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その童貞は返却不可につき

第5話 side.八重

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 帰り道、勇気を出して握った手は振り解かれることはなかった。そのことに安堵と興奮を覚えた八重の足は迷いなく自宅に向かい、もどかしく開けた扉が自重で閉じた瞬間に澪の唇に噛み付いていた。

「澪、あぁこうしたかった」
「ん、八重くん、待っ……」

 待たずに合わせた唇から舌を差し込む。ぴちゃぺちゃと水音を立てて澪の口内を蹂躙し、じゅるんと柔らかい舌を唾液ごと吸い上げる。互いのバッグが肩から滑り落ちて床を鳴らしても止められない。両手で澪の丸い頬を包んで上から覆い被さるようにするキスは彼女の丸ごとを奪う征服感を与えてくれる。

「おいで」

 しばらく続いた口づけで脱力した澪の腰に手を回してリビングに向かう。ソファに深く身体を預けた彼女の顎を掴み、色っぽく開いた唇をついばみ味わう。空いた手でコートのボタンを外すと澪が背中を浮かせてコートから腕を抜き、ハイネックニットに浮かぶ柔らかな身体のラインを披露した。

「この服おっぱい強調しすぎ……」
「……そんなことないよ」
「そんなことある。男なら絶対見るよ」

 カフェで真横から見下ろしていた豊かな膨らみにずっと触りたくて仕方なかった。帰宅途中から疼き始めていた股間はすっかり硬くなっている。しかし八重はデニムパンツの前を隆起させたまま、澪の胸にそっと掌を置く。

「あっ……」

 ゆっくり力を込めて押し潰すとニットの編み目が歪んで胸の輪郭を更にはっきりとさせる。八重の手によって形を変える乳房がいやらしい。

「あーもうだめだっ」

 早く中身が見たい。性急な手つきでニットとその下のキャミソールを首元まで捲り上げると真っ白なブラジャーがたゆんと揺れる胸を支えていた。

「えっろ……」

 着衣をしたままで露出させた胸元がひどく卑猥に見える。ソファにもたれたまま瞳を閉じて顔を背けている澪の様子が一層の背徳感を掻き立てて八重を胸元に引き寄せた。

「えっ、や、なに?」

 ブラジャーに覆われていない柔肌をじゅっと吸い上げる。びくりと震える澪の二の腕をしっかり掴んで離さず、もう一度同じ場所に吸い付いた。

(うわ、まじで付いた)

 小さくインクを垂らしたような曖昧な形に肌が赤らんでいる。八重だけが澪に付けることを許された特別な証。八重が澪の身体を暴いたことの証でもある。
 ムラムラと湧き上がる独占欲が八重の動きを加速させる。ブラジャーのカップ部分を下にずらして乳房を露出させると、その頂を口に含んだ。

「きゃっ、んんっ」
「澪の乳首、どうして甘いの」
「あっ、そんなわけないっ、あぁ……」
「甘いよ、全部甘い」

 舌を伸ばして乳首を押し込めると反発するようにピンと硬くなる。それが嬉しくて舐めしゃぶれば甘美に喘いで益々八重の下半身に血流を送り込む。
 指先でピンクの突起を摘まんでこねると澪が絶え間なく悶えるので執拗に責め立てた。

「これ、気持ちいいの?」
「あっあっ、やだ、あん、あっ……」
「おっぱい突き出しちゃって可愛い」
「はぁはぁ、あん、八重くんっ……」

 責め苦から逃れようと身動ぎするため、ワイヤーに押し上げられた乳房がふるふると揺れて逆に誘われているようだ。八重は唇での愛撫を続けながら眼下に視線を落とす。黒ストッキングの太腿がもじもじと内股にくねっていて、途端に触りたくなった。

「んぅっ!」

 キュロットパンツの裾から片手を差し込み、内腿を撫でさすってみた。ストッキングの滑らかな感触を楽しみながら時折きゅっと揉み込むと澪の背中が仰け反る。その拍子に唇から乳首が逃げるのでまた追い掛けて吸い付いた。

「やぁ、八重くんっ、胸もういやっ……」
「ん、わかった」

 赤く色付いた頂に満足したのでソファから降りて床に跪き、逸る手で澪のキュロットパンツの前をくつろげた。震える腰を上げてくれたので手早く脱がせる。小さな膝を割り開いてその間に陣取った八重は感嘆の声を漏らした。

「え、うわ……」

 艶やかな光沢を帯びた黒ストッキングの下で彼女の秘所を覆い隠す純白のショーツ。その白と黒のコントラストが澪の柔肌を淫靡に飾り立てている。

「やば、普段からこんなえっろい格好してるの?」
「別にやらしくなんか……」
「だって、これ……」

 漫画雑誌の巻頭グラビアにこんな着エロが掲載されているけれど、一般人でもあり得る装いだなんて。もっと間近で見たい欲求が抑えきれず、澪の膝裏をぐいと押し上げて無理矢理M字開脚にさせる。

「ちょっ、やだ八重くん!」

 非難の声が頭上に降るが、構わずに秘部に顔を寄せた。柔軟剤の匂いに紛れて女性特有の甘酸っぱい香りがクロッチ部分のシミから漂っている。

「もう濡れてる……」

 嬉しさが込み上げて気付けばストッキングに爪を立てていた。

「あっ、こら、破いちゃだめっ……あっあぁっ!」

 ぷつんと穴の空いたストッキングは左右に引っ張るといとも簡単に破れた。その隙間から差し込んだ指でショーツのクロッチを横にずらして澪の陰部を露わにする。しっとりと愛液で潤んだ割れ目に舌を這わせると澪が切なく啼いた。

「あっ、はぁ、やだっ! そんなとこ、あんっ、舐めないで」

 しかし八重は甘美な味を知ってしまった。ぬるぬると秘所を濡らす蜜を舐め取ることに夢中でがむしゃらに舌を動かす。その度に澪の腰が震えて可愛く喘ぐ。

「クリが硬くなってる」
「あっあん、はぁ、ああっ!」

 ぶくりと熟れた芽を舌先でれろれろと転がしながら膣の入り口を左右に広げる。愛液を滴らせてうねるピンク色の襞を掻き分けて指を一本差し入れると、熱くぬめった膣壁にぎゅっと締め付けられた。

「んうっ!」
「はぁ、中もとろとろ……澪のまんこ、すごく欲しがってるのがわかる」

 クリトリスをちゅぱちゅぱと吸い上げ、同時に指を抜き差しする。ぶるぶると太腿を震わせる澪に気を良くした八重は指を二本、三本と増やして膣内を擦り上げる。ぐちゅぐちゅと愛液の混ざる音が激しさを増すと澪の膣も締め付けを強めて、とうとう限界を迎えた。

「あっあっ、や、八重くんっ、あっはぁ……も、だめっ、んんっ」
「いきそう?」
「んっ、いく、もう無理っ!」
「いいよ、いって」
「あっはっあんっ、あっ……やっ、いくっ……!」

 澪の腰が大きく弾んでびくんびくんと前後に揺れた。何かを搾り取ろうとするかのように膣内が蠕動して指を締め付ける。荒い呼吸で胸を上下させる澪は真っ赤な顔で脱力していて、そこはかとない色気を放っている。もう八重も我慢の限界だった。
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