それは、恋でした。

むう

文字の大きさ
上 下
50 / 58
恋?

3-8

しおりを挟む


「さっきの話になるんだけどさ、何で辞めちゃったの?」

「え・・・?」


「サッカー部のマネージャー。楽しそうにやってたから辞めないと思ってたのに。何か嫌なことでもされた?」


「されては、ない」



亜衣は動かしていた手を止めてあたしの顔を見た。

あたしはシャープペンを触りながら亜衣に言うか悩んでいた。



悼矢さんと渡邊先輩が仲よくしているのを見たくなかったという事を。


自分でも馬鹿みたいな話だって事は分かってる。



分かってるんだけど・・・




「悩むくらいならあたしに言った方がいいよ。どんな話でも受け止める。笑わないから」




「亜衣、」


「沙奈にとって、誰にも言えなかったくらい考えてた事なんでしょ?」




「ーうん、」



「だったら絶対笑わない!何年一緒にいると思ってるのっ」




1人で悩んでもしょうがない事。


あたしは誰かに言ってもらいたかった。



“何でも話を聞くから”って。




「あの、ね・・・?」


「うん」




あたしは夏合宿の話を全て話した。


悼矢さんと渡邊先輩の事。




2人を見る度に、胸が苦しくなってしまうという事。




「それってさ、三浦先輩の事が好きなんじゃないの?」

「ーーほぇ!?」

「そーだよ、絶対!沙奈の話聞いてる限り、嫉妬してるようにしか聴こえないよ?」





嫉妬?




好き?


好きってあれだよね、恋してるってやつ?




あたしの頭の中は混乱してて、今にもパンクしそうなくらいだった。



それを見ていた亜衣は大きくため息を付く。





「ま、沙奈は恋なんて知らないよねぇ。したことないんだから」


「そ、そんな事は…」



「じゃぁ、恋した事あるの?」


「うっ・・・」




確かに、あたしは今まで生きていて1度も恋をしたことがない。




巡り逢わなかったというか、考えてみるといつもあたしの傍にいたのはお兄ちゃんだった。




何度か男の子に一緒に遊ぼうと言われていたけど、お兄ちゃんに止められて、結局遊ぶ事すら出来なかったようなー





「三浦先輩の事どう思ってるの?」


「悼矢さん?う~ん…優しくて、かっこよくて…なにより、周りの事をよく気付く人だよ?」




笑った顔とか、


呆れた顔とか、


仕草とか。




悼矢さんの全てがあたしにとって何故か大切なもので。



考えただけで顔が赤くなる。




「恋だよ。そんだけあんたの心の中に、頭の中に三浦先輩がいるってことは、恋なんだよ。」


「恋・・・」


「それで、あんたはまだその事に気づいてない。」




亜衣に指を指される。



彼氏持ちの人に言われたら何も言いかえさないけどー



恋というものに、あたしはまだ実感が湧かない。





「・・・沙奈、ちょっと見に行こう!」



「え、何を見に行くの?」


「三浦先輩だよ!夏合宿終わった後から会ってないんでしょ?あったら沙奈も好きだって気持ちに気づくかもしれない!」




亜衣はあたしの腕を引っ張って外に出る。




あたしはされるがまま、サッカー部のグラウンドに向かうのであった。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ずぶ濡れで帰ったら彼氏が浮気してました

宵闇 月
恋愛
突然の雨にずぶ濡れになって帰ったら彼氏が知らない女の子とお風呂に入ってました。 ーーそれではお幸せに。 以前書いていたお話です。 投稿するか悩んでそのままにしていたお話ですが、折角書いたのでやはり投稿しようかと… 十話完結で既に書き終えてます。

彼女の浮気現場を目撃した日に学園一の美少女にお持ち帰りされたら修羅場と化しました

マキダ・ノリヤ
恋愛
主人公・旭岡新世は、部活帰りに彼女の椎名莉愛が浮気している現場を目撃してしまう。 莉愛に別れを告げた新世は、その足で数合わせの為に急遽合コンに参加する。 合コン会場には、学園一の美少女と名高い、双葉怜奈がいて──?

完結【R―18】様々な情事 短編集

秋刀魚妹子
恋愛
 本作品は、過度な性的描写が有ります。 というか、性的描写しか有りません。  タイトルのお品書きにて、シチュエーションとジャンルが分かります。  好みで無いシチュエーションやジャンルを踏まないようご注意下さい。  基本的に、短編集なので登場人物やストーリーは繋がっておりません。  同じ名前、同じ容姿でも関係無い場合があります。  ※ このキャラの情事が読みたいと要望の感想を頂いた場合は、同じキャラが登場する可能性があります。  ※ 更新は不定期です。  それでは、楽しんで頂けたら幸いです。

今、夫と私の浮気相手の二人に侵されている

ヘロディア
恋愛
浮気がバレた主人公。 夫の提案で、主人公、夫、浮気相手の三人で面会することとなる。 そこで主人公は男同士の自分の取り合いを目の当たりにし、最後に男たちが選んだのは、先に主人公を絶頂に導いたものの勝ち、という道だった。 主人公は絶望的な状況で喘ぎ始め…

【R18】もう一度セックスに溺れて

ちゅー
恋愛
-------------------------------------- 「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」 過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。 -------------------------------------- 結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。

彼氏の前でどんどんスカートがめくれていく

ヘロディア
恋愛
初めて彼氏をデートに誘った主人公。衣装もバッチリ、メイクもバッチリとしたところだったが、彼女を屈辱的な出来事が襲うー

【R18】僕の筆おろし日記(高校生の僕は親友の家で彼の母親と倫ならぬ禁断の行為を…初体験の相手は美しい人妻だった)

幻田恋人
恋愛
 夏休みも終盤に入って、僕は親友の家で一緒に宿題をする事になった。  でも、その家には僕が以前から大人の女性として憧れていた親友の母親で、とても魅力的な人妻の小百合がいた。  親友のいない家の中で僕と小百合の二人だけの時間が始まる。  童貞の僕は小百合の美しさに圧倒され、次第に彼女との濃厚な大人の関係に陥っていく。  許されるはずのない、男子高校生の僕と親友の母親との倫を外れた禁断の愛欲の行為が親友の家で展開されていく…  僕はもう我慢の限界を超えてしまった… 早く小百合さんの中に…

結構な性欲で

ヘロディア
恋愛
美人の二十代の人妻である会社の先輩の一晩を独占することになった主人公。 執拗に責めまくるのであった。 彼女の喘ぎ声は官能的で…

処理中です...