51 / 227
箱庭スローライフ編
第51話 6日目⑦おっさんはスコップで料理する
しおりを挟む
一度拠点に戻って獲物を下ろし、バーベキューの準備を始める。
昨日は拠点内で火を起こして煮炊きをしたが、火起こしの直後はけっこう煙が充満していた。煮炊きだけであれなら、ましてやバーベキューを拠点の中でやろうものなら間違いなく煙と熱で大変なことになるだろう。それで、この機会に拠点の外に料理のための設備を整備することにした。
今後、拠点内はあくまで寝室兼倉庫として使用し、料理と食事は基本的に外でしようと美岬と話し合って決めた。すぐには無理だが、調理場兼食堂スペースにする場所も、雨が降っても大丈夫なようになるべく早く屋根をつけて東屋のような感じにするつもりだ。
作業台や食事用のテーブルや椅子などもいずれは揃えていきたいが、とりあえず今は焼き物や煮物をするためのかまどを作ってバーベキューだ。
溶岩が冷えて固まった火成岩は、冷える過程で柱状や板状に割れることがあり、この現象は柱状節理や板状節理と呼ばれる。俺たちがいるこの箱庭も元は火口であったことから岩場には柱状や板状に砕けた石や岩が多い。
岩場からカマボコ板からレンガぐらいまでのサイズの板状の石を集めてきて、環状に並べ、薪をくべる開口部だけは大きめの石を組んで頑丈に作るが、そこ以外は、環状に並べた石の上に一回り小さな環状に石を積み、その上にさらに一回り小さな環状に石を積み、というのを繰り返し、上に上に積み上げていくことで、下が広く上が狭まった壺のような形のかまどに組み上げる。
この形は燃焼効率が良く、上の狭まった部分に火力が集中するので調理もしやすい。これはメキシコで昔から使われている壺型チムニーに近い。
目地材を使わずにただ石を積んだだけだから使ってみて改善点が見つかればまたバラして組み直せる。
30分ぐらいの作業時間で完成したかまどのサイズは高さ40㌢、土台部の直径45㌢、上部の直径30㌢、上部の開口部の内径20㌢といったかまどとしては小ぶりなものだ。
小ぶりといってもこれの制作を一人で全部やったら1時間かけても到底終わらなかっただろうが、美岬が何度も岩場とここを往復して素材の石を集めてきてくれたから俺は組み上げるのに集中できたのでかなり早く作ることができた。
「ありがとな。美岬が頑張ってくれたから思ってたより早く出来上がった」
「…………」
汗だくになって肩で息をしている美岬がペットボトルの水を飲みながらいい笑顔でサムズアップしてくる。
「ここからは俺のターンだ。メシの準備ができたら呼ぶから、美岬は陰で休憩してていいぞ」
「……あざっす。じゃあちょっとだけクールダウンさせてもらうっす」
崖下の日陰に移動した美岬が砂地にこてんとひっくり返る。そんな美岬を横目に、俺は完成したばかりのかまどの中に薪を組み、ファットウッドとスダジイの細枝を使って火をつけ、後は開口部から風を送り込んで、そこそこ大きな薪に火が燃え移るのを見届ける。ここまでしておけば後は放っておいても燃え続ける。ある程度全体的に火が回って火力が安定するのを待つ間に貝の下拵えを進めていく。
取ってきた獲物のうち、アサリ、赤貝、カサガイ、カメノテは夜に回す。理由はアサリは砂抜きが必要で、それ以外は調理に手間がかかるのですぐに食べるのが難しいからだ。
大きいコッヘルに小石を下から1/3ぐらいまで敷き詰め、その上にアサリを並べ、赤貝、カサガイ、カメノテを適当に入れ、海水をヒタヒタになるぐらいまで入れたら後は日陰で使うまで放置だ。下に小石を敷いておけばアサリが吐いた砂が石の隙間に落ちるので砂抜きが効果的に行える。アサリ以外はただ死なないように水に浸けているだけだ。
ハマグリの下拵えは、ナイフで蝶番を切っておくだけだ。蝶番はプラスチック程度の硬さしかないのでナイフで簡単に切れる。
ハマグリをそのまま焼くと、大抵の場合、火が通って口が開くと同時にひっくり返って旨味たっぷりの貝汁がほとんど溢れてしまうことになる。そうなる原因は、熱が通ることで、殻が開かないように内側で引っ張っている筋肉である貝柱がその力を失って殻から外れ、殻を開こうとする蝶番のバネの力が一気に解放されることによる。
だから先に蝶番を切っておけば焼けても口が急に開いてひっくり返ることはなくなる。焼きハマグリの貝汁を楽しみたいならやっておくべき処理だ。
岩牡蠣は特に下拵えは必要無い。元々の殻に重さがあるから火が通ってもゆっくりと蓋が開くだけでひっくり返ることはない。
あとムラサキイガイ……いわゆるムール貝だが、こいつらは砂こそ噛んでいないが岩にくっつくために何本もの丈夫な糸──足糸を殻の蝶番付近から出している。
この足糸が残っていると食べる時に髪の毛を口に入れてしまったような不快感を感じることになるので調理前にこの足糸を取り除くのがこの貝の下拵えとなる。切ってしまうと足糸の一部が内部に残ってしまうので、抜き取るのが正しい。
殻の尖った方を上に向け、足糸を摘まんで下に向けて引っ張れば抜き取ることができるが、これをやってしまうと貝がすぐに死んでしまうので調理直前にするのがベストだ。
そんな感じで下拵えを終えた頃にはかまどの火も安定していい塩梅になっているので、拠点の中から食器用のコッヘルや軍手を取ってきて、ついでに美岬にも声を掛ける。
「おーい、美岬。そろそろ焼き始めるぞ」
「わーいっ! もうお腹ペコペコっすよ」
むくっと起き上がり、いそいそと近づいてくる美岬。だが、火の燃え盛るかまどを見て首をかしげる。
「ガクさん、このかまどでどうやって焼くんすか? 金網とか無いっすよね?」
「そういう時はこいつの出番だ」
「おおっ! そういう使い方っすか!」
俺がスコップの刃の部分をかまどの上に乗せると美岬が感嘆の声を上げる。
「スコップや鋤の刃を鉄板として野外料理に使うのは実は昔から行われていてな、すき焼きの語源も元々は鋤の刃で料理したからだという説もあるぐらいだ」
「あ、そうなんすね」
「サバイバル用の折り畳みスコップも最初からそういう用途を前提に作られているものも結構あるから、俺もそのつもりで火にかけても問題ないやつを選んでるんだ。……まあ良いものはそれなりに値は張るけどな」
「なるほど。スコップってこういう状況だと無いと困るレベルで大事っすもんね。どうせ持ってなきゃいけないものなら、なるべく高性能なものを選ぶのは納得っす。値段が高いのは……良いものなら当然っすよね」
俺の隣にちょこんと座ってうんうんと頷く美岬。良いツールを揃えることに嫁の理解が得られずに忸怩たる思いをしている諸兄に聞かせてやりたいセリフだな。
やがて、しっかり予熱されたスコップの表面から白い煙が立ち昇り始め、手をかざせば痛いほどの熱さが感じられるようになったので、まずは岩牡蠣2個とその隙間にムラサキイガイ──もうムール貝でいいか、を並べて焼き始める。岩牡蠣が大きすぎるのでハマグリを一緒に焼けるスペースはない。
──ジュウゥ……
濡れたままの貝をスコップに並べた瞬間、蒸気が立ち昇り、海の家でお馴染みの匂いがし始める。
「おー! やっぱこれっすね! この浜焼きの匂いが島育ちにはたまらないっす!」
鉄板焼きは、直火の網焼きに比べると火が通りにくいので、裏技として小さいコッヘルに汲んだ海水を少しスコップに流し込む。
──ジュワッ ボコボコボコ……
一瞬で沸騰した海水と蒸気が一気に貝を加熱していき、まずムール貝が、次いで岩牡蠣の殻の口が開き始める。そのまま水が完全に蒸発するまで待てば焼き上がりだ。
ムール貝はまとめてコッヘルに入れ、岩牡蠣は大きすぎてコッヘルに入らないので軍手をはめた手で持って食べることにする。焼き上がった貝をまずどかし、スコップの空いたスペースに第二陣のハマグリを並べて焼き始める。こうしておけば食べているうちに次のが焼けてくるだろう。
「よし、さっそく食うか」
「わぁい! いただきまぁす!」
左手に軍手を嵌め、右手に小枝の箸を持った美岬がさっそく焼き牡蠣に手を伸ばす。牡蠣の少しだけ開いた口を箸を巧く使ってこじ開けると、白く濁った貝汁から湯気が立ち昇り、生に比べるとかなり縮んでいるがプリプリとした旨そうな身が姿を見せる。
牡蠣の殻に直接口を付けてスープを啜った美岬が恍惚とした表情を浮かべ、次いで箸で摘まんだ牡蠣の身をぱくっと一口で頬張り、熱さでハフハフしながらも満面の笑みで口を動かす。本当に嬉しそうに食べる姿を見ているとこっちまで嬉しくなってしまう。
俺も美岬と同じように牡蠣の殻を開け、まずはスープを啜り、次いで身を食べてみた。スープは適度な塩加減とほのかな甘味と溶け出した牡蠣の旨味が絶妙のバランスで組み合わされ、何も味付けをしていないのに完成された奥深い味わいになっている。そして身は、熱で縮むことで適度な歯応えが生まれ、また味も濃縮されてレバーパテのような滑らかでありながら力強い風味が楽しめた。生でも旨かったが、焼いたものにはまた別の魅力があって甲乙つけがたい。
「……旨いなー」
「……旨いっすねー」
空の牡蠣殻を持ったまま二人揃ってしみじみと呟く。本当に旨いものを食べるとただ「旨い」としか出てこなくなる。まだ焼き牡蠣しか食べていないのにすでに満足度がすごいことになっている。
昨日は拠点内で火を起こして煮炊きをしたが、火起こしの直後はけっこう煙が充満していた。煮炊きだけであれなら、ましてやバーベキューを拠点の中でやろうものなら間違いなく煙と熱で大変なことになるだろう。それで、この機会に拠点の外に料理のための設備を整備することにした。
今後、拠点内はあくまで寝室兼倉庫として使用し、料理と食事は基本的に外でしようと美岬と話し合って決めた。すぐには無理だが、調理場兼食堂スペースにする場所も、雨が降っても大丈夫なようになるべく早く屋根をつけて東屋のような感じにするつもりだ。
作業台や食事用のテーブルや椅子などもいずれは揃えていきたいが、とりあえず今は焼き物や煮物をするためのかまどを作ってバーベキューだ。
溶岩が冷えて固まった火成岩は、冷える過程で柱状や板状に割れることがあり、この現象は柱状節理や板状節理と呼ばれる。俺たちがいるこの箱庭も元は火口であったことから岩場には柱状や板状に砕けた石や岩が多い。
岩場からカマボコ板からレンガぐらいまでのサイズの板状の石を集めてきて、環状に並べ、薪をくべる開口部だけは大きめの石を組んで頑丈に作るが、そこ以外は、環状に並べた石の上に一回り小さな環状に石を積み、その上にさらに一回り小さな環状に石を積み、というのを繰り返し、上に上に積み上げていくことで、下が広く上が狭まった壺のような形のかまどに組み上げる。
この形は燃焼効率が良く、上の狭まった部分に火力が集中するので調理もしやすい。これはメキシコで昔から使われている壺型チムニーに近い。
目地材を使わずにただ石を積んだだけだから使ってみて改善点が見つかればまたバラして組み直せる。
30分ぐらいの作業時間で完成したかまどのサイズは高さ40㌢、土台部の直径45㌢、上部の直径30㌢、上部の開口部の内径20㌢といったかまどとしては小ぶりなものだ。
小ぶりといってもこれの制作を一人で全部やったら1時間かけても到底終わらなかっただろうが、美岬が何度も岩場とここを往復して素材の石を集めてきてくれたから俺は組み上げるのに集中できたのでかなり早く作ることができた。
「ありがとな。美岬が頑張ってくれたから思ってたより早く出来上がった」
「…………」
汗だくになって肩で息をしている美岬がペットボトルの水を飲みながらいい笑顔でサムズアップしてくる。
「ここからは俺のターンだ。メシの準備ができたら呼ぶから、美岬は陰で休憩してていいぞ」
「……あざっす。じゃあちょっとだけクールダウンさせてもらうっす」
崖下の日陰に移動した美岬が砂地にこてんとひっくり返る。そんな美岬を横目に、俺は完成したばかりのかまどの中に薪を組み、ファットウッドとスダジイの細枝を使って火をつけ、後は開口部から風を送り込んで、そこそこ大きな薪に火が燃え移るのを見届ける。ここまでしておけば後は放っておいても燃え続ける。ある程度全体的に火が回って火力が安定するのを待つ間に貝の下拵えを進めていく。
取ってきた獲物のうち、アサリ、赤貝、カサガイ、カメノテは夜に回す。理由はアサリは砂抜きが必要で、それ以外は調理に手間がかかるのですぐに食べるのが難しいからだ。
大きいコッヘルに小石を下から1/3ぐらいまで敷き詰め、その上にアサリを並べ、赤貝、カサガイ、カメノテを適当に入れ、海水をヒタヒタになるぐらいまで入れたら後は日陰で使うまで放置だ。下に小石を敷いておけばアサリが吐いた砂が石の隙間に落ちるので砂抜きが効果的に行える。アサリ以外はただ死なないように水に浸けているだけだ。
ハマグリの下拵えは、ナイフで蝶番を切っておくだけだ。蝶番はプラスチック程度の硬さしかないのでナイフで簡単に切れる。
ハマグリをそのまま焼くと、大抵の場合、火が通って口が開くと同時にひっくり返って旨味たっぷりの貝汁がほとんど溢れてしまうことになる。そうなる原因は、熱が通ることで、殻が開かないように内側で引っ張っている筋肉である貝柱がその力を失って殻から外れ、殻を開こうとする蝶番のバネの力が一気に解放されることによる。
だから先に蝶番を切っておけば焼けても口が急に開いてひっくり返ることはなくなる。焼きハマグリの貝汁を楽しみたいならやっておくべき処理だ。
岩牡蠣は特に下拵えは必要無い。元々の殻に重さがあるから火が通ってもゆっくりと蓋が開くだけでひっくり返ることはない。
あとムラサキイガイ……いわゆるムール貝だが、こいつらは砂こそ噛んでいないが岩にくっつくために何本もの丈夫な糸──足糸を殻の蝶番付近から出している。
この足糸が残っていると食べる時に髪の毛を口に入れてしまったような不快感を感じることになるので調理前にこの足糸を取り除くのがこの貝の下拵えとなる。切ってしまうと足糸の一部が内部に残ってしまうので、抜き取るのが正しい。
殻の尖った方を上に向け、足糸を摘まんで下に向けて引っ張れば抜き取ることができるが、これをやってしまうと貝がすぐに死んでしまうので調理直前にするのがベストだ。
そんな感じで下拵えを終えた頃にはかまどの火も安定していい塩梅になっているので、拠点の中から食器用のコッヘルや軍手を取ってきて、ついでに美岬にも声を掛ける。
「おーい、美岬。そろそろ焼き始めるぞ」
「わーいっ! もうお腹ペコペコっすよ」
むくっと起き上がり、いそいそと近づいてくる美岬。だが、火の燃え盛るかまどを見て首をかしげる。
「ガクさん、このかまどでどうやって焼くんすか? 金網とか無いっすよね?」
「そういう時はこいつの出番だ」
「おおっ! そういう使い方っすか!」
俺がスコップの刃の部分をかまどの上に乗せると美岬が感嘆の声を上げる。
「スコップや鋤の刃を鉄板として野外料理に使うのは実は昔から行われていてな、すき焼きの語源も元々は鋤の刃で料理したからだという説もあるぐらいだ」
「あ、そうなんすね」
「サバイバル用の折り畳みスコップも最初からそういう用途を前提に作られているものも結構あるから、俺もそのつもりで火にかけても問題ないやつを選んでるんだ。……まあ良いものはそれなりに値は張るけどな」
「なるほど。スコップってこういう状況だと無いと困るレベルで大事っすもんね。どうせ持ってなきゃいけないものなら、なるべく高性能なものを選ぶのは納得っす。値段が高いのは……良いものなら当然っすよね」
俺の隣にちょこんと座ってうんうんと頷く美岬。良いツールを揃えることに嫁の理解が得られずに忸怩たる思いをしている諸兄に聞かせてやりたいセリフだな。
やがて、しっかり予熱されたスコップの表面から白い煙が立ち昇り始め、手をかざせば痛いほどの熱さが感じられるようになったので、まずは岩牡蠣2個とその隙間にムラサキイガイ──もうムール貝でいいか、を並べて焼き始める。岩牡蠣が大きすぎるのでハマグリを一緒に焼けるスペースはない。
──ジュウゥ……
濡れたままの貝をスコップに並べた瞬間、蒸気が立ち昇り、海の家でお馴染みの匂いがし始める。
「おー! やっぱこれっすね! この浜焼きの匂いが島育ちにはたまらないっす!」
鉄板焼きは、直火の網焼きに比べると火が通りにくいので、裏技として小さいコッヘルに汲んだ海水を少しスコップに流し込む。
──ジュワッ ボコボコボコ……
一瞬で沸騰した海水と蒸気が一気に貝を加熱していき、まずムール貝が、次いで岩牡蠣の殻の口が開き始める。そのまま水が完全に蒸発するまで待てば焼き上がりだ。
ムール貝はまとめてコッヘルに入れ、岩牡蠣は大きすぎてコッヘルに入らないので軍手をはめた手で持って食べることにする。焼き上がった貝をまずどかし、スコップの空いたスペースに第二陣のハマグリを並べて焼き始める。こうしておけば食べているうちに次のが焼けてくるだろう。
「よし、さっそく食うか」
「わぁい! いただきまぁす!」
左手に軍手を嵌め、右手に小枝の箸を持った美岬がさっそく焼き牡蠣に手を伸ばす。牡蠣の少しだけ開いた口を箸を巧く使ってこじ開けると、白く濁った貝汁から湯気が立ち昇り、生に比べるとかなり縮んでいるがプリプリとした旨そうな身が姿を見せる。
牡蠣の殻に直接口を付けてスープを啜った美岬が恍惚とした表情を浮かべ、次いで箸で摘まんだ牡蠣の身をぱくっと一口で頬張り、熱さでハフハフしながらも満面の笑みで口を動かす。本当に嬉しそうに食べる姿を見ているとこっちまで嬉しくなってしまう。
俺も美岬と同じように牡蠣の殻を開け、まずはスープを啜り、次いで身を食べてみた。スープは適度な塩加減とほのかな甘味と溶け出した牡蠣の旨味が絶妙のバランスで組み合わされ、何も味付けをしていないのに完成された奥深い味わいになっている。そして身は、熱で縮むことで適度な歯応えが生まれ、また味も濃縮されてレバーパテのような滑らかでありながら力強い風味が楽しめた。生でも旨かったが、焼いたものにはまた別の魅力があって甲乙つけがたい。
「……旨いなー」
「……旨いっすねー」
空の牡蠣殻を持ったまま二人揃ってしみじみと呟く。本当に旨いものを食べるとただ「旨い」としか出てこなくなる。まだ焼き牡蠣しか食べていないのにすでに満足度がすごいことになっている。
110
お気に入りに追加
565
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました
夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。
スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。
ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。
驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。
※カクヨムで先行配信をしています。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる