9 / 227
沈没漂流編
第9話 2日目⑥おっさんはナイフをちらつかせながらJKにイジワルをする
しおりを挟む
干していた衣類を片付け、手が空いてからは俺と美岬で交互に釣竿を握り、ルアーを水中で踊らせたりして魚にアピールしてみたが一向に釣れないので、さらに魚へのアピール力を上げるために拾ったサンドイッチに挟まっていた酸っぱい臭いのハムを細く切ってルアーの針に追加で刺してみたりと工夫してみる。
そして日が暮れて薄暗くなってきた頃──魚がよく釣れるいわゆるマズメ時に突然、美岬が握っていた竿がグイッと大きくしなった。
「っしゃあ! きたっすよ!」
美岬が竿を振り上げてフッキング。上手く針が魚の口に引っ掛かったようで、魚が右に左にと激しく走るが針が外れる様子はない。
この元気に走り回る感じからして青物っぽいな。
「美岬ちゃんはそのまま弱るまで無理せず走らせて、相手が弱った頃に引き寄せてくれ。俺は糸が絡まないようにプランクトン採取器を筏に引き上げるから」
「了解っす! お任せられ!」
おまかせられ? 変わった言い回しだけど島の方言かな。そう思いながらも海中に漂わせていたプランクトン採取器を引き上げる。
美岬は竿を両手でしっかり握ったまま、筏の周りをぐるぐる逃げ回る魚が弱るまで辛抱強く待ち続け、徐々に筏の近くに寄せてくる。
糸が3㍍ちょっとしかないこともあり、すぐ近くで魚影が暴れるのが見える。ぱっと見、40~50㌢ぐらいの銀色の魚だ。
「いいサイズだ。美岬ちゃん、そのままいけそうか?」
「やっ、ちょっと暴れまくってるんでもうちょっと待ってほしいっす。でも、最初に比べると弱ってきたっすよ」
「分かった。しんどかったら交代するからな」
「あいあいっ!」
美岬と魚のバトルはもうしばらく続いたが、魚が弱った隙に美岬が一気に竿を振り上げて海面から顔を出させ、空気を吸わせたところで急に抵抗が弱まる。
俺が両手に軍手をはいて、筏に腹這いになって待ち受けているところに美岬が魚を寄せてきたので、開いた口と尻尾の付け根を掴んで一気に魚を筏の上に引き上げる。
当然ビッタンバッタンと大暴れするが鞘から抜いたサバイバルナイフで頭の付け根付近に切り込みを入れて頸動脈を切ることで決着がつく。
ビクンとなって抵抗が弱まった魚をさっき拾ったばかりのクーラーボックスに海水と一緒に入れる。エラ蓋から流れ出した血がたちまち海水を真っ赤に染める。活け〆成功だ。
釣れた魚はおおよそ50㌢で重さは2㎏程度だろう。良いサイズだ。
「やったー! 捕ったどー!」
「おう! やったな!」
俺と美岬はハイタッチを交わす。
「これ、カツオっすか? ちょっと模様が違う気もするっすけど」
美岬が首を傾げる。確かに形はカツオによく似ている。だが店に並ぶカツオよりも胴回りが太く、模様もカツオ独特の腹部の渦巻き模様はなく、胴体に黒い輪をいくつもはめたような縞模様が入っている。
「島育ちの美岬ちゃんでも知らなかったか。まあ割りとマニアックな魚ではあるからな。これはヨコワだな。クロマグロの仔マグロだ」
「おぉ! マジっすか! クロマグロなんて超高級魚じゃないっすか!」
「あー、言っとくけどクロマグロの仔マグロは、味は全く別の魚だからな?」
「え? そうなんすか?」
「こいつはサイズ的には普通のカツオと同じぐらいだが、ぶっちゃけこのサイズならカツオの方が脂が乗ってて市場価値は高い。ヨコワは脂っけがほとんどない淡泊な味の魚なんだ」
「マジっすか? だってクロマグロっすよ? トロっすよ?」
「うん。魚ってのはその種の平均的なサイズに成長するまでは身にあまり脂が乗らないからな。こいつがクロマグロと呼ばれずにあくまでヨコワと呼ばれてるのもまぁそういうことだ」
「あー、つまりまだクロマグロと呼ばれるには値しないってことっすか」
「そういうことだ。それでもクロマグロには及ばずともあっさりしてて旨い魚だしこれはこれで俺はけっこう好きだぞ。ましてや釣ってその場で活け〆にした考えうる限り最高の鮮度だ。旨いに決まってる」
そんな会話をしながらも、俺はクーラーボックス内の赤く染まった海水を捨てて新しい海水を満たし、ヨコワの血抜きと冷却を進めていた。釣り上げる際に暴れた魚は自らの体温で身に熱が通ってたんぱく質が変質し、いわゆる身焼けという状態になりやすく、身が太いマグロの類は特にそれが顕著だ。
身焼けしたマグロは不味い上にすぐに腐る。江戸時代においてマグロが猫すら跨いで通るというネコマタギと呼ばれて雑魚扱いされていたのもその身焼けが原因だ。
「それで、このヨコワはどうするんすか?」
さっきからしきりに腹を鳴らしている美岬につい意地悪したくなる。
「もう暗いし明日だな」
「そ、そんなぁ!?」
「なんて冗談だ。LEDライトもあるからもうちょっと冷ましたら捌いて食わせてやるからもうちょっと待ってな」
「……うう、おにーさんがイジワルっす」
そして、ヨコワの身が十分に冷えるのを待って水から引き上げ、美岬にLEDライト内蔵型のモバイルバッテリーを持たせ、クーラーボックスをまな板の代わりに使ってサバイバルナイフで捌いていく。
まず頭を外して内臓を抜く。ついさっきまで泳いでいたやつの新鮮な内臓だから捨てずに取っておく。
頭と内臓を抜いたいわゆるドレスという状態になったヨコワをまず3枚卸しにして、その身の部分を背身と腹身に切り分けて5枚卸しにする。
「おぉ、さすがプロっすね。あっという間に節になったっす」
「本当はこの一番良い節は全部刺身にしたい所だが冷蔵手段がないからな。これから食べる分以外は保存食に加工だな」
「仕方ないっすよね。でも今日は刺身が食べれるんすね? めっちゃ楽しみっす!」
「今日は傷みやすい内臓を優先して食べるから刺身は一節分だけな」
「了解っす。内臓はどうやって食べるっすか?」
「すぐ食える内臓は心臓と肝臓ってとこだな。竹の枝に刺してバーナーで炙って串焼きだな。それ以外は加工に回そう」
首の付け根辺りにある直径5㌢ぐらいの心臓を二つに割り、中に残った血を海水で洗い流して竹の枝を尖らせた串に刺し、内臓の中で一番大きな肝臓は、癒着している胆嚢を破らないように丁寧に外して海水で洗い、輪切りにして串に刺していく。見た感じ寄生虫はいないようだ。
それ以外の内臓は消化器系になるので処理を後回しにする。
4本の節のうち、腹身の1本を選び、皮を剥いで骨を取り除き、刺身にしてコッヘルの皿に盛っていく。リュックから取り出した愛用のシングルバーナー、スウェーデン・オプティマス社製の『ハイカープラス』の火を着けて、2本の竹串に刺した内臓を軽めに炙って軽く塩を振る。
「よし、じゃあ残りの処理は一旦後回しにして先に食うか」
「わーい! 待ってました! でも醤油が無いのが残念っすね」
「あるぞ、醤油」
「おぅふっ! マジっすか」
醤油、塩、胡椒、カレー粉、ハーブソルト、オリーブオイルは少量ずつではあるが調味料として携行している。コンビニで売ってる50ccのミニボトルだが持っていれば野外料理の幅が広がるので重宝している。実際に今回もこの通り役に立った。
「ほれ。そのまま手掴みでいっちまえ」
「いっただきまーすっ!」
刺身に醤油に一垂らし掛け、そのまま手掴みで一切れ摘まんで口に運ぶ。脂の少ない赤身は味そのものが濃い。醤油の香りと塩味が刺身の甘味と混じり合ってなんとも言えない絶妙の味のハーモニーを奏でる。
「……うん、旨い!」
美岬はと見れば、目を閉じてこれ以上ないぐらい幸せそうな表情で咀嚼していた。ゴクリと喉を鳴らし、ほぅっと息を吐く。
「ほわぁ……。美味しい魚は食べ慣れてるつもりだったっすけど、これは格別っす」
「そうだな。これ以上ないぐらい新鮮だし、この空腹感も相まってもはや暴力的ですらあるな」
続いて串焼きを手に取る。外側を軽く炙っただけなので串焼きというよりタタキに近いがこうすればビタミンを熱で破壊することなく摂取出来るのだ。正直、あまり味は期待していなかったが……。
「うわっ!? なんすかこの串焼き! めっちゃ旨いっすよ!」
と歓声を上げる美岬。確かに期待以上に旨い。
ハツは魚肉とは思えないぐらいコリコリとした歯応えがあり、それでいて生臭さも全く無く、適度な塩味が肉の旨味をしっかりと際立たせている。対するレバーはとにかく味が濃くて柔らかい。血の味は多少あるものの十分に血抜きがされているので気になるほどではないし、何より新鮮なのでいやな臭みもなく食べやすい。
魚の内臓は基本的に生で食べるものではないので俺自身食べるのは初めてだが、こんなに旨いとは知らなかった。もちろん、これは釣りたて〆たての新鮮な物に限るだろうが。
【作者コメント】
スウェーデンのオプティマス社のシングルバーナー『ハイカー+』は弁当箱のような小ささで収まり、ホワイトガソリンだけでなく、灯油、軽油、ジェット燃料などあらゆる石油系燃料が使えるマルチ燃料バーナーで、その信頼性でNATO軍にも採用されています。……欲しいなぁ
魚の内臓、特に消化器系は時間が経つと自己消化でドロドロに溶けてくるので、新鮮でなければこういう食べ方はできませんが、新鮮な魚の胃袋や腸はグリグリとした歯応えが美味しいので、チャンスがあれば是非お試しください。肝臓は、ある程度以上の大きさの魚(長く生きた個体)になるとビタミンAが蓄積しすぎて人体に有害になっている場合があるので注意が必要です。ヨコワはそこそこの大きさはあるとはいえ幼魚なので大丈夫だろうという判断です。成魚のマグロはやめた方がいいでしょう。
コンビニで売っている50ccのミニボトル醤油はちょっとしたアウトドア用に持っておくと便利ですよ。開封しなければかなり長く保ちますし、醤油があるだけで料理の幅が広がります。
ガチのサバイバル用にストックしておく調味料だと、岩塩、ホールの胡椒、氷砂糖、蜂蜜なんかが長期保存が可能かつ汎用性も高いのでオススメです。蜂蜜は怪我した時の軟膏にもなります。
そして日が暮れて薄暗くなってきた頃──魚がよく釣れるいわゆるマズメ時に突然、美岬が握っていた竿がグイッと大きくしなった。
「っしゃあ! きたっすよ!」
美岬が竿を振り上げてフッキング。上手く針が魚の口に引っ掛かったようで、魚が右に左にと激しく走るが針が外れる様子はない。
この元気に走り回る感じからして青物っぽいな。
「美岬ちゃんはそのまま弱るまで無理せず走らせて、相手が弱った頃に引き寄せてくれ。俺は糸が絡まないようにプランクトン採取器を筏に引き上げるから」
「了解っす! お任せられ!」
おまかせられ? 変わった言い回しだけど島の方言かな。そう思いながらも海中に漂わせていたプランクトン採取器を引き上げる。
美岬は竿を両手でしっかり握ったまま、筏の周りをぐるぐる逃げ回る魚が弱るまで辛抱強く待ち続け、徐々に筏の近くに寄せてくる。
糸が3㍍ちょっとしかないこともあり、すぐ近くで魚影が暴れるのが見える。ぱっと見、40~50㌢ぐらいの銀色の魚だ。
「いいサイズだ。美岬ちゃん、そのままいけそうか?」
「やっ、ちょっと暴れまくってるんでもうちょっと待ってほしいっす。でも、最初に比べると弱ってきたっすよ」
「分かった。しんどかったら交代するからな」
「あいあいっ!」
美岬と魚のバトルはもうしばらく続いたが、魚が弱った隙に美岬が一気に竿を振り上げて海面から顔を出させ、空気を吸わせたところで急に抵抗が弱まる。
俺が両手に軍手をはいて、筏に腹這いになって待ち受けているところに美岬が魚を寄せてきたので、開いた口と尻尾の付け根を掴んで一気に魚を筏の上に引き上げる。
当然ビッタンバッタンと大暴れするが鞘から抜いたサバイバルナイフで頭の付け根付近に切り込みを入れて頸動脈を切ることで決着がつく。
ビクンとなって抵抗が弱まった魚をさっき拾ったばかりのクーラーボックスに海水と一緒に入れる。エラ蓋から流れ出した血がたちまち海水を真っ赤に染める。活け〆成功だ。
釣れた魚はおおよそ50㌢で重さは2㎏程度だろう。良いサイズだ。
「やったー! 捕ったどー!」
「おう! やったな!」
俺と美岬はハイタッチを交わす。
「これ、カツオっすか? ちょっと模様が違う気もするっすけど」
美岬が首を傾げる。確かに形はカツオによく似ている。だが店に並ぶカツオよりも胴回りが太く、模様もカツオ独特の腹部の渦巻き模様はなく、胴体に黒い輪をいくつもはめたような縞模様が入っている。
「島育ちの美岬ちゃんでも知らなかったか。まあ割りとマニアックな魚ではあるからな。これはヨコワだな。クロマグロの仔マグロだ」
「おぉ! マジっすか! クロマグロなんて超高級魚じゃないっすか!」
「あー、言っとくけどクロマグロの仔マグロは、味は全く別の魚だからな?」
「え? そうなんすか?」
「こいつはサイズ的には普通のカツオと同じぐらいだが、ぶっちゃけこのサイズならカツオの方が脂が乗ってて市場価値は高い。ヨコワは脂っけがほとんどない淡泊な味の魚なんだ」
「マジっすか? だってクロマグロっすよ? トロっすよ?」
「うん。魚ってのはその種の平均的なサイズに成長するまでは身にあまり脂が乗らないからな。こいつがクロマグロと呼ばれずにあくまでヨコワと呼ばれてるのもまぁそういうことだ」
「あー、つまりまだクロマグロと呼ばれるには値しないってことっすか」
「そういうことだ。それでもクロマグロには及ばずともあっさりしてて旨い魚だしこれはこれで俺はけっこう好きだぞ。ましてや釣ってその場で活け〆にした考えうる限り最高の鮮度だ。旨いに決まってる」
そんな会話をしながらも、俺はクーラーボックス内の赤く染まった海水を捨てて新しい海水を満たし、ヨコワの血抜きと冷却を進めていた。釣り上げる際に暴れた魚は自らの体温で身に熱が通ってたんぱく質が変質し、いわゆる身焼けという状態になりやすく、身が太いマグロの類は特にそれが顕著だ。
身焼けしたマグロは不味い上にすぐに腐る。江戸時代においてマグロが猫すら跨いで通るというネコマタギと呼ばれて雑魚扱いされていたのもその身焼けが原因だ。
「それで、このヨコワはどうするんすか?」
さっきからしきりに腹を鳴らしている美岬につい意地悪したくなる。
「もう暗いし明日だな」
「そ、そんなぁ!?」
「なんて冗談だ。LEDライトもあるからもうちょっと冷ましたら捌いて食わせてやるからもうちょっと待ってな」
「……うう、おにーさんがイジワルっす」
そして、ヨコワの身が十分に冷えるのを待って水から引き上げ、美岬にLEDライト内蔵型のモバイルバッテリーを持たせ、クーラーボックスをまな板の代わりに使ってサバイバルナイフで捌いていく。
まず頭を外して内臓を抜く。ついさっきまで泳いでいたやつの新鮮な内臓だから捨てずに取っておく。
頭と内臓を抜いたいわゆるドレスという状態になったヨコワをまず3枚卸しにして、その身の部分を背身と腹身に切り分けて5枚卸しにする。
「おぉ、さすがプロっすね。あっという間に節になったっす」
「本当はこの一番良い節は全部刺身にしたい所だが冷蔵手段がないからな。これから食べる分以外は保存食に加工だな」
「仕方ないっすよね。でも今日は刺身が食べれるんすね? めっちゃ楽しみっす!」
「今日は傷みやすい内臓を優先して食べるから刺身は一節分だけな」
「了解っす。内臓はどうやって食べるっすか?」
「すぐ食える内臓は心臓と肝臓ってとこだな。竹の枝に刺してバーナーで炙って串焼きだな。それ以外は加工に回そう」
首の付け根辺りにある直径5㌢ぐらいの心臓を二つに割り、中に残った血を海水で洗い流して竹の枝を尖らせた串に刺し、内臓の中で一番大きな肝臓は、癒着している胆嚢を破らないように丁寧に外して海水で洗い、輪切りにして串に刺していく。見た感じ寄生虫はいないようだ。
それ以外の内臓は消化器系になるので処理を後回しにする。
4本の節のうち、腹身の1本を選び、皮を剥いで骨を取り除き、刺身にしてコッヘルの皿に盛っていく。リュックから取り出した愛用のシングルバーナー、スウェーデン・オプティマス社製の『ハイカープラス』の火を着けて、2本の竹串に刺した内臓を軽めに炙って軽く塩を振る。
「よし、じゃあ残りの処理は一旦後回しにして先に食うか」
「わーい! 待ってました! でも醤油が無いのが残念っすね」
「あるぞ、醤油」
「おぅふっ! マジっすか」
醤油、塩、胡椒、カレー粉、ハーブソルト、オリーブオイルは少量ずつではあるが調味料として携行している。コンビニで売ってる50ccのミニボトルだが持っていれば野外料理の幅が広がるので重宝している。実際に今回もこの通り役に立った。
「ほれ。そのまま手掴みでいっちまえ」
「いっただきまーすっ!」
刺身に醤油に一垂らし掛け、そのまま手掴みで一切れ摘まんで口に運ぶ。脂の少ない赤身は味そのものが濃い。醤油の香りと塩味が刺身の甘味と混じり合ってなんとも言えない絶妙の味のハーモニーを奏でる。
「……うん、旨い!」
美岬はと見れば、目を閉じてこれ以上ないぐらい幸せそうな表情で咀嚼していた。ゴクリと喉を鳴らし、ほぅっと息を吐く。
「ほわぁ……。美味しい魚は食べ慣れてるつもりだったっすけど、これは格別っす」
「そうだな。これ以上ないぐらい新鮮だし、この空腹感も相まってもはや暴力的ですらあるな」
続いて串焼きを手に取る。外側を軽く炙っただけなので串焼きというよりタタキに近いがこうすればビタミンを熱で破壊することなく摂取出来るのだ。正直、あまり味は期待していなかったが……。
「うわっ!? なんすかこの串焼き! めっちゃ旨いっすよ!」
と歓声を上げる美岬。確かに期待以上に旨い。
ハツは魚肉とは思えないぐらいコリコリとした歯応えがあり、それでいて生臭さも全く無く、適度な塩味が肉の旨味をしっかりと際立たせている。対するレバーはとにかく味が濃くて柔らかい。血の味は多少あるものの十分に血抜きがされているので気になるほどではないし、何より新鮮なのでいやな臭みもなく食べやすい。
魚の内臓は基本的に生で食べるものではないので俺自身食べるのは初めてだが、こんなに旨いとは知らなかった。もちろん、これは釣りたて〆たての新鮮な物に限るだろうが。
【作者コメント】
スウェーデンのオプティマス社のシングルバーナー『ハイカー+』は弁当箱のような小ささで収まり、ホワイトガソリンだけでなく、灯油、軽油、ジェット燃料などあらゆる石油系燃料が使えるマルチ燃料バーナーで、その信頼性でNATO軍にも採用されています。……欲しいなぁ
魚の内臓、特に消化器系は時間が経つと自己消化でドロドロに溶けてくるので、新鮮でなければこういう食べ方はできませんが、新鮮な魚の胃袋や腸はグリグリとした歯応えが美味しいので、チャンスがあれば是非お試しください。肝臓は、ある程度以上の大きさの魚(長く生きた個体)になるとビタミンAが蓄積しすぎて人体に有害になっている場合があるので注意が必要です。ヨコワはそこそこの大きさはあるとはいえ幼魚なので大丈夫だろうという判断です。成魚のマグロはやめた方がいいでしょう。
コンビニで売っている50ccのミニボトル醤油はちょっとしたアウトドア用に持っておくと便利ですよ。開封しなければかなり長く保ちますし、醤油があるだけで料理の幅が広がります。
ガチのサバイバル用にストックしておく調味料だと、岩塩、ホールの胡椒、氷砂糖、蜂蜜なんかが長期保存が可能かつ汎用性も高いのでオススメです。蜂蜜は怪我した時の軟膏にもなります。
132
お気に入りに追加
565
あなたにおすすめの小説
天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜
八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。
第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。
大和型三隻は沈没した……、と思われた。
だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。
大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。
祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。
※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています!
面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※
※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…
小桃
ファンタジー
商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。
1.最強になれる種族
2.無限収納
3.変幻自在
4.並列思考
5.スキルコピー
5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!
七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」
その天使の言葉は善意からなのか?
異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか?
そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。
ただし、その扱いが難しいものだった。
転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。
基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。
○○○「これは私とのラブストーリーなの!」
主人公「いや、それは違うな」
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる