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優しくされると不気味
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むしろそれは、エヴァンジェリンに横恋慕したディックが、彼女を手に入れるために仕組んだ罠だとアレックスはあとでグレアムに聞かされた。
――アレックスはまんまとディックの策にハマって、エヴァンジェリンを囲んで責め立ててしまったのだ。
(ああああ……最悪だ、俺)
彼女は悪女だ。そう決めつけて、声を荒げて迫った。彼女は青い顔をして、ただただ怯えて後ずさっていた。
(うぐぐぅ……)
アレックスは自分の手のひらを見つめた。あの時の空気感を思い出すと、なんともいやな気持になる。
最悪の人間になった気分だ。
(俺……何も悪いことをしてない、病気の女の子に……一方的に決めつけて、脅したんだ)
アレックスは今まで、故郷のシンプルな正義感でもって生きて来た。
男たるもの、強くあれ。そして、弱い者を守れ。
これが、牧場主であった父の教えであった。時々やんちゃはするものの、アレックスは父に恥じるようなことはなにひとつしていない、と胸を張って言えていた。
けれど、今はどうだろう。
アレックスは頭をかかえた。
『どうしたら……いいのかな』
今日見かけた彼女は、涙を流しながら一人、そうつぶやいていた。
彼女は今回の騒動を、とても気に病んで、思いつめているのだろう。当たり前だ。彼女からしたら、何も悪い事などしていないのに、ココやグレアム、そしてアレックスのせいで災厄に巻き込まれたのだから。
誰にも聞かれていないと思っていたのだろう。彼女の泣いている表情は無防備で、いつもの近寄りがたい冷たさも消えていた。
白い頬に、透明の涙が落ちていく。まるでダイアモンドのかけらのように、純度の高い粒。
ローブから覗く手も、スカートから伸びる足も――心配になりそうなほど細く華奢だった。
そんな彼女が一人でひっそり泣いている姿を見てしまい、アレックスの胸に最大の罪悪感が押し寄せてきた。
(ごめん……! 俺、そんなつもりじゃ)
あんなこと、しなきゃよかった。生まれてはじめて、アレックスは強く後悔した。
時間を巻き戻して、自分を殴り飛ばしてやりたい。
(悪女どころか――怖い婚約者に逆らえない、病弱な女の子じゃないか)
エヴァンジェリンが泣いているのを見て、アレックスは猛烈に彼女が心配になった。
助けてあげたい。どうにかできないのか。そう思って思わず手を差し伸べた。
けれど当然、アレックスの手は拒否された。彼女からしたら、当たり前の事だろう。
けれど悲鳴を上げられて、アレックスはなぜか胸の奥がちくりと刺されたように痛くなった。
それ以来、棘が刺さったみたいに、ずっと胸のその場所が痛い。
彼女の事が頭から離れない。
もう、一人で泣かないでほしい。
理屈抜きで、そんな感情が沸き起こってくる。
(だけど――俺、ちゃんと謝って、許してもらうことすら、できなかった)
はーーっとため息をついて、頭をかかえる。あまりに彼女のことについて考えすぎて、こめかみのあたりが痛くなってきた。
(くそ。明日こそ……ちゃんと、謝んなきゃ)
それだけ決めて、アレックスは自分の部屋のベッドへと向かったのだった。
「ピィピィ……ただいま」
ほうほうの体で、エヴァンジェリンは寮の自室へと戻ってきた。息切れのするエヴァンジェリンのもとに、ピィピィが真っ先に飛んでくる。
くるっとした目で心配そうに見上げられて、エヴァンジェリンは頑張って笑顔を浮かべた。
「だいじょうぶ、心配、かけたね……」
制服のローブのまま、エヴァンジェリンはソファへと倒れるように座り込んだ。
そういえば、朝、なにも食べていなかった。脇の籠から、バナナを出して齧ろうと手を伸ばす。
「あれ? 二本たりない?」
バナナは、2日に一回、厨房の係が届けてくれている。けれど、想定より二本も少ない。エヴァンジェリンは窓辺に目をやって、そこに籠にあるはずの二本がきちんと並べられているのを発見した。
「私……今日は置いてない、よね?」
朝、エヴァンジェリンにそんな余裕はなかったはずだ。
「ピィピィが置いた……ってわけもないよね」
籠には、蓋がつけられている。ピィピィには開けられないはずだ。
(もしかして、グレアム様が……?)
いや、ありえない。そう思ったその時、部屋の隠し通路の扉がどたんと開いた。
「グレアム様……」
ココと言い争っていて、彼はまだ帰ってこないと思っていたので、エヴァンジェリンは完全に虚を突かれて固まった。
その目はいつかのように、鋭くエヴァンジェリンを見つめている。
エヴァンジェリンは思わず、謝罪を口にしていた。
「ご……ごめんなさい、私……」
エヴァンジェリンは慌てて立ち上がったが、グレアムはむっつりとそれを止めた。
「いい。具合が悪いなら座っていろ」
「は、はい……」
何を言われるんだろう。死刑宣告を待つような気持ちでうつむくエヴァンジェリンに、グレアムは意外な一言を放った。
「お前、欲しいものはあるか」
――アレックスはまんまとディックの策にハマって、エヴァンジェリンを囲んで責め立ててしまったのだ。
(ああああ……最悪だ、俺)
彼女は悪女だ。そう決めつけて、声を荒げて迫った。彼女は青い顔をして、ただただ怯えて後ずさっていた。
(うぐぐぅ……)
アレックスは自分の手のひらを見つめた。あの時の空気感を思い出すと、なんともいやな気持になる。
最悪の人間になった気分だ。
(俺……何も悪いことをしてない、病気の女の子に……一方的に決めつけて、脅したんだ)
アレックスは今まで、故郷のシンプルな正義感でもって生きて来た。
男たるもの、強くあれ。そして、弱い者を守れ。
これが、牧場主であった父の教えであった。時々やんちゃはするものの、アレックスは父に恥じるようなことはなにひとつしていない、と胸を張って言えていた。
けれど、今はどうだろう。
アレックスは頭をかかえた。
『どうしたら……いいのかな』
今日見かけた彼女は、涙を流しながら一人、そうつぶやいていた。
彼女は今回の騒動を、とても気に病んで、思いつめているのだろう。当たり前だ。彼女からしたら、何も悪い事などしていないのに、ココやグレアム、そしてアレックスのせいで災厄に巻き込まれたのだから。
誰にも聞かれていないと思っていたのだろう。彼女の泣いている表情は無防備で、いつもの近寄りがたい冷たさも消えていた。
白い頬に、透明の涙が落ちていく。まるでダイアモンドのかけらのように、純度の高い粒。
ローブから覗く手も、スカートから伸びる足も――心配になりそうなほど細く華奢だった。
そんな彼女が一人でひっそり泣いている姿を見てしまい、アレックスの胸に最大の罪悪感が押し寄せてきた。
(ごめん……! 俺、そんなつもりじゃ)
あんなこと、しなきゃよかった。生まれてはじめて、アレックスは強く後悔した。
時間を巻き戻して、自分を殴り飛ばしてやりたい。
(悪女どころか――怖い婚約者に逆らえない、病弱な女の子じゃないか)
エヴァンジェリンが泣いているのを見て、アレックスは猛烈に彼女が心配になった。
助けてあげたい。どうにかできないのか。そう思って思わず手を差し伸べた。
けれど当然、アレックスの手は拒否された。彼女からしたら、当たり前の事だろう。
けれど悲鳴を上げられて、アレックスはなぜか胸の奥がちくりと刺されたように痛くなった。
それ以来、棘が刺さったみたいに、ずっと胸のその場所が痛い。
彼女の事が頭から離れない。
もう、一人で泣かないでほしい。
理屈抜きで、そんな感情が沸き起こってくる。
(だけど――俺、ちゃんと謝って、許してもらうことすら、できなかった)
はーーっとため息をついて、頭をかかえる。あまりに彼女のことについて考えすぎて、こめかみのあたりが痛くなってきた。
(くそ。明日こそ……ちゃんと、謝んなきゃ)
それだけ決めて、アレックスは自分の部屋のベッドへと向かったのだった。
「ピィピィ……ただいま」
ほうほうの体で、エヴァンジェリンは寮の自室へと戻ってきた。息切れのするエヴァンジェリンのもとに、ピィピィが真っ先に飛んでくる。
くるっとした目で心配そうに見上げられて、エヴァンジェリンは頑張って笑顔を浮かべた。
「だいじょうぶ、心配、かけたね……」
制服のローブのまま、エヴァンジェリンはソファへと倒れるように座り込んだ。
そういえば、朝、なにも食べていなかった。脇の籠から、バナナを出して齧ろうと手を伸ばす。
「あれ? 二本たりない?」
バナナは、2日に一回、厨房の係が届けてくれている。けれど、想定より二本も少ない。エヴァンジェリンは窓辺に目をやって、そこに籠にあるはずの二本がきちんと並べられているのを発見した。
「私……今日は置いてない、よね?」
朝、エヴァンジェリンにそんな余裕はなかったはずだ。
「ピィピィが置いた……ってわけもないよね」
籠には、蓋がつけられている。ピィピィには開けられないはずだ。
(もしかして、グレアム様が……?)
いや、ありえない。そう思ったその時、部屋の隠し通路の扉がどたんと開いた。
「グレアム様……」
ココと言い争っていて、彼はまだ帰ってこないと思っていたので、エヴァンジェリンは完全に虚を突かれて固まった。
その目はいつかのように、鋭くエヴァンジェリンを見つめている。
エヴァンジェリンは思わず、謝罪を口にしていた。
「ご……ごめんなさい、私……」
エヴァンジェリンは慌てて立ち上がったが、グレアムはむっつりとそれを止めた。
「いい。具合が悪いなら座っていろ」
「は、はい……」
何を言われるんだろう。死刑宣告を待つような気持ちでうつむくエヴァンジェリンに、グレアムは意外な一言を放った。
「お前、欲しいものはあるか」
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