それは、恋でした。

むう

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恋?

3-12

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***



「沙奈ちゃん、水~~…って、いないっけな…」


裕大に、沙奈ちゃんが臨時マネージャーではなくなったと告げられてから、皆は“沙奈ちゃん”という回数が増えていった。




そして―




沙奈ちゃんがいなくなった事によって、俺らの歯車は少しずつおかしくなっていた。




「悼矢、お前沙奈ちゃんと仲良かったんだから、何とかしてくれよー!」

「んなこと言ってもなぁ」

「あ、准は中学の時から知ってたんだよな?言ってみてくれよ!」

「馬ぁ鹿。俺だけが頼んでもしょうがねぇだろ?頼むならお前らも行かなきゃだろ」




「ん~・・・」





最近、裕大が休憩時間になると、誰かに電話しているのが気になっている。

前はあんまり携帯を弄らなかった裕大が、携帯を触るようになっていた。




「なぁ、裕大の奴また電話してんの?」


「・・・そーみてぇだな」




暑さを凌ぐために、皆家から持参してきた団扇でパタパタと仰ぐ。


近くに居た奴らと一緒に裕大を見ていると、心配そうな顔をして電話をしている。


准も電話している理由は分からないらしい。



聞いてみようかと思ったけど、休憩中、ギリギリの時間帯まで電話をしているから、なかなか話を切り出せないでいる。



そう考えている時、裕大の電話は終わってこっちに向かってきた。





「裕大、最近電話する機会多くね?何かあったのかよ?」

「何かあったわけじゃねぇけど…ここん所、俺たち家に帰るの遅いだろ?沙奈が心配でさ」

「沙奈ちゃん?何で?」




裕大はドリンクを飲んで、一息付く。



「家庭の事情だよ。お前らが心配する事じゃねぇから」

「んだよ、それー」




他人の事を詮索するのは、あまりよくない事は分かっている。


でも、気になるものは気になる。



まぁ、話したくないから話さないんだから、しょうがねぇけど。




「あ、裕大「悼矢~~!!」



俺が裕大に話しかけようとした時、後ろから渡邊の声が聞こえた。



渡邊を見た瞬間、裕大の顔が変わる。




・・・?



「ーなした?」

「コーチ、今から用事だから後は任せるって。で、6時には切り上げろだって」

「あ、そうなん?裕大、この後のメニュー、」




裕大は、険しい顔をしていた。


これまでには見た事のない表情で。




「な、何、んな顔してんだよ・・・?」



驚きを隠せない弘樹が裕大の肩に手を置いて言う。



何を思っているのだろうか。



すぐに思った事を言葉にして言うはずの裕大が何も話さない。


「裕大・・・?」







「なぁ・・・」


俺が話しかけると、裕大はゆっくり口を開いた。




「悼矢に言う前に、まず誰に言うべきか分かってる?俺が遠くにいたならしょうがねぇよ。けど、近くにいるなら、主将の俺に言うべきじゃねぇの?」





「ご、ごめん…悼矢が最初に目に入っちゃってー…」


「それじゃ…しょーがねー、よな。裕大、そんな顔してっと沙奈ちゃんにも怖がられるぞ?」




どうにか宥めようと努力はしたものの、裕大の怒りはおさまらない。



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