それは、恋でした。

恋？

3-11

＊＊＊


部活が終わり、家に帰ろうとした時、渡邊に声を掛けられた。



「悼矢！」


「ー、渡邊」


「ねぇ、今度の土曜日って空いてる？」


「土曜？何でまた・・・」

「お祭り行こうよ！土曜日に花火大会があるんだって！」




渡邊はバックにしまってあったチラシを俺に見せた。





祭り、ねぇ。




「俺、パ・・・「部の皆で行こうよ！あたし、誘っとくし！」

「あのな「そういうことだから！じゃ、また明日ね！」




話を遮られて言いたい事も言えずに、去ってしまった渡邊。






乗り気じゃねぇっつのー…



祭りとか、人混みあんま好きじゃねぇし…



でももし、祭りを誘ってくれた奴が渡邊じゃなく、沙奈ちゃんだったら俺はどう答えていたのだろう。




渡邊と同じように無理と言ってたんかな？


それとも良いよって、言ってたんかな？






馬鹿だな、俺―・・・





俺が望んでいても、沙奈ちゃんと行けるわけないのに。



毎日ウザイって思うほど話しかけてくれるのが、沙奈ちゃんだったらよかったのに。



現実、それは無理な話だけれど。





考えれば、考えるほど、浮かんでくるのは沙奈ちゃん。




これは一体何なのか、それを考えるだけで頭が痛くなる。




俺はゴチャゴチャしている頭の中を整理するために、音楽を聞く。




イヤホンを付け、自分の世界に入り込み、今まであった事を１つずつ思い出す。




空を見上げると、夕日が赤く空を染めていた。