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7章.神々の思惑編
115話.神格化
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「カオスのバカやろう……」
クロムは自分一人だけとなったその空間にて、ぼそっと愚痴をこぼすのだった。
カオスがクロムに伝えた<神になる方法>は、確かにクロムにしかできないことではあった。
その方法とは、カオスが存在する全ての平行世界にて全てのカオスの存在を捕捉し、全てのカオスを自分の存在で上書きして融合すること であった。
本来であれば平行世界に干渉するということがすでに不可能なことなのだ。
その上、全平行世界のカオスを捕捉し、その存在を上書きすることなどあり得ないことである、例えクロムであっても。
しかしカオスが全ての存在への誘導をして、自らの存在を極限まで消した上での実行なら不可能ではなくなるのであった。
こうしてクロムは<神>となった、カオスという存在を自身の中に取り込むことによって。
「神になるのも、あいつが俺に託したことも……
どっちも重すぎだっての……」
『はぁ……
あんたがそんなんじゃカオス様に失礼よ!!』
「な、ナビ??」
『僕はあんたの頭の中にいるっていうことを忘れたの?
それにカオス様は消え去ったわけじゃないのよ? あんたと同化という形で存在しているのよ。
そうすることで<5柱の盟約>のルールの隙間をつけるっていうカオス様の言葉をもう忘れたの??』
「いや、覚えてはいるさ」
カオスの示した方法の最大のポイントはここであった。
神を完全に吸収して消滅させてしまったら、神は傷つけられないという<5柱の盟約>に触れてしまう。
ゆえに自身の存在を消さずに残したままでクロムを神に昇華させる、そのための唯一の方法であった。
「でもさ、話すこともできないのに存在していると言われても……」
『そういえば、説明をするの忘れていたね。
僕は君の中で存在しているよ、ナビと同じような状態かな。
ただ君の魔力を消費しなくちゃ喋ることすらできないけどね♪』
「カオス!??」
『カオス様!??』
突然聞こえたカオスの声に動揺を隠せない二人。
しかしクロムは驚くと同時に、どこか安心感も感じているのであった。
そして、カオスと会話をすることで徐々に冷静さを取り戻したクロムはアキナたちの元に帰るのだった。
「クロム!! 今までどこに行ってたのよ!!!」
「アキナか、すまなかった。
…… 今すぐにみんなを集めてほしい、話があるんだ」
クロムは慌てるアキナに軽く謝罪をすると、みんなを集めてくれるように伝えた。
そして、ミレストンの自室にはアキナ、カルロ、ビネガの3人が集まった。
クロムはカオスの元で起こった出来事についての話を始めた。
当然のことではあるが、あまりにも現実味のない話に3人は驚き、ただ言葉を失うのみであった。
そんな中、カルロが口を開く。
「兄貴……
話はわかったが、それでこれからどうしたいんだ?」
「まずは魔導王と剣聖を取り込むか排除するか…… だな。
カオスから託されたこともあるけど、不確定要素であり強者でもあるこの二人を放置はできない」
「クロム……」
当面の方針を告げたクロムはそのまま聖セイクリッド神国へと向かうことにした。
大まかな作戦は、カルロ・ビネガを筆頭にした竜人族で聖セイクリッド神国軍の一般兵の相手をし、その間にクロムとアキナで魔導王と剣聖の相手をするというものである。
進軍自体は非常に順調であった、抵抗らしい抵抗をほとんど受けることもない。
そして聖都が視野に入る頃、クロムとアキナは魔導王と剣聖と対峙することとなった。
クロムは自分一人だけとなったその空間にて、ぼそっと愚痴をこぼすのだった。
カオスがクロムに伝えた<神になる方法>は、確かにクロムにしかできないことではあった。
その方法とは、カオスが存在する全ての平行世界にて全てのカオスの存在を捕捉し、全てのカオスを自分の存在で上書きして融合すること であった。
本来であれば平行世界に干渉するということがすでに不可能なことなのだ。
その上、全平行世界のカオスを捕捉し、その存在を上書きすることなどあり得ないことである、例えクロムであっても。
しかしカオスが全ての存在への誘導をして、自らの存在を極限まで消した上での実行なら不可能ではなくなるのであった。
こうしてクロムは<神>となった、カオスという存在を自身の中に取り込むことによって。
「神になるのも、あいつが俺に託したことも……
どっちも重すぎだっての……」
『はぁ……
あんたがそんなんじゃカオス様に失礼よ!!』
「な、ナビ??」
『僕はあんたの頭の中にいるっていうことを忘れたの?
それにカオス様は消え去ったわけじゃないのよ? あんたと同化という形で存在しているのよ。
そうすることで<5柱の盟約>のルールの隙間をつけるっていうカオス様の言葉をもう忘れたの??』
「いや、覚えてはいるさ」
カオスの示した方法の最大のポイントはここであった。
神を完全に吸収して消滅させてしまったら、神は傷つけられないという<5柱の盟約>に触れてしまう。
ゆえに自身の存在を消さずに残したままでクロムを神に昇華させる、そのための唯一の方法であった。
「でもさ、話すこともできないのに存在していると言われても……」
『そういえば、説明をするの忘れていたね。
僕は君の中で存在しているよ、ナビと同じような状態かな。
ただ君の魔力を消費しなくちゃ喋ることすらできないけどね♪』
「カオス!??」
『カオス様!??』
突然聞こえたカオスの声に動揺を隠せない二人。
しかしクロムは驚くと同時に、どこか安心感も感じているのであった。
そして、カオスと会話をすることで徐々に冷静さを取り戻したクロムはアキナたちの元に帰るのだった。
「クロム!! 今までどこに行ってたのよ!!!」
「アキナか、すまなかった。
…… 今すぐにみんなを集めてほしい、話があるんだ」
クロムは慌てるアキナに軽く謝罪をすると、みんなを集めてくれるように伝えた。
そして、ミレストンの自室にはアキナ、カルロ、ビネガの3人が集まった。
クロムはカオスの元で起こった出来事についての話を始めた。
当然のことではあるが、あまりにも現実味のない話に3人は驚き、ただ言葉を失うのみであった。
そんな中、カルロが口を開く。
「兄貴……
話はわかったが、それでこれからどうしたいんだ?」
「まずは魔導王と剣聖を取り込むか排除するか…… だな。
カオスから託されたこともあるけど、不確定要素であり強者でもあるこの二人を放置はできない」
「クロム……」
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進軍自体は非常に順調であった、抵抗らしい抵抗をほとんど受けることもない。
そして聖都が視野に入る頃、クロムとアキナは魔導王と剣聖と対峙することとなった。
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