9 / 41
ヤバい人の地雷はヤバい
しおりを挟む
研究所まで帰ってきた芹花は、玄関をあけた。
「ただいま戻りましたよーっと…モフチー」
芹花はしゃがんでモフチーを撫でた。日が落ちてきたので玄関は暗い。リノリウムの床に芹花の影が長く伸びた。
「さっ、お互いご飯にしよっか」
芹花はモフチーにごはんをあげ、自分も時計とにらめっこしながらプロテインをのみほした。ここ最近ではこの時間だけが芹花の楽しみだった。六時からオンラインで授業があるのだ。だが端末は一つしかないので、使うときがかち合わないよう事前にサチに確認する必要があった。毎回冷たい目を向けられるので彼を探しに向かうのは気が重い。だが十分前になったので芹花は重い腰をあげた。
芹花は研究室の彼の机を覗いたが、彼はいなかった。他の階にいるとも思えなかったので、芹花はとりあえず研究室を抜け、その先のアトリウムへ向かった。
天井のガラスから夕日が降りそそぎ、アトリウム内は濃いオレンジ色に染まっていた。少しづつ建物内の掃除はしているが、まだここにまで手がまわらないので、光の中にほこりが舞ってキラキラしていた。
(うーん、ここにもいないな。どこだろ…)
芹花はくるりと踵を返したが、その瞬間頭上から鳥の声がした。それは不思議な響きを持っていて、夕方に似合うしっとりとした音だった。芹花は鳥かごに近づいた。
「すごーい。いい声してるね」
鳥かごはこの間酒流がひっかけたあの場所にそのまま釣り下がっていた。が、何気なく中を覗いた芹花は驚いた。
「うわあ」
鳥かごの中は汚れていて、えさも水もからっぽだった。あたりを見回すと、空のプランターの中にえさの袋が無造作に入れられていた。封は切ってあり、中身が少しこぼれている。
芹花はからっぽの皿にそのえさをザクザク入れ、水も注ぎ足した。するとカナリアは猛烈な勢いで皿に頭をつっこんだ。
「エサ、どのくらい食べてなかったのかな…気づかなくてごめんね」
てっきりサチが面倒を見ているものと思っていたので、芹花はカナリアにはノータッチだった。だがこの状態はちょっとひどい。
「これからは、私がエサやりするか…」
芹花がそういうと、カナリアはきゅっと丸い顔をこちらに向けた。
「ルールー…ロロロロロ…」
耳をくすぐるような心地よい音に、芹花は目を閉じて聞き入った。
(きれいな声だけど、なんだか切なくなる音だな…遠くから響いてるみたいな感じがする)
「…キライッ…」
歌声が途切れ、突然聞こえたその声に、芹花は耳を疑った。
「…えっ?」
この子、今しゃべったような…?だがカナリアはオウムではない。しゃべらないはずだ。芹花はまじまじと鳥かごの中を見た。
「ねえ、今何か言った?」
だがカナリアに通じるわけもなく、そ知らぬ顔でまたエサをついばんでいる。
「…まあ、いいか」
芹花は早足でアトリウムを出た。もうすぐ6時になってしまう。研究室へ戻るとちょうどサチがロビー側の扉から入ってくる所だった。
「あっ、あの」
彼はこちらを見もしなかったが、芹花が声をかけたら立ち止まった。
「今から端末使って大丈夫ですか?授業があるので…」
「…どうぞ」
研究室の白い電気の下で、伏し目がちにした睫が、彼の頬に濃い影を落としている。サチの顔からはなんの表情も読み取れない。が、芹花は意を決して聞いた。
「あの…今日…」
サチが顔を上げたので、二人の視線がぶつかった。相変わらず無表情だったが、芹花は勇気を奮い起こして続けた。
「畑の向こうの丘で、みかんみたいなものがなっていたんだけど、それで…」
「で?」
その声には一片の感情もふくまれておらず無機質そのもので、芹花とても切り出しづらかったが恥を忍んで聞いた。
「食べちゃ、だめですか」
「は?」
「いやあの、だめなら、だめでいいです。ちょっときいてみただけ…」
「ああどうぞ」
彼はぶっきらぼうにそういった。
「えっ?」
芹花が聞き返したときには彼女はもう背を向けていた。
「あ、わかりました…」
あっさりOKが出たので驚いたが、芹花の頭はすぐさまあのみかんでいっぱいになった。
(やったやった!明日とりにいこう!)
しかも、あそこにはさくらんぼやキウイなどたくさん魅力的な木があった。
(みかんがOKってことは、他のもの食べていいってことだよね…!)
どの木も実どころか花の芽さえなかったが、芹花は俄然やる気がわいてきた。
(よーし!実らせてみせるぞ!高級果物!)
まだ口にしたことのないそれらの味を想像すると、芹花の心はかなり躍った。
『茉里です。お仕事お疲れ様。メールありがとうね。
モフチーはそちらで元気?猫って環境が変わるとすごいストレスを感じるらしいから、ちょっと心配。あ、もちろん芹花のことも心配だよ。食料がないって大丈夫?こちらから何か送ってあげたいけど、やっぱり難しいかな…。
芹花がひとりで頑張っているから、私も頑張ってみるね。
追伸 厳しい上司って、どんな人なの?気になる~。』
ギリギリで間に合ったライブ授業を終え、茉里の返信を読んで芹花はへへっと笑った。時計をちらりとみて、芹花はぱぱっと返事を打った。
『食料については、今日希望をみつけたから大丈夫!気持ちだけもらっとく。
上司は男の人なんだよね。何歳かはわからないけど多分若い方だとおもう。そういえば茉里の好きなアイドルの人にちょっと似てるかも。あの金髪のクールな人。ちょっとだけど。
モフチーは元気!今も膝の上に乗ってワオワオ言ってるよ。もともと外に住んでたからこの環境もそう苦じゃないのかもしれない。モフチー見習ってお互いがんばろうね!』
次の日の朝。芹花はいつもより早く起きて1階のアトリウムへ向かった。
「おはようレモン。ちょっと掃除するよ」
芹花はカナリアを仮の籠に移し、徹底的に元の籠を掃除した。ピカピカになった籠に戻されたカナリアは、心なしか嬉しそうに見えた。芹花はさらに減っていた水とエサを補充し、今度は2階の書庫へ向かった。この部屋には天井まである大きな本棚が通路を作るように並んでいる。本だけでなく書類ファイルもたくさん並んでいるので、もしかしたら丘の果樹のデータや育てかたの手がかりがあるかもしれない。芹花は雑然とした通路に足を踏み入れた。床に物がたくさん放置されていて、歩きにくい事この上ない。が、すみっこに積んである段ボールに芹花の目はすいよせられた。
「何だろう、あれ」
そのダンボールには太いマジックで「ハイキ」と書かれてあった。中にはたくさんのビニールパックが入っている。どれも黄ばんで古びているが、芹花が気になったのはそのラベルに野菜の名が書いてある所だった。
(これ…ひょっとして、種?)
不透明なビニールなので中身は見えないが、浮き出た感触は種そのものだ。トマトやじゃがいも、きゅうりなど、いろいろな品種がある。
(ハイキなら、もらっちゃだめかな…)
ホクホクのじゃがいもに、塩を振ったトマト、パリッとしたきゅうり…そんな妄想が次々と脳裏に浮かんだ。
(でも、どれも育てるのに時間がかかるなぁ…あっ)
芹花は夢中でダンボールをあさった。中には封を切られているものもある。
(ミントに、ローズマリー…あっ、昨日丘で見かけたな。誰かが植えたのかな?なら私だって…いいよね?)
ダンボールをあさっていた芹花は底に埋もれていたパックを手にとった。ラベルには「二十日大根」とある。
(これならお手軽に収穫できる…かも!)
芹花はそれをポケットにしまった、その時。
「ここにいたんですか」
「ギャッ、ち、ちがうんですこれは」
芹花は縮み上がった。振り返ると、サチがこちらに向かって歩いてきた。狭い通路でサチと向き合う格好になり、芹花は少し身構えた。
「鳥にエサをやりましたか?」
彼のその声はいつも以上に冷たい。だが意外な問いかけに芹花は首をかしげた。
「カナリアのことですか?エサやって、掃除もしておきましたけど…?」
彼の表情が変わった。スッと細められた目には怒りがたたえられている。
「誰が頼みました?勝手なことをしないでください」
「ただいま戻りましたよーっと…モフチー」
芹花はしゃがんでモフチーを撫でた。日が落ちてきたので玄関は暗い。リノリウムの床に芹花の影が長く伸びた。
「さっ、お互いご飯にしよっか」
芹花はモフチーにごはんをあげ、自分も時計とにらめっこしながらプロテインをのみほした。ここ最近ではこの時間だけが芹花の楽しみだった。六時からオンラインで授業があるのだ。だが端末は一つしかないので、使うときがかち合わないよう事前にサチに確認する必要があった。毎回冷たい目を向けられるので彼を探しに向かうのは気が重い。だが十分前になったので芹花は重い腰をあげた。
芹花は研究室の彼の机を覗いたが、彼はいなかった。他の階にいるとも思えなかったので、芹花はとりあえず研究室を抜け、その先のアトリウムへ向かった。
天井のガラスから夕日が降りそそぎ、アトリウム内は濃いオレンジ色に染まっていた。少しづつ建物内の掃除はしているが、まだここにまで手がまわらないので、光の中にほこりが舞ってキラキラしていた。
(うーん、ここにもいないな。どこだろ…)
芹花はくるりと踵を返したが、その瞬間頭上から鳥の声がした。それは不思議な響きを持っていて、夕方に似合うしっとりとした音だった。芹花は鳥かごに近づいた。
「すごーい。いい声してるね」
鳥かごはこの間酒流がひっかけたあの場所にそのまま釣り下がっていた。が、何気なく中を覗いた芹花は驚いた。
「うわあ」
鳥かごの中は汚れていて、えさも水もからっぽだった。あたりを見回すと、空のプランターの中にえさの袋が無造作に入れられていた。封は切ってあり、中身が少しこぼれている。
芹花はからっぽの皿にそのえさをザクザク入れ、水も注ぎ足した。するとカナリアは猛烈な勢いで皿に頭をつっこんだ。
「エサ、どのくらい食べてなかったのかな…気づかなくてごめんね」
てっきりサチが面倒を見ているものと思っていたので、芹花はカナリアにはノータッチだった。だがこの状態はちょっとひどい。
「これからは、私がエサやりするか…」
芹花がそういうと、カナリアはきゅっと丸い顔をこちらに向けた。
「ルールー…ロロロロロ…」
耳をくすぐるような心地よい音に、芹花は目を閉じて聞き入った。
(きれいな声だけど、なんだか切なくなる音だな…遠くから響いてるみたいな感じがする)
「…キライッ…」
歌声が途切れ、突然聞こえたその声に、芹花は耳を疑った。
「…えっ?」
この子、今しゃべったような…?だがカナリアはオウムではない。しゃべらないはずだ。芹花はまじまじと鳥かごの中を見た。
「ねえ、今何か言った?」
だがカナリアに通じるわけもなく、そ知らぬ顔でまたエサをついばんでいる。
「…まあ、いいか」
芹花は早足でアトリウムを出た。もうすぐ6時になってしまう。研究室へ戻るとちょうどサチがロビー側の扉から入ってくる所だった。
「あっ、あの」
彼はこちらを見もしなかったが、芹花が声をかけたら立ち止まった。
「今から端末使って大丈夫ですか?授業があるので…」
「…どうぞ」
研究室の白い電気の下で、伏し目がちにした睫が、彼の頬に濃い影を落としている。サチの顔からはなんの表情も読み取れない。が、芹花は意を決して聞いた。
「あの…今日…」
サチが顔を上げたので、二人の視線がぶつかった。相変わらず無表情だったが、芹花は勇気を奮い起こして続けた。
「畑の向こうの丘で、みかんみたいなものがなっていたんだけど、それで…」
「で?」
その声には一片の感情もふくまれておらず無機質そのもので、芹花とても切り出しづらかったが恥を忍んで聞いた。
「食べちゃ、だめですか」
「は?」
「いやあの、だめなら、だめでいいです。ちょっときいてみただけ…」
「ああどうぞ」
彼はぶっきらぼうにそういった。
「えっ?」
芹花が聞き返したときには彼女はもう背を向けていた。
「あ、わかりました…」
あっさりOKが出たので驚いたが、芹花の頭はすぐさまあのみかんでいっぱいになった。
(やったやった!明日とりにいこう!)
しかも、あそこにはさくらんぼやキウイなどたくさん魅力的な木があった。
(みかんがOKってことは、他のもの食べていいってことだよね…!)
どの木も実どころか花の芽さえなかったが、芹花は俄然やる気がわいてきた。
(よーし!実らせてみせるぞ!高級果物!)
まだ口にしたことのないそれらの味を想像すると、芹花の心はかなり躍った。
『茉里です。お仕事お疲れ様。メールありがとうね。
モフチーはそちらで元気?猫って環境が変わるとすごいストレスを感じるらしいから、ちょっと心配。あ、もちろん芹花のことも心配だよ。食料がないって大丈夫?こちらから何か送ってあげたいけど、やっぱり難しいかな…。
芹花がひとりで頑張っているから、私も頑張ってみるね。
追伸 厳しい上司って、どんな人なの?気になる~。』
ギリギリで間に合ったライブ授業を終え、茉里の返信を読んで芹花はへへっと笑った。時計をちらりとみて、芹花はぱぱっと返事を打った。
『食料については、今日希望をみつけたから大丈夫!気持ちだけもらっとく。
上司は男の人なんだよね。何歳かはわからないけど多分若い方だとおもう。そういえば茉里の好きなアイドルの人にちょっと似てるかも。あの金髪のクールな人。ちょっとだけど。
モフチーは元気!今も膝の上に乗ってワオワオ言ってるよ。もともと外に住んでたからこの環境もそう苦じゃないのかもしれない。モフチー見習ってお互いがんばろうね!』
次の日の朝。芹花はいつもより早く起きて1階のアトリウムへ向かった。
「おはようレモン。ちょっと掃除するよ」
芹花はカナリアを仮の籠に移し、徹底的に元の籠を掃除した。ピカピカになった籠に戻されたカナリアは、心なしか嬉しそうに見えた。芹花はさらに減っていた水とエサを補充し、今度は2階の書庫へ向かった。この部屋には天井まである大きな本棚が通路を作るように並んでいる。本だけでなく書類ファイルもたくさん並んでいるので、もしかしたら丘の果樹のデータや育てかたの手がかりがあるかもしれない。芹花は雑然とした通路に足を踏み入れた。床に物がたくさん放置されていて、歩きにくい事この上ない。が、すみっこに積んである段ボールに芹花の目はすいよせられた。
「何だろう、あれ」
そのダンボールには太いマジックで「ハイキ」と書かれてあった。中にはたくさんのビニールパックが入っている。どれも黄ばんで古びているが、芹花が気になったのはそのラベルに野菜の名が書いてある所だった。
(これ…ひょっとして、種?)
不透明なビニールなので中身は見えないが、浮き出た感触は種そのものだ。トマトやじゃがいも、きゅうりなど、いろいろな品種がある。
(ハイキなら、もらっちゃだめかな…)
ホクホクのじゃがいもに、塩を振ったトマト、パリッとしたきゅうり…そんな妄想が次々と脳裏に浮かんだ。
(でも、どれも育てるのに時間がかかるなぁ…あっ)
芹花は夢中でダンボールをあさった。中には封を切られているものもある。
(ミントに、ローズマリー…あっ、昨日丘で見かけたな。誰かが植えたのかな?なら私だって…いいよね?)
ダンボールをあさっていた芹花は底に埋もれていたパックを手にとった。ラベルには「二十日大根」とある。
(これならお手軽に収穫できる…かも!)
芹花はそれをポケットにしまった、その時。
「ここにいたんですか」
「ギャッ、ち、ちがうんですこれは」
芹花は縮み上がった。振り返ると、サチがこちらに向かって歩いてきた。狭い通路でサチと向き合う格好になり、芹花は少し身構えた。
「鳥にエサをやりましたか?」
彼のその声はいつも以上に冷たい。だが意外な問いかけに芹花は首をかしげた。
「カナリアのことですか?エサやって、掃除もしておきましたけど…?」
彼の表情が変わった。スッと細められた目には怒りがたたえられている。
「誰が頼みました?勝手なことをしないでください」
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
吉祥寺あやかし甘露絵巻 白蛇さまと恋するショコラ
灰ノ木朱風
キャラ文芸
平安の大陰陽師・芦屋道満の子孫、玲奈(れな)は新進気鋭のパティシエール。東京・吉祥寺の一角にある古民家で“カフェ9-Letters(ナインレターズ)”のオーナーとして日々奮闘中だが、やってくるのは一癖も二癖もあるあやかしばかり。
ある雨の日の夜、玲奈が保護した迷子の白蛇が、翌朝目覚めると黒髪の美青年(全裸)になっていた!?
態度だけはやたらと偉そうな白蛇のあやかしは、玲奈のスイーツの味に惚れ込んで屋敷に居着いてしまう。その上玲奈に「魂を寄越せ」とあの手この手で迫ってくるように。
しかし玲奈の幼なじみであり、安倍晴明の子孫である陰陽師・七弦(なつる)がそれを許さない。
愚直にスイーツを作り続ける玲奈の周囲で、謎の白蛇 VS 現代の陰陽師の恋のバトルが(勝手に)幕を開ける――!
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
OL 万千湖さんのささやかなる野望
菱沼あゆ
キャラ文芸
転職した会社でお茶の淹れ方がうまいから、うちの息子と見合いしないかと上司に言われた白雪万千湖(しらゆき まちこ)。
ところが、見合い当日。
息子が突然、好きな人がいると言い出したと、部長は全然違う人を連れて来た。
「いや~、誰か若いいい男がいないかと、急いで休日出勤してる奴探して引っ張ってきたよ~」
万千湖の前に現れたのは、この人だけは勘弁してください、と思う、隣の部署の愛想の悪い課長、小鳥遊駿佑(たかなし しゅんすけ)だった。
部長の手前、三回くらいデートして断ろう、と画策する二人だったが――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる