6 / 147
1章.サバイバル編
5話.サバイバル生活、食事事情
しおりを挟む
死んだように眠っていたクロムが目を覚ますと、まず最初に自分の体調の確認を行った。
硬い岩盤の上で寝ていたためであろう、全身が激しく痛い。
だが、寝る前に感じていた深い気怠さなどはなくなっており、体力自体はかなり回復することができたと実感するのであった。
「おはよう、ナビ」
『おはよう、やっと起きたわね』
「あぁ、でももう気怠さも抜けて体力は回復できたみたいだ。
だけど……
はらへったぁぁ……」
『丁度この世界のお昼ごろだし、元気になったのなら暗くなる前に食料でも探したら??』
空腹に苦しむクロムは、ナビの助言に従い食料を調達しにいくことを決めた。
前回の教訓を生かして、今回は油断せずに…… と外まで食料を探しにいくのである。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
住居(仮)から警戒しながら外にでると、先ほどの状況とはガラっと変わっており魔物の気配を感じることができなかった。
襲われるリスクが下がっているのはありがたいことであったが、食料探しとしてはありがたくない状況である。
仕方なく少し遠くまで探索にでることにしたクロムであったが、森は先ほどの狼のこともあって少し怖かったため、反対側に位置する湖を覗いてみることにした。
その湖には大小さまざまな魚?? が存在しており、なんだか楽しくなってそれらを観察していたところ……
「なんか色々いっぱいいるね~♪
って、あぶね!!!」
湖の中からピラニアっぽい魚の群れが一斉に飛び出してきたのである。
クロムは反射的に魚たちの突撃を回避し、空中に浮遊することとなった魚たちに向けて右腕を突き出した。
すると、10匹ほどいた魚たちは大きな氷の塊となって地上に落下することとなった。
「うし、食料確保♪」
『ツッコミどころ満載だけど…… ツッコんだら負けな気がするわ』
「ツッコミどころなんてないだろ?
大事な食料なんだ、保存も兼ねて冷凍するのは理に適っているじゃん」
『……そういうことにしておくよ』
呆れてるナビを放置してクロムは住居(仮)の中に魚氷を運び入れ、料理の準備を始めことにした。
しかし住居(仮)と言っても所詮《しょせん》はただの横穴である。
調理道具はおろか机すらないのであった。
「なければ作るまでさ♪」
クロムは様々なものをイメージし、ドンドンとそれらを具現化していった。
岩を板状にしたまな板。
岩をくりぬいて鍋状にしたもの。
土を固めて作った机や椅子。
土を練り固めたような形状の竃《かまど》。
住居(仮)の出入り口として使っていた巨大な鍋蓋を変形させて、住居っぽい壁と扉に。
そして最後に……
「これだけは拘って作らないとね♪」
クロムは地面で寝たことにより全身が痛くなったことを教訓として、ベットだけは特別に拘って柔らかい大きなベットを作ることを決めていたのである。
「一度こういうので寝てみたかったんだよね♪♪」
クロムは、硬めのゼリーみたいなデッカイ塊を生成し、それをベット状に成型した。
元の世界にあるもので言えば、ウォーターベットが一番近いであろうか。
「おぉ!! この感触クセになりそう♪」
さっそくベットに横になったクロムがご満悦そうにしていると、呆れ声でナビがボソっとつぶやいた。
『ナンカタノシソウダネ……
すっかり食料のこと忘れてそうだけどね……』
「わ、忘れてなんかないもん!!!
い、今から始めるもん!!!」
『はいはい』
クロムは、分かりやすく動揺しつつも、先ほど氷漬けにしたピラニアもどきたちの調理を始めた。
「こいつらって生で食えるの?」
『食べれるとは思うけど、お腹を壊すかもね?』
「……
それって食べちゃダメってことじゃね?」
『そうともいうかもね』
「…… ち、ちなみに、このピラニアっぽい魚って名前なんていうんだ??」
『そのまま、ピラニアよ』
「へぇ……」
なんか面白くないなぁと思いつつも、クロムは凍ったままのピラニアを鍋の中に入れて竃にかけた。
竃の火は空中を飛び交う照明代わりの火の玉くんたちを使うことにして、そのまま煮こむことにした。
「調味料なしって美味いのかね……」
『この世界の常識の一つに体内に貯め込む魔力量が多いほど美味しい素材だと言われてるわよ。
だから、魔物は基本的に美味しいということが常識になっているね』
「ふ~ん、でもこのピラニアって魔物なのか?」
『下級の魔物に属しているわよ、素材のままでも食べれなくはない程度には美味しいはずだよ』
「ま、食べてみればわかるか♪」
クロムは、すっかり煮えているピラニアを一口食べてみることにした。
弾力はあまりないが、さっぱりとした白身のお魚って感じである。
「可もなく不可もなく…… ってところだなぁ~」
そうぼやきつつ、クロムは煮汁を少し飲んでみることにした。
「!!!!!!!
なんだこれ!!!
美味い!!!!!!!」
ピラニアの出汁がたっぷりと出た煮汁はびっくりするほどの美味さであった。
「ピラニアは汁物用の出汁を取る魚に決定♪」
出汁の美味しさにすっかり上機嫌のクロム。
いつのまにか全てを飲み干してしまったクロムは、疲れていることもありそのまま眠りにつくのであった。
硬い岩盤の上で寝ていたためであろう、全身が激しく痛い。
だが、寝る前に感じていた深い気怠さなどはなくなっており、体力自体はかなり回復することができたと実感するのであった。
「おはよう、ナビ」
『おはよう、やっと起きたわね』
「あぁ、でももう気怠さも抜けて体力は回復できたみたいだ。
だけど……
はらへったぁぁ……」
『丁度この世界のお昼ごろだし、元気になったのなら暗くなる前に食料でも探したら??』
空腹に苦しむクロムは、ナビの助言に従い食料を調達しにいくことを決めた。
前回の教訓を生かして、今回は油断せずに…… と外まで食料を探しにいくのである。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
住居(仮)から警戒しながら外にでると、先ほどの状況とはガラっと変わっており魔物の気配を感じることができなかった。
襲われるリスクが下がっているのはありがたいことであったが、食料探しとしてはありがたくない状況である。
仕方なく少し遠くまで探索にでることにしたクロムであったが、森は先ほどの狼のこともあって少し怖かったため、反対側に位置する湖を覗いてみることにした。
その湖には大小さまざまな魚?? が存在しており、なんだか楽しくなってそれらを観察していたところ……
「なんか色々いっぱいいるね~♪
って、あぶね!!!」
湖の中からピラニアっぽい魚の群れが一斉に飛び出してきたのである。
クロムは反射的に魚たちの突撃を回避し、空中に浮遊することとなった魚たちに向けて右腕を突き出した。
すると、10匹ほどいた魚たちは大きな氷の塊となって地上に落下することとなった。
「うし、食料確保♪」
『ツッコミどころ満載だけど…… ツッコんだら負けな気がするわ』
「ツッコミどころなんてないだろ?
大事な食料なんだ、保存も兼ねて冷凍するのは理に適っているじゃん」
『……そういうことにしておくよ』
呆れてるナビを放置してクロムは住居(仮)の中に魚氷を運び入れ、料理の準備を始めことにした。
しかし住居(仮)と言っても所詮《しょせん》はただの横穴である。
調理道具はおろか机すらないのであった。
「なければ作るまでさ♪」
クロムは様々なものをイメージし、ドンドンとそれらを具現化していった。
岩を板状にしたまな板。
岩をくりぬいて鍋状にしたもの。
土を固めて作った机や椅子。
土を練り固めたような形状の竃《かまど》。
住居(仮)の出入り口として使っていた巨大な鍋蓋を変形させて、住居っぽい壁と扉に。
そして最後に……
「これだけは拘って作らないとね♪」
クロムは地面で寝たことにより全身が痛くなったことを教訓として、ベットだけは特別に拘って柔らかい大きなベットを作ることを決めていたのである。
「一度こういうので寝てみたかったんだよね♪♪」
クロムは、硬めのゼリーみたいなデッカイ塊を生成し、それをベット状に成型した。
元の世界にあるもので言えば、ウォーターベットが一番近いであろうか。
「おぉ!! この感触クセになりそう♪」
さっそくベットに横になったクロムがご満悦そうにしていると、呆れ声でナビがボソっとつぶやいた。
『ナンカタノシソウダネ……
すっかり食料のこと忘れてそうだけどね……』
「わ、忘れてなんかないもん!!!
い、今から始めるもん!!!」
『はいはい』
クロムは、分かりやすく動揺しつつも、先ほど氷漬けにしたピラニアもどきたちの調理を始めた。
「こいつらって生で食えるの?」
『食べれるとは思うけど、お腹を壊すかもね?』
「……
それって食べちゃダメってことじゃね?」
『そうともいうかもね』
「…… ち、ちなみに、このピラニアっぽい魚って名前なんていうんだ??」
『そのまま、ピラニアよ』
「へぇ……」
なんか面白くないなぁと思いつつも、クロムは凍ったままのピラニアを鍋の中に入れて竃にかけた。
竃の火は空中を飛び交う照明代わりの火の玉くんたちを使うことにして、そのまま煮こむことにした。
「調味料なしって美味いのかね……」
『この世界の常識の一つに体内に貯め込む魔力量が多いほど美味しい素材だと言われてるわよ。
だから、魔物は基本的に美味しいということが常識になっているね』
「ふ~ん、でもこのピラニアって魔物なのか?」
『下級の魔物に属しているわよ、素材のままでも食べれなくはない程度には美味しいはずだよ』
「ま、食べてみればわかるか♪」
クロムは、すっかり煮えているピラニアを一口食べてみることにした。
弾力はあまりないが、さっぱりとした白身のお魚って感じである。
「可もなく不可もなく…… ってところだなぁ~」
そうぼやきつつ、クロムは煮汁を少し飲んでみることにした。
「!!!!!!!
なんだこれ!!!
美味い!!!!!!!」
ピラニアの出汁がたっぷりと出た煮汁はびっくりするほどの美味さであった。
「ピラニアは汁物用の出汁を取る魚に決定♪」
出汁の美味しさにすっかり上機嫌のクロム。
いつのまにか全てを飲み干してしまったクロムは、疲れていることもありそのまま眠りにつくのであった。
2
お気に入りに追加
165
あなたにおすすめの小説

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

勇者様、旅のお供に平兵士などはいかがでしょうか?
黒井 へいほ
ファンタジー
ミューステルム王国に仕える兵であるラックス=スタンダードは、世界を救うために召喚された勇者ミサキ=ニノミヤの仲間として共に旅立つ。
しかし、彼女は勇者ではあるが、その前に普通の少女である。何度も帰りたいと泣き言を言いながらも、彼女は成長していった。
そして、決断をする。
勇者になりたい、世界を救いたい、と。
己が身に魔王の魂を宿していたことを知ったラックスだが、彼もまた決断をした。
世界を救おうという勇者のために。
ずっと自分を救ってくれていた魔王のために。
二人を守るために、自分は生きようと。
そして、彼らは真の意味で旅立つ。
――世界を救うために。
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。

魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡
サクラ近衛将監
ファンタジー
女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。
シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。
シルヴィの将来や如何に?
毎週木曜日午後10時に投稿予定です。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~
川原源明
ファンタジー
秋津直人、85歳。
50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。
嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。
彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。
白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。
胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。
そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。
まずは最強の称号を得よう!
地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語
※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編
※医療現場の恋物語 馴れ初め編

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる