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5章.遭遇編
61話.謁見の間での出会い
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「まさか王城内が、ほぼガラ空きとはね……」
「だよねぇ、でもさすがにこの中にはいるよ…… ね??」
王城内がガラ空きという展開に拍子抜けをしたクロムとアキナ。
しかしこの先の謁見の間には、あの因縁の相手がきっといると予感めいたものを感じずにはいられない二人であった。
そして、覚悟を決めた二人は一緒に謁見の間の扉に手を掛けて、静かに謁見の間へと足を踏み入れた。
そこで二人を待っていた者は、王座に座っている一人の少女であった。
「遅かったじゃないか、クロムくん。
君へのプレゼントはかなり前に回復してたはずだよね?」
突然声をかけてきた少女の声にクロムは聞き覚えがあった。
あの横腹に穴をあけられて気を失った時に、薄れゆく意識の中で聞こえていた声である。
「プレゼントへのお礼の準備に、ちと手間取っちまってな。
って、そもそもお前は何者なんだ?」
「あたしの名前はカイリ。
この世界の理から外れた存在…… ということになるかな♪」
「またわかりにくい説明しやがって……
そうするにはお前も<転生者>ってことでいいんだよな?」
「え!??
クロムと同じ…… ってこと?」
「おそらくな……
まぁ転生させた神は違うだろうけどな」
「へぇ~、いいカンしてんじゃん♪
あたしを転生させたのは<死を司る神のタナトス>よ。
クロムくんは?」
「あっさりと認めるんだな……
……俺を転生させたのは<空間を司る神のカオス>だ」
カイリがあっさりと転生者であることを認めたことを意外と感じるクロム。
そして、自分を転生させた神を教えるということは、自分の能力の一端をばらすことにもなる。
それをあっさりと教えたことの真意も掴み切れないクロムは、とりあえず会話で情報を集めることにした。
「そういえばあの時、魔物が撤退する直前に笛の音が聞こえたが……
魔物を操る笛でも持っているのか?」
「聞こえてるとは思ってなかったわ、中々いい耳をしているみたいね。
あれは、<技能>で生み出したものとでも言えばわかってくれるかしら?
クロムくんが<技能>によって魔物を統率しているのと似たようなものじゃないかな♪」
「人のこと言えないけど<技能>ってやつはホントイカれてやがるな……」
「あははははは、それにはあたしも同意するしかないね♪
でもこの世界にはお似合いかもよ?
相当ぶっ壊れた世界だと思うしね」
そんな会話を繰り返しながらカイリの真意を探り続けていたクロムであったが、ついに本題へと踏み込んでみることにした。
なぜ王都を陥落させたのかと。
「タナトスがあたしの能力で城を落とせるから暴れてみろと言ったからと……
あとは、力試しかな」
「そんなことのためにやったのか!!!????」
「何をそんなに興奮してるのよ。
転生したばかり、特に思い入れも何もない世界で神からもらった力を神の助言のままに使ってみた、ただそれだけよ?
同じ転生者であるあなたがそんなに怒ることのほうがあたしには不思議よ?」
「確かに俺もこの国に対しての思い入れは何もないな。
そして、自分に与えられた力の大きさに変な高揚感が生まれるのも否定はしないよ。
でもだからといって、試し斬り感覚で国一つ潰していいとは思わないぞ!!」
「ふ~~ん、見解の相違ってやつかな。
じゃあ、どうするの?
正義の味方として、悪者のあたしを退治してみる?? 」
「そんな下らないことをするつもりはないさ、俺がここに来た理由はただの私怨。
俺の横腹に楽し気なプレゼントをしてくれた奴がここにいるっていう話を聞いたからね、ならばお礼参りに行かなきゃ失礼だよねってことでここまで来ただけだよ」
「クロムくんもだいぶオカシイ人だと思うよ……
でもいいわよ、暇もしてたし手合わせと洒落込みましょうか♪♪」
「だよねぇ、でもさすがにこの中にはいるよ…… ね??」
王城内がガラ空きという展開に拍子抜けをしたクロムとアキナ。
しかしこの先の謁見の間には、あの因縁の相手がきっといると予感めいたものを感じずにはいられない二人であった。
そして、覚悟を決めた二人は一緒に謁見の間の扉に手を掛けて、静かに謁見の間へと足を踏み入れた。
そこで二人を待っていた者は、王座に座っている一人の少女であった。
「遅かったじゃないか、クロムくん。
君へのプレゼントはかなり前に回復してたはずだよね?」
突然声をかけてきた少女の声にクロムは聞き覚えがあった。
あの横腹に穴をあけられて気を失った時に、薄れゆく意識の中で聞こえていた声である。
「プレゼントへのお礼の準備に、ちと手間取っちまってな。
って、そもそもお前は何者なんだ?」
「あたしの名前はカイリ。
この世界の理から外れた存在…… ということになるかな♪」
「またわかりにくい説明しやがって……
そうするにはお前も<転生者>ってことでいいんだよな?」
「え!??
クロムと同じ…… ってこと?」
「おそらくな……
まぁ転生させた神は違うだろうけどな」
「へぇ~、いいカンしてんじゃん♪
あたしを転生させたのは<死を司る神のタナトス>よ。
クロムくんは?」
「あっさりと認めるんだな……
……俺を転生させたのは<空間を司る神のカオス>だ」
カイリがあっさりと転生者であることを認めたことを意外と感じるクロム。
そして、自分を転生させた神を教えるということは、自分の能力の一端をばらすことにもなる。
それをあっさりと教えたことの真意も掴み切れないクロムは、とりあえず会話で情報を集めることにした。
「そういえばあの時、魔物が撤退する直前に笛の音が聞こえたが……
魔物を操る笛でも持っているのか?」
「聞こえてるとは思ってなかったわ、中々いい耳をしているみたいね。
あれは、<技能>で生み出したものとでも言えばわかってくれるかしら?
クロムくんが<技能>によって魔物を統率しているのと似たようなものじゃないかな♪」
「人のこと言えないけど<技能>ってやつはホントイカれてやがるな……」
「あははははは、それにはあたしも同意するしかないね♪
でもこの世界にはお似合いかもよ?
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あとは、力試しかな」
「そんなことのためにやったのか!!!????」
「何をそんなに興奮してるのよ。
転生したばかり、特に思い入れも何もない世界で神からもらった力を神の助言のままに使ってみた、ただそれだけよ?
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そして、自分に与えられた力の大きさに変な高揚感が生まれるのも否定はしないよ。
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「ふ~~ん、見解の相違ってやつかな。
じゃあ、どうするの?
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「そんな下らないことをするつもりはないさ、俺がここに来た理由はただの私怨。
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