それは、恋でした。

むう

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夏合宿

2-10

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俺はどうしても裕大が気になって後を付いて行くようにしてキッチンへと足を向ける。




「悼矢っで」


「俺もお代わり行ってくる。渡邊は飯食ってなよ」

「あ・・・」



キッチンに行くとまだ色々と仕事をしている沙奈ちゃんの近くに裕大がいた。



あいつ・・・



「おい、ゆ「沙奈の作った酢豚めっちゃ上手いよ!マジで!!」



俺が裕大に話しかけようとした時、裕大が沙奈ちゃんにそういう。



沙奈ちゃんの作った酢豚?



でもさっき渡邊は自分で作ったって言ってたよな?




「もー、いつもと変わらないでしょ?褒めても何も出ないよ?」


「でも上手いの!信じてくれてねぇの!?」

「信じてます、信じてますよー。ほら、お茶碗貸して」

「信じてないっぽいなー…あ、もっと入れて!!」



「お兄ちゃん食べ過ぎ!!皆の分なくなるからっ」



だから裕大はあの時、渡邊に嫌な感じだったのか。



本当は沙奈ちゃんが作ったのに、渡邊が自分で作ったって嘘ついたからムカついたんだ。


でなきゃ、理由なしに裕大が怒るわけねぇもんな。




「あ、悼矢さんもお代わりですか?」


キッチンの入口にいた俺に気付いた沙奈ちゃんが話しかけて来た。



まぁ、場の雰囲気を変にしたくなくて、裕大は渡邊に本当の事を言わなかったんだから、俺も言わないように気をつけりゃいいか。




「そう、俺もお代わりしに」


「ほら!悼矢も飯が上手くてお代わりしに来た!!」

「はいはい(笑)」



沙奈ちゃんの言葉は素っ気なかったけど、凄く嬉しそうにしていた。




その顔が、やけに俺の脳裏に焼き付いて離れなくて。



「まじ、沙奈ちゃんの作った飯上手いよ」




もっと色んな表情が見たくて、つい自分もそう言ってしまう。




沙奈ちゃんは顔を赤くしながら嬉しそうに笑う。





俺はそんな沙奈ちゃんを見て、今にもニヤけてしまいそうになる自分に驚いた。
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