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閑話:それぞれの二人の談話
ふたりの談話 ユリア視点
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私たちが騎士団本部に出発する少し前のこと……私とエアさんの二人での話である。
「エアさん、ロイド様はもう命を狙われませんよね?」
「んー…どうでしょう? これからの貴方たち次第だと思いますよ。」
「…そう、ですか……」
(でも、当分は命の保障はあるよね……?)
エアさんの表情というか今までの言動からして私はそう悟った。
ところで、城にある一角のテラスにて話しをしている。二人っきりで…というのは初めてだから緊張する…。
ロイド様は朝の儀式とかで急いでディアスさんのもとに行ってしまったからいない。儀式とは滝にうたれる、みたいな簡単なものらしい。
災いの子だという皇子を清める意味があるのかだが…ロイド様が言うには気休めにしかならない、のだそうだ。
実際にそうだと私も思う。だって、現にロイド様は力を暴走させてしまっているから…。
私はそこまで考えて、あの行為を思い出してしまい、顔が熱ってしまった。
初めてだったから……よく覚えてないけど…とにかくロイド様にはいろいろ恥ずかしいとこを見られた気がする………いや見られた。
「にしても、見事に食われちゃいましたね?」
「くわれ……?」
エアさんの言っていることはよく分からない。ロイド様には血を吸われたらしいけど…食われてませんよ?
首をかしげて私はエアさんを見つめた。常に笑顔のエアさんがさらに笑っている。
「つまり皇子と交わりをもっちゃった、てことですよ。」
「ば……バレてたんですね」
「ええ、ばっちり。ユリア殿は、騎士だから恋愛をしている暇なんてないなどと言っていたのに……気が変わったんですか? それとも、それほどあの行為が凄かったんですか?」
「……………き、聞かないで下さいっ…そんなこと!」
(どうしてそんな変なコト聞くんですかーっ!)
顔を赤くしてエアさんを睨んでみたけれども…通用せず。しかし、ふと優しく微笑まれた。
「貴方なら皇子を任せられます。」
「え?」
「…実は、わたくしと皇子は幼馴染なんです。小さいときから…遣えておりました。だから…皇子を死なせたくはない、わたくしも…皇子を守りたい…」
「エアさん……大切なんですね、ロイド様のこと」
「はい。幼いときから忠誠を誓っていますから。たとえ、王から皇子の暗殺を命じられても殺す気は全くありませんでしたよ…」
(し、信じられない…だってあの時は本気の目でしたよ?)
私が疑惑の目で見ていたら、エアさんがクスリと笑う。
「貴方がいましたから。ユリア殿が皇子を狙っているのかもしれない、と疑っていたんで小芝居しました。悪かったですね、」
あははーと軽く言われた。そんな理由で私は毒で死にかけたかと思うと恐ろしい。
「………いいです、もう…それより、王族でも貴族でもない…ただの小娘に皇子の命を預けて良いのですか?」
「…いいんですよ。貴方がアナタであれば…わたくしは満足です。」
「…………?」
「好きなんでしょ、皇子を。」
「―――――――っ」
図星をつかれた。私は黙って頷くしかない。
「貴方がアナタのままで皇子を好いてくれるなら、わたくしは皇子の命を預けられる。幸い、皇子には正室はいないし、取らなければならないこともない。」
「…………それは、災いの子、だからですか?」
災いの子は…子孫を残すべからず。そんな決まりでもあるのだろうか…。
「まあ…そんなとこですかね。ただ単に王族では皇子の嫁など軽視されているだけなんですけどね。災いの長子に子などできたら厄介ですし。」
なるほど、だから私はすんなりココにいられるのですね。皇子に正妻などいたらただ事では済まされないと思うし。
私は変な納得をする。
「…だから、ユリア殿は存分に皇子といちゃついていいんですからね。」
「いちゃ……?!」
「それとも、勢いで正妻になっちゃいますか? 平民でも騎士で手柄を立てれば、それなりの身分は貰えますから。皇子と結婚できますよ?」
「け、けっこん………!?」
ありえない言葉に戸惑ってしまう。身分差なんて計り知れないほどあるというのに。年齢だって六歳ほど離れているというのに…結婚なんて恐れ多いことだ。
「ロイド様は…こんな小娘を好きになんてなりませんよ。あの方はお優しいから私を労ってくれますけど…愛は感じてくれないでしょう。それでも、私は側でロイド様を助けられれば充分です。幸せなんです」
「…………素晴らしいほど鈍いんですね。皇子もそうですけど…お互いをもっと観た方がいいですよ?」
「え?」
「騎士団本部で…貴方たちの関係が賛同されるか分かりませんが…」
「え? でも、兄さんは好きにしたらいいって…」
「言葉でそうは言っても実際は違うかもしれない。頑張って下さいよ? 反対されて皇子と引き離されたりでもしたら守れるものも守れませんから。」
「はい。私がロイド様を守ります」
「よろしくお願いします。ユリア殿しか出来ないことですから……」
にこやかに彼らの談話は終わった…。
「エアさん、ロイド様はもう命を狙われませんよね?」
「んー…どうでしょう? これからの貴方たち次第だと思いますよ。」
「…そう、ですか……」
(でも、当分は命の保障はあるよね……?)
エアさんの表情というか今までの言動からして私はそう悟った。
ところで、城にある一角のテラスにて話しをしている。二人っきりで…というのは初めてだから緊張する…。
ロイド様は朝の儀式とかで急いでディアスさんのもとに行ってしまったからいない。儀式とは滝にうたれる、みたいな簡単なものらしい。
災いの子だという皇子を清める意味があるのかだが…ロイド様が言うには気休めにしかならない、のだそうだ。
実際にそうだと私も思う。だって、現にロイド様は力を暴走させてしまっているから…。
私はそこまで考えて、あの行為を思い出してしまい、顔が熱ってしまった。
初めてだったから……よく覚えてないけど…とにかくロイド様にはいろいろ恥ずかしいとこを見られた気がする………いや見られた。
「にしても、見事に食われちゃいましたね?」
「くわれ……?」
エアさんの言っていることはよく分からない。ロイド様には血を吸われたらしいけど…食われてませんよ?
首をかしげて私はエアさんを見つめた。常に笑顔のエアさんがさらに笑っている。
「つまり皇子と交わりをもっちゃった、てことですよ。」
「ば……バレてたんですね」
「ええ、ばっちり。ユリア殿は、騎士だから恋愛をしている暇なんてないなどと言っていたのに……気が変わったんですか? それとも、それほどあの行為が凄かったんですか?」
「……………き、聞かないで下さいっ…そんなこと!」
(どうしてそんな変なコト聞くんですかーっ!)
顔を赤くしてエアさんを睨んでみたけれども…通用せず。しかし、ふと優しく微笑まれた。
「貴方なら皇子を任せられます。」
「え?」
「…実は、わたくしと皇子は幼馴染なんです。小さいときから…遣えておりました。だから…皇子を死なせたくはない、わたくしも…皇子を守りたい…」
「エアさん……大切なんですね、ロイド様のこと」
「はい。幼いときから忠誠を誓っていますから。たとえ、王から皇子の暗殺を命じられても殺す気は全くありませんでしたよ…」
(し、信じられない…だってあの時は本気の目でしたよ?)
私が疑惑の目で見ていたら、エアさんがクスリと笑う。
「貴方がいましたから。ユリア殿が皇子を狙っているのかもしれない、と疑っていたんで小芝居しました。悪かったですね、」
あははーと軽く言われた。そんな理由で私は毒で死にかけたかと思うと恐ろしい。
「………いいです、もう…それより、王族でも貴族でもない…ただの小娘に皇子の命を預けて良いのですか?」
「…いいんですよ。貴方がアナタであれば…わたくしは満足です。」
「…………?」
「好きなんでしょ、皇子を。」
「―――――――っ」
図星をつかれた。私は黙って頷くしかない。
「貴方がアナタのままで皇子を好いてくれるなら、わたくしは皇子の命を預けられる。幸い、皇子には正室はいないし、取らなければならないこともない。」
「…………それは、災いの子、だからですか?」
災いの子は…子孫を残すべからず。そんな決まりでもあるのだろうか…。
「まあ…そんなとこですかね。ただ単に王族では皇子の嫁など軽視されているだけなんですけどね。災いの長子に子などできたら厄介ですし。」
なるほど、だから私はすんなりココにいられるのですね。皇子に正妻などいたらただ事では済まされないと思うし。
私は変な納得をする。
「…だから、ユリア殿は存分に皇子といちゃついていいんですからね。」
「いちゃ……?!」
「それとも、勢いで正妻になっちゃいますか? 平民でも騎士で手柄を立てれば、それなりの身分は貰えますから。皇子と結婚できますよ?」
「け、けっこん………!?」
ありえない言葉に戸惑ってしまう。身分差なんて計り知れないほどあるというのに。年齢だって六歳ほど離れているというのに…結婚なんて恐れ多いことだ。
「ロイド様は…こんな小娘を好きになんてなりませんよ。あの方はお優しいから私を労ってくれますけど…愛は感じてくれないでしょう。それでも、私は側でロイド様を助けられれば充分です。幸せなんです」
「…………素晴らしいほど鈍いんですね。皇子もそうですけど…お互いをもっと観た方がいいですよ?」
「え?」
「騎士団本部で…貴方たちの関係が賛同されるか分かりませんが…」
「え? でも、兄さんは好きにしたらいいって…」
「言葉でそうは言っても実際は違うかもしれない。頑張って下さいよ? 反対されて皇子と引き離されたりでもしたら守れるものも守れませんから。」
「はい。私がロイド様を守ります」
「よろしくお願いします。ユリア殿しか出来ないことですから……」
にこやかに彼らの談話は終わった…。
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