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リリィ・フランネル
リリィ・フランネル(5)
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翌日にアジムがゲームにログインすると、フレンドメッセージが届いていた。
お互いのキャラクターIDを教えあった者同士でゲーム中に自由にメッセージをやりとりできる機能で、メッセージの送信相手がログインしていなければログイン時に確認できるようになっている。アジムがログアウト中に誰かがメッセージを送ってきていたのだろう。
メッセージを開くと、内容はあって話がしたい、というもので、最後には予想通りの名前が記されていた。
了解と場所の設定依頼のメッセージを送り身支度を整えていると、相手もログインしていたらしく、ほどなくメッセージが届く。アジムは指定された場所を確認すると、ログイン・ログアウト場所として設定している宿を後にした。
指定された場所は「Beginning of adventure(冒険の始まり)」という名前の街だが、言いにくいので「チュートリアルの街」としか呼ばれていない街にある、一軒の酒場だった。ほとんどのプレイヤーがチュートリアル終了後は別の場所に行ってしまううえ、チュートリアル中に行くことのない場所なので、プレイヤーはほぼ居ないだろう場所だ。
街中なので鎧をつけず、剣だけを腰に佩いて来た。剣もいつも持ち歩いている馬鹿でかい剣ではなく、一般的な片手剣だ。
アジムが酒場に足を踏み入れたのは、昼を少し過ぎた時間だ。
プレイヤーがいなくとも、ノンプレイヤーキャラクターの営みは続いている。お昼時の慌しさが過ぎ去ったばかりの酒場で、まかないを食べていた店員の娘が慌てて立ち上がろうとしているのを片手を挙げて押しとどめ、アジムは待ち合わせ相手を探して店の中に目を向ける。
「アジムくん、こっちこっち!」
アジムが相手を見つける前に、相手が目立つ体格のアジムを見つけてくれたようだ。
手を振る小柄な人影に手を振り替えし、アジムは同じテーブルの席につく。
テーブルには既に料理が所狭しと並べられていた。
「なんか、すごいご馳走ですね」
「アジムくん、大きいから、たくさん食べると思って。
私も色々食べてみたかったし、たくさん頼んじゃった」
緑の瞳がいたずらっぽく輝き、くすくすと笑うたびに金色のツインテールがゆれる。
テーブルの対面で楽しげに、リリィ・フランネルが微笑んでいた。
リリィも鎧はつけておらず、剣だけを腰に佩いていた。シンプルな綿のシャツとズボンに身を包んだリリィの身体にはアジムの陵辱の痕跡はどこにもない。キスマークさえもリリィの肌から消えていて、前日のそれが幻だったのではないかとさえ思える。
食べながらしゃべるのはお行儀が悪いけど、料理が冷めたら勿体無いので食べながら話しましょう、というリリィの言葉で、とりあえず食事に手をつける。アジムが手を合わせて小さく「いただきます」とつぶやくと、フォークを手に取っていたリリィもわたわたとそれを置いて手を合わせ「いただきます」と声をだした。
「アジムくん、お行儀いいんだね。
ごめんね、なんかガサツで」
「あ、いえ、ばーちゃんがうるさかったので、
いただきますしないと落ち着かないだけで。
こちらこそすみません。なんか面倒なヤツで」
「ううん。いただきますはいいことだと思う。
あ、これ美味しい。食べてみて」
リリィに勧められた皿は、何の肉かはわからなかったが、柔らかい肉にオレンジのソースがかかった一皿だった。脂が多めの肉が苦味のあるオレンジソースと絡んで、脂の重みがうまく緩和されていて、アジムも思わず頷く。
「旨いですね」
「ん、こっちのお皿のも美味しいよ!」
食べながらしゃべろう、ということにしてはあったが、思いのほか料理が旨かったこともあって、リリィに勧められるままに料理を口に運ぶ。気がつけば、テーブルの皿はきれいに空になっていた。
「アジムくん、ちゃんとお腹いっぱいになった?
追加する?」
「もう本当に腹いっぱいですよ。
リリィさんこそ、あんまり食べてなかったですよね。
足りてるんですか?」
「いやぁ、私の体格でコレだけ食べたら十分すぎるほどだよ。
毎日こんな風に食べてたら、太っちゃう」
食後の紅茶を飲みながら、リリィが自分のお腹をさする。
そこで思い出したようににんまりと笑みを浮かべた。
「まあ、アジムくんには別の方法でお腹膨らまされちゃったけどねー」
その言葉に照れたアジムがそっぽを向くと、リリィはくすくすと笑ってから、紅茶のカップを置いて居住まいを正す。
「なんだか砕けた感じで先にしゃべっちゃってごめんね。
改めて、初めまして。決闘を受けてくれてありがとう。
リリィ・フランネルです」
「こちらこそ、決闘ありがとうございました。
アジムです……姓はないので、ただのアジムです」
アジムもあわせて居住まいを正して挨拶をしてから、ぼりぼりと頭を掻いた。
「昨日のあれ、あんなんでよかっ」
「すっごいよかったよ、アジムくん!」
「うおぉ!?」
アジムの言葉にいきなりテンションが跳ね上がったリリィがくい気味に肯定しつつ、テーブルに乗り出してアジムの手を握り締めた。
「理想的! 腕力と体力と体格で押しつぶされて手も足も出ずに
ぐっちゃぐちゃにされて心を折られてご奉仕までさせられて、
膨らんだお腹を抱えて泣きながら家に帰るときなんか、最高だった!!」
「はあ……」
「これでもうオーガとかトロルとかと戦うときに
負けようかな? どうしようかな? とか考えながら戦わなくて済みそう!」
「はあ……」
今まで見たリリィの中でいちばんの笑顔を見せられて、アジムはちょっと引きつった笑みを返す。
「また決闘してね! 今度は私が復讐のための決闘をふっかけるから、
アジムくんが勝ったらまたたっぷりやってね!
昨日とおんなじ感じでいいから!」
「はぁ、まあ、決闘してもらえるのはありがたいんで、
俺が勝ったらやりますけど……」
「いやー、気絶するまでやられるだけでも十分だったのに、
回復薬使ってそのまま朝まで
えんえんと意識飛ばさずにやってもらえるとは思わなかったわー。
あ、そうそう」
リリィは懐から何枚か銀貨を取り出した。
「これ、私に使ってくれた回復薬と媚薬のお金。
まさかあんな風にお薬まで使って
懇切丁寧に蹂躙してくれるなんて思わなかったよ」
「そんなに高いもんじゃないし、よかったんですけどね。
まあ、いただいておきます」
「うん。それにしても、STR(腕力)/VIT(体力)特化型の
「回復増強」持ちの精力、すごいわねー。
まさか朝までずっと入れっぱなしだとは思わなかった」
「それにしても、なんで決闘者登録したばかりの俺に、
決闘依頼してくれたんです? それも、あんなふうに俺に有利な条件で」
日の高い時間に酒場で猥談をやっているのに照れたアジムは強引な話題転換を試みる。
自分の性癖を延々と暴露し続けていたことに気づいたリリィも、少し顔を赤らめて乗ってきた。
「アジムくん、自分が結構な有名人だってこと気づいてないの?」
「え?」
「私みたいな、その……そういう風に扱われたい女の子からは、
いい身体してるなぁ、と思われてるんだけど、
それ以上にアジムくんって「抵抗力」みたいな珍しいスキルをあげてるから、
スキル上げしてるだけですごく目を引くんだよね」
そういいながら、リリィは何かを思い出したのか、くすくすと笑う。
「普通解毒しないと死ぬよねっていうレベルの毒薬を飲みながら
買い物してるでかい男がいる、とか
ゴブリン退治に行ったら、ゴブリンの集落の真ん中で
反撃もせずにえんえんと殴られてるやつがいた、とか
だらだら血を流してるのに
回復もせずに金属鎧着込んでマラソンやってる人がいた、とか。
これ全部アジムくんだよね?」
それぞれ「抵抗力」「防御」「回復増強」のスキル上げをやっていたときだろう。
すべて心当たりのあるアジムはうなり声を上げつつ、頷いた。
「私もいくつか見てたんだけど、
すっごく真面目にスキル上げしてるから、どんな人かなって気になってたんだ……
さ、最初は身体が目当てだったのは否定できないけど」
決闘者登録とは他のプレイヤーたちに「自分は決闘を受け付けます」と宣言することだ。これを行うことで、決闘の依頼、受諾ができるようになり、ゲーム内全体での決闘ランキングに参加することもできるようになる。決闘者登録を行っても決闘依頼の拒否は可能なので、友人同士のじゃれあいができるようにするために、ほぼすべてのプレイヤーが決闘者登録を行っている。決闘を宣言せずに街中で友人を殴ったりすると、システム的にプレイヤーが絶対勝てない衛兵が現れて、非常に事務的に首をすっ飛ばされるのだ。
ランキングが低すぎるものは基本的に決闘依頼されることはあまりない。ランキングが低すぎるものに勝っても、ランキングの上下にあまり影響がないからだ。
ランキング中位にいるリリィが、ランキングに参加したばかりの最低ランクのアジムに挑んでくれること自体、アジムにはランキング的にも、戦闘経験的にもありがたい話だ。
「私はどちらかというと、
モンスターとかと戦ったりするのがメインのプレイヤーだけど、
決闘もそこそこやるからね。
どんな風に戦う人なんだろう、っていう興味もあって、決闘依頼したの。
まあ、負けるとは思わなかったけど!」
「そう、そこも気になってたんですよ。
普通に考えたら、俺がリリィさんに勝てるはずないですよね?」
「あー、いやぁ……まあ、その……ねぇ?」
「言いたくないなら、聞きませんよ?」
「……負けたら、どんな風にやってもらえるかなぁって考えてたら、
うっかりアジムくんの目の前でスタミナ切らして動けなくなりました!」
「うわぁ」
「体格差も理想的だったんだもん!
押し倒されて抱きすくめられたら身動きできないだろうなと思ったんだもん!
股間にあんな化け物飼ってるとは思わなかったけど!」
「リリィさん、声デカイです!!」
しばらく赤い顔でアジムをにらみながらぐるぐると唸っていたリリィだったが、気を取り直すと、
「でも、まさか素手の一撃で防具の上から行動不能にされるとは思わなかったよ。
STR最大を舐めてたつもりはなかったんだけど、甘かったかなぁ」
リリィはアジムをしっかり見て宣言する。
「けど、今のままのアジムくんにはもう負けない。
10本勝負だと、調子がよければ完封。
調子がすごく悪くても8:2より悪くなることはないと思う」
お互いのキャラクターIDを教えあった者同士でゲーム中に自由にメッセージをやりとりできる機能で、メッセージの送信相手がログインしていなければログイン時に確認できるようになっている。アジムがログアウト中に誰かがメッセージを送ってきていたのだろう。
メッセージを開くと、内容はあって話がしたい、というもので、最後には予想通りの名前が記されていた。
了解と場所の設定依頼のメッセージを送り身支度を整えていると、相手もログインしていたらしく、ほどなくメッセージが届く。アジムは指定された場所を確認すると、ログイン・ログアウト場所として設定している宿を後にした。
指定された場所は「Beginning of adventure(冒険の始まり)」という名前の街だが、言いにくいので「チュートリアルの街」としか呼ばれていない街にある、一軒の酒場だった。ほとんどのプレイヤーがチュートリアル終了後は別の場所に行ってしまううえ、チュートリアル中に行くことのない場所なので、プレイヤーはほぼ居ないだろう場所だ。
街中なので鎧をつけず、剣だけを腰に佩いて来た。剣もいつも持ち歩いている馬鹿でかい剣ではなく、一般的な片手剣だ。
アジムが酒場に足を踏み入れたのは、昼を少し過ぎた時間だ。
プレイヤーがいなくとも、ノンプレイヤーキャラクターの営みは続いている。お昼時の慌しさが過ぎ去ったばかりの酒場で、まかないを食べていた店員の娘が慌てて立ち上がろうとしているのを片手を挙げて押しとどめ、アジムは待ち合わせ相手を探して店の中に目を向ける。
「アジムくん、こっちこっち!」
アジムが相手を見つける前に、相手が目立つ体格のアジムを見つけてくれたようだ。
手を振る小柄な人影に手を振り替えし、アジムは同じテーブルの席につく。
テーブルには既に料理が所狭しと並べられていた。
「なんか、すごいご馳走ですね」
「アジムくん、大きいから、たくさん食べると思って。
私も色々食べてみたかったし、たくさん頼んじゃった」
緑の瞳がいたずらっぽく輝き、くすくすと笑うたびに金色のツインテールがゆれる。
テーブルの対面で楽しげに、リリィ・フランネルが微笑んでいた。
リリィも鎧はつけておらず、剣だけを腰に佩いていた。シンプルな綿のシャツとズボンに身を包んだリリィの身体にはアジムの陵辱の痕跡はどこにもない。キスマークさえもリリィの肌から消えていて、前日のそれが幻だったのではないかとさえ思える。
食べながらしゃべるのはお行儀が悪いけど、料理が冷めたら勿体無いので食べながら話しましょう、というリリィの言葉で、とりあえず食事に手をつける。アジムが手を合わせて小さく「いただきます」とつぶやくと、フォークを手に取っていたリリィもわたわたとそれを置いて手を合わせ「いただきます」と声をだした。
「アジムくん、お行儀いいんだね。
ごめんね、なんかガサツで」
「あ、いえ、ばーちゃんがうるさかったので、
いただきますしないと落ち着かないだけで。
こちらこそすみません。なんか面倒なヤツで」
「ううん。いただきますはいいことだと思う。
あ、これ美味しい。食べてみて」
リリィに勧められた皿は、何の肉かはわからなかったが、柔らかい肉にオレンジのソースがかかった一皿だった。脂が多めの肉が苦味のあるオレンジソースと絡んで、脂の重みがうまく緩和されていて、アジムも思わず頷く。
「旨いですね」
「ん、こっちのお皿のも美味しいよ!」
食べながらしゃべろう、ということにしてはあったが、思いのほか料理が旨かったこともあって、リリィに勧められるままに料理を口に運ぶ。気がつけば、テーブルの皿はきれいに空になっていた。
「アジムくん、ちゃんとお腹いっぱいになった?
追加する?」
「もう本当に腹いっぱいですよ。
リリィさんこそ、あんまり食べてなかったですよね。
足りてるんですか?」
「いやぁ、私の体格でコレだけ食べたら十分すぎるほどだよ。
毎日こんな風に食べてたら、太っちゃう」
食後の紅茶を飲みながら、リリィが自分のお腹をさする。
そこで思い出したようににんまりと笑みを浮かべた。
「まあ、アジムくんには別の方法でお腹膨らまされちゃったけどねー」
その言葉に照れたアジムがそっぽを向くと、リリィはくすくすと笑ってから、紅茶のカップを置いて居住まいを正す。
「なんだか砕けた感じで先にしゃべっちゃってごめんね。
改めて、初めまして。決闘を受けてくれてありがとう。
リリィ・フランネルです」
「こちらこそ、決闘ありがとうございました。
アジムです……姓はないので、ただのアジムです」
アジムもあわせて居住まいを正して挨拶をしてから、ぼりぼりと頭を掻いた。
「昨日のあれ、あんなんでよかっ」
「すっごいよかったよ、アジムくん!」
「うおぉ!?」
アジムの言葉にいきなりテンションが跳ね上がったリリィがくい気味に肯定しつつ、テーブルに乗り出してアジムの手を握り締めた。
「理想的! 腕力と体力と体格で押しつぶされて手も足も出ずに
ぐっちゃぐちゃにされて心を折られてご奉仕までさせられて、
膨らんだお腹を抱えて泣きながら家に帰るときなんか、最高だった!!」
「はあ……」
「これでもうオーガとかトロルとかと戦うときに
負けようかな? どうしようかな? とか考えながら戦わなくて済みそう!」
「はあ……」
今まで見たリリィの中でいちばんの笑顔を見せられて、アジムはちょっと引きつった笑みを返す。
「また決闘してね! 今度は私が復讐のための決闘をふっかけるから、
アジムくんが勝ったらまたたっぷりやってね!
昨日とおんなじ感じでいいから!」
「はぁ、まあ、決闘してもらえるのはありがたいんで、
俺が勝ったらやりますけど……」
「いやー、気絶するまでやられるだけでも十分だったのに、
回復薬使ってそのまま朝まで
えんえんと意識飛ばさずにやってもらえるとは思わなかったわー。
あ、そうそう」
リリィは懐から何枚か銀貨を取り出した。
「これ、私に使ってくれた回復薬と媚薬のお金。
まさかあんな風にお薬まで使って
懇切丁寧に蹂躙してくれるなんて思わなかったよ」
「そんなに高いもんじゃないし、よかったんですけどね。
まあ、いただいておきます」
「うん。それにしても、STR(腕力)/VIT(体力)特化型の
「回復増強」持ちの精力、すごいわねー。
まさか朝までずっと入れっぱなしだとは思わなかった」
「それにしても、なんで決闘者登録したばかりの俺に、
決闘依頼してくれたんです? それも、あんなふうに俺に有利な条件で」
日の高い時間に酒場で猥談をやっているのに照れたアジムは強引な話題転換を試みる。
自分の性癖を延々と暴露し続けていたことに気づいたリリィも、少し顔を赤らめて乗ってきた。
「アジムくん、自分が結構な有名人だってこと気づいてないの?」
「え?」
「私みたいな、その……そういう風に扱われたい女の子からは、
いい身体してるなぁ、と思われてるんだけど、
それ以上にアジムくんって「抵抗力」みたいな珍しいスキルをあげてるから、
スキル上げしてるだけですごく目を引くんだよね」
そういいながら、リリィは何かを思い出したのか、くすくすと笑う。
「普通解毒しないと死ぬよねっていうレベルの毒薬を飲みながら
買い物してるでかい男がいる、とか
ゴブリン退治に行ったら、ゴブリンの集落の真ん中で
反撃もせずにえんえんと殴られてるやつがいた、とか
だらだら血を流してるのに
回復もせずに金属鎧着込んでマラソンやってる人がいた、とか。
これ全部アジムくんだよね?」
それぞれ「抵抗力」「防御」「回復増強」のスキル上げをやっていたときだろう。
すべて心当たりのあるアジムはうなり声を上げつつ、頷いた。
「私もいくつか見てたんだけど、
すっごく真面目にスキル上げしてるから、どんな人かなって気になってたんだ……
さ、最初は身体が目当てだったのは否定できないけど」
決闘者登録とは他のプレイヤーたちに「自分は決闘を受け付けます」と宣言することだ。これを行うことで、決闘の依頼、受諾ができるようになり、ゲーム内全体での決闘ランキングに参加することもできるようになる。決闘者登録を行っても決闘依頼の拒否は可能なので、友人同士のじゃれあいができるようにするために、ほぼすべてのプレイヤーが決闘者登録を行っている。決闘を宣言せずに街中で友人を殴ったりすると、システム的にプレイヤーが絶対勝てない衛兵が現れて、非常に事務的に首をすっ飛ばされるのだ。
ランキングが低すぎるものは基本的に決闘依頼されることはあまりない。ランキングが低すぎるものに勝っても、ランキングの上下にあまり影響がないからだ。
ランキング中位にいるリリィが、ランキングに参加したばかりの最低ランクのアジムに挑んでくれること自体、アジムにはランキング的にも、戦闘経験的にもありがたい話だ。
「私はどちらかというと、
モンスターとかと戦ったりするのがメインのプレイヤーだけど、
決闘もそこそこやるからね。
どんな風に戦う人なんだろう、っていう興味もあって、決闘依頼したの。
まあ、負けるとは思わなかったけど!」
「そう、そこも気になってたんですよ。
普通に考えたら、俺がリリィさんに勝てるはずないですよね?」
「あー、いやぁ……まあ、その……ねぇ?」
「言いたくないなら、聞きませんよ?」
「……負けたら、どんな風にやってもらえるかなぁって考えてたら、
うっかりアジムくんの目の前でスタミナ切らして動けなくなりました!」
「うわぁ」
「体格差も理想的だったんだもん!
押し倒されて抱きすくめられたら身動きできないだろうなと思ったんだもん!
股間にあんな化け物飼ってるとは思わなかったけど!」
「リリィさん、声デカイです!!」
しばらく赤い顔でアジムをにらみながらぐるぐると唸っていたリリィだったが、気を取り直すと、
「でも、まさか素手の一撃で防具の上から行動不能にされるとは思わなかったよ。
STR最大を舐めてたつもりはなかったんだけど、甘かったかなぁ」
リリィはアジムをしっかり見て宣言する。
「けど、今のままのアジムくんにはもう負けない。
10本勝負だと、調子がよければ完封。
調子がすごく悪くても8:2より悪くなることはないと思う」
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