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しおりを挟むパパの言葉通り、私は転校することになった。
それに本当に成くんとの、婚約は解消された。そして、やっと私は自分がしでかしたことの大きさに気づいた。
「……ごめんなさい」
成くんやあの子に謝りたくとも、直接会うことは禁止され、電話も着信拒否だ。せめてと、手紙を出すことは禁止されなかったので、何通も謝罪の手紙をだした。もしかしたら、読まれる前に捨てられてるのかもしれないけれど。それでも。
『真白、君は変わった。前は、あんなにいい子だったのに』
私、どこで間違えちゃったんだろう。ただ、成くんのことが好きだった。成くんのそばにいたかった。最初は、それだけだったのに。だんだん、成くんに近づくあの子のことを許せなくなって。
だったら、いじめてしまえって、酷いことを思ってしまった。
転校先の制服に着替え、仏壇の前で手を合わせる。
「……ママもごめんなさい」
『真白、いい子にするのよ』
ママはいつも言っていた。いい子にしててねって。それなのに、私、悪い子になっちゃった。
「お嬢様、そろそろ出発しませんと」
「うん」
運転手の立川に急かされるようにして、家を出た。
今日から、私はいい子になろう。
緊張しながら自己紹介をして、ホームルームを終え、席につく。この学園は以前通っていた学園とは違い、通っているのは中流階級の生徒ばかりだ。だからか、遠巻きにされている。
お母さんや成くんの望むいい子だったら、こんなときどうするだろう。別に自分に害はなさそうだから、放っておく?
それとも、自分から声をかける?
私は後者を選ぶことにした。
「あの、私は八条真白。よろしくね」
「ええっと、こちらこそ、よろしくね。八条さん」
良かった。笑みを見せてくれた。
この調子で頑張れば、この学園でやり直せるかもしれない。
私は、そんな甘いことを考えていた。
放課後。担任の先生に呼び出され、職員室へ。
「だからね、八条さん。生徒会に入ってみない?」
「私が、ですか?」
先生によると、生徒会執行部は成績優秀な生徒により活動が行われているらしい。私が転入試験でいい点数がとれていたので、声をかけたとのことだった。
ちょっとめんどくさそうだなぁ。でも、いい子なら──。
「はい、やってみます」
「よかった! じゃあ、早速生徒会室に案内するわね」
先生に連れられて生徒会室に行く。生徒会室の扉は他の教室よりも豪華そうに見えた。
「あとのことは、会長の佑月くんに頼んでいるから」
そういって、先生は案内を終えると職員室に戻っていった。佑月。私には、聞き覚えのある苗字だ。偶然だよね。
そんなことを思いながら、扉をあける。
「……失礼します」
今日は生徒会の仕事はお休みなのか、生徒会室には一人しかいなかった。彼が佑月会長なのかな。
私が扉を閉めると、彼が近づいてきた。
「!?」
ドン、と、力強く音を立てて、彼が扉に手を着いた。私の頭の真横だ。
「あ、の」
恐る恐る、目線を彼に合わせると、これ以上ないほど怒りのこもった瞳をしていた。
「八条真白。俺は、お前を許さない」
それに本当に成くんとの、婚約は解消された。そして、やっと私は自分がしでかしたことの大きさに気づいた。
「……ごめんなさい」
成くんやあの子に謝りたくとも、直接会うことは禁止され、電話も着信拒否だ。せめてと、手紙を出すことは禁止されなかったので、何通も謝罪の手紙をだした。もしかしたら、読まれる前に捨てられてるのかもしれないけれど。それでも。
『真白、君は変わった。前は、あんなにいい子だったのに』
私、どこで間違えちゃったんだろう。ただ、成くんのことが好きだった。成くんのそばにいたかった。最初は、それだけだったのに。だんだん、成くんに近づくあの子のことを許せなくなって。
だったら、いじめてしまえって、酷いことを思ってしまった。
転校先の制服に着替え、仏壇の前で手を合わせる。
「……ママもごめんなさい」
『真白、いい子にするのよ』
ママはいつも言っていた。いい子にしててねって。それなのに、私、悪い子になっちゃった。
「お嬢様、そろそろ出発しませんと」
「うん」
運転手の立川に急かされるようにして、家を出た。
今日から、私はいい子になろう。
緊張しながら自己紹介をして、ホームルームを終え、席につく。この学園は以前通っていた学園とは違い、通っているのは中流階級の生徒ばかりだ。だからか、遠巻きにされている。
お母さんや成くんの望むいい子だったら、こんなときどうするだろう。別に自分に害はなさそうだから、放っておく?
それとも、自分から声をかける?
私は後者を選ぶことにした。
「あの、私は八条真白。よろしくね」
「ええっと、こちらこそ、よろしくね。八条さん」
良かった。笑みを見せてくれた。
この調子で頑張れば、この学園でやり直せるかもしれない。
私は、そんな甘いことを考えていた。
放課後。担任の先生に呼び出され、職員室へ。
「だからね、八条さん。生徒会に入ってみない?」
「私が、ですか?」
先生によると、生徒会執行部は成績優秀な生徒により活動が行われているらしい。私が転入試験でいい点数がとれていたので、声をかけたとのことだった。
ちょっとめんどくさそうだなぁ。でも、いい子なら──。
「はい、やってみます」
「よかった! じゃあ、早速生徒会室に案内するわね」
先生に連れられて生徒会室に行く。生徒会室の扉は他の教室よりも豪華そうに見えた。
「あとのことは、会長の佑月くんに頼んでいるから」
そういって、先生は案内を終えると職員室に戻っていった。佑月。私には、聞き覚えのある苗字だ。偶然だよね。
そんなことを思いながら、扉をあける。
「……失礼します」
今日は生徒会の仕事はお休みなのか、生徒会室には一人しかいなかった。彼が佑月会長なのかな。
私が扉を閉めると、彼が近づいてきた。
「!?」
ドン、と、力強く音を立てて、彼が扉に手を着いた。私の頭の真横だ。
「あ、の」
恐る恐る、目線を彼に合わせると、これ以上ないほど怒りのこもった瞳をしていた。
「八条真白。俺は、お前を許さない」
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