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発情(1)※
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するとサイラスは、少し驚いた顔をした後、ふっと目じりを下げて微笑んだ。
まるで――花がほころぶような、無邪気な笑みだった。
「うれしいです、イリス――」
その笑みに、あっけにとられて、つい見とれてしまう。
「スノウ、先生……」
するとサイラスは、ふと少し切ない顔をした。
「ベッドの上で、『スノウ先生』は寂しいです。どうかその愛らしい唇で、私の名前を呼んでください、サイラス、と」
されるがままに、復唱する。
「サイラス……」
すると彼は満足げに目を閉じた。そして感極まったように言った。
「ああ、お願いします、もう一度……もう一度、呼んでください」
サイラス、と呼ぶと、彼の手が頬から離れて、イリスの背に回る。そのままゆっくりと、ベッドに押し倒される。とても柔らかな動作で横になったので、きし、とわずかにベッドが鳴った。
「あなたに名前でよばれると――ことのほか嬉しい。胸の中が、痛くなるような心地がします。今まで知りませんでしたが、これがきっと、『ときめく』という感情なんですね」
「え……あ、あの……」
上から覆いかぶさって、彼はイリスをじっと見た。そして、少しあだっぽく微笑んだ。
「職場と同じ服を着ていますね――そうか、私はあなたの私服を知らないから、出てきようがないですね」
いや、それは普通に職場から走ってきただけなのだが――
(先生は、これを夢だと勘違いしてる……んだ)
それはそれで好都合だ。夢だと思っていただいている間に、すっきり発情を収めていただき、イリスは何食わぬ顔で戻って、荷物を渡したと主任に報告すればいいのだ。
「脱がせますよ……」
いつものローブは脱いで走ってきたから、今は普通の仕事着だ。けれど、彼の熱い視線を見て、イリスは頭がほわほわ熱くなっていながらも、尻込みしてしまった。
「そ、その、全部脱がなくても、できると思うのですが……ダメ?」
するとサイラスは唇を尖らせた。
「いやです。見たいです。イリス――あなたの肌をすべて」
彼の手が、イリスのシャツにかかる。
「いつも思っていました、この服の下はどうなっているのかと。私が見れる日は……一生来ないのだろうと……」
イリスの頬がかっと熱くなる。ずいぶん熱いセリフだ。
(本心……なわけないわ、きっとアレよ……道端でナンパしてくる人だって、歯が浮くようなことを言うじゃない)
なんできれいなんだ、運命の人だよ――なんていって、女の子をその気にさせて、一夜限りの遊びに持ち込むのだ。
――それにしては、怖いほど真剣な目で見つめられている気もするが……
イリスはとりあえず、照れ隠しで笑いながら言った。
「わ、わかりました、脱ぎます……へへ」
すると彼は、なぜかぎゅっと目をつぶった。
「ど……どうしたんですか」
「いえ、あまりにも、まぶしくて……では、私にさせてください」
ふっと張り詰めたその目が緩んで、シャツも、スカートも脱がされる。触れるその手つきに、ドキドキしてしまう。
(ぅ……なんか、『発情』の行為なら、もっとこう……)
荒々しく、獣のように交わるのかと思っていたが、彼はどうしてか、優しかった。
ショーツとストッキングだけの姿になったイリスをまじまじと見て、サイラスは固まったあと――つぶやいた。
「……白い下着、ですか」
正直、今日こんなことになるとは予想だにしていなかったので、まったくいつも通りの装備だ。
「ふっ、普通ですみません……」
思わず謝ってしまったイリスに、サイラスは不思議そうに言った。
「何故謝るんですか? 私は……今、網膜に焼き付けているんです……」
そして、繊細なレースの下着も、肌が透けるストッキングも、するりと羽のように脱がせた。
いつも薬品を扱っているだけあって――さすが器用だ。
ふと、彼がいつも実験しているときの手つきを思い出して、ドキリとしてしまう。
同じあの手で――今、イリスのショーツを脱がせているなんて。
「あ……イリス……」
あらわになった身体の上を、サイラスの視線が走る。首に、鎖骨に、胸、おなか――。その視線の熱さを受けて、肌がじんわりと熱くなるような心地がした。
「そ……そんなに、見ないで、ください」
「どうして……? こんなにきれいな身体をしているのに。服の上から見るよりずっと、柔らかで、華奢で、肌もすべらかで……」
はぁ、と熱く息をつきながら、サイラスは下から胸を包むようにつかんだ。
「やわらかい……想像よりずっと」
「ひゃっ……」
彼の指が、まるで繊細な薬剤を扱うように、胸の上を滑っていく。
「ここ、こんな色だったんですね……」
きゅ、と指先で、胸の頂きを摘ままれる。
「まるで庭に咲いてる、薔薇の花びらみたいです」
「っ、ぁ」
ぞくっとした感触が走って、思わず目をぎゅっとつぶる。
「ふふ、感じていますね……?」
うれしそうなその声に、さすがに恥ずかしさを感じて目をそらすと、彼は逃がさないとばかりにそっとイリスの顎に手をかけて、そのまま2度目のキスをした。
「――んっ、」
先ほどのような、余裕のない貪るキスとは違う。
ちょっと意地悪に胸を摘まんだり、ゆっくり撫ぜたりしながら、ちゅ、ちゅっ、と小鳥がついばむように軽く唇を合わせる。
やがて胸を弄られながらも、口づけが深くなっていく。
「ふ、ぁ……ぁ」
思わず、熱されたような吐息が口から漏れてしまう。
――あの真面目に見えたサイラスが、こんないやらしい口づけをしてくるなんて。
『発情』した彼は、いったいどれほど巧みに女を抱くんだろうか。自分はこれから――どうされてしまうんだろう。
そう思うと、ふいに素裸の下腹部がうずいた。
無意識に、太ももをこすり合わせてしまって、サイラスはごく自然に――その太ももの上に手を置いて、イリスを見下ろした。
「……とってもいい顔をしています……イリス」
そうだ、きっと今自分は、口づけにあてられて情けない顔をしている。頬が赤いし、舌にも力が入らなくて、唇は濡れるがままだ。
「そんな風にとろけた顔をするなんて……あぁ、どうか私以外にその顔を見せないでくださいね」
見つめてくるその目がまた、明るく発光していた。なすすべもなく、イリスはこくんとうなずく。
「はい……」
「ふふ、素直なあなたは、たまらなくかわいいです、イリス……」
いいながら、彼の手が太ももの内側へとすべりこむ。
「ぁ……」
そして、ぴったり閉じた合わせ目に、指先が潜り込む。
「や、やだ……」
自分でも濡れているのがわかって、イリスは身をよじった。しかしサイラスは微笑んだ。
「恥ずかしがらないで、見せてください」
膝を割り開かれて、イリスは恥ずかしくて目をつぶった。
奥まったその場所が、さらに彼の指先によって、くぱぁと開かれる。
「っ……!」
いつもショーツでおおわれている場所が、空気にさらされている。そして――彼の視線にも。
そしてふと、彼の指先が、ちゅぷ、と濡れている入口にもぐりこんだ。
「ぁ……っ」
思わずビクンと体をすくませると、笑い交じりの声が降ってくる。
「ふふ……たくさん蜜があふれています、イリス……私の想像どおりに、感じやすい身体をしているんですね」
その言葉に、かあっと耳が熱くなるのを感じる。
「う、やめてください……っ」
「なぜ? あなたが感じてくれて、私はこんなにうれしいのに」
そう言いながら、彼は指を差しはさんだまま、もう一方の手で、入口の上の敏感なつぼみに触れた。
「ひゃんっ…!」
びりっと直接的な快感が走って、腰が引けてしまう。イリスは思わずぎゅっと目をつぶった。
「やはりここも、感じやすいのですね。大丈夫です、最初に言った通り……うんと優しくしますから」
すると、何か熱く濡れたものが、その場所に触れた。
「んうぅっ⁉」
驚いて目をあけると、足の間に――サイラスが顔をうずめていた。
「だ、だめ……っ」
しかし制止の声は、イリス自身の喘ぎにさえぎられた。
「ぁ、あ……っ!」
彼の舌が、くちゅくちゅと音をたててイリスのそこをなめていた。ゆっくりと、舌の腹で蕾をなめ上げ、時に舌先であやすようにくすぐる。
――女を気持ちよくするためだけの、舌の動き。
(や……だっ、こん、なのっ……)
されたことない――。
その動きに、イリスはなすすべもなく翻弄された。与えられる快感に、思わず足がふる、と震える。
「ぁ、ああっ⁉」
さらに、入口にあてがわれた指が、つぷ、ともう一段深いところまで侵入する。
舐られながら、指が根本までつぷりとさしはさまれる。中からじくじく染み出すような快感が、蜜となってとぷりとあふれて、内壁がサイラスの指をきゅっ、きゅっと締め付ける。
「ふふ、かわいい……あなたのココ、私の指を必死に締め付けて……欲しがりさんですね」
自分はこんなにおかしくされてしまっているのに、サイラスはニコニコ笑いながら、嬉し気に指と舌を動かしていて、イリスは羞恥でいっぱいになった。
「や、やめ、やめてぇ……っ、も、もうっ」
「もう、なんですか?」
その声は、子供にかけるように優しくて――イリスは泣きそうになりながら訴えた。
「い、いっちゃい、そ……だから、止めて……ッ」
すると彼は、つぷ、と指をさらに動かした。
「それなら、やめません」
ちゅっ、と軽く蕾にキスしたあと、再び舌全体を使ってねっとりと舐め上げられる。
決して激しい動きではないのに、その濃密で優しい愛撫は、イリスをいとも簡単に絶頂へと追い詰めた。
「やっ、い、く………っ!」
絞り出すような声とともに、イリスの体に力が入る。
「はぁ、はあ……ぁ」
――視界が真っ白になったあとに、イリスは必死で息をした。チカチカした意識の中で、彼がベルトを外す金属音がした。
(まずい……そうだ、これで終わりのわけない)
まるで――花がほころぶような、無邪気な笑みだった。
「うれしいです、イリス――」
その笑みに、あっけにとられて、つい見とれてしまう。
「スノウ、先生……」
するとサイラスは、ふと少し切ない顔をした。
「ベッドの上で、『スノウ先生』は寂しいです。どうかその愛らしい唇で、私の名前を呼んでください、サイラス、と」
されるがままに、復唱する。
「サイラス……」
すると彼は満足げに目を閉じた。そして感極まったように言った。
「ああ、お願いします、もう一度……もう一度、呼んでください」
サイラス、と呼ぶと、彼の手が頬から離れて、イリスの背に回る。そのままゆっくりと、ベッドに押し倒される。とても柔らかな動作で横になったので、きし、とわずかにベッドが鳴った。
「あなたに名前でよばれると――ことのほか嬉しい。胸の中が、痛くなるような心地がします。今まで知りませんでしたが、これがきっと、『ときめく』という感情なんですね」
「え……あ、あの……」
上から覆いかぶさって、彼はイリスをじっと見た。そして、少しあだっぽく微笑んだ。
「職場と同じ服を着ていますね――そうか、私はあなたの私服を知らないから、出てきようがないですね」
いや、それは普通に職場から走ってきただけなのだが――
(先生は、これを夢だと勘違いしてる……んだ)
それはそれで好都合だ。夢だと思っていただいている間に、すっきり発情を収めていただき、イリスは何食わぬ顔で戻って、荷物を渡したと主任に報告すればいいのだ。
「脱がせますよ……」
いつものローブは脱いで走ってきたから、今は普通の仕事着だ。けれど、彼の熱い視線を見て、イリスは頭がほわほわ熱くなっていながらも、尻込みしてしまった。
「そ、その、全部脱がなくても、できると思うのですが……ダメ?」
するとサイラスは唇を尖らせた。
「いやです。見たいです。イリス――あなたの肌をすべて」
彼の手が、イリスのシャツにかかる。
「いつも思っていました、この服の下はどうなっているのかと。私が見れる日は……一生来ないのだろうと……」
イリスの頬がかっと熱くなる。ずいぶん熱いセリフだ。
(本心……なわけないわ、きっとアレよ……道端でナンパしてくる人だって、歯が浮くようなことを言うじゃない)
なんできれいなんだ、運命の人だよ――なんていって、女の子をその気にさせて、一夜限りの遊びに持ち込むのだ。
――それにしては、怖いほど真剣な目で見つめられている気もするが……
イリスはとりあえず、照れ隠しで笑いながら言った。
「わ、わかりました、脱ぎます……へへ」
すると彼は、なぜかぎゅっと目をつぶった。
「ど……どうしたんですか」
「いえ、あまりにも、まぶしくて……では、私にさせてください」
ふっと張り詰めたその目が緩んで、シャツも、スカートも脱がされる。触れるその手つきに、ドキドキしてしまう。
(ぅ……なんか、『発情』の行為なら、もっとこう……)
荒々しく、獣のように交わるのかと思っていたが、彼はどうしてか、優しかった。
ショーツとストッキングだけの姿になったイリスをまじまじと見て、サイラスは固まったあと――つぶやいた。
「……白い下着、ですか」
正直、今日こんなことになるとは予想だにしていなかったので、まったくいつも通りの装備だ。
「ふっ、普通ですみません……」
思わず謝ってしまったイリスに、サイラスは不思議そうに言った。
「何故謝るんですか? 私は……今、網膜に焼き付けているんです……」
そして、繊細なレースの下着も、肌が透けるストッキングも、するりと羽のように脱がせた。
いつも薬品を扱っているだけあって――さすが器用だ。
ふと、彼がいつも実験しているときの手つきを思い出して、ドキリとしてしまう。
同じあの手で――今、イリスのショーツを脱がせているなんて。
「あ……イリス……」
あらわになった身体の上を、サイラスの視線が走る。首に、鎖骨に、胸、おなか――。その視線の熱さを受けて、肌がじんわりと熱くなるような心地がした。
「そ……そんなに、見ないで、ください」
「どうして……? こんなにきれいな身体をしているのに。服の上から見るよりずっと、柔らかで、華奢で、肌もすべらかで……」
はぁ、と熱く息をつきながら、サイラスは下から胸を包むようにつかんだ。
「やわらかい……想像よりずっと」
「ひゃっ……」
彼の指が、まるで繊細な薬剤を扱うように、胸の上を滑っていく。
「ここ、こんな色だったんですね……」
きゅ、と指先で、胸の頂きを摘ままれる。
「まるで庭に咲いてる、薔薇の花びらみたいです」
「っ、ぁ」
ぞくっとした感触が走って、思わず目をぎゅっとつぶる。
「ふふ、感じていますね……?」
うれしそうなその声に、さすがに恥ずかしさを感じて目をそらすと、彼は逃がさないとばかりにそっとイリスの顎に手をかけて、そのまま2度目のキスをした。
「――んっ、」
先ほどのような、余裕のない貪るキスとは違う。
ちょっと意地悪に胸を摘まんだり、ゆっくり撫ぜたりしながら、ちゅ、ちゅっ、と小鳥がついばむように軽く唇を合わせる。
やがて胸を弄られながらも、口づけが深くなっていく。
「ふ、ぁ……ぁ」
思わず、熱されたような吐息が口から漏れてしまう。
――あの真面目に見えたサイラスが、こんないやらしい口づけをしてくるなんて。
『発情』した彼は、いったいどれほど巧みに女を抱くんだろうか。自分はこれから――どうされてしまうんだろう。
そう思うと、ふいに素裸の下腹部がうずいた。
無意識に、太ももをこすり合わせてしまって、サイラスはごく自然に――その太ももの上に手を置いて、イリスを見下ろした。
「……とってもいい顔をしています……イリス」
そうだ、きっと今自分は、口づけにあてられて情けない顔をしている。頬が赤いし、舌にも力が入らなくて、唇は濡れるがままだ。
「そんな風にとろけた顔をするなんて……あぁ、どうか私以外にその顔を見せないでくださいね」
見つめてくるその目がまた、明るく発光していた。なすすべもなく、イリスはこくんとうなずく。
「はい……」
「ふふ、素直なあなたは、たまらなくかわいいです、イリス……」
いいながら、彼の手が太ももの内側へとすべりこむ。
「ぁ……」
そして、ぴったり閉じた合わせ目に、指先が潜り込む。
「や、やだ……」
自分でも濡れているのがわかって、イリスは身をよじった。しかしサイラスは微笑んだ。
「恥ずかしがらないで、見せてください」
膝を割り開かれて、イリスは恥ずかしくて目をつぶった。
奥まったその場所が、さらに彼の指先によって、くぱぁと開かれる。
「っ……!」
いつもショーツでおおわれている場所が、空気にさらされている。そして――彼の視線にも。
そしてふと、彼の指先が、ちゅぷ、と濡れている入口にもぐりこんだ。
「ぁ……っ」
思わずビクンと体をすくませると、笑い交じりの声が降ってくる。
「ふふ……たくさん蜜があふれています、イリス……私の想像どおりに、感じやすい身体をしているんですね」
その言葉に、かあっと耳が熱くなるのを感じる。
「う、やめてください……っ」
「なぜ? あなたが感じてくれて、私はこんなにうれしいのに」
そう言いながら、彼は指を差しはさんだまま、もう一方の手で、入口の上の敏感なつぼみに触れた。
「ひゃんっ…!」
びりっと直接的な快感が走って、腰が引けてしまう。イリスは思わずぎゅっと目をつぶった。
「やはりここも、感じやすいのですね。大丈夫です、最初に言った通り……うんと優しくしますから」
すると、何か熱く濡れたものが、その場所に触れた。
「んうぅっ⁉」
驚いて目をあけると、足の間に――サイラスが顔をうずめていた。
「だ、だめ……っ」
しかし制止の声は、イリス自身の喘ぎにさえぎられた。
「ぁ、あ……っ!」
彼の舌が、くちゅくちゅと音をたててイリスのそこをなめていた。ゆっくりと、舌の腹で蕾をなめ上げ、時に舌先であやすようにくすぐる。
――女を気持ちよくするためだけの、舌の動き。
(や……だっ、こん、なのっ……)
されたことない――。
その動きに、イリスはなすすべもなく翻弄された。与えられる快感に、思わず足がふる、と震える。
「ぁ、ああっ⁉」
さらに、入口にあてがわれた指が、つぷ、ともう一段深いところまで侵入する。
舐られながら、指が根本までつぷりとさしはさまれる。中からじくじく染み出すような快感が、蜜となってとぷりとあふれて、内壁がサイラスの指をきゅっ、きゅっと締め付ける。
「ふふ、かわいい……あなたのココ、私の指を必死に締め付けて……欲しがりさんですね」
自分はこんなにおかしくされてしまっているのに、サイラスはニコニコ笑いながら、嬉し気に指と舌を動かしていて、イリスは羞恥でいっぱいになった。
「や、やめ、やめてぇ……っ、も、もうっ」
「もう、なんですか?」
その声は、子供にかけるように優しくて――イリスは泣きそうになりながら訴えた。
「い、いっちゃい、そ……だから、止めて……ッ」
すると彼は、つぷ、と指をさらに動かした。
「それなら、やめません」
ちゅっ、と軽く蕾にキスしたあと、再び舌全体を使ってねっとりと舐め上げられる。
決して激しい動きではないのに、その濃密で優しい愛撫は、イリスをいとも簡単に絶頂へと追い詰めた。
「やっ、い、く………っ!」
絞り出すような声とともに、イリスの体に力が入る。
「はぁ、はあ……ぁ」
――視界が真っ白になったあとに、イリスは必死で息をした。チカチカした意識の中で、彼がベルトを外す金属音がした。
(まずい……そうだ、これで終わりのわけない)
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