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沈没漂流編
第16話 3日目⑤おっさんはJKに懐かれる
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美岬が船尾の方で着替えている間に、俺は干しているジャーキーの状態をチェックする。
時刻はすでに昼近くなっている。日の出のすぐ後ぐらいから干し始めた魚肉からはすっかり水分が抜けてカチカチになり、内部から滲み出した油分が表面をコーティングして透明感がある綺麗な赤色に仕上がっている。
串に刺さった一枚を抜き取ってみれば、じんわり温かく、完全に形が固まって乾物になっている。鼻を近づけて匂いを嗅いでみても臭みはなく、ただ魚肉独特の匂いが僅かにする程度だ。
手で千切ってみれば、繊維に沿ってきれいに裂ける。内部もしっかりと乾いているようだ。
味見として一切れ口に入れてみれば、強めの塩味とハーブの香りと共に魚肉の旨味が口に中に広がる。この時、塩辛いと感じるぐらいの塩味じゃないと保存には適さないが、これぐらい塩気が強ければ十分だ。この状態になれば常温でも保存出来る。
俺はノートのページを破り、その乾いた紙で完成したジャーキーを数枚ずつ包んでビニール袋に小分けし、空気を抜いて袋の口を結んでいく。こうしておけばジャーキーに残った余分な水分を紙が吸収し、また密封しているので空気中の湿気を吸うこともなくジャーキーは良い状態に保たれる。
「お、ジャーキーもうできたんすか?」
俺の後ろから肩に手をかけて美岬が俺の顔の横から手元を覗きこんでくる。
「…………おう。この状態までなればこのまま生でも食える。ほれ」
俺がさっき千切ったジャーキーの残り半分を肩越しに差し出せば、美岬がそのままパクッと食いついてくる。
「ふぉう、ふぉれふぁなはなは」
「何言ってるか分からんから口から出してしゃべってくれ」
「ふぁい。……これはなかなか味わい深いっすね。正直もっと塩味だけで生っぽいっと思ってたっす」
「それが旨味ってやつだ。魚肉のタンパク質は日光を浴びると旨味成分であるアミノ酸の一種のイノシン酸に変わるからな」
「ほー、これが旨味なんすね。噛み締めるほどに味が出てきて美味しいっす」
「……それはそうといつまで俺の背中に引っ付いているつもりだ?」
何がとは言わないがさっきから背中に二つほど柔らかいものが当たっているのが気になる。
「へへへへ」
美岬が誤魔化すように笑いながら離れていくが、すぐに日傘を開き、俺の背中にもたれるように背中合わせに座りなおす。それはさっきと同じではあるのだが、背中の接触範囲が妙に大きい。
「……なんか、さっきまでと距離感が違わないか?」
「……むぅ、それ言っちゃうとか野暮っすねぇ。……だって、おにーさんはあたしのことを本当に分かってくれたんすよ。あたしのすっごく弱いところを知って、その上であたしを認めてくれたんすよ。どんな時でもあたしの味方になってくれるって言ってくれたんすよ。……そんなん、嬉しすぎるじゃないっすか」
「あー、うん、分かった。だけどあまりにも急に距離感変えられるとこっちも戸惑うのでほどほどで頼む」
「……むぅ、分かったっす。少しずつっすね」
「…………」
なんだかこれ以上何か言ったらやぶ蛇になりそうなので俺は黙って竹串からジャーキーを回収して紙で包む作業を続けるのだった。
ジャーキーをすべて片付け終わり、干すのに使っていたトライポッドを片付けようとしたところで美岬から待ったがかかる。
「あ、さっき脱いだ下着なんすけど、洗って干すのにそのトライポッドを使いたいんすけどいいっすか?」
「おう。もちろんいいぞ。この竹串を物干し竿がわりに使えば乾きやすいだろ」
「……ちなみに、洗うための石鹸的な物って持ってないっすよね?」
「ないなー。俺は普段の旅の時は洗い物には焚き火の灰を使うからな」
「はい? 灰って木を燃やして残るあの灰っすか?」
「ああ。灰は強アルカリだからそれを溶かした水は皮脂汚れとかを落とせる洗剤の代わりになるんだ」
「へぇー。……えと、じゃあ紙を燃やした灰も使えたりします?」
「使えるけど、教科書を燃やす気か?」
「いや、さすがにそれはないっすけど、読み終わったラノベがあるっすから。水で濡れてページが引っ付いちゃってるんでいいかな、と」
「ああ。そういうことか。それなら大コッヘルの中でちょっと燃やして灰を作ってみるか」
「あいあい」
美岬がスポーツバッグから半乾きの文庫本を取り出す。タイトルは『大海賊時代より……美少女船長の生・配・信! ─West India Company─』……最近のラノベはタイトル長いな。海賊っぽい出で立ちの赤毛の美少女と帆船が描かれている表紙からして海賊アクションものかな?
そんな感想を抱いているうちに美岬が遠慮なくページをベリベリと破って大コッヘルに入れていく。
「これぐらいでいいっすか?」
「ああ。十分だ」
まだ濡れているので、消毒用兼燃料として持っているポーランド製の高度数ウォッカ『スピリタス』を一振り掛けてからライターで火をつける。すまんな、美少女船長。
──ボワッ
一瞬で炎が燃え上がり、火の中で紙のページが徐々に形を崩していく。海水に含まれるナトリウム由来のオレンジの炎やインクに含まれる銅由来の緑色の炎が入れ替わりながら燃えていき、やがて燃え尽きて灰が僅かに残る。
そこに海水を足して灰の混ざった塩水を作る。
「よし、見た目は泥水だけど洗浄力は十分あるからこれに汚れた衣類を漬け込んで揉み洗いすれば皮脂汚れは溶け出すぞ。その後、海水で濯いで灰を流せばきれいになる」
「了解っす。さっそくやってみるっす」
美岬が下着を大コッヘルに漬け込んで揉み洗いを始める。
「うわぁ~。めっちゃ汚いっす。なんか茶色くなってきたんすけど。我ながらドン引きっす」
「うん。そういう報告はいらんからな」
やがて海水で濯いで綺麗になった洗濯物を竹串を物干し竿のように使って通し、トライポッドに引っ掛けて干せば、海風に煽られてシンプルなデザインのショーツとスポーツブラがパタパタと旗めき始める。
遠くに入道雲が見える青空と陽射しを反射して輝く海と風に揺れる洗濯物。これだけ見れば平和な光景なんだけどな。
【作者コメント】
タンパク質はそのままではあまり旨味はありませんが、分解されてアミノ酸になることで旨味が感じられるようになります。素材によって旨味となるアミノ酸の種類は変わります。魚からはイノシン酸、昆布からはグルタミン酸、干し椎茸からはグアニール酸、貝からはコハク酸といった具合です。
そして、旨味成分は異なる種類を混ぜると旨味が何倍にもなります。1+1=2ではなく1+1=3になるような感じです。なので、旨味を重視する和食では昔から複数の出汁を混ぜるのが基本です。この複数の旨味成分を混ぜることでより美味しくなる現象を『相乗効果』と言います。料理する時に意識するとグッと美味しくなりますよ。
時刻はすでに昼近くなっている。日の出のすぐ後ぐらいから干し始めた魚肉からはすっかり水分が抜けてカチカチになり、内部から滲み出した油分が表面をコーティングして透明感がある綺麗な赤色に仕上がっている。
串に刺さった一枚を抜き取ってみれば、じんわり温かく、完全に形が固まって乾物になっている。鼻を近づけて匂いを嗅いでみても臭みはなく、ただ魚肉独特の匂いが僅かにする程度だ。
手で千切ってみれば、繊維に沿ってきれいに裂ける。内部もしっかりと乾いているようだ。
味見として一切れ口に入れてみれば、強めの塩味とハーブの香りと共に魚肉の旨味が口に中に広がる。この時、塩辛いと感じるぐらいの塩味じゃないと保存には適さないが、これぐらい塩気が強ければ十分だ。この状態になれば常温でも保存出来る。
俺はノートのページを破り、その乾いた紙で完成したジャーキーを数枚ずつ包んでビニール袋に小分けし、空気を抜いて袋の口を結んでいく。こうしておけばジャーキーに残った余分な水分を紙が吸収し、また密封しているので空気中の湿気を吸うこともなくジャーキーは良い状態に保たれる。
「お、ジャーキーもうできたんすか?」
俺の後ろから肩に手をかけて美岬が俺の顔の横から手元を覗きこんでくる。
「…………おう。この状態までなればこのまま生でも食える。ほれ」
俺がさっき千切ったジャーキーの残り半分を肩越しに差し出せば、美岬がそのままパクッと食いついてくる。
「ふぉう、ふぉれふぁなはなは」
「何言ってるか分からんから口から出してしゃべってくれ」
「ふぁい。……これはなかなか味わい深いっすね。正直もっと塩味だけで生っぽいっと思ってたっす」
「それが旨味ってやつだ。魚肉のタンパク質は日光を浴びると旨味成分であるアミノ酸の一種のイノシン酸に変わるからな」
「ほー、これが旨味なんすね。噛み締めるほどに味が出てきて美味しいっす」
「……それはそうといつまで俺の背中に引っ付いているつもりだ?」
何がとは言わないがさっきから背中に二つほど柔らかいものが当たっているのが気になる。
「へへへへ」
美岬が誤魔化すように笑いながら離れていくが、すぐに日傘を開き、俺の背中にもたれるように背中合わせに座りなおす。それはさっきと同じではあるのだが、背中の接触範囲が妙に大きい。
「……なんか、さっきまでと距離感が違わないか?」
「……むぅ、それ言っちゃうとか野暮っすねぇ。……だって、おにーさんはあたしのことを本当に分かってくれたんすよ。あたしのすっごく弱いところを知って、その上であたしを認めてくれたんすよ。どんな時でもあたしの味方になってくれるって言ってくれたんすよ。……そんなん、嬉しすぎるじゃないっすか」
「あー、うん、分かった。だけどあまりにも急に距離感変えられるとこっちも戸惑うのでほどほどで頼む」
「……むぅ、分かったっす。少しずつっすね」
「…………」
なんだかこれ以上何か言ったらやぶ蛇になりそうなので俺は黙って竹串からジャーキーを回収して紙で包む作業を続けるのだった。
ジャーキーをすべて片付け終わり、干すのに使っていたトライポッドを片付けようとしたところで美岬から待ったがかかる。
「あ、さっき脱いだ下着なんすけど、洗って干すのにそのトライポッドを使いたいんすけどいいっすか?」
「おう。もちろんいいぞ。この竹串を物干し竿がわりに使えば乾きやすいだろ」
「……ちなみに、洗うための石鹸的な物って持ってないっすよね?」
「ないなー。俺は普段の旅の時は洗い物には焚き火の灰を使うからな」
「はい? 灰って木を燃やして残るあの灰っすか?」
「ああ。灰は強アルカリだからそれを溶かした水は皮脂汚れとかを落とせる洗剤の代わりになるんだ」
「へぇー。……えと、じゃあ紙を燃やした灰も使えたりします?」
「使えるけど、教科書を燃やす気か?」
「いや、さすがにそれはないっすけど、読み終わったラノベがあるっすから。水で濡れてページが引っ付いちゃってるんでいいかな、と」
「ああ。そういうことか。それなら大コッヘルの中でちょっと燃やして灰を作ってみるか」
「あいあい」
美岬がスポーツバッグから半乾きの文庫本を取り出す。タイトルは『大海賊時代より……美少女船長の生・配・信! ─West India Company─』……最近のラノベはタイトル長いな。海賊っぽい出で立ちの赤毛の美少女と帆船が描かれている表紙からして海賊アクションものかな?
そんな感想を抱いているうちに美岬が遠慮なくページをベリベリと破って大コッヘルに入れていく。
「これぐらいでいいっすか?」
「ああ。十分だ」
まだ濡れているので、消毒用兼燃料として持っているポーランド製の高度数ウォッカ『スピリタス』を一振り掛けてからライターで火をつける。すまんな、美少女船長。
──ボワッ
一瞬で炎が燃え上がり、火の中で紙のページが徐々に形を崩していく。海水に含まれるナトリウム由来のオレンジの炎やインクに含まれる銅由来の緑色の炎が入れ替わりながら燃えていき、やがて燃え尽きて灰が僅かに残る。
そこに海水を足して灰の混ざった塩水を作る。
「よし、見た目は泥水だけど洗浄力は十分あるからこれに汚れた衣類を漬け込んで揉み洗いすれば皮脂汚れは溶け出すぞ。その後、海水で濯いで灰を流せばきれいになる」
「了解っす。さっそくやってみるっす」
美岬が下着を大コッヘルに漬け込んで揉み洗いを始める。
「うわぁ~。めっちゃ汚いっす。なんか茶色くなってきたんすけど。我ながらドン引きっす」
「うん。そういう報告はいらんからな」
やがて海水で濯いで綺麗になった洗濯物を竹串を物干し竿のように使って通し、トライポッドに引っ掛けて干せば、海風に煽られてシンプルなデザインのショーツとスポーツブラがパタパタと旗めき始める。
遠くに入道雲が見える青空と陽射しを反射して輝く海と風に揺れる洗濯物。これだけ見れば平和な光景なんだけどな。
【作者コメント】
タンパク質はそのままではあまり旨味はありませんが、分解されてアミノ酸になることで旨味が感じられるようになります。素材によって旨味となるアミノ酸の種類は変わります。魚からはイノシン酸、昆布からはグルタミン酸、干し椎茸からはグアニール酸、貝からはコハク酸といった具合です。
そして、旨味成分は異なる種類を混ぜると旨味が何倍にもなります。1+1=2ではなく1+1=3になるような感じです。なので、旨味を重視する和食では昔から複数の出汁を混ぜるのが基本です。この複数の旨味成分を混ぜることでより美味しくなる現象を『相乗効果』と言います。料理する時に意識するとグッと美味しくなりますよ。
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