9 / 227
沈没漂流編
第9話 2日目⑥おっさんはナイフをちらつかせながらJKにイジワルをする
しおりを挟む
干していた衣類を片付け、手が空いてからは俺と美岬で交互に釣竿を握り、ルアーを水中で踊らせたりして魚にアピールしてみたが一向に釣れないので、さらに魚へのアピール力を上げるために拾ったサンドイッチに挟まっていた酸っぱい臭いのハムを細く切ってルアーの針に追加で刺してみたりと工夫してみる。
そして日が暮れて薄暗くなってきた頃──魚がよく釣れるいわゆるマズメ時に突然、美岬が握っていた竿がグイッと大きくしなった。
「っしゃあ! きたっすよ!」
美岬が竿を振り上げてフッキング。上手く針が魚の口に引っ掛かったようで、魚が右に左にと激しく走るが針が外れる様子はない。
この元気に走り回る感じからして青物っぽいな。
「美岬ちゃんはそのまま弱るまで無理せず走らせて、相手が弱った頃に引き寄せてくれ。俺は糸が絡まないようにプランクトン採取器を筏に引き上げるから」
「了解っす! お任せられ!」
おまかせられ? 変わった言い回しだけど島の方言かな。そう思いながらも海中に漂わせていたプランクトン採取器を引き上げる。
美岬は竿を両手でしっかり握ったまま、筏の周りをぐるぐる逃げ回る魚が弱るまで辛抱強く待ち続け、徐々に筏の近くに寄せてくる。
糸が3㍍ちょっとしかないこともあり、すぐ近くで魚影が暴れるのが見える。ぱっと見、40~50㌢ぐらいの銀色の魚だ。
「いいサイズだ。美岬ちゃん、そのままいけそうか?」
「やっ、ちょっと暴れまくってるんでもうちょっと待ってほしいっす。でも、最初に比べると弱ってきたっすよ」
「分かった。しんどかったら交代するからな」
「あいあいっ!」
美岬と魚のバトルはもうしばらく続いたが、魚が弱った隙に美岬が一気に竿を振り上げて海面から顔を出させ、空気を吸わせたところで急に抵抗が弱まる。
俺が両手に軍手をはいて、筏に腹這いになって待ち受けているところに美岬が魚を寄せてきたので、開いた口と尻尾の付け根を掴んで一気に魚を筏の上に引き上げる。
当然ビッタンバッタンと大暴れするが鞘から抜いたサバイバルナイフで頭の付け根付近に切り込みを入れて頸動脈を切ることで決着がつく。
ビクンとなって抵抗が弱まった魚をさっき拾ったばかりのクーラーボックスに海水と一緒に入れる。エラ蓋から流れ出した血がたちまち海水を真っ赤に染める。活け〆成功だ。
釣れた魚はおおよそ50㌢で重さは2㎏程度だろう。良いサイズだ。
「やったー! 捕ったどー!」
「おう! やったな!」
俺と美岬はハイタッチを交わす。
「これ、カツオっすか? ちょっと模様が違う気もするっすけど」
美岬が首を傾げる。確かに形はカツオによく似ている。だが店に並ぶカツオよりも胴回りが太く、模様もカツオ独特の腹部の渦巻き模様はなく、胴体に黒い輪をいくつもはめたような縞模様が入っている。
「島育ちの美岬ちゃんでも知らなかったか。まあ割りとマニアックな魚ではあるからな。これはヨコワだな。クロマグロの仔マグロだ」
「おぉ! マジっすか! クロマグロなんて超高級魚じゃないっすか!」
「あー、言っとくけどクロマグロの仔マグロは、味は全く別の魚だからな?」
「え? そうなんすか?」
「こいつはサイズ的には普通のカツオと同じぐらいだが、ぶっちゃけこのサイズならカツオの方が脂が乗ってて市場価値は高い。ヨコワは脂っけがほとんどない淡泊な味の魚なんだ」
「マジっすか? だってクロマグロっすよ? トロっすよ?」
「うん。魚ってのはその種の平均的なサイズに成長するまでは身にあまり脂が乗らないからな。こいつがクロマグロと呼ばれずにあくまでヨコワと呼ばれてるのもまぁそういうことだ」
「あー、つまりまだクロマグロと呼ばれるには値しないってことっすか」
「そういうことだ。それでもクロマグロには及ばずともあっさりしてて旨い魚だしこれはこれで俺はけっこう好きだぞ。ましてや釣ってその場で活け〆にした考えうる限り最高の鮮度だ。旨いに決まってる」
そんな会話をしながらも、俺はクーラーボックス内の赤く染まった海水を捨てて新しい海水を満たし、ヨコワの血抜きと冷却を進めていた。釣り上げる際に暴れた魚は自らの体温で身に熱が通ってたんぱく質が変質し、いわゆる身焼けという状態になりやすく、身が太いマグロの類は特にそれが顕著だ。
身焼けしたマグロは不味い上にすぐに腐る。江戸時代においてマグロが猫すら跨いで通るというネコマタギと呼ばれて雑魚扱いされていたのもその身焼けが原因だ。
「それで、このヨコワはどうするんすか?」
さっきからしきりに腹を鳴らしている美岬につい意地悪したくなる。
「もう暗いし明日だな」
「そ、そんなぁ!?」
「なんて冗談だ。LEDライトもあるからもうちょっと冷ましたら捌いて食わせてやるからもうちょっと待ってな」
「……うう、おにーさんがイジワルっす」
そして、ヨコワの身が十分に冷えるのを待って水から引き上げ、美岬にLEDライト内蔵型のモバイルバッテリーを持たせ、クーラーボックスをまな板の代わりに使ってサバイバルナイフで捌いていく。
まず頭を外して内臓を抜く。ついさっきまで泳いでいたやつの新鮮な内臓だから捨てずに取っておく。
頭と内臓を抜いたいわゆるドレスという状態になったヨコワをまず3枚卸しにして、その身の部分を背身と腹身に切り分けて5枚卸しにする。
「おぉ、さすがプロっすね。あっという間に節になったっす」
「本当はこの一番良い節は全部刺身にしたい所だが冷蔵手段がないからな。これから食べる分以外は保存食に加工だな」
「仕方ないっすよね。でも今日は刺身が食べれるんすね? めっちゃ楽しみっす!」
「今日は傷みやすい内臓を優先して食べるから刺身は一節分だけな」
「了解っす。内臓はどうやって食べるっすか?」
「すぐ食える内臓は心臓と肝臓ってとこだな。竹の枝に刺してバーナーで炙って串焼きだな。それ以外は加工に回そう」
首の付け根辺りにある直径5㌢ぐらいの心臓を二つに割り、中に残った血を海水で洗い流して竹の枝を尖らせた串に刺し、内臓の中で一番大きな肝臓は、癒着している胆嚢を破らないように丁寧に外して海水で洗い、輪切りにして串に刺していく。見た感じ寄生虫はいないようだ。
それ以外の内臓は消化器系になるので処理を後回しにする。
4本の節のうち、腹身の1本を選び、皮を剥いで骨を取り除き、刺身にしてコッヘルの皿に盛っていく。リュックから取り出した愛用のシングルバーナー、スウェーデン・オプティマス社製の『ハイカープラス』の火を着けて、2本の竹串に刺した内臓を軽めに炙って軽く塩を振る。
「よし、じゃあ残りの処理は一旦後回しにして先に食うか」
「わーい! 待ってました! でも醤油が無いのが残念っすね」
「あるぞ、醤油」
「おぅふっ! マジっすか」
醤油、塩、胡椒、カレー粉、ハーブソルト、オリーブオイルは少量ずつではあるが調味料として携行している。コンビニで売ってる50ccのミニボトルだが持っていれば野外料理の幅が広がるので重宝している。実際に今回もこの通り役に立った。
「ほれ。そのまま手掴みでいっちまえ」
「いっただきまーすっ!」
刺身に醤油に一垂らし掛け、そのまま手掴みで一切れ摘まんで口に運ぶ。脂の少ない赤身は味そのものが濃い。醤油の香りと塩味が刺身の甘味と混じり合ってなんとも言えない絶妙の味のハーモニーを奏でる。
「……うん、旨い!」
美岬はと見れば、目を閉じてこれ以上ないぐらい幸せそうな表情で咀嚼していた。ゴクリと喉を鳴らし、ほぅっと息を吐く。
「ほわぁ……。美味しい魚は食べ慣れてるつもりだったっすけど、これは格別っす」
「そうだな。これ以上ないぐらい新鮮だし、この空腹感も相まってもはや暴力的ですらあるな」
続いて串焼きを手に取る。外側を軽く炙っただけなので串焼きというよりタタキに近いがこうすればビタミンを熱で破壊することなく摂取出来るのだ。正直、あまり味は期待していなかったが……。
「うわっ!? なんすかこの串焼き! めっちゃ旨いっすよ!」
と歓声を上げる美岬。確かに期待以上に旨い。
ハツは魚肉とは思えないぐらいコリコリとした歯応えがあり、それでいて生臭さも全く無く、適度な塩味が肉の旨味をしっかりと際立たせている。対するレバーはとにかく味が濃くて柔らかい。血の味は多少あるものの十分に血抜きがされているので気になるほどではないし、何より新鮮なのでいやな臭みもなく食べやすい。
魚の内臓は基本的に生で食べるものではないので俺自身食べるのは初めてだが、こんなに旨いとは知らなかった。もちろん、これは釣りたて〆たての新鮮な物に限るだろうが。
【作者コメント】
スウェーデンのオプティマス社のシングルバーナー『ハイカー+』は弁当箱のような小ささで収まり、ホワイトガソリンだけでなく、灯油、軽油、ジェット燃料などあらゆる石油系燃料が使えるマルチ燃料バーナーで、その信頼性でNATO軍にも採用されています。……欲しいなぁ
魚の内臓、特に消化器系は時間が経つと自己消化でドロドロに溶けてくるので、新鮮でなければこういう食べ方はできませんが、新鮮な魚の胃袋や腸はグリグリとした歯応えが美味しいので、チャンスがあれば是非お試しください。肝臓は、ある程度以上の大きさの魚(長く生きた個体)になるとビタミンAが蓄積しすぎて人体に有害になっている場合があるので注意が必要です。ヨコワはそこそこの大きさはあるとはいえ幼魚なので大丈夫だろうという判断です。成魚のマグロはやめた方がいいでしょう。
コンビニで売っている50ccのミニボトル醤油はちょっとしたアウトドア用に持っておくと便利ですよ。開封しなければかなり長く保ちますし、醤油があるだけで料理の幅が広がります。
ガチのサバイバル用にストックしておく調味料だと、岩塩、ホールの胡椒、氷砂糖、蜂蜜なんかが長期保存が可能かつ汎用性も高いのでオススメです。蜂蜜は怪我した時の軟膏にもなります。
そして日が暮れて薄暗くなってきた頃──魚がよく釣れるいわゆるマズメ時に突然、美岬が握っていた竿がグイッと大きくしなった。
「っしゃあ! きたっすよ!」
美岬が竿を振り上げてフッキング。上手く針が魚の口に引っ掛かったようで、魚が右に左にと激しく走るが針が外れる様子はない。
この元気に走り回る感じからして青物っぽいな。
「美岬ちゃんはそのまま弱るまで無理せず走らせて、相手が弱った頃に引き寄せてくれ。俺は糸が絡まないようにプランクトン採取器を筏に引き上げるから」
「了解っす! お任せられ!」
おまかせられ? 変わった言い回しだけど島の方言かな。そう思いながらも海中に漂わせていたプランクトン採取器を引き上げる。
美岬は竿を両手でしっかり握ったまま、筏の周りをぐるぐる逃げ回る魚が弱るまで辛抱強く待ち続け、徐々に筏の近くに寄せてくる。
糸が3㍍ちょっとしかないこともあり、すぐ近くで魚影が暴れるのが見える。ぱっと見、40~50㌢ぐらいの銀色の魚だ。
「いいサイズだ。美岬ちゃん、そのままいけそうか?」
「やっ、ちょっと暴れまくってるんでもうちょっと待ってほしいっす。でも、最初に比べると弱ってきたっすよ」
「分かった。しんどかったら交代するからな」
「あいあいっ!」
美岬と魚のバトルはもうしばらく続いたが、魚が弱った隙に美岬が一気に竿を振り上げて海面から顔を出させ、空気を吸わせたところで急に抵抗が弱まる。
俺が両手に軍手をはいて、筏に腹這いになって待ち受けているところに美岬が魚を寄せてきたので、開いた口と尻尾の付け根を掴んで一気に魚を筏の上に引き上げる。
当然ビッタンバッタンと大暴れするが鞘から抜いたサバイバルナイフで頭の付け根付近に切り込みを入れて頸動脈を切ることで決着がつく。
ビクンとなって抵抗が弱まった魚をさっき拾ったばかりのクーラーボックスに海水と一緒に入れる。エラ蓋から流れ出した血がたちまち海水を真っ赤に染める。活け〆成功だ。
釣れた魚はおおよそ50㌢で重さは2㎏程度だろう。良いサイズだ。
「やったー! 捕ったどー!」
「おう! やったな!」
俺と美岬はハイタッチを交わす。
「これ、カツオっすか? ちょっと模様が違う気もするっすけど」
美岬が首を傾げる。確かに形はカツオによく似ている。だが店に並ぶカツオよりも胴回りが太く、模様もカツオ独特の腹部の渦巻き模様はなく、胴体に黒い輪をいくつもはめたような縞模様が入っている。
「島育ちの美岬ちゃんでも知らなかったか。まあ割りとマニアックな魚ではあるからな。これはヨコワだな。クロマグロの仔マグロだ」
「おぉ! マジっすか! クロマグロなんて超高級魚じゃないっすか!」
「あー、言っとくけどクロマグロの仔マグロは、味は全く別の魚だからな?」
「え? そうなんすか?」
「こいつはサイズ的には普通のカツオと同じぐらいだが、ぶっちゃけこのサイズならカツオの方が脂が乗ってて市場価値は高い。ヨコワは脂っけがほとんどない淡泊な味の魚なんだ」
「マジっすか? だってクロマグロっすよ? トロっすよ?」
「うん。魚ってのはその種の平均的なサイズに成長するまでは身にあまり脂が乗らないからな。こいつがクロマグロと呼ばれずにあくまでヨコワと呼ばれてるのもまぁそういうことだ」
「あー、つまりまだクロマグロと呼ばれるには値しないってことっすか」
「そういうことだ。それでもクロマグロには及ばずともあっさりしてて旨い魚だしこれはこれで俺はけっこう好きだぞ。ましてや釣ってその場で活け〆にした考えうる限り最高の鮮度だ。旨いに決まってる」
そんな会話をしながらも、俺はクーラーボックス内の赤く染まった海水を捨てて新しい海水を満たし、ヨコワの血抜きと冷却を進めていた。釣り上げる際に暴れた魚は自らの体温で身に熱が通ってたんぱく質が変質し、いわゆる身焼けという状態になりやすく、身が太いマグロの類は特にそれが顕著だ。
身焼けしたマグロは不味い上にすぐに腐る。江戸時代においてマグロが猫すら跨いで通るというネコマタギと呼ばれて雑魚扱いされていたのもその身焼けが原因だ。
「それで、このヨコワはどうするんすか?」
さっきからしきりに腹を鳴らしている美岬につい意地悪したくなる。
「もう暗いし明日だな」
「そ、そんなぁ!?」
「なんて冗談だ。LEDライトもあるからもうちょっと冷ましたら捌いて食わせてやるからもうちょっと待ってな」
「……うう、おにーさんがイジワルっす」
そして、ヨコワの身が十分に冷えるのを待って水から引き上げ、美岬にLEDライト内蔵型のモバイルバッテリーを持たせ、クーラーボックスをまな板の代わりに使ってサバイバルナイフで捌いていく。
まず頭を外して内臓を抜く。ついさっきまで泳いでいたやつの新鮮な内臓だから捨てずに取っておく。
頭と内臓を抜いたいわゆるドレスという状態になったヨコワをまず3枚卸しにして、その身の部分を背身と腹身に切り分けて5枚卸しにする。
「おぉ、さすがプロっすね。あっという間に節になったっす」
「本当はこの一番良い節は全部刺身にしたい所だが冷蔵手段がないからな。これから食べる分以外は保存食に加工だな」
「仕方ないっすよね。でも今日は刺身が食べれるんすね? めっちゃ楽しみっす!」
「今日は傷みやすい内臓を優先して食べるから刺身は一節分だけな」
「了解っす。内臓はどうやって食べるっすか?」
「すぐ食える内臓は心臓と肝臓ってとこだな。竹の枝に刺してバーナーで炙って串焼きだな。それ以外は加工に回そう」
首の付け根辺りにある直径5㌢ぐらいの心臓を二つに割り、中に残った血を海水で洗い流して竹の枝を尖らせた串に刺し、内臓の中で一番大きな肝臓は、癒着している胆嚢を破らないように丁寧に外して海水で洗い、輪切りにして串に刺していく。見た感じ寄生虫はいないようだ。
それ以外の内臓は消化器系になるので処理を後回しにする。
4本の節のうち、腹身の1本を選び、皮を剥いで骨を取り除き、刺身にしてコッヘルの皿に盛っていく。リュックから取り出した愛用のシングルバーナー、スウェーデン・オプティマス社製の『ハイカープラス』の火を着けて、2本の竹串に刺した内臓を軽めに炙って軽く塩を振る。
「よし、じゃあ残りの処理は一旦後回しにして先に食うか」
「わーい! 待ってました! でも醤油が無いのが残念っすね」
「あるぞ、醤油」
「おぅふっ! マジっすか」
醤油、塩、胡椒、カレー粉、ハーブソルト、オリーブオイルは少量ずつではあるが調味料として携行している。コンビニで売ってる50ccのミニボトルだが持っていれば野外料理の幅が広がるので重宝している。実際に今回もこの通り役に立った。
「ほれ。そのまま手掴みでいっちまえ」
「いっただきまーすっ!」
刺身に醤油に一垂らし掛け、そのまま手掴みで一切れ摘まんで口に運ぶ。脂の少ない赤身は味そのものが濃い。醤油の香りと塩味が刺身の甘味と混じり合ってなんとも言えない絶妙の味のハーモニーを奏でる。
「……うん、旨い!」
美岬はと見れば、目を閉じてこれ以上ないぐらい幸せそうな表情で咀嚼していた。ゴクリと喉を鳴らし、ほぅっと息を吐く。
「ほわぁ……。美味しい魚は食べ慣れてるつもりだったっすけど、これは格別っす」
「そうだな。これ以上ないぐらい新鮮だし、この空腹感も相まってもはや暴力的ですらあるな」
続いて串焼きを手に取る。外側を軽く炙っただけなので串焼きというよりタタキに近いがこうすればビタミンを熱で破壊することなく摂取出来るのだ。正直、あまり味は期待していなかったが……。
「うわっ!? なんすかこの串焼き! めっちゃ旨いっすよ!」
と歓声を上げる美岬。確かに期待以上に旨い。
ハツは魚肉とは思えないぐらいコリコリとした歯応えがあり、それでいて生臭さも全く無く、適度な塩味が肉の旨味をしっかりと際立たせている。対するレバーはとにかく味が濃くて柔らかい。血の味は多少あるものの十分に血抜きがされているので気になるほどではないし、何より新鮮なのでいやな臭みもなく食べやすい。
魚の内臓は基本的に生で食べるものではないので俺自身食べるのは初めてだが、こんなに旨いとは知らなかった。もちろん、これは釣りたて〆たての新鮮な物に限るだろうが。
【作者コメント】
スウェーデンのオプティマス社のシングルバーナー『ハイカー+』は弁当箱のような小ささで収まり、ホワイトガソリンだけでなく、灯油、軽油、ジェット燃料などあらゆる石油系燃料が使えるマルチ燃料バーナーで、その信頼性でNATO軍にも採用されています。……欲しいなぁ
魚の内臓、特に消化器系は時間が経つと自己消化でドロドロに溶けてくるので、新鮮でなければこういう食べ方はできませんが、新鮮な魚の胃袋や腸はグリグリとした歯応えが美味しいので、チャンスがあれば是非お試しください。肝臓は、ある程度以上の大きさの魚(長く生きた個体)になるとビタミンAが蓄積しすぎて人体に有害になっている場合があるので注意が必要です。ヨコワはそこそこの大きさはあるとはいえ幼魚なので大丈夫だろうという判断です。成魚のマグロはやめた方がいいでしょう。
コンビニで売っている50ccのミニボトル醤油はちょっとしたアウトドア用に持っておくと便利ですよ。開封しなければかなり長く保ちますし、醤油があるだけで料理の幅が広がります。
ガチのサバイバル用にストックしておく調味料だと、岩塩、ホールの胡椒、氷砂糖、蜂蜜なんかが長期保存が可能かつ汎用性も高いのでオススメです。蜂蜜は怪我した時の軟膏にもなります。
132
お気に入りに追加
565
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました
夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。
スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。
ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。
驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。
※カクヨムで先行配信をしています。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる