3 / 147
1章.サバイバル編
2話.無情なる異世界生活
しおりを挟む
「ナビ~、とりあえずここから一番近い町ってどっちにあんの?」
『近くにはないよ?』
「は??」
『だから、近くにはないってば! 一番近い町で…… 徒歩2日ってとこかな♪』
軽い気持ちでナビに尋ねたクロムは、予想外の回答を聞くこととなったのであった。
クロムの異世界生活……
早くも餓死エンドの可能性が漂い始めるのである。
「……
とりあえず食料の確保だな……」
『切替が早くていいね♪』
ナビの言い草に納得のいかないクロムであったが、周囲の景色の中で唯一草原以外の景色である森に向かって歩くことにした。
森までの道中、クロムはナビにいくつかの質問をしてみることにした。
「この世界にはナビみたいな眷属?っていっぱいいるのか?」
『眷属は神様が誰かに与えない限りは世界に存在しないから、たぶん他にはいないと思うよ?
あと僕の声はクロムにしか聞こえないから、僕との会話は周りからは独り言を言ってるように見えるだろうね♪』
「……
気を付けるわ。
ちなみに、この世界って所謂《いわゆる》剣と魔法のファンタジー世界ってやつなのか?」
『この世界はね、創造神様がなんでもアリの世界って面白いんじゃね?ってことで作った世界らしいの。
だから、剣や魔法どころか魔物に精霊、ドラゴンも悪魔も魔王も勇者もなんでもかんでもいる世界』
「そんな軽いノリでとんでもない世界にされた住人はいい迷惑していそうだが……
そういえば、そんな世界で俺って武器なくね?」
『ないねぇ~♪』
「……
餓死が先か、魔物に食われるが先か……」
『高い魔術適性があるんだから、魔術で戦えばいいんじゃない?』
「そうなのかもだけど、魔術?の使い方なんてしらねーぞ?」
『えっとね、この世界にはマナと呼ばれるものが大気中に存在しているの。
そのマナと自分の魔力を練り合わせて、自分がイメージしたものを具現化するって感じかな♪
それで魔術は発動するよ♪』
「イメージしてそれを具現化ねぇ……
イメージができればなんでもできるのか?」
『この世界の魔術はイメージがほぼ全てかな
より鮮明に、より早く、より具体的にイメージする これが魔術師にとって一番大切なことだよ♪』
「ふぅ~ん、まぁこういうのは習うより慣れろかね」
クロムは早速試してみることにしたのである。
先ほどから若干喉が渇いていたクロムは、両手の手のひらくっつけて器のようにして、その中に水がいっぱい満たされるイメージをした。
(どうせ出すなら真水で……
できれば軟水がいいな!
硬水苦手だし……)
クロムはそんな我儘なイメージも盛り込みながら手のひらの中に水が満たされることをイメージした。
すると、手がヒンヤリとするのを感じたのであった。
「水だ……」
『まさか一発で成功するなんてね……
魔術適性はやっぱり相当高そうね……』
ナビが若干引いている反応しているのを尻目に、クロムは具現化された水を一気に飲み干した。
「…… うまい!!!!!
これで飲み水の心配なくなったじゃん!!」
『ヨカッタネ』
「なんだよ、その反応は……」
『そんなことよりさ、
目の前の森から狼さんたちがこっちを睨んでるのは気づいてる?』
「!!!!!」
水に夢中になっていたクロムは、目の前まで迫ってきた森の中からこちらの様子を窺っている狼にはまったく気づけていなかったのであった。
『ま、その得意の魔術で狼さんたちの退治頑張ってね♪』
ナビがそういうと、森の中から3匹の狼が勢いよく飛び出してきた。
そんな状況に激しく動揺するクロムであったが、なんとかして魔術で撃退する方法を必死で考えた。
そして、思いつくイメージのまま、目を閉じて両手を狼のほうに突き出しつつ、より強く念じるのであった。
グサッ!グササッ!!
ギャ!キャン!!
あたり一面に何とも言えない音が鳴り響いた。
クロムが恐る恐る目を開くと……
目の前には3匹の狼が大きな氷の杭で串刺し状態になっていたのである。
「はぁはぁはぁ……
助かった…… でいいんだよな?」
『あの咄嗟でよくこんなもん出せたわね……』
「大きな杭で串刺しにする
それぐらいしかイメージできなくてさ」
『そうしたら、こんなデカい杭が氷でできたわけね。
無意識で氷の杭ができたっていうなら、あんたの得意属性は氷ってことなんだと思うわ』
ナビは魔術の6属性についての説明を始めた。
魔術には火・水・土・風・光・闇の6属性が存在し、魔術師はそれぞれ異なる得意属性というものをもっていて、それはステータスボードにも記載されないので、こういう咄嗟のタイミングで発動するものがもっとも得意な属性ということを。
クロムは魔術によって水と食料の問題を解決できる目途が立ち始めたことに喜びを感じていたのであった。
そして一つのことに思いが至ったのである。
あの森を拠点にして、ロマン溢れるサバイバル生活を始めようと。
『近くにはないよ?』
「は??」
『だから、近くにはないってば! 一番近い町で…… 徒歩2日ってとこかな♪』
軽い気持ちでナビに尋ねたクロムは、予想外の回答を聞くこととなったのであった。
クロムの異世界生活……
早くも餓死エンドの可能性が漂い始めるのである。
「……
とりあえず食料の確保だな……」
『切替が早くていいね♪』
ナビの言い草に納得のいかないクロムであったが、周囲の景色の中で唯一草原以外の景色である森に向かって歩くことにした。
森までの道中、クロムはナビにいくつかの質問をしてみることにした。
「この世界にはナビみたいな眷属?っていっぱいいるのか?」
『眷属は神様が誰かに与えない限りは世界に存在しないから、たぶん他にはいないと思うよ?
あと僕の声はクロムにしか聞こえないから、僕との会話は周りからは独り言を言ってるように見えるだろうね♪』
「……
気を付けるわ。
ちなみに、この世界って所謂《いわゆる》剣と魔法のファンタジー世界ってやつなのか?」
『この世界はね、創造神様がなんでもアリの世界って面白いんじゃね?ってことで作った世界らしいの。
だから、剣や魔法どころか魔物に精霊、ドラゴンも悪魔も魔王も勇者もなんでもかんでもいる世界』
「そんな軽いノリでとんでもない世界にされた住人はいい迷惑していそうだが……
そういえば、そんな世界で俺って武器なくね?」
『ないねぇ~♪』
「……
餓死が先か、魔物に食われるが先か……」
『高い魔術適性があるんだから、魔術で戦えばいいんじゃない?』
「そうなのかもだけど、魔術?の使い方なんてしらねーぞ?」
『えっとね、この世界にはマナと呼ばれるものが大気中に存在しているの。
そのマナと自分の魔力を練り合わせて、自分がイメージしたものを具現化するって感じかな♪
それで魔術は発動するよ♪』
「イメージしてそれを具現化ねぇ……
イメージができればなんでもできるのか?」
『この世界の魔術はイメージがほぼ全てかな
より鮮明に、より早く、より具体的にイメージする これが魔術師にとって一番大切なことだよ♪』
「ふぅ~ん、まぁこういうのは習うより慣れろかね」
クロムは早速試してみることにしたのである。
先ほどから若干喉が渇いていたクロムは、両手の手のひらくっつけて器のようにして、その中に水がいっぱい満たされるイメージをした。
(どうせ出すなら真水で……
できれば軟水がいいな!
硬水苦手だし……)
クロムはそんな我儘なイメージも盛り込みながら手のひらの中に水が満たされることをイメージした。
すると、手がヒンヤリとするのを感じたのであった。
「水だ……」
『まさか一発で成功するなんてね……
魔術適性はやっぱり相当高そうね……』
ナビが若干引いている反応しているのを尻目に、クロムは具現化された水を一気に飲み干した。
「…… うまい!!!!!
これで飲み水の心配なくなったじゃん!!」
『ヨカッタネ』
「なんだよ、その反応は……」
『そんなことよりさ、
目の前の森から狼さんたちがこっちを睨んでるのは気づいてる?』
「!!!!!」
水に夢中になっていたクロムは、目の前まで迫ってきた森の中からこちらの様子を窺っている狼にはまったく気づけていなかったのであった。
『ま、その得意の魔術で狼さんたちの退治頑張ってね♪』
ナビがそういうと、森の中から3匹の狼が勢いよく飛び出してきた。
そんな状況に激しく動揺するクロムであったが、なんとかして魔術で撃退する方法を必死で考えた。
そして、思いつくイメージのまま、目を閉じて両手を狼のほうに突き出しつつ、より強く念じるのであった。
グサッ!グササッ!!
ギャ!キャン!!
あたり一面に何とも言えない音が鳴り響いた。
クロムが恐る恐る目を開くと……
目の前には3匹の狼が大きな氷の杭で串刺し状態になっていたのである。
「はぁはぁはぁ……
助かった…… でいいんだよな?」
『あの咄嗟でよくこんなもん出せたわね……』
「大きな杭で串刺しにする
それぐらいしかイメージできなくてさ」
『そうしたら、こんなデカい杭が氷でできたわけね。
無意識で氷の杭ができたっていうなら、あんたの得意属性は氷ってことなんだと思うわ』
ナビは魔術の6属性についての説明を始めた。
魔術には火・水・土・風・光・闇の6属性が存在し、魔術師はそれぞれ異なる得意属性というものをもっていて、それはステータスボードにも記載されないので、こういう咄嗟のタイミングで発動するものがもっとも得意な属性ということを。
クロムは魔術によって水と食料の問題を解決できる目途が立ち始めたことに喜びを感じていたのであった。
そして一つのことに思いが至ったのである。
あの森を拠点にして、ロマン溢れるサバイバル生活を始めようと。
1
お気に入りに追加
165
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。
『自重』を忘れた者は色々な異世界で無双するそうです。
もみクロ
ファンタジー
主人公はチートです!イケメンです!
そんなイケメンの主人公が竜神王になって7帝竜と呼ばれる竜達や、
精霊に妖精と楽しくしたり、テンプレ入れたりと色々です!
更新は不定期(笑)です!戦闘シーンは苦手ですが頑張ります!
主人公の種族が変わったもしります。
他の方の作品をパクったり真似したり等はしていないので
そういう事に関する批判は感想に書かないで下さい。
面白さや文章の良さに等について気になる方は
第3幕『世界軍事教育高等学校』から読んでください。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡
サクラ近衛将監
ファンタジー
女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。
シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。
シルヴィの将来や如何に?
毎週木曜日午後10時に投稿予定です。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~
川原源明
ファンタジー
秋津直人、85歳。
50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。
嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。
彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。
白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。
胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。
そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。
まずは最強の称号を得よう!
地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語
※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編
※医療現場の恋物語 馴れ初め編
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる