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ギルド 戦乙女たちの饗宴
ギルド 戦乙女たちの饗宴(4)
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「おい、アジム、大丈夫か!?」
鋼鉄人形に十分なダメージを与えたことを確認して、ヒルドが懐から包帯を取り出しながら吹っ飛ばされたアジムに向かって走る。声をかけられたアジムは倒れたまま「大丈夫だ」と手を上げてひらひらと振って見せたが、鋼鉄人形とあれだけ殴り合って無事だとは思えない仲間たちも焦って駆け寄ってくる。一番最初にたどり着いたヒルドがアジムの兜を外すと、ぼこぼこに腫れあがった上に赤と青の痣に彩られたアジムの顔が出てきた。
「大丈夫……なわけないな。
すぐに治療する」
アジムは軽くせき込みながらヒルドの言葉に頷いて、口の中にあった折れてしまった歯を吐き出した。
「どうして素手で鋼鉄人形と殴り合うなんて真似をしたんだ」
顔の痣に包帯を巻かれながら、ヒルドにそんな風に叱られる。
その隣で膝をついたスクルドが回復魔法の集中に入った。
「いや、その、剣だと振りが遅くて受けきれないから、
格闘で受けようとしたんですけど、
その、テンションが上がりすぎて、つい」
包帯が巻かれ終わると空間に溶けるように巻かれた包帯が消えて、同時に全身の痛みも消える。顔中の腫れや痣も引いて、普段通りの顔に戻った。ただ、口の中のなくなってしまった歯はそのままだ。
アジムが舌で違和感のある歯を舐めながら身を起こすと、ヒルドは驚いたように目を見張った。
「骨は折れていないのか?」
<治療>スキルで傷はふさがっても骨が折れていたりすると、そこは治らない。身体を起こすのに難渋するはずなのだ。
「歯は何本か折られましたけど、
骨は大丈夫っぽいですね」
身体を軽くひねってみてもどこも痛みが走ったり、動かなかったりする場所はない。分厚すぎる筋肉と強靭な骨が鋼鉄人形の攻撃を耐えきってくれたのだろう。アジムがそのまま立ち上がろうとすると、慌てたようなヒルドに押しとどめられた。
「まてまて。歯は折れたんだろう。
スクルドが<再生>の集中に入っているから、
それがかかってから動いてくれ」
「え? ああ、ありがとうございます」
そんな風に話しているうちに集中が終わり、スクルドが<再生>をかけてくれた。違和感があって何度も折れた歯を舐めていたアジムは舌先で歯が伸びてくるのを感じて変な気分になったが、歯が元通りの形に再生すると、がちがち噛み合わせを確認して違和感がないことに逆に違和感を覚えつつスクルドに礼を言って立ち上がった。
「さて、進みましょうか」
「もう動けるのか!?」
「俺は<回復増強>のスキルがマスターで入っているんで、
体力は身体を動かしながらでも割合回復するから
基本的に常時ほぼ全快状態なんですよ」
「……本当に、タフだなぁ」
しみじみとアジムを見上げて言うヒルドに、アジムは軽く笑って見せた。
「で、次は何が出るんです?」
「いやいや、あの鋼鉄人形がボスだから。
あとは宝物を回収して
この個人ダンジョンはおしまいだよ」
「そうなんですか」
ちょっと残念そうなアジムに、ヒルドが苦笑を浮かべる。
「ところで、個人ダンジョンって何ですか?」
「宝の地図を持ったパーティしか入れないダンジョンだ。
一番奥にボスがいて、倒せば宝物が手に入るんだ。
地図がないと入ることができないから、
ほかのプレイヤーと競合せず冒険できる」
ヒルドはごそごそと懐から古ぼけた紙片を取り出した。それがこのダンジョンにはいるための宝の地図なのだろう。
「個人ダンジョンは宝物を入手すれば消えてしまう。
今回、アジムのおかげで一番奥の宝を入手できたから、
それをもってここから出たら、これは消えてしまうんだ」
「なるほど。
ほかのプレイヤーのいるダンジョンもあるんですか?」
「そっちは公共ダンジョンだな。
色んな人が自由に出入りして魔物と戦えるダンジョンで、
居合わせた人たちで協力もできるが、
宝箱の奪い合いがあったりPKがいたりもするから、
気を付けないといけないぞ」
アジムがヒルドの注意に頷いていると、アジムが無事なことを確認してから散っていた仲間たちが改めて集まってきた。
その中の一人、長い紫がかった銀色の髪をなびかせた少女がアジムに向かって進み出た。背は低く、小柄なリリィよりもさらに小柄だ。目線がアジムの腰くらいまでしかない。その顔も背に応じた幼いものだが、髪よりも濃い紫色の瞳が落ち着いた静けさをたたえていて大人びて見えた。陶器のような白い肌と相まって、どこか人形じみた美しさを感じる。
少女は<戦乙女の饗宴>の揃いの鎧兜のほかに槍を二本、手にしていた。一本はアジムも見覚えのある細身の槍で、ここまで進行するまでに振るっていたものだ。もう一本は穂先が金色に輝く鉾槍だ。どちらもそれを手にしている本人よりも長いが、穂先が大きく重く、鉄で柄を補強された鉾槍は小柄な少女にはかなり重そうだ。
「本当にありがとうございます。
いい槍を手に入れることができました」
だが、少女はその重そうな鉾槍をうれしそうに捧げ持つ。
喜ぶ姿を見て、アジムも笑みを返した。
「さぁて、アジムが動けるならそろそろ帰ろうか。
あとはギルドハウスに帰ってからゆっくり話そう」
アジムはほかのメンバーと同じようにヒルドの声に頷いて放り出したままになっていた大剣を拾い、歩き出したヒルドの背を追ってダンジョンを後にした。
〇
「すまないな。一度も全滅せずに、
午前中でダンジョン攻略が終わるとは思っていなかったんだ」
最初にソフィアと一緒に話をした兵舎のような建物に戻ると、<戦乙女の饗宴>のメンバーが昼食を用意してくれた。ヒルドは言い訳のようにそんな言葉を口にしたが、並べられた料理は慌てて用意したにしてはあまりにも豪華だ。鮭やエビ、ハムなどがのせられたスモーブロー。ホワイトソースに潜んだマスタードがぴりりと旨いコッグ・トースク。フリッカデーラは茹でたじゃがいもと一緒にチーズソースがかけられていて、暖かな湯気が上がっている。どれもたっぷりと用意されていて、アジムの前に並べられた。
最後に腹が鳴るのを我慢しようとしかめっ面になっているアジムの前に、なみなみと注がれたビールが木製ジョッキで饗されて「さあ、召し上がれ」と、中心になって食事を用意してくれたエイルから声をかけられる。
ずっと視線を向けていた料理から目を上げると、全員が食卓を囲んで料理に目を奪われていたアジムに微笑ましい目を向けていた。
気恥ずかしい思いをしながら手を合わせて「いただきます」と声を出すと、アジムとしては十分に豪華な戦勝の宴が始まった。
コペンハーゲン近くの森にギルドハウスを構える戦乙女の饗宴のメンバーたちが用意してくれた、地元の料理に舌鼓を打つ。やはり飲むよりも食べるほうが好きなアジムは用意してもらった料理をどんどんと腹に収めていく。その中でも山育ちのアジムはやっぱり魚料理が珍しくて手が伸びやすい。コッグ・トースクを好んで食べていると、はしばみ色の髪と瞳をしたそばかすの少女がにこにことそれを見ていた。
作ってくれたのは彼女のようだ。軽く頭を下げて感謝を伝えると、笑みを深くしてくれた。
「そういえば、アジムは決闘をやっていきたいんだったか」
アジムが目の前に山と積まれた料理をありがたくいただいていると、すでに手元の皿を空にしていたヒルドがビールを片手にそんな風に言葉を漏らした。
アジムは口の中のものを飲み下してから頷くと、
「そうですね。
自分が戦闘でどこまで通用するのか、
やってみたいと思ってます」
「そうか。それなら、昼からは時間が空いたことだし、
私と試合をやってみるか?」
「いいんですか!?
是非、お願いします!」
誘いに喜び勇んでアジムが頷くと、ヒルドは満足そうに頷いた。だが、それにギルドメンバーたちがじっとりした視線を向ける。
「だんちょー。
自分だけアジムとする予定を組むの、ずるくない?」
「みんなでやってもらおうよ」
ウル、スクルドの姉妹の文句を皮切りに、ギルドメンバー全員が不満の声を上げる。
「あー。アジム、付き合ってやってもらえるか?」
アジムは一も二もなく頷いた。
昼食を終えると、アジムはヒルドたちに連れられて外に出た。相変わらず息が白くなるほど寒いが、昼になって陽光が降り注ぐようになったので、アジムが最初にギルドハウスを訪ねた時よりもずいぶん寒さは緩んでいる。戦うのに支障があるほどの寒さではない。だが、地面には雪が深く降り積もり、それを何とかしてからでないと足を取られてしまいそうだ。
シャベルでもあれば雪をどかせるかな、などとアジムが考えていると、水の魔法剣士であるウルが<水操作>を使って雪を操り、地面の露出する小さな広場を作ってくれた。
「おお……」
雪が意思をもったように自分から避けていくのを見て感嘆の声を漏らしていたアジム、その背をヒルドに叩かれる。
「それじゃ、戦ろうか。
まずは私からだ」
アジムは頷いて背に担いできた大剣を手に取る。鋼鉄人形の腕や足と激しくぶつけ合った刀身はひどく刃こぼれしている。だが、そもそも腕力で叩き切る使い方をするアジムに刃の鋭さはそう重要でもなく、剣のバランスや重心が狂ってしまうほど歪んでいるわけでもないので、修理は帰ってからで十分だろう。
「よし……。
では、行くぞ!」
ヒルドが気合いの声を上げると同時に、手早く自分の鎧の胸の上に指を走らせ、ルーンを描く。描いたルーンは車輪、旅を示すルーン。移動のための速さをもたらすものだ。最後にそれを手で押さえつけるようにして魔力を込めれば、SPD(速度)上昇の効果を発する。
アジムはルーンによる強化が終わって剣を抜くヒルドを腰を落として大剣の切っ先を低くしてどっしりと待ち構える。上昇した速さでもって土の上を駆け、斬りかかってくるヒルドに対し、アジムは剣を振り上げるようにして迎え撃った。
〇
戦乙女の饗宴のメンバーたちと順に戦い、全員を破ったアジムは頭を下げた。
「ありがとうございました。
すごくいい経験になりました」
「いや、こちらもいい経験になったよ。
ありがとう」
勇んで最初に戦ったがあっさり一蹴されてしまったヒルドが苦笑を浮かべて礼を言う。ヒルドはギルドメンバーでは一番前衛で戦うスキルとステータスをしているが、前衛の専門家であるアジムと比べればルーン魔術も使え、ギルドマスターとして交渉事も行う汎用型のヒルドのそれは大きく劣る。
「私の雷魔法で剣を取り落とさないなんて……」
「うぅ……アジム、鎧が分厚いよ……」
「一撃必殺でやられちゃったら、
回復魔法あっても使えないよ~……」
属性魔法を使えるエイル、ウル。回復魔法の使い手であるスクルドも、結果はあまり捗々しくなかった。
分厚い鎧を着こみ、<抵抗力>スキルを持ち、VIT(体力)を最大値まで上げているアジムは極端に魔法が効きにくい。エイルは雷魔法をアジムの大剣にたたきつけて雷の衝撃を手に流し込んだが、普通に耐えられた。ウルは水魔法で水圧の刃を放ったが鎧を抜くことができなかった。スクルドは本人が言うようにアジムに一撃で戦闘不能にされてしまい、そもそも回復魔法を使うこともできなかった。
辛うじて<魔力矢>だけは物理防御を無効化するので攻撃が通るのだが、集中を取らずに発動するものでは大したダメージを与えることはできず、アジムにじっくりと攻撃のパターンを見られ、見切られ、最終的に力押しを捌ききれずに打ち倒された。
「アジム、
なんだか私たちみたいな魔法剣士のと戦うの、
妙に手慣れてない?」
「あー。なんか待ち構えてるのが余裕あったねー」
アジムはウルとスクルドにそんな風に言われて頭を掻いた。
アジムはリリィを叩きのめす専門家という面もある。属性魔法を使う魔法剣士を叩き潰すのは手慣れたものだ。
「いやー、アジムさん、本当に強いッス!
私もまだまだ精進しないと!」
そんな風に満足そうに声をあげるのはコッグ・トースクを作ってくれた少女だ。はしばみ色の髪と瞳をした少女は、そばかすとおさげの髪がぱっちりとした目と明るい表情と相まって、なんとなく牧歌的な空気がある。どちらかといえばエプロンドレスのほうが似合いそうな、そんな彼女が戦乙女の装束に身を包んでいると、田舎から出てきたばかりの少女が一端の戦士を目指して背伸びをしているような「無理するなよ」と言いたくなるような気分をアジムは覚えた。
だが、実際のところはロタと自己紹介した彼女はヒルドとほぼ同じスキル・パラメータ構成で、侮ることができない戦士だ。ルーン魔術でSPD(速さ)を強化したヒルドとは対照的にSTR(筋力)を強化してアジムと真っ向から剣をぶつけ合う戦術をとった。強化しても体格差もあってアジムの腕力を上回ることはできず、ほぼ防戦一方だったが、その思い切りのいい戦い方はアジムにも印象に残った。
「いや、俺ももっともっと精進しないと。
リーヴァにぼこぼこにされましたから」
アジムはそう言って、<戦乙女の饗宴>の最後の一人に目を向けた。リリィよりも小柄な体で、手に入れたばかりの大きな金の穂先の鉾斧にもたれかかる様にして立っている少女。幼いながらも可愛さよりも美しさが上回る、恐ろしいほどに整った顔に薄い笑みを浮かべている紫銀の髪をした彼女に、アジムは派手に連敗した。
シグルドリーヴァと名乗り、リーヴァと呼んでほしいと言った彼女はルーン魔術を補助に使う、SPD(速さ)特化型の槍使いだ。今まではただでさえ速い動きをルーン魔術でさらに強化していたそうだが、性能はすごく良いが重い鉾斧を振り回すためにルーン魔術で筋力強化を行い、強化していなくともシズカに匹敵する速さで遠い間合いから突きまくる。
しかも、その突きは足を狙った下段突きが中心で、対処や反撃が難しい攻撃だ。
アジムは足への攻撃を脛で受ける癖がある。シグルドリーヴァの槍も、軽く足を上げて脛で受けようとした。アジムの脛は脚甲で覆われているので、あながち間違った対応でもない。だが、SPD特化型のシグルドリーヴァにはそのアジムの防御動作を見てから、狙いをもう片方の軸足に変える余裕がある。鉾斧の穂先の刃の部分を使って、軸足の足首を切り裂く。ダメージは大したものでなくとも、踏ん張りが利かなくなってしまう。踏み込みが鈍化し、ただでさえ速度差があるのに、シグルドリーヴァの動きに全くついていけなくなる。
そうなれば後は嬲り殺されるのを待つだけだ。
何度も同じパターンで負けた挙句、戦闘開始直後に筋力強化のルーンを描いているところに特攻して押しつぶすという、駆け引きもあったものではない戦法で、どうにか勝ちを拾わせてもらった。
「槍使いへの対策、考えないとなぁ……」
槍使いとの相性の悪さが浮き彫りになった。今回は試合なので投擲スキルで扱う投げナイフや煙玉の類は使わなかったが、使ったとしてもSPD特化型の槍使いに簡単に近づけるとは思えない。
アジムが考えを巡らせていると、シグルドリーヴァが笑みを浮かべて近づいてきた。
それまであまり表情を変えず、人形じみていた彼女が満面の笑みだ。
訝しく思ったアジムがシグルドリーヴァを見下ろすと、
「私も負けたので、これで全員負けましたよね?」
「そ、そうですね……?」
シグルドリーヴァの確認に、質問の意図がわからず、アジムは訝しさが抜けない肯定を返す。
だが、その肯定の言葉に、シグルドリーヴァはさらに嬉しそうになった。
「じゃあ、これでみんな荒っぽく襲ってもらえるんですね!」
「……はぇ?」
言われた言葉が理解できず、間の抜けた返事になった。
嬉しそうだったシグルドリーヴァはアジムの反応に戸惑った様子を見せた。
「え、襲ってもらえないんですか?」
意味が分からずアジムは視線をヒルドに向けるが、ヒルドも同じように戸惑った顔をしていた。
「戦って負けたら、
ものすごく執拗に陵辱してもらえると聞いていたんだが、
違うのか?」
「……誰が言ったんですか、そんなこと」
「ソフィアだが」
ソフィアの名前を聞いて、なんとなく話の流れた掴めてきたアジムはほかのメンバーにも目を向けてみる。全員が例外なく、期待と不安に満ちた視線をアジムに向けていた。
アジムが<明日見る風景>のメンバーと戦い、陵辱した話をソフィアから聞いて、それが自分たちにも適用されると思っていたのだろう。
アジムは頭を掻いた。
ソフィアは<戦乙女の饗宴>を知り合いのギルドと言っていたが、そういう趣味の知り合いだったようだ。
色々なタイプの戦闘を経験させてもらったのだ。それがお礼になるなら、アジムに否やはない。
「……仕切り直し、させてもらっていいですか」
アジムのその言葉に、戦乙女たちから歓声が上がった。
鋼鉄人形に十分なダメージを与えたことを確認して、ヒルドが懐から包帯を取り出しながら吹っ飛ばされたアジムに向かって走る。声をかけられたアジムは倒れたまま「大丈夫だ」と手を上げてひらひらと振って見せたが、鋼鉄人形とあれだけ殴り合って無事だとは思えない仲間たちも焦って駆け寄ってくる。一番最初にたどり着いたヒルドがアジムの兜を外すと、ぼこぼこに腫れあがった上に赤と青の痣に彩られたアジムの顔が出てきた。
「大丈夫……なわけないな。
すぐに治療する」
アジムは軽くせき込みながらヒルドの言葉に頷いて、口の中にあった折れてしまった歯を吐き出した。
「どうして素手で鋼鉄人形と殴り合うなんて真似をしたんだ」
顔の痣に包帯を巻かれながら、ヒルドにそんな風に叱られる。
その隣で膝をついたスクルドが回復魔法の集中に入った。
「いや、その、剣だと振りが遅くて受けきれないから、
格闘で受けようとしたんですけど、
その、テンションが上がりすぎて、つい」
包帯が巻かれ終わると空間に溶けるように巻かれた包帯が消えて、同時に全身の痛みも消える。顔中の腫れや痣も引いて、普段通りの顔に戻った。ただ、口の中のなくなってしまった歯はそのままだ。
アジムが舌で違和感のある歯を舐めながら身を起こすと、ヒルドは驚いたように目を見張った。
「骨は折れていないのか?」
<治療>スキルで傷はふさがっても骨が折れていたりすると、そこは治らない。身体を起こすのに難渋するはずなのだ。
「歯は何本か折られましたけど、
骨は大丈夫っぽいですね」
身体を軽くひねってみてもどこも痛みが走ったり、動かなかったりする場所はない。分厚すぎる筋肉と強靭な骨が鋼鉄人形の攻撃を耐えきってくれたのだろう。アジムがそのまま立ち上がろうとすると、慌てたようなヒルドに押しとどめられた。
「まてまて。歯は折れたんだろう。
スクルドが<再生>の集中に入っているから、
それがかかってから動いてくれ」
「え? ああ、ありがとうございます」
そんな風に話しているうちに集中が終わり、スクルドが<再生>をかけてくれた。違和感があって何度も折れた歯を舐めていたアジムは舌先で歯が伸びてくるのを感じて変な気分になったが、歯が元通りの形に再生すると、がちがち噛み合わせを確認して違和感がないことに逆に違和感を覚えつつスクルドに礼を言って立ち上がった。
「さて、進みましょうか」
「もう動けるのか!?」
「俺は<回復増強>のスキルがマスターで入っているんで、
体力は身体を動かしながらでも割合回復するから
基本的に常時ほぼ全快状態なんですよ」
「……本当に、タフだなぁ」
しみじみとアジムを見上げて言うヒルドに、アジムは軽く笑って見せた。
「で、次は何が出るんです?」
「いやいや、あの鋼鉄人形がボスだから。
あとは宝物を回収して
この個人ダンジョンはおしまいだよ」
「そうなんですか」
ちょっと残念そうなアジムに、ヒルドが苦笑を浮かべる。
「ところで、個人ダンジョンって何ですか?」
「宝の地図を持ったパーティしか入れないダンジョンだ。
一番奥にボスがいて、倒せば宝物が手に入るんだ。
地図がないと入ることができないから、
ほかのプレイヤーと競合せず冒険できる」
ヒルドはごそごそと懐から古ぼけた紙片を取り出した。それがこのダンジョンにはいるための宝の地図なのだろう。
「個人ダンジョンは宝物を入手すれば消えてしまう。
今回、アジムのおかげで一番奥の宝を入手できたから、
それをもってここから出たら、これは消えてしまうんだ」
「なるほど。
ほかのプレイヤーのいるダンジョンもあるんですか?」
「そっちは公共ダンジョンだな。
色んな人が自由に出入りして魔物と戦えるダンジョンで、
居合わせた人たちで協力もできるが、
宝箱の奪い合いがあったりPKがいたりもするから、
気を付けないといけないぞ」
アジムがヒルドの注意に頷いていると、アジムが無事なことを確認してから散っていた仲間たちが改めて集まってきた。
その中の一人、長い紫がかった銀色の髪をなびかせた少女がアジムに向かって進み出た。背は低く、小柄なリリィよりもさらに小柄だ。目線がアジムの腰くらいまでしかない。その顔も背に応じた幼いものだが、髪よりも濃い紫色の瞳が落ち着いた静けさをたたえていて大人びて見えた。陶器のような白い肌と相まって、どこか人形じみた美しさを感じる。
少女は<戦乙女の饗宴>の揃いの鎧兜のほかに槍を二本、手にしていた。一本はアジムも見覚えのある細身の槍で、ここまで進行するまでに振るっていたものだ。もう一本は穂先が金色に輝く鉾槍だ。どちらもそれを手にしている本人よりも長いが、穂先が大きく重く、鉄で柄を補強された鉾槍は小柄な少女にはかなり重そうだ。
「本当にありがとうございます。
いい槍を手に入れることができました」
だが、少女はその重そうな鉾槍をうれしそうに捧げ持つ。
喜ぶ姿を見て、アジムも笑みを返した。
「さぁて、アジムが動けるならそろそろ帰ろうか。
あとはギルドハウスに帰ってからゆっくり話そう」
アジムはほかのメンバーと同じようにヒルドの声に頷いて放り出したままになっていた大剣を拾い、歩き出したヒルドの背を追ってダンジョンを後にした。
〇
「すまないな。一度も全滅せずに、
午前中でダンジョン攻略が終わるとは思っていなかったんだ」
最初にソフィアと一緒に話をした兵舎のような建物に戻ると、<戦乙女の饗宴>のメンバーが昼食を用意してくれた。ヒルドは言い訳のようにそんな言葉を口にしたが、並べられた料理は慌てて用意したにしてはあまりにも豪華だ。鮭やエビ、ハムなどがのせられたスモーブロー。ホワイトソースに潜んだマスタードがぴりりと旨いコッグ・トースク。フリッカデーラは茹でたじゃがいもと一緒にチーズソースがかけられていて、暖かな湯気が上がっている。どれもたっぷりと用意されていて、アジムの前に並べられた。
最後に腹が鳴るのを我慢しようとしかめっ面になっているアジムの前に、なみなみと注がれたビールが木製ジョッキで饗されて「さあ、召し上がれ」と、中心になって食事を用意してくれたエイルから声をかけられる。
ずっと視線を向けていた料理から目を上げると、全員が食卓を囲んで料理に目を奪われていたアジムに微笑ましい目を向けていた。
気恥ずかしい思いをしながら手を合わせて「いただきます」と声を出すと、アジムとしては十分に豪華な戦勝の宴が始まった。
コペンハーゲン近くの森にギルドハウスを構える戦乙女の饗宴のメンバーたちが用意してくれた、地元の料理に舌鼓を打つ。やはり飲むよりも食べるほうが好きなアジムは用意してもらった料理をどんどんと腹に収めていく。その中でも山育ちのアジムはやっぱり魚料理が珍しくて手が伸びやすい。コッグ・トースクを好んで食べていると、はしばみ色の髪と瞳をしたそばかすの少女がにこにことそれを見ていた。
作ってくれたのは彼女のようだ。軽く頭を下げて感謝を伝えると、笑みを深くしてくれた。
「そういえば、アジムは決闘をやっていきたいんだったか」
アジムが目の前に山と積まれた料理をありがたくいただいていると、すでに手元の皿を空にしていたヒルドがビールを片手にそんな風に言葉を漏らした。
アジムは口の中のものを飲み下してから頷くと、
「そうですね。
自分が戦闘でどこまで通用するのか、
やってみたいと思ってます」
「そうか。それなら、昼からは時間が空いたことだし、
私と試合をやってみるか?」
「いいんですか!?
是非、お願いします!」
誘いに喜び勇んでアジムが頷くと、ヒルドは満足そうに頷いた。だが、それにギルドメンバーたちがじっとりした視線を向ける。
「だんちょー。
自分だけアジムとする予定を組むの、ずるくない?」
「みんなでやってもらおうよ」
ウル、スクルドの姉妹の文句を皮切りに、ギルドメンバー全員が不満の声を上げる。
「あー。アジム、付き合ってやってもらえるか?」
アジムは一も二もなく頷いた。
昼食を終えると、アジムはヒルドたちに連れられて外に出た。相変わらず息が白くなるほど寒いが、昼になって陽光が降り注ぐようになったので、アジムが最初にギルドハウスを訪ねた時よりもずいぶん寒さは緩んでいる。戦うのに支障があるほどの寒さではない。だが、地面には雪が深く降り積もり、それを何とかしてからでないと足を取られてしまいそうだ。
シャベルでもあれば雪をどかせるかな、などとアジムが考えていると、水の魔法剣士であるウルが<水操作>を使って雪を操り、地面の露出する小さな広場を作ってくれた。
「おお……」
雪が意思をもったように自分から避けていくのを見て感嘆の声を漏らしていたアジム、その背をヒルドに叩かれる。
「それじゃ、戦ろうか。
まずは私からだ」
アジムは頷いて背に担いできた大剣を手に取る。鋼鉄人形の腕や足と激しくぶつけ合った刀身はひどく刃こぼれしている。だが、そもそも腕力で叩き切る使い方をするアジムに刃の鋭さはそう重要でもなく、剣のバランスや重心が狂ってしまうほど歪んでいるわけでもないので、修理は帰ってからで十分だろう。
「よし……。
では、行くぞ!」
ヒルドが気合いの声を上げると同時に、手早く自分の鎧の胸の上に指を走らせ、ルーンを描く。描いたルーンは車輪、旅を示すルーン。移動のための速さをもたらすものだ。最後にそれを手で押さえつけるようにして魔力を込めれば、SPD(速度)上昇の効果を発する。
アジムはルーンによる強化が終わって剣を抜くヒルドを腰を落として大剣の切っ先を低くしてどっしりと待ち構える。上昇した速さでもって土の上を駆け、斬りかかってくるヒルドに対し、アジムは剣を振り上げるようにして迎え撃った。
〇
戦乙女の饗宴のメンバーたちと順に戦い、全員を破ったアジムは頭を下げた。
「ありがとうございました。
すごくいい経験になりました」
「いや、こちらもいい経験になったよ。
ありがとう」
勇んで最初に戦ったがあっさり一蹴されてしまったヒルドが苦笑を浮かべて礼を言う。ヒルドはギルドメンバーでは一番前衛で戦うスキルとステータスをしているが、前衛の専門家であるアジムと比べればルーン魔術も使え、ギルドマスターとして交渉事も行う汎用型のヒルドのそれは大きく劣る。
「私の雷魔法で剣を取り落とさないなんて……」
「うぅ……アジム、鎧が分厚いよ……」
「一撃必殺でやられちゃったら、
回復魔法あっても使えないよ~……」
属性魔法を使えるエイル、ウル。回復魔法の使い手であるスクルドも、結果はあまり捗々しくなかった。
分厚い鎧を着こみ、<抵抗力>スキルを持ち、VIT(体力)を最大値まで上げているアジムは極端に魔法が効きにくい。エイルは雷魔法をアジムの大剣にたたきつけて雷の衝撃を手に流し込んだが、普通に耐えられた。ウルは水魔法で水圧の刃を放ったが鎧を抜くことができなかった。スクルドは本人が言うようにアジムに一撃で戦闘不能にされてしまい、そもそも回復魔法を使うこともできなかった。
辛うじて<魔力矢>だけは物理防御を無効化するので攻撃が通るのだが、集中を取らずに発動するものでは大したダメージを与えることはできず、アジムにじっくりと攻撃のパターンを見られ、見切られ、最終的に力押しを捌ききれずに打ち倒された。
「アジム、
なんだか私たちみたいな魔法剣士のと戦うの、
妙に手慣れてない?」
「あー。なんか待ち構えてるのが余裕あったねー」
アジムはウルとスクルドにそんな風に言われて頭を掻いた。
アジムはリリィを叩きのめす専門家という面もある。属性魔法を使う魔法剣士を叩き潰すのは手慣れたものだ。
「いやー、アジムさん、本当に強いッス!
私もまだまだ精進しないと!」
そんな風に満足そうに声をあげるのはコッグ・トースクを作ってくれた少女だ。はしばみ色の髪と瞳をした少女は、そばかすとおさげの髪がぱっちりとした目と明るい表情と相まって、なんとなく牧歌的な空気がある。どちらかといえばエプロンドレスのほうが似合いそうな、そんな彼女が戦乙女の装束に身を包んでいると、田舎から出てきたばかりの少女が一端の戦士を目指して背伸びをしているような「無理するなよ」と言いたくなるような気分をアジムは覚えた。
だが、実際のところはロタと自己紹介した彼女はヒルドとほぼ同じスキル・パラメータ構成で、侮ることができない戦士だ。ルーン魔術でSPD(速さ)を強化したヒルドとは対照的にSTR(筋力)を強化してアジムと真っ向から剣をぶつけ合う戦術をとった。強化しても体格差もあってアジムの腕力を上回ることはできず、ほぼ防戦一方だったが、その思い切りのいい戦い方はアジムにも印象に残った。
「いや、俺ももっともっと精進しないと。
リーヴァにぼこぼこにされましたから」
アジムはそう言って、<戦乙女の饗宴>の最後の一人に目を向けた。リリィよりも小柄な体で、手に入れたばかりの大きな金の穂先の鉾斧にもたれかかる様にして立っている少女。幼いながらも可愛さよりも美しさが上回る、恐ろしいほどに整った顔に薄い笑みを浮かべている紫銀の髪をした彼女に、アジムは派手に連敗した。
シグルドリーヴァと名乗り、リーヴァと呼んでほしいと言った彼女はルーン魔術を補助に使う、SPD(速さ)特化型の槍使いだ。今まではただでさえ速い動きをルーン魔術でさらに強化していたそうだが、性能はすごく良いが重い鉾斧を振り回すためにルーン魔術で筋力強化を行い、強化していなくともシズカに匹敵する速さで遠い間合いから突きまくる。
しかも、その突きは足を狙った下段突きが中心で、対処や反撃が難しい攻撃だ。
アジムは足への攻撃を脛で受ける癖がある。シグルドリーヴァの槍も、軽く足を上げて脛で受けようとした。アジムの脛は脚甲で覆われているので、あながち間違った対応でもない。だが、SPD特化型のシグルドリーヴァにはそのアジムの防御動作を見てから、狙いをもう片方の軸足に変える余裕がある。鉾斧の穂先の刃の部分を使って、軸足の足首を切り裂く。ダメージは大したものでなくとも、踏ん張りが利かなくなってしまう。踏み込みが鈍化し、ただでさえ速度差があるのに、シグルドリーヴァの動きに全くついていけなくなる。
そうなれば後は嬲り殺されるのを待つだけだ。
何度も同じパターンで負けた挙句、戦闘開始直後に筋力強化のルーンを描いているところに特攻して押しつぶすという、駆け引きもあったものではない戦法で、どうにか勝ちを拾わせてもらった。
「槍使いへの対策、考えないとなぁ……」
槍使いとの相性の悪さが浮き彫りになった。今回は試合なので投擲スキルで扱う投げナイフや煙玉の類は使わなかったが、使ったとしてもSPD特化型の槍使いに簡単に近づけるとは思えない。
アジムが考えを巡らせていると、シグルドリーヴァが笑みを浮かべて近づいてきた。
それまであまり表情を変えず、人形じみていた彼女が満面の笑みだ。
訝しく思ったアジムがシグルドリーヴァを見下ろすと、
「私も負けたので、これで全員負けましたよね?」
「そ、そうですね……?」
シグルドリーヴァの確認に、質問の意図がわからず、アジムは訝しさが抜けない肯定を返す。
だが、その肯定の言葉に、シグルドリーヴァはさらに嬉しそうになった。
「じゃあ、これでみんな荒っぽく襲ってもらえるんですね!」
「……はぇ?」
言われた言葉が理解できず、間の抜けた返事になった。
嬉しそうだったシグルドリーヴァはアジムの反応に戸惑った様子を見せた。
「え、襲ってもらえないんですか?」
意味が分からずアジムは視線をヒルドに向けるが、ヒルドも同じように戸惑った顔をしていた。
「戦って負けたら、
ものすごく執拗に陵辱してもらえると聞いていたんだが、
違うのか?」
「……誰が言ったんですか、そんなこと」
「ソフィアだが」
ソフィアの名前を聞いて、なんとなく話の流れた掴めてきたアジムはほかのメンバーにも目を向けてみる。全員が例外なく、期待と不安に満ちた視線をアジムに向けていた。
アジムが<明日見る風景>のメンバーと戦い、陵辱した話をソフィアから聞いて、それが自分たちにも適用されると思っていたのだろう。
アジムは頭を掻いた。
ソフィアは<戦乙女の饗宴>を知り合いのギルドと言っていたが、そういう趣味の知り合いだったようだ。
色々なタイプの戦闘を経験させてもらったのだ。それがお礼になるなら、アジムに否やはない。
「……仕切り直し、させてもらっていいですか」
アジムのその言葉に、戦乙女たちから歓声が上がった。
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