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アダルトソサエティパーク 短編読み切り
しおりを挟む春休み
新学期に開けるまでの短い期間
オレは母ちゃんと
一日限りの遠出をしていた
オレの名前は
タクミ小学五年生
母ちゃんはナツミ
「やっぱりこっちは
満開ねぇ♪
明日は雨だって予報だし
明後日には散っちゃうかも」
「うんそうだねぇ」
桜吹雪の中
車は山を超え
遠くに小さな町が見えた
「あそこも満開だし
あの街のどこかの駐車場で
止めてお花見しましょ♪」
…本当は遊園地とか
テーマパークに行きたいのに…
そう思って
窓を見たその時だった
ふと、左のガードレールのそばに
とある標識を見つけた
標識には
観覧車と人が風船を持った絵が
描かれてたんだ
もしかしてこの街の近くに
テーマパークか遊園地があるのかも!
退屈だったオレだけど標識を
見たおかげで
すっかり目が冴えた
「ねぇ今の見た?
観覧車の絵が入った標識があったよ!」
「ふーん…」
母ちゃんは街を見渡す
「そんなもの…ありそうもないけどねぇ」
オレも確認したけど
こじんまりとした街が広がるだけで
テーマパークも遊園地もなさそうだった
じゃあ一体さっきの標識は何だったんだ?
しかし不可解なことは
それだけにとどまらなかった
一角の駐車場を見つけ
近づいてくと母ちゃんは目を疑う
「駐車入場料金が一人に付き1500円⁉
…何よこれ⁉」
「たったか…」
車は引き返し
別の駐車場を探す
でも止まることはなく
ぐるぐると町中を回り続ける
「スマホのナビにも
この街のどこの駐車場も
同じ料金だって書かれてるよ…」
オレがナビからの情報を
教えると母ちゃんはため息を付いた
「仕方ない…」
母ちゃんは車を
直ぐ側の駐車場へと止めた
「ええっと…一人に付き1500円で
…へぇ…時間で料金が
跳ね上がったりはしないのね
仕方ないわね
こうなったら一時間300円の駐車料金に沿って
五時間以上きっちり元取りましょ!
ねっ!タクミちゃん」
別にいいけど…
こんな何もなさそうな
街でどうやって元を取るんだか…
車から降りたオレたちは
一先ずお花見に良さそうな
川沿いへと向かった
川沿いには高級住宅地が並んでいた
でも春休みだからなのか
どの家も静かだ…
「どこも静かねぇ…
建物があるだけで
誰も住んでないみたい」
どことなく
この高級住宅地が
テーマパークの
人気を感じない建物と重なって
オレには見えた
すると突然
町内放送のアナウンスが流れた
ピンポンパーン
オレと母ちゃんは耳を傾ける
「何?もしかしてもうお昼なのかしら?」
でもアナウンスは続けて
こう言った
〈高級住宅地ゾーン
及び新妻体験エリアへの
ご利用まことにありがとうございます!
まもなく体験が開始されますので
しばらくお待ち下さい〉
ピンポンパーン…
「一体どういう意味なのかしら?」
「変な放送だったね…」
しかし、
立ちすくんでいると
突然オチンチンが痛くなった
「痛てぇ…!」
我慢できず
その場にしゃがみこんでしまう
オレを見て母ちゃんも
心配をする
「ちょっと、どうした?
痛むの…?車に戻りましょ」
だが母ちゃんも
オレの心配をしている
場合じゃなかった
同時に母ちゃんも
体中の熱を訴えだす
「ああ…アタシも
なんだかめまいが…」
体をよろけさせ
母ちゃんはオレの隣に
身を寄せた
体中が熱い…
二人揃って
息を荒くしていると
自分の服がミシミシと
音をきしませて破れ始めた
「えっ…何?///」
ただ破れてくんじゃない
体が成長しているのだ
ななっ何でぇ…!
お尻は肉付き
ズボンを引き裂くと
食い込みブリーフが音を立て
悲鳴をあげた
「やあ…♡
破けちゃ…うう‼///」
胸も前へと突き出し
抑えていた両手に
ムニムニとした
柔らかい感触が伝った
徐々に息苦しさがなくなっていく
幻覚でも見ているのかな…
なんだか隣りにいる
母ちゃんまでもが縮んで見える
熱が下がると
やっとオレと母ちゃんは
体を起こすことができた
んん…服キツいぃ///
でも次の瞬間
お互いを見て目を丸くした
「きゃあ⁉タクミ…ちゃん?」
「かっ母ちゃんなの?」
そこには
まるで体型と性別が逆転したかのような
オレと母ちゃんが居た
一体何が起きたんだ…⁉
するとオレたちのもとに
従業員のような格好をした
女の人二名が現れた
「新妻体験エリアへようこそ!
ではエリアのご説明をいたします
お二人には先ず
この街の高級住宅地の住人として
ご自由に選んだ
お家に入ってもらい
家の中にある
指定された服を着用してもらいます
準備ができ次第夫役のエキストラが
帰宅いたします!
体験エリアでの楽しみ方は
さまざま
不倫や借金取り、男性の隣人トラブルに
ストーカーなどなどw
非日常な体験が待ってますよ♪」
最初は頭に話が入ってこなかった
でもすぐに母ちゃんが
お姉さんたちに問い詰めた
「アタシたちを
こんな体にしたのは
あなた達なの⁉
あなた達は一体誰!
さっきの町内放送は何!
新妻体験エリアって
何なのよ!」
「町内…
あのう…お客様
何か勘違いされているみたいですが
ここはテーマパーク内ですよ?
町内放送じゃなくて
園内放送です♪」
「はぁ?…園内ですって?」
お姉さんは
説明してくれた
「ええ♪
このパークに来る前
道の端に
娯楽施設の標識を確認されませんでしたか?」
オレは思い出した
「ああ…そういえば
オレ見たよ
観覧車の絵が入った標識でしょ?」
「そうです!
この街一帯はテーマパークなのです!
「それも大人のテーマパーク!
アダルトソサエティパークなのです!」
「あああああ…アダルト⁉///」
母ちゃんは顔を赤く染めると
オレの手を引いて
二人から遠ざかろうとした
「どうしたの?母ちゃん」
「帰るのよ!
…パーク内って言っても
大人の…///
いやらしいテーマパークなのよ
ここは!」
どうやら
母ちゃんはオレに
このパーク内に居させたくないらしい
オレも手を引かれる方に
歩き出す
「良いよ…テーマパークって言っても
地味な町並みが広がってるだけだし
元の体に戻りたいし帰ろうよ」
しかし
「お帰りですかお客様…
ですがその前に
エリア内での料金を払っていただきたいのですが…」
「えっ」
「中断される場合でも
料金が既に発生しておりますので…」
「わっわかったわよ!」
エリアでの二人分の金額を払うと
母ちゃんもオレも元の体に戻った
…はぁ良かった
ふたりとも安心すると
急いでアダルトソサエティパークから
出ていった
もちろん
駐車入場料金
1500円を二人分払って
帰り際
後部座席から
後ろに沈んでいく街を見つめた
母ちゃんは怒ってたけど
不思議なテーマパークだったな…
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