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第三章:いろいろな問題を残しながらも、久々に城に帰る二人だが…?
3-3 逃げる彼女を追いかけて
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心臓がうるさい。頬が熱い。
どくん、どくん、と胸が高鳴る。
貴方の言葉で私は心臓がどうにかなってしまいそうで。
好きで好きで、たまらないのに―――顔を見たら、恥ずかしくて何も考えられなかった。そしたら、勝手に足が動いていて…逃げてた。
もう城内は暗くて…光と言えば月明かりくらいで。
「待てよ! 待ってくれ…お願いだからっ!」
必死に私を追いかけてくれるロイド様。それでも、私は逃げた。
大切な人が私のせいで消えないように、私が関わることでロイド様が傷つかなくて済むように―――
私は貴方を影から守れればいい。
好きだけど、考えてみれば…私とロイド様では身分に差がありすぎるから…。
想いが通じあって私は浮かれてそれに気づくことができなかった。
「ごめんなさい…私は勝手です」
ロイド様の子供を産むって約束したのに――――バカだ、本当に私は馬鹿なんだ…。
***
「ユリアッ! ―――男の俺から逃げられると思うなよ!」
「きゃあぁっ」
ユリアは全力で逃げていたはずなのに、すぐにロイドに追いつかれて腕を捕まれ抱き締められた。
「はぁ……はぁ……」
息を弾ませているのはユリアだけ。ユリアは、男と女の体力の違いを思い知らされる。
(……悔しい……騎士団の中でもいつだって、私が一番遅くて…今だって、傭兵でもないロイド様に捕まって―――)
私は惨めだ。
いつだったか…エアさんが言っていたことを思い出す。
平民でも騎士で手柄を立てればそれなりの身分が貰えてロイド様と結婚できる、と言っていたはず。
(私はまだ騎士でもないし…手柄も立てていない…だから、私ではロイド様に相応しくないです…)
ユリアは、ぎゅっと、抱き締めているロイドの腕を振りほどこうとする。
「は、離して下さい……」
「ユリア…………?」
初めての拒絶に、ロイドは戸惑う。彼女の心情を知るはずもないロイドは、彼女が悲しみを押し殺しているということには気が付かなかった。
「何で、何でだよ! 俺はお前が好きで……お前も俺が好きなんじゃないのか……?」
最後の方は消え入るような声で…。
(ここで、私は何と答えればいい? 私は……)
ガタン、と抱き合う彼らとは違う、音が鳴る。
「………ハァハァ…待って下さいよ、皇子。というか…廊下で襲わないで、部屋で思うままに押し倒して下さいよ」
音の正体はエアだった。真顔でさらりとユリアの体温を上昇させることを言ってくれる。
ユリアはただ思う。
何回も交接をやっても慣れることはない―――あの、狂おしいほどの交じり。自分ではなくなるほどの感覚…。
(……もう、ロイド様は『災い』が解けたんだから…もう、あんなに激しくならないだろうけど………て、私…何を期待してるんだろう…)
ぼんやりと、自分が考えていたことが恥ずかしくなった。もう、彼には私の身体なんて必要ないのに―――。
「そうだな、エアの言う通りだ」
「は、ぇ………?」
耳を疑う。
ロイドは嬉しそうに、ユリアを見下ろしていて…そして、ふわりと彼女の体を持ち上げた。前のときとは違う、お姫様だっこというもので。
「ひゃあーーーっ! お、おお降ろしてくださいっ! わたし、私じゃ……ロイド様に釣り合いませんからっっ!」
慌てていて、思わず本音が口を滑る。取り消そうと口を動かそうと思ったけれど、ロイドに口をふさがれた。
「ふっ……んんっ…」
それは、甘くてとろけそう。
やっと、解放されたかと思うと…不機嫌な顔でロイドは言う。
「お前、そんなくだらないことで逃げたのか?」
「………くだらなくなんか、ないです…」
私には重大なのに。
「俺には分からない。俺は求婚したんだぞ? それを、女に逃げられて終わり、なんて情けなさすぎて笑えねーよ!」
「確かに」
エアが苦笑して二人に近づいてきた。
「……大丈夫ですよ、ユリア殿。身分なんてなくても、皇子と結婚できますから」
前とは違う言葉に驚く。
「皇子が王様になって…身分関係なく結婚できるようにしてしまえばいいのです。そしたら、何の問題もなくなるでしょう?」
優しく微笑んで、エアはユリアの頭を撫でた。
「わたくしは、皇子には幸せになってもらいたいんです。できるなら、好きな人と結婚してほしい…けど、そう思うのはわたくしの勝手ですけどね…」
苦しそうに笑うエアを見て、ユリアは心が痛んだ。
「そんなことないです! ……私はバカだから、何が正しいとか間違っているのかなんて分かりません。でも、私もロイド様が幸せであってほしい…。だから、聞きます。ロイド様の幸せって何ですか?」
「そんなの決まってる。ユリア、お前とずっと一緒にいることだ」
泣きたくなった。でも、泣かない…。そのかわりに、ユリアはロイドに抱きつく。告白された返事を返すように…。
「大好き、です……っ」
「バーカ」
ロイドは、ユリアの背中に腕を回して苦笑する。
「……そうだ、エア。今まで騙してたんだろとか言ってごめんな。いつも、俺を支えてたのにな…今だって」
「何をいまさら。わたくしは近衛兵なのだから当たり前でしょう?」
「ああ……でも、一応。疑って悪かったって言いたかったんだ」
「はいはい、わたくしのことはいいですから、早くお部屋でユリア殿と愛を深めてきて下さいよ。見ていてこっちが恥ずかしいですから」
「そうだな、そうするよ」
そして、ロイドはユリアを部屋に持ち帰る。
目の前に閨房(=寝室)を見つけると、するりと入ってゆく。今からやることはただ一つ。男女の交合、それだけだ。
ユリアは体を硬くする。そしたら、ロイドはユリアをベットに押し倒して言った。
「嫌なら逃げろ、俺の理性が少しはあるうちに」
鋭い目がユリアを捉える。
(ずるい……ずるいです…私が逃げたくても、逃げられないようにするなんて―――)
ロイドは、言葉とは裏腹にユリアの手をしっかりと握りしめていた。意識的なのか無意識なのかは分からない。けれど、目は「逃がさない」と言っているようで…。
「………逃げません…もう、逃げたくありません」
自分が逃げたことでロイド様を傷付けてしまったことが分かったから。
「そうか……なら、始めるぞ」
ぎしと、ベットが軋む。二人分の体重と、それが重なるおもみとが合わさってギシギシと鳴り響く。
ユリアは、あっという間にロイドによって下着姿にされ、豊満な胸をじっくりいやらしく揉みほぐされていた。
「あんっ……やっ……」
『災いの皇子』とは違う、優しい刺激。けれども、内に秘めた激しい感情が見え隠れする。
(………我慢…してる…?)
どうして、そんなに苦しそうに……感情を抑えるの?
ユリアは、ロイドの頬に手をそえる。
「我慢、しなくてもいいですよ……?」
「いや、中途半端に理性があると…どうしても、お前が痛がることはしたくないから……少しは優しくしてやる」
今までは激しすぎたからな、と言って笑うロイド。
ユリアはそんな優しいロイドに胸がきゅんとなった。私は大事にされている……それが嬉しくて、思わず抱きついた。
「ちょ、ユリア!? どうした……?」
「嬉しいです…でも、私は、ロイド様が気持ちいいなら激しくても良いですよ?」
「――――ッ、あのな……せっかく俺が我慢してんのに―――俺の本能を煽ってどうする?」
「ひゃ、ぁあっん」
ロイドは、ユリアの股に指を下着の脇から押し込む。足が自然に開いて、ユリアはきゅっと指を締め付けた。上下に指を激しく動かされ甘い声がこぼれる。
「やめて……ぐちゃぐちゃになっちゃうよぉ……」
ユリアの嫌がる言葉を無視し、さらに激しくかきまわす。
「指が、指がたまらない……あああ…はぁんっ」
すると、ユリアは一変して気持ちよさそうに啼く。
ロイドは、スルリと性的興奮を感じる、女性の小突起をクリクリと刺激した。
「あー、だめっ!」
そこは………感じてしまう、すごく……ユリアは熱くなった身体を抑えきれずにただ喘ぐ。
「はぇ……はぁ……はぁああーーーーん!」
ロイドの指の動きだけでユリアは絶頂を迎えた。
「気持ち良かったか、ユリア?」
本当に嬉しそうに笑って訊ねるロイドにユリアは息を整えてから答える。
「き、気持ち良かったです……ごめんなさい、私だけイッてしまって」
上目遣いでそう呟いたら、彼はニヤリと意味ありげに笑って…。
「これで終わったと思うなよ」
「え、あの…………」
やはり、まだまだ彼らの情交は続く、らしい……。
どくん、どくん、と胸が高鳴る。
貴方の言葉で私は心臓がどうにかなってしまいそうで。
好きで好きで、たまらないのに―――顔を見たら、恥ずかしくて何も考えられなかった。そしたら、勝手に足が動いていて…逃げてた。
もう城内は暗くて…光と言えば月明かりくらいで。
「待てよ! 待ってくれ…お願いだからっ!」
必死に私を追いかけてくれるロイド様。それでも、私は逃げた。
大切な人が私のせいで消えないように、私が関わることでロイド様が傷つかなくて済むように―――
私は貴方を影から守れればいい。
好きだけど、考えてみれば…私とロイド様では身分に差がありすぎるから…。
想いが通じあって私は浮かれてそれに気づくことができなかった。
「ごめんなさい…私は勝手です」
ロイド様の子供を産むって約束したのに――――バカだ、本当に私は馬鹿なんだ…。
***
「ユリアッ! ―――男の俺から逃げられると思うなよ!」
「きゃあぁっ」
ユリアは全力で逃げていたはずなのに、すぐにロイドに追いつかれて腕を捕まれ抱き締められた。
「はぁ……はぁ……」
息を弾ませているのはユリアだけ。ユリアは、男と女の体力の違いを思い知らされる。
(……悔しい……騎士団の中でもいつだって、私が一番遅くて…今だって、傭兵でもないロイド様に捕まって―――)
私は惨めだ。
いつだったか…エアさんが言っていたことを思い出す。
平民でも騎士で手柄を立てればそれなりの身分が貰えてロイド様と結婚できる、と言っていたはず。
(私はまだ騎士でもないし…手柄も立てていない…だから、私ではロイド様に相応しくないです…)
ユリアは、ぎゅっと、抱き締めているロイドの腕を振りほどこうとする。
「は、離して下さい……」
「ユリア…………?」
初めての拒絶に、ロイドは戸惑う。彼女の心情を知るはずもないロイドは、彼女が悲しみを押し殺しているということには気が付かなかった。
「何で、何でだよ! 俺はお前が好きで……お前も俺が好きなんじゃないのか……?」
最後の方は消え入るような声で…。
(ここで、私は何と答えればいい? 私は……)
ガタン、と抱き合う彼らとは違う、音が鳴る。
「………ハァハァ…待って下さいよ、皇子。というか…廊下で襲わないで、部屋で思うままに押し倒して下さいよ」
音の正体はエアだった。真顔でさらりとユリアの体温を上昇させることを言ってくれる。
ユリアはただ思う。
何回も交接をやっても慣れることはない―――あの、狂おしいほどの交じり。自分ではなくなるほどの感覚…。
(……もう、ロイド様は『災い』が解けたんだから…もう、あんなに激しくならないだろうけど………て、私…何を期待してるんだろう…)
ぼんやりと、自分が考えていたことが恥ずかしくなった。もう、彼には私の身体なんて必要ないのに―――。
「そうだな、エアの言う通りだ」
「は、ぇ………?」
耳を疑う。
ロイドは嬉しそうに、ユリアを見下ろしていて…そして、ふわりと彼女の体を持ち上げた。前のときとは違う、お姫様だっこというもので。
「ひゃあーーーっ! お、おお降ろしてくださいっ! わたし、私じゃ……ロイド様に釣り合いませんからっっ!」
慌てていて、思わず本音が口を滑る。取り消そうと口を動かそうと思ったけれど、ロイドに口をふさがれた。
「ふっ……んんっ…」
それは、甘くてとろけそう。
やっと、解放されたかと思うと…不機嫌な顔でロイドは言う。
「お前、そんなくだらないことで逃げたのか?」
「………くだらなくなんか、ないです…」
私には重大なのに。
「俺には分からない。俺は求婚したんだぞ? それを、女に逃げられて終わり、なんて情けなさすぎて笑えねーよ!」
「確かに」
エアが苦笑して二人に近づいてきた。
「……大丈夫ですよ、ユリア殿。身分なんてなくても、皇子と結婚できますから」
前とは違う言葉に驚く。
「皇子が王様になって…身分関係なく結婚できるようにしてしまえばいいのです。そしたら、何の問題もなくなるでしょう?」
優しく微笑んで、エアはユリアの頭を撫でた。
「わたくしは、皇子には幸せになってもらいたいんです。できるなら、好きな人と結婚してほしい…けど、そう思うのはわたくしの勝手ですけどね…」
苦しそうに笑うエアを見て、ユリアは心が痛んだ。
「そんなことないです! ……私はバカだから、何が正しいとか間違っているのかなんて分かりません。でも、私もロイド様が幸せであってほしい…。だから、聞きます。ロイド様の幸せって何ですか?」
「そんなの決まってる。ユリア、お前とずっと一緒にいることだ」
泣きたくなった。でも、泣かない…。そのかわりに、ユリアはロイドに抱きつく。告白された返事を返すように…。
「大好き、です……っ」
「バーカ」
ロイドは、ユリアの背中に腕を回して苦笑する。
「……そうだ、エア。今まで騙してたんだろとか言ってごめんな。いつも、俺を支えてたのにな…今だって」
「何をいまさら。わたくしは近衛兵なのだから当たり前でしょう?」
「ああ……でも、一応。疑って悪かったって言いたかったんだ」
「はいはい、わたくしのことはいいですから、早くお部屋でユリア殿と愛を深めてきて下さいよ。見ていてこっちが恥ずかしいですから」
「そうだな、そうするよ」
そして、ロイドはユリアを部屋に持ち帰る。
目の前に閨房(=寝室)を見つけると、するりと入ってゆく。今からやることはただ一つ。男女の交合、それだけだ。
ユリアは体を硬くする。そしたら、ロイドはユリアをベットに押し倒して言った。
「嫌なら逃げろ、俺の理性が少しはあるうちに」
鋭い目がユリアを捉える。
(ずるい……ずるいです…私が逃げたくても、逃げられないようにするなんて―――)
ロイドは、言葉とは裏腹にユリアの手をしっかりと握りしめていた。意識的なのか無意識なのかは分からない。けれど、目は「逃がさない」と言っているようで…。
「………逃げません…もう、逃げたくありません」
自分が逃げたことでロイド様を傷付けてしまったことが分かったから。
「そうか……なら、始めるぞ」
ぎしと、ベットが軋む。二人分の体重と、それが重なるおもみとが合わさってギシギシと鳴り響く。
ユリアは、あっという間にロイドによって下着姿にされ、豊満な胸をじっくりいやらしく揉みほぐされていた。
「あんっ……やっ……」
『災いの皇子』とは違う、優しい刺激。けれども、内に秘めた激しい感情が見え隠れする。
(………我慢…してる…?)
どうして、そんなに苦しそうに……感情を抑えるの?
ユリアは、ロイドの頬に手をそえる。
「我慢、しなくてもいいですよ……?」
「いや、中途半端に理性があると…どうしても、お前が痛がることはしたくないから……少しは優しくしてやる」
今までは激しすぎたからな、と言って笑うロイド。
ユリアはそんな優しいロイドに胸がきゅんとなった。私は大事にされている……それが嬉しくて、思わず抱きついた。
「ちょ、ユリア!? どうした……?」
「嬉しいです…でも、私は、ロイド様が気持ちいいなら激しくても良いですよ?」
「――――ッ、あのな……せっかく俺が我慢してんのに―――俺の本能を煽ってどうする?」
「ひゃ、ぁあっん」
ロイドは、ユリアの股に指を下着の脇から押し込む。足が自然に開いて、ユリアはきゅっと指を締め付けた。上下に指を激しく動かされ甘い声がこぼれる。
「やめて……ぐちゃぐちゃになっちゃうよぉ……」
ユリアの嫌がる言葉を無視し、さらに激しくかきまわす。
「指が、指がたまらない……あああ…はぁんっ」
すると、ユリアは一変して気持ちよさそうに啼く。
ロイドは、スルリと性的興奮を感じる、女性の小突起をクリクリと刺激した。
「あー、だめっ!」
そこは………感じてしまう、すごく……ユリアは熱くなった身体を抑えきれずにただ喘ぐ。
「はぇ……はぁ……はぁああーーーーん!」
ロイドの指の動きだけでユリアは絶頂を迎えた。
「気持ち良かったか、ユリア?」
本当に嬉しそうに笑って訊ねるロイドにユリアは息を整えてから答える。
「き、気持ち良かったです……ごめんなさい、私だけイッてしまって」
上目遣いでそう呟いたら、彼はニヤリと意味ありげに笑って…。
「これで終わったと思うなよ」
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やはり、まだまだ彼らの情交は続く、らしい……。
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