向かって歩きだしても揺れることもないほどに硬く反り返っている。

 少女は喉の奥で精液を受け止めさせられ、大量のそれを吐き出しながら床に崩れ落ちた。宿の親父は彼女を気遣って近づこうとしたが、それよりも先に男が荷物から取り出したものを投げてよこした。

 咄嗟に宿の親父がそれを受け取ると、ずしりと重い革袋だった。

「持ってきな」

 言われて袋の中身を確かめてみれば、中身はすべて銀貨だ。五枚、十枚程度ではない重さではない。
 驚いた宿の親父が男に目を戻すと、

「バカ犬の躾で部屋を汚しちまった迷惑料だ。
 取っとけよ」

 そう言われて、手の中の革袋に目を戻す。
 部屋にいる二人以外に泊り客はおらず、昼の営業もできていない昨日今日の収入を思えば、たくさんの銀貨はとてもありがたい。だが、本来の宿代よりも多いこれを受け取ってしまえば、躾などと言いながら少女を陵辱する男に部屋を提供するという形で片棒を担ぐことにならないか。

「たっ、助けて……」

 受け取るのを躊躇う宿の親父に、口元を唾液と精液で汚した少女が這い寄った。

 元々あまり手入れされていなくてぼさついていた灰色の髪はベッドの中で汗と精液にまみれてさらにごわごわと傷んで広がっている。鍛えられていてしっかりしていたはずの肩や腕は長い陵辱の間に無駄な抵抗で力を使い果たし、床を這ってくるだけで疲労に震えてしまっていた。まだ膨らみ始めてもいない胸は男の手でこね回されて痣が色濃く残り、乳首も痛々しいほど赤く染まっている。尻や背中は何度も叩かれたらしく、白い肌が赤や青に染めていた。ずっと貫かれ続けていた幼い割れ目は男のものの形を覚え込まされて口を開け、注がれ続けた精液を垂らして内ももを汚している。鍛えられた筋肉がのった足だが、もう力など入らず、立ち上がることもできない。

「助けて……ボク、もう、壊れる……
 壊されちゃう……!」

 少女の悲痛な叫びに、宿の親父は思わず手を出しかけた。

 だが、宿の親父が少女に触れるよりも早く、少女の腰よりも太い褐色の腕が、少女を床からすくい上げてしまった。

「おいおい。口の中に出したものをこぼしたときは、
 床を舐めて綺麗にしろって躾けておいただろ」
「あ…あ……」

 腕に囚われ、目の前で男にすごまれて、少女が恐怖に慄きながら、視線を宿の親父に向けてきた。

「助けて! 助けて!
 お願い、助けて!」

 少女の必死の訴えの向こうで、男が宿の親父に視線で問いかける。

 一緒に地獄に落ちるのか。
 少女をだけを地獄に落とすのか。

 一緒に、は自分だけでは済まないだろう。
 村がまるごと、男の殺戮と陵辱の場になる。

 わずかな逡巡しゅんじゅんの後に、宿の親父は少女の訴えに背を向けて部屋の扉へと足を向けた。

「ぁ……待って! 助けて!
 お願いします! お願いします!」

 一瞬だけの愕然とした沈黙の後に、少女がまた必死に訴える。

 だが、宿の親父はもう選択した。
 いや、少女が気を失っている昨日の夜に、もう選択は終わっていたのだ。

「さぁて……ご主人さまから逃げようとするバカ犬は、
 徹底的に躾けてやらないとな?」
「ご……ごめんなさい、許してください!」

 これは、それを改めて確認したに過ぎない。

「媚薬も使って自分が雌犬だってことを、
 思い知らせてやろう」
「いや……いや、ああっ、ああ、
 あああぁぁぁぁぁぁぁぁっ あアあぁぁぁっっ!!」

 少女の絶望の喘ぎに、宿の親父は一度だけ振り返って部屋を去った。
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