【R18】VRMMO 最強を目指す鍛錬記

市村 いっち

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復讐の騎士 リリィ・フランネル

復讐の騎士 リリィ・フランネル(17)

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 両手を差し出して抱き上げられる体勢になったリリィを、膝立ちで腕と腰の力だけで湯船から抱き上げ、胡坐をかいて座った膝の上にそっと横たえた。右の膝を枕にして、左の膝で両方の膝裏を支え、胡坐をかいたアジムの膝の上にリリィがすっぽりと収まった。

「じゃあ、髪を流しますね」
「うん」

 リリィはアジムが備え付けの棚から髪を洗うためのシャンプー代わりの香油を手に取ったのを見てほっとする。さすがに髪に石鹸を使われるのはちょっと遠慮したい。アジムが水除のタオルを顔にかぶせてくれる。視界を遮られるが、陵辱されるときと打って変わった優しい手に不安はない。
 すぐに暖かな湯が髪を湿らせ、香油を手に取ったアジムの手が髪に触れる。加減がわからないのかそろそろと触れるその手に、リリィはタオルの下で目を閉じたまま笑みを浮かべた。

「好きにやってくれていいよ、アジムくん」

 リリィの言葉を聞いてもしばらくは躊躇いがちな手つきだったが、しばらくすると覚悟を決めたのか、しっかりと香油を泡立てて髪を洗い始めた。長い髪を扱うのに慣れていないアジムの手は、女性の髪の扱いとして満点とは言い難いかもしれないが、ごつごつとした太くて力強い指が頭皮をしっかり洗ってくれる。美容院ではなく床屋の手つきだ。これはこれで心地よい。暖かなアジムの膝と合わせて、なんだかふわふわする。

「かゆいところはありませんか?」
「だいじょーぶでーす」

 リリィのリアクションがないことに不安になったアジムが定番の質問をすると、リリィからふにゃふにゃとした声が返ってきた。リラックスしてくれているようだ。アジムはそう判断してたっぷりの湯で髪に泡が残らないよう時間をかけて洗い流し、続けてリンス代わりの香油を手に取って髪につけ、またすぐに湯で洗い流す。
 アジムは髪の水分をタオルでふき取って、顔の上のタオルを外した。だが、リリィが目を閉じたまま動こうとしない。

「リリィさん?」

 声をかけても目を開こうとしないリリィの頬を、指で少しつついてみるが反応が返ってこない。目を閉じている間に寝入ってしまったようだ。アジムは頭を掻いた。とりあえず、身体も洗ってしまおう。そう判断して、アジムは髪を拭いたタオルを湯に浸し、たっぷりの石鹸をつけて泡立てた。
 そしてリリィの肌に触れる。透き通るように白いリリィの肌は、少し擦るだけで赤くなってしまいそうで不安を感じるが、この二日間の性の残滓がその肌を汚している。リリィを汚したアジムが綺麗にしないわけにいかない。そろそろとリリィの肌をタオルでこすっていく。
 腕や背中はまあ、いい。舐めまわして唾液まみれにしてしまった首筋も、普段から鎧をはずしたら襟元から見えるのでそんなに動揺もしない。荒っぽく何度も掴み上げて痣の残る控えめな乳房や、健康的に肉の乗った太ももなどは普段から見えない部分で、陵辱する間にアジムがその感触を楽しんだ部分は、タオルで擦っているとアジムの雄の部分が反応する。無心を自分に言い聞かせながらリリィを洗いあげていくが、アジムが吐き出した精液が残る割れ目に触れたときに、

「ぅ…ん……」

 リリィの鼻にかかった声が耳に入ってきて、我慢していたのに股間のものが固くなった。アジムは一瞬だけ動きを止めて、大きく息をついてから続けてリリィの割れ目に残る精液を指でそろそろと掻きだす。その間もリリィがむずかるように声を漏らすので、どうにかそこがきれいになるころには、アジムの股間のものはガチガチになっていた。邪妖精ゴブリンくらいなら殴り倒せそうだなあと、他人事のようにアジムは思う。
 身体の泡を湯で流し、眠ったままのリリィを抱き上げて湯船に入る。リリィが一人で入っていても湯があふれたりしなかったが、アジムが一緒に入ると大量の湯があふれ出た。
 水音がしても湯に浸かっても眠ったままのリリィに苦笑しながら、アジムは身体を温める。股間のものは固くなってしまっているが、眠ったままのリリィを抱くつもりはない。このままいきなり突き入れてもリリィは受け入れてくれるだろうが、欲望のままリリィを襲ってしまえば陵辱しているときと何ら変わりない。
 アジムはリリィで性欲を発散したいのではなく、リリィという女性が抱きたいのだ。
 リリィを胸に抱いたままほどほどに身体を温めて、湯船から上がる。リリィを片手に抱いたままタオルで軽く湯をぬぐって脱衣所に出る。風呂に合わせて脱衣所も複数人で使うことが前提にされているのか、洗面と化粧台が別に用意してあって広い。アジムは脱衣所に用意されているバスタオルでリリィの身体を軽くいて、直接触れて冷たくないように化粧台の前の木の椅子にバスタオルを敷いてリリィをその上に座らせた。
 未だに起きないリリィに苦笑しつつ、アジムはざっと身体を拭いて下着を身に着けてから、改めてリリィの身体を拭いていく。バキバキに固くなっていた股間のものが少し落ち着いてくると、洗いあげたリリィの肌の輝きに少し満足感。最後に「たしかテレビドラマとかだとこうやってたよな」と髪をタオルで挟むようにして拭く。
 アジムは髪の湯をふき取ったリリィにバスローブをまとわせて、抱き上げた。上半身を胸にもたれさせていると、首筋に穏やかな寝息がこそばゆい。
 アジムがそのまま部屋に戻ると頼んでおいたルームサービスの食事が届けられ、テーブルに並べられていた。アジムとリリィが風呂に入っている間に部屋の掃除やベッドメイキングも終わっていて、性の臭いが充満していた室内には料理の香りが満ちている。陵辱している間は酒を飲んだくらいで何も食べていなかったので、ものすごく腹が減っている。リリィも同じだろうが、寝入ってしまっているし、どうしたものか。

「……なんだか、いいにおい」

 リリィを起こすなら食べ物の匂いがいいらしい。
 困る必要もなくなったアジムは苦笑して、鼻をひくひくとさせるリリィをテーブルまで運び、椅子に座らせた。並んだ料理を見て目を輝かせるリリィに笑みを浮かべつつ、アジムもバスローブを羽織ってから大皿にたくさん盛られた料理を順番に取り分ける。
 ナスと玉ねぎのカポナータトマトと酢の和え物、インサラータ・ディ・アラオレンジのサラダンチェを先に取り分けて差し出してから、ペッシェ・スパーダ・アッラ・カジキマグロの煮込みギオッタとファルソマグロ仔牛肉の卵挽肉包煮を軽くほぐして盛り付ける。

「うわぁ、どれもおいしい……!」

 リリィが嬉しそうに料理を口に運ぶのを微笑ましく思いながら、最後の一品であるパスタ・コン・サルデ鰯と松の実のパスタを取り分けてフォカッチャ手焼き平パンと一緒にリリィの前に並べてから、自分も席につくと料理を口に運ぶ。長く泊まっている間にすっかり口に馴染んだカポナータを食べると、ナスに絡んだトマトとワインビネガーの心地よい酸味が口に広がり、ただでさえ空腹で爆発しそうだった食欲がさらに刺激される。

「リリィさん、それで足ります?
 もう少し取り分けましょうか」
「ちょっと多いくらいだよ。
 いや、おいしいから食べちゃうかな」

 シチリア特産のレモンを絞った水でときどき口の中をリセットさせながら、リリィの分を取り分けてもあまり減ったように見えなかった大皿の料理を順番に腹の中に収めていく。お代わりをしなかったリリィは先に食べ終えて食後の珈琲を飲んでいるが、珈琲を飲んでいるというのに欠伸をかみ殺している。
 それはそうだろうと、アジムはパスタを口に運びながら思う。
 陵辱され続けている間の睡眠時間は二日分を合わせても大した時間にはならない。寝不足になるのは当然だ。その上で絶頂かされ続けて疲れ切り、回復薬による不自然な体力の回復を強制されて、その不自然な体力もまた絶頂かされて奪いつくされるような二日間だったのだ。
 最後のフォカッチャを飲み込んで珈琲を口にする。
 アジム自身でさえ身体の芯にぼんやりとした疲労を感じる。リリィのため込んだ疲労はこんなものではないだろう。

「リリィさん?」
「ん……うん?
 何かな、アジムくん」

 ぼんやりしていたリリィがアジムの呼びかけによそおった明るさで返事を返してくれるが、お腹がいっぱいになったせいか、眠気を隠しきれていない。
 アジムはカップに残った珈琲を一息に飲み干して立ち上がると、テーブルを回りこんでリリィに腕を伸ばした。すっかり抱き上げられ慣れたリリィは腕を伸ばしてくるアジムを見て両手を広げ、その腕の中に納まった。

「えっと。
 これから、私、アジムくんに好きにされちゃうんだよね?
 どんなことをされちゃうのかな」

 アジムがベッドに向かっているのを理解した腕の中のリリィが楽し気に声をかけてきたが、その声のトーンも普段と比べると少し低いように感じられる。アジムはリリィを綺麗になったベッドの掛け布団をめくり、そこにリリィをそっと下ろすと、自分を見上げるリリィに寄り添うようにベッドに横になった。
 何をされるのかと期待を込めて見上げるリリィに苦笑を返し、自分とリリィの身体に掛け布団をかけてその布団ごとリリィを抱き込んだ。

「とりあえず、抱き枕になってもらって、
 軽くお昼寝しましょうか」

 お互いの顔が近くなったリリィに言うと、リリィは何度か瞬きをして、疲れていることをアジムに気遣われていることに気が付いて照れたように笑った。

「ありがと、アジムくん」

 アジムは黙って笑みを浮かべ、リリィに腕枕をしようと腕を差し込んだが、アジムの腕が太すぎて頭の小さなリリィには高さが合わなかった。リリィは憮然としつつも自分が使っている枕をずらして半分使わせてくれるアジムに笑みを浮かべ、柔らかく抱きしめて背中をゆるゆると叩いてくれる腕の中で目を閉じた。
 なんとも言えない幸せなぬくもりに、リリィの意識はあっという間に闇に溶けた。
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