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復讐の騎士 リリィ・フランネル

復讐の騎士 リリィ・フランネル(12)

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 気を失っていたリリィはふと意識を取り戻した。
 目を開くと見慣れない豪奢な装飾の天井が見えた。しばらくそのままぼんやりと天井の装飾を見上げていたが、気絶した理由を思い出して慌てて身体を起こす。身体にかけられていたつるりとした手触りのいい生地の布団が滑り落ちた。ベッドに寝かされていた身体は何一つ身に着けておらず、剣や鎧どころか、下着さえも奪われてしまっている。残っているのは身体を覆う色濃い疲労。そして受け入れきれない大きなものを無理やりこじ入れられた性器から垂れる精液と、未だに何かが入っているような異物感と痛みだ。下腹に手を当てて、どうにかそれを受け入れる。それは復讐を果たそうと挑み、敗れ、陵辱されたことを受け入れる作業でもあった。
 リリィは溢れてきた涙を、少しだけ流すことを自分に許した。
 しばらくそうして悔しさと悲しみに身を浸していたが、それでもそれを振り切って顔を上げた。自分を陵辱した男が近くにいないなら、今のうちに装備を回収して逃げ出さなければいけない。戦場にでるものらしい切り替えの良さでリリィは部屋に目を向けた。どこかに自分の装備は残されていないだろうか。
 天井が高く、広い部屋は茶色と緑が中心の、目に穏やかな配色だ。部屋にはリリィが寝かされていた大きなベッドのほかに、テーブルと4脚の椅子があった。揃いの装飾が施されたそれらは質の良さと、大切にされた時間が光沢となって輝き、品の良さを感じさせる。壁には大きなクローゼットがあって、装備が保管されているとしたらそこだろうとリリィは当たりを付けた。掛け布団をめくりクローゼットに向かって動き出そうとすると、足のあたりでしゃらりと、金属がこすれる音がした。
 大きく一つ、胸を跳ねさせて視線を向けると、リリィの左足首に武骨な鉄の枷が絡みついていた。枷からは鎖が伸びていて、リリィが寝かされていたベッドの足に固定されている。鎖の長さはリリィの身長とあまり変わらないくらいで、広い部屋のベッドと反対側にあるクローゼットには届きそうにない。鉄の枷は鍵開けの心得などないリリィに開けられるはずもなく、ベッドはリリィが4人くらい寝ても余裕があるような、恐ろしく大きなベッドだ。こんなものを引きずって動かすなど、できるはずもない。
 リリィは少し迷って、逃げることを優先した。クローゼットに装備はあるかもしれないが、それを取り戻そうとしている間にアジムが戻ってきたら、逃げる機会が失われてしまう。、にこだわりすぎて逃げられなくなるのはダメだ。リリィは目を閉じて<集中>を始める。
 特に何かに邪魔をされることなく<集中>の時間は終わり、目を閉じたままリリィは魔法を発動した。

「<帰還リコール>」

 血の気が引くような独特の魔力消費の感覚を感じ、だが<帰還>を発動させたときの浮遊感は感じられなかった。驚いたリリィが目を開くが、そこは広い部屋のベッドの上で、リリィが移動先に指定した自宅の光景は広がっていない。

「どうして……!?」

 もう一度<帰還>を使ってみるが、結果は変わらない。魔力は消耗するが魔法が発動されない。痛みで身じろぎしてちゃんと<集中>が取れていないのかと考え、身体を癒すために回復魔法も使ってみるが、同じように魔力が空費されるばかりだ。

「どうして……」

 絶望を感じながら俯く。長いものを二つにまとめてある髪がさらりと視界に入った。リリィは髪をまとめるための飾り紐は奪われていなかったことを思い出し、それをほどく。髪をまとめているそれはリリィが奥の手として隠し持つ回復アイテムだ。あまり強力なものではないが、普段から身に着けているものなので隠し持っていることが露呈しにくい。今も衣類は奪われてしまったが、飾り紐は身体から離されることはなかった。ぱさりと広がる髪を感じながら、手にした二本の飾り紐のうちの一本を、真ん中のあたりで引きちぎった。
 千切った断面からこぼれだした淡い輝きがリリィを包み、身体を苛む内側からの痛みが引いていく。同じようにもう一本を千切ると、今度は鉛のように重かった手足に力が戻ってきた。
 だが、回復した身体であらためて<帰還>を使ってみるが、魔法が発動できないのはかわらない。焦りを感じながら枷に手をかける。鍵はどうしようもないがなんとか足首を引き抜けないかと試してみるが簡単に抜けるはずもなく、殴りつけても手が痛いばかりで頑丈な枷は歪んだり緩んだりする気配は微塵もない。どうしようもないことをうすうす理解はできていても、逃げることを諦めきれないリリィが枷をいじくり回していると、ごつごつとした足音が近づいてくるのが耳に入った。
 リリィが動きを止めて聞き耳を立てていると、足音は部屋のドアの前で止まり、ほどなくがちゃりと鍵を開ける音がする。そうしてドアを開けて入ってきたのは、自分を叩きのめし、この部屋に攫って来た男だ。

「<火の矢ファイア・ダート>!」

 その姿を見てリリィは魔法を放とうとしたが、やはり魔法は発動しない。

「<爆発エクスプロージョン>! <魔力矢マナ・ダート>!
 ……<火炎クリエイトファイア>! <発火イグニション>!」

 得意な火魔法だけでなく、基礎魔法の魔法も試したがやはり駄目だ。火魔法の中から発動難易度を落とした初歩の魔法も試してみるが、どれも結果は同じだ。

「どうして!?」
「どうしてって。
 そりゃあ、魔法を使えるリリィちゃんを監禁するのに、
 対策してないはずないだろ」

 絶望を滲ませて叫ぶリリィに、アジムが嘲った言葉を返す。
 買い物を済ませて帰ってきたアジムはテーブルに袋を置いて、鎧を外しながらリリィを振り返った。にやにやとした視線を向けられて、リリィはベッドから降りて胸元と股間を隠して距離をとる。

「なんだ。意外と元気そうだな」

 リリィの動きを見たアジムはそんな感想を口にしながら、鎧を外し終わるとそのまま服も脱ぎ捨てた。誰もが見上げる巨躯を、分厚い筋肉が覆っている。筋張った筋肉だけの身体ではなく、適度な脂肪のついたしなやかさと強靭さを備えた身体だ。どこか一部だけが極端に発達したようないびつさもなく、全身が満遍なく太く、分厚い。丸太のような腕や足だけでなく、首や肩にも盛り上がった筋肉がついている。肉をつけやすい胸板や腹筋などは丸太どころではない。その分厚さは巨木のようだ。そんな分厚い身体に見合ったものが、リリィの裸身に滾って屹立している。だらりとだらしない長さはなく、がちがちに反り返ったそれも身体に合わせて大きく、太い。雌を孕ませる雄の強さに溢れている。
 リリィが怯えながらも胸元と股間を隠していた手をあげて拳を握りしめるのを見て、アジムはにたりと笑みを浮かべる。部屋に連れ込む前に犯したときは、リリィが疲れすぎていてほとんど抵抗がなかった。今度は元気そうなのでリリィの必死で、だが無意味な抵抗を楽しめそうだ。髪留めを外して下ろした髪が、普段より少しだけ大人びて見えるリリィの抵抗を期待してアジムの肉棒がさらに硬くなる。
 アジムはテーブルに置いた袋から、いくつも瓶を取り出した。いつも飲んでいる安酒の瓶は1本だけだが、回復薬の瓶はごろごろといくつも取り出してテーブルに転がした。そして、女を狂わせる媚薬の瓶を取り出す。最後に取り出したその瓶の蓋を開けると、中から出てくるどろりとした液体をたっぷりと自分のものに塗り付ける。せっかくリリィで楽しむのだ。普段から持ち歩いている媚薬よりも上等なものを買ってきた。さぞいい声で鳴いてくれるだろう。
 アジムがぎらぎらとした欲望もあらわな視線を向けると、リリィが戦意を見せながらも怯えて後ずさる。だがその後ずさりも足首に絡みつく鎖の長さまでしか許されておらず、それ以上逃げることもできなくなった。

「う、わあぁあぁぁ!!」

 アジムがそんなリリィに両手を広げてじりじりと近づいてやると、どうしようもなくなったリリィが拳を振りかざして踏み込んで来た。剣技と比べてつたない格技しか持たないリリィの、拳の握り方すら甘いパンチを見て、アジムはそれを腹筋で受け止めてやった。

「あぅっ……!」

 パンチの衝撃が拳と、それ以上に手首にかかり、リリィが痛みに後ずさる。痛む手首を押さえ、怯えた顔でアジムを見上げる。攻撃したのにダメージを与えることもできず、それどころか自分のほうが傷ついてしまう状況に、どうしたら良いのかわからなくなったらしい。アジムが足を止めてにやにやとした顔で見下ろしていても、それ以上殴りかかってこない。
 アジムはベッドから伸びてリリィの足首に絡みついた鎖を手に取った。
 リリィははっとなって床に足を踏ん張ろうとしたが、それよりもアジムが鎖を引くほうが早かった。足をすくわれて、絨毯の床に尻を落とす。そのままさらに鎖を引かれて引きずり込まれるのに抵抗してうつ伏せになって絨毯を掴んだが、アジムが腕力に任せてリリィを自分のほうへと引きずり込む。自分の足元でうつ伏せになったリリィの腰に腕を回し、腕を押さえつけて床から抱き上げてやる。

「い、いやっ……!」

 腕の中で必死に身体を捩らせるリリィの肌の感触を楽しみつつ、そのままベッドにうつ伏せに押し倒した。そして身体で押しつぶすようにしてのしかかってやると、非力なリリィはもう動けない。アジムはリリィがベッドに手をついて必死にアジムの身体を押しのけようと足掻くのを楽しみながら、リリィの足を広げさせて媚薬でぬらぬらと光る自分のものを、リリィの秘所に押し付けた。アジムが吐き出した精液が残るそこに亀頭をあてがわれると、リリィは腰を振ってそれから逃れようとする。
 アジムはそんなリリィの抵抗を喉の奥で低く嗤い、左腕でベッドについたリリィの両腕を抱き込んで動きを封じ、右手で自分のものを掴んでリリィの割れ目にもう一度亀頭をあてがった。

「いやぁ……いやぁ……」

 動くこともできなくなったリリィが力なく首を振って陵辱を拒むが、その声には絶望がにじむ。
 アジムは滾りに滾った欲望にはち切れそうな一物を、リリィの割れ目に突き立てた。

「あ…あ……ああぁぁぁあああぁぁぁぁぁ!
 痛い……いたいぃぃぃ……!!」

 馬鹿でかいアジムのものを、一気に半分ほども押し込まれたリリィが叫ぶ。
 幼い狭さのリリィの中は媚薬と先に出してそのままになっていた精液がぬめりになっていても、硬くてきつい。肉棒を締め付ける強さが爪を立てる様だ。突き入れた肉棒はぐりぐりとリリィの奥にねじ込もうとしても、リリィの悲鳴があがるばかりでそれ以上奥には進めない。
 アジムは仕方なく媚薬がリリィを侵すまで、身体をまさぐって楽しむことにした。
 太く、大きなアジムのものを突き立てられ、体重で押しつぶされて浅く荒い息を繰り返しながらそれに耐えているリリィの太ももに手を這わせ、甘酸っぱい少女らしい匂いのする髪の匂いを楽しみながら、うなじを、耳を、音を立てて舐めまわす。

「……うぅ……!」

 リリィが歯を食いしばり、嫌悪感に肌を粟立たせる。アジムは口元だけで嗤いながら太ももの内側を這いまわっていた手を股間に移し、肉棒で押し広げられた秘裂を柔らかく撫で上げる。そしてその先端にある突起にそっと触れると、リリィの背中がぴくんと跳ねた。
 そこが弱いらしい。そう理解したアジムは自分の手を口に含んで唾液をまとわせると、もう一度その突起に触れて優しくしごいてやる。そのたびにリリィの背中がぴくぴくと跳ねる。じわりじわりと媚薬も効き始めているのだろう。そう理解はしているが、口に出すのは真逆の言葉だ。

「なんだよ。
 突っ込まれてちょっと優しくされただけで、
 もう善がり始めてるのか。リリィちゃんは本当に淫乱だな。
 騎士が聞いてあきれるぜ」
「ち……が……ぅ……」

 アジムのものをねじ込まれたままの苦しい息の中から否定の言葉を絞りだす。突然熱をもって身体を駆け巡りだした性感に混乱しながら、それでも首を横に振ってアジムの言葉を否定する。リリィはアジムが自分の肉棒にたっぷりと塗り付けたものが媚薬であることを知らない。だから、身体の中の熱が薬で作り出された不自然なものであることも知らない。

「何言ってやがる。
 ここからこんなに涎を垂らすようになってるのに、
 違うことはないだろうがよ」
「うあぁぁぁ!? あっ、ああぁぁぁ!」

 アジムがリリィの割れ目からあふれ出す体液を指に絡め、粘ついた体液をまとった指で、また陰核を擦る。それだけでリリィはそこを触れられた快感に背中を丸めるようにして喘ぐ。

「気持ちいいんだろ? 認めちまえよ」
「ち、がっ……!
 良くな、んか……気持ちよくなんか、ない……!
 いっ、ひぃぃぃ……!?」

 認めてしまえば襲われ、犯されて悦ぶ女だと認めてしまうことになる。戦って、負けて、犯されるのは戦場に出る女である以上、どうしても避けられないものかもしれない。だが、それで悦んで受け入れるような、自分はそんな女ではない。初めて戦って負けたときには、自分には騎士として、戦士としての覚悟がなかった。その覚悟をしてきた以上、快楽に屈し、心を折られたりはしない。
 アジムはのしかかっていた身体を起こすと、自分に貫かれ、快楽にふるふると背中を震わせながらも肩越しにこちらを強い視線で睨むリリィに、ぞくぞくするような興奮を覚えた。この状況になっても輝きを失わない、気高く愛らしいものを存分に踏みにじり、犯しつくして自分のものにできるのだ。
 ほっそりしたリリィの腰を掴むと、肉棒を思いきり奥まで突き込んだ。

「あうぅっ!?」

 リリィが頭をのけぞらせて悲鳴のような嬌声を上げた。
 アジムはそのままリリィの腰を掴んで、思うがまま肉棒の抜き差しを始める。リリィ自身の拳ほどもあるような亀頭が、リリィの膣をごりごりと削り、子宮の入り口をがつがつと責める。

「んはああぁぁぁ!? あああぁぁぁ!!」

 内側を責め立てられて、リリィの唇から甘い悲鳴があがる。シーツを握りしめて自分を見失わないよう歯を食いしばり耐えようとするが、薬で昂った身体はもう意志の制御を受け付けず、唇は嬌声を上げて雄を昂らせ、膣は雄を迎え入れるために愛液を垂れ流し挿入された肉棒に精液をねだって媚びる。ぐちゅぐちゅと音を立てて引き抜かれ、また突き入れられるたびに、騎士であり戦士である自分がはがされて、雌の自分が顔を出してくる。

「おら!
 出すぞ、リリィちゃん!」

 ひときわ腰を強く引きつけられ、激しく突き入れられて一番奥に大量の精液を流し込まれる。 

「あ、あ、あ、あぁあぁぁぁぁ!!」

 雌の自分を刺激するものを流し込まれ、リリィは無様に絶頂した。

「気持ちよかっただろ?」

 だが、それでも。

「いい、わけ……ない……っ!」

 肩越しにアジムを振り返り、睨みつける。どれほど雌であることを思い知らされても、騎士であり戦士である自分を否定させはしない。
 アジムはそんなリリィを見下ろして、舌なめずりをした。どれほど自分を煽るつもりなのだ、この雌は。
 アジムは快楽の汗にまみれたリリィの背中からうなじに舌を這わせながら、その細い体を押しつぶすように覆いかぶさって耳元に口を近づけた。

「いいぜ。
 絶対に気持ちいいと言わせてやる。
 意地を張りすぎて
 降参せずに壊れてくれるなよ?」

 そして、両腕でリリィの身体を抱きしめると、激しく腰を叩きつけ始めた。
 唇から嬌声がこぼれそうになるのを、無駄と知りながら歯を食いしばってこらえる。
 リリィの心と誇りの防衛戦が始まった。
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