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8章.神々の黄昏編
134話.気に入らない
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「どういうことだ……?」
クロムは自分の攻撃がメテオライトをすり抜けたことが不思議でならなかった。
なぜなら、ルームの力を使うことによって<並列世界間での事象改変の法則>を完全に自分のコントロール下に置き、それによってこの世界の森羅万象を操ることが可能となっているはずだからである。
そして、沈黙を続けるメテオライトが放つ青白い光は、そんなクロムをあざ笑うかのごとく勢いを増し続けていた。
「くっ……
なぜ攻撃が当たらなかったのかわからないが、グズグズはしていられないな」
自分が困惑している間にも刻一刻と平行世界が数を減らしていっていることを感知したクロムは、メテオライトの愚行を止めるべく様々なことを試みることにした。
まず手始めとして先ほど通用しなかった白い球を再度放つ。
結果は予想通りであり、白い球はメテオライトに被弾することなく、すり抜けて飛び去って行った。
続いてクロムは自身が使える魔術を一つづつ試していく。
得意の氷魔術から始まり、土魔術に火魔術……、さらにはオリジナルの属性である雷属性の魔術も……
様々な属性の様々な種類の魔術を使い続けた。
しかし結果は白い球の時と同じく、すべてがメテオライトをすり抜けるのみであった。
「ちっ……
避けているとか効かないとかそういう次元じゃねーな、これ……
ありとあらゆることがあいつに干渉できない、そんな感じだな」
クロムは苦虫を食い潰したような表情をしながら、そう呟いた。
そうであるとしか思えないのだが、それを実現させるためには別の次元に自分を存在させるしかない。
しかし、クロムは平行世界が一つづつ消え去っていくことを感じるのみであり、新しい平行世界が産み出されることを一切感じれてはいないのであった。
「ただ、俺が感知できていない…… だけなのか?」
クロムは打つ手が何も思いつかない上に、目の前で起きていることが理解できないという現実にただ困惑することしかできなかった。
『何をしても無駄であるということにそろそろ気が付いたようじゃな』
ここまで終始沈黙を貫いてきたメテオライトが口を開いた。
『そのまま自分の無力を嘆きつつ、滅びの時を待つがよい』
「ふざけんな!
そもそもちょっと自分の思い通りにならなかったからって世界ごとぶっ壊すとかどういう思考回路してんだよ!!」
『別に大したことではあるまい、壊れたおもちゃを破棄するだけじゃぞ。
自分でコントロールできなくなったおもちゃなど、壊れたおもちゃ以外の何物でもない』
「!!
この世界はお前のおもちゃじゃないぞ!!」
『我が気まぐれに創り、我の暇つぶしの遊びに使った世界。
これがおもちゃでないとするなら、何になるのじゃ?』
「どういう経緯で創られた世界にせよ、今は膨大な数の命が生活している世界だ!
お前の気分でどうこうしていいものではない!」
『他の世界から気まぐれに転生しただけの存在であるお前がまさかそのようなことを言うとはな』
「多くの人たちと関わりながら、旅をしてきたからな。
この世界に愛着も思い入れもあるさ、だからお前のその横暴を許すことはできない」
『何をどう吠えるかはお前の好きにすれば良い。
だが、我に一切の干渉ができないお前は無力じゃ
そのまま無力を嘆きつつ消え去るのじゃな、我を本気で不快にさせた報いとしてな』
為す術がないクロムであったが、メテオライトの主張は一切受け入れることができない。
そんなクロムに一つの可能性が思い浮かぶ。
――この世界を創る前からメテオライトは存在していた。
ならば、その時はどこにいた?
そして、今のメテオライトはその時いた場所に存在している?
その場所を知らない俺にはその場所を知覚できないし干渉もできない……??
クロムは自分の攻撃がメテオライトをすり抜けたことが不思議でならなかった。
なぜなら、ルームの力を使うことによって<並列世界間での事象改変の法則>を完全に自分のコントロール下に置き、それによってこの世界の森羅万象を操ることが可能となっているはずだからである。
そして、沈黙を続けるメテオライトが放つ青白い光は、そんなクロムをあざ笑うかのごとく勢いを増し続けていた。
「くっ……
なぜ攻撃が当たらなかったのかわからないが、グズグズはしていられないな」
自分が困惑している間にも刻一刻と平行世界が数を減らしていっていることを感知したクロムは、メテオライトの愚行を止めるべく様々なことを試みることにした。
まず手始めとして先ほど通用しなかった白い球を再度放つ。
結果は予想通りであり、白い球はメテオライトに被弾することなく、すり抜けて飛び去って行った。
続いてクロムは自身が使える魔術を一つづつ試していく。
得意の氷魔術から始まり、土魔術に火魔術……、さらにはオリジナルの属性である雷属性の魔術も……
様々な属性の様々な種類の魔術を使い続けた。
しかし結果は白い球の時と同じく、すべてがメテオライトをすり抜けるのみであった。
「ちっ……
避けているとか効かないとかそういう次元じゃねーな、これ……
ありとあらゆることがあいつに干渉できない、そんな感じだな」
クロムは苦虫を食い潰したような表情をしながら、そう呟いた。
そうであるとしか思えないのだが、それを実現させるためには別の次元に自分を存在させるしかない。
しかし、クロムは平行世界が一つづつ消え去っていくことを感じるのみであり、新しい平行世界が産み出されることを一切感じれてはいないのであった。
「ただ、俺が感知できていない…… だけなのか?」
クロムは打つ手が何も思いつかない上に、目の前で起きていることが理解できないという現実にただ困惑することしかできなかった。
『何をしても無駄であるということにそろそろ気が付いたようじゃな』
ここまで終始沈黙を貫いてきたメテオライトが口を開いた。
『そのまま自分の無力を嘆きつつ、滅びの時を待つがよい』
「ふざけんな!
そもそもちょっと自分の思い通りにならなかったからって世界ごとぶっ壊すとかどういう思考回路してんだよ!!」
『別に大したことではあるまい、壊れたおもちゃを破棄するだけじゃぞ。
自分でコントロールできなくなったおもちゃなど、壊れたおもちゃ以外の何物でもない』
「!!
この世界はお前のおもちゃじゃないぞ!!」
『我が気まぐれに創り、我の暇つぶしの遊びに使った世界。
これがおもちゃでないとするなら、何になるのじゃ?』
「どういう経緯で創られた世界にせよ、今は膨大な数の命が生活している世界だ!
お前の気分でどうこうしていいものではない!」
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「多くの人たちと関わりながら、旅をしてきたからな。
この世界に愛着も思い入れもあるさ、だからお前のその横暴を許すことはできない」
『何をどう吠えるかはお前の好きにすれば良い。
だが、我に一切の干渉ができないお前は無力じゃ
そのまま無力を嘆きつつ消え去るのじゃな、我を本気で不快にさせた報いとしてな』
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そんなクロムに一つの可能性が思い浮かぶ。
――この世界を創る前からメテオライトは存在していた。
ならば、その時はどこにいた?
そして、今のメテオライトはその時いた場所に存在している?
その場所を知らない俺にはその場所を知覚できないし干渉もできない……??
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